【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2023年5月28日(日)
【山 域】加越国境 取立山周辺
【天 候】曇りのち晴れ、最後に雨
【メンバー】sato、山日和
【コース】駐車場7:00---8:10取立山---9:00板谷の頭---下降点9:25---10:20支谷出合---11:50判官堂湿原13:30
     ---15:00板谷の頭15:20---16:15こつぶり山---17:00大滝---17:20駐車場

 ミズバショウの群生地で有名な取立山。朝が早いこともあり、盛りを過ぎた今日は車も少ない。
料金徴収のおじさんに500円を払って歩き出そうとしたところで、とんでもないことに気が付いた。デジカメと
GPS専用のスマホを忘れてしまったのだ。愕然としたがしょうがない。通信用のスマホに1台2役頑張ってもらお
う。専用機はどちらもストラップでバックアップしているので、開けたままのポーチからさっと取り出せるのだ
が、通信用のスマホは落とさないようにいちいちファスナーを閉めないといけないので面倒だ。

 人気の山だけあって、登山道は踏まれ過ぎるぐらい踏まれている。
取立山の周回コースを歩く登山者は、まず大滝を目指す時計回りコースが多いようだが、今日のこちらにとって
は取立山の山頂は単なる通過点である。
30年ほど前と20年ほど前のいずれもGWに歩いているが、今日は違う目的があるのだ。

IMG_20230528_075145_1.jpg

 登山道脇は花が多く、チゴユリやユキザサ、マイズルソウといった白い花ばかりが盛りを迎えていた。
花の写真を撮りながらゆっくり歩いても1時間余りで山頂に到着。今日は高曇りながらも空気が澄んでいるようで、
白山の姿もくっきりと見える。
ザックを降ろすこともなく、ミズバショウ群生地に背を向けて加越国境稜線を東へと足を踏み出した。


IMG_20230528_080940_1.jpg

 この稜線は地形図には破線が入っているものの、かつては積雪期限定のヤブ尾根で、無雪期に歩くには相当な
覚悟が必要だった。20年前に訪れた時に少し様子を伺ってみたのだが、とても歩けそうにないのですぐにあきら
めたのだ。しかし最近になって、大長山までしっかりした登山道が切り開かれたのである。
もう少しササをかき分けながら歩くような道を想像していたのだが、これがいい方に期待を裏切られた。
足だけで歩くことができる完全な登山道である。刈り開いたばかりの登山道によくある、ササの根元が飛び出した
りということもなく、足元が完全に踏み固められているのは昔の破線の名残だろうか。これはありがたい。
快適にペースを上げてと言いたいところだが、足元のツバメオモトの花にペースダウンを余儀なくされる。
IMG_20230528_084405_1.jpg
IMG_20230528_090900_1.jpg
 
 潅木のヤブの中の見通しの利かない道だが、1383mの板谷の頭のピークが小広く刈られており展望が開けた。
白山と北方の山々、反対側には経ヶ岳が大きい。鞍部を挟んで目の前に見えるのは1477mピークと鉢伏山だ。
 鉢伏山との鞍部まで下り、北側の明谷源頭に向けて下降を開始した。幸い、先ほどの尾根の両側のような密な
ヤブは無く、放置植林のような林相ながら歩きやすいので文句はない。
谷芯に雪渓が残っていたのでこれ幸いと歩いてみたがすぐに切れた。

 標高差50mばかり下ると水流が現れる。ピンクのテープがあるところを見ると、目的を同じくする登山者のも
ののようだ。明谷川本流に出合うここで渓流シューズに履き替えた。
 谷筋はまったく穏やかで滝のひとつもない。ところどころにいい林があるものの、可もなく不可もなしという
ところか。

 3つ目の右岸からの支流に入った。ここにもテープがあるので間違いないだろう。
水量チョロチョロの細い谷だが、ヤブもなくすっきりとして歩きやすい。たまに滝とも呼べないような滝が現れ
るが、快適に登ることができる。この調子なら楽勝で目的地に到達できるかもしれない。


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 源頭部に入るとブナ林が広がり、いよいよ水切れとなった。
しかし思い通りには行かないもので、ブナ林の切れたところで潅木のブッシュに突入となる。
ヤブの薄いところを探しながらの歩行はガクッとペースが落ちた。たまに先ほどからのピンクテープがあり、た
ぶん目的地に導いてくれるのだろうという安心感はある。
ヤブの中の足元にはツバメオモトやミツバオウレンが咲き、ヤブ漕ぎの慰めに目を楽しませてくれた。

 気が付くと、思っていた方向ではなく南の方へ向いている。目的地として目星を付けている場所へは遠回りだ。
このあたりは地形図に表れない小さな谷が入り組んでおり、なかなか複雑である。
その谷を利用して軌道修正しながら、いつの間にか見失ったテープが再び現れると、ヤブの向こう側に広い空が
見えた。ここか。

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 潅木をかき分けて広大な空間に飛び出した。判官堂湿原だ。真正面には白山の姿が大きい。
高曇りだった空はいつの間にかちぎれ雲が浮かぶ青空へと変わっていた。
やっと辿り着けた喜びに胸が震える。もう少し後ならコバイケイソウ、7月ごろにはニッコウキスゲが咲き乱れる
だろうが、何もなくても十分に美しい。
濃密なヤブの中にぽっかりと開けたこの湿原は、まさに山上の別天地。桃源郷だ。
雪解け直後なら豊かな水を湛えた池塘の水面に逆さ白山が映ることだろう。かなり乾燥化が進んだ笠場湿原より
潤いがある。
シカの足跡が点々と残っているところを見れば、動物の水飲み場になっているのだろう。
湿原の端っこにシートを敷いて、極上のランチタイムを楽しんだ。


IMG_20230528_130928_1.jpg

 この判官堂湿原を訪れる登山者は年に何人いるのだろうか。検索してもこの3年間で3組の記録しかヒットしな
かった。2020年以前の記録は皆無だ。(よく考えたらokuちゃんの記録があった。さすがと言うしかない。)
積雪期には山スキーのコースとして判官堂尾根を滑った記録がそこそこ見られるが、雪の下に密かに眠る湿原を
想像もできないだろう。

 去り難い場所だが帰らねばならない。後ろ髪を引かれる思いでザックを担ぐ。
実はもう一か所湿原があるはずだが見つけることができなかった。
 帰路は登りに取った谷の一本南側の谷を下る。その右岸の斜面が意外に歩きやすく、谷芯に下りることなく
明谷川の本流へ下り立つことができた。次回があるならこのルートを上がる方が早いかもしれない。
 加越国境稜線に上がるところで、往路では気付かなかったサンカヨウが2株だけ咲いていた。
最後に一番好きな花まで見ることができた幸運をかみしめながら、再び稜線へと辿り着く。


IMG_20230528_143905_1.jpg

 板谷の頭で再び登山靴に履き替えた。白山はもう雲の中に隠れている。
取立山経由で下山するのが最短コースだが、それでは面白くない。ひょっとしたら名残りのミズバショウが見ら
れるかもと、こつぶり山から大滝コースを選ぶ。
 この時間になるとさすがに登山者の姿はまったく見えない。短時間で楽しめる山に夕方までいる好き物の登山
者はいないのだろう。
 あまり期待はしていなかったが、やはりという感じで花が終わって巨大化したミズバショウの群落に迎えられ
た。辛うじて花を残していたものが数株。それでも今年初めて見るミズバショウはうれしいものである。


IMG_20230528_160402_1.jpg

 再び曇り空となったこつぶり山から加越国境稜線に別れを告げて大滝へと下る。この2か月ほどの間遊ばせて
くれた大日山とその周辺の山々の姿を正面に見ながら歩く。
 大滝に向かって谷へ下りていくとだんだん薄暗くなってきた。立派な登山道だが、石のごろごろした歩きにく
い道である。
 堂々と水を落とす大滝を姿を愛でてトラバース道を進んで行くうちに雨が降り始めたが、別に嫌だとも思わな
かった。
充実した一日の火照った心を落ち着かせるには、ちょうどいい雨なのかもしれない。

                      山日和
tsubo
記事: 177
登録日時: 2023年3月07日(火) 13:27
お住まい: 和歌山県

Re: 【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

投稿記事 by tsubo »

山日和さん、こんばんは。

 ミズバショウの群生地で有名な取立山。朝が早いこともあり、盛りを過ぎた今日は車も少ない。
料金徴収のおじさんに500円を払って歩き出そうとしたところで、とんでもないことに気が付いた。デジカメと
GPS専用のスマホを忘れてしまったのだ。愕然としたがしょうがない。通信用のスマホに1台2役頑張ってもらお
う。専用機はどちらもストラップでバックアップしているので、開けたままのポーチからさっと取り出せるのだ
が、通信用のスマホは落とさないようにいちいちファスナーを閉めないといけないので面倒だ。

いつもはスマホを2台持って行って使いわけているんですね。なるほど。
私は山ではGPS専門に使って、できるだけ写真などでも使わないようにしています。

 人気の山だけあって、登山道は踏まれ過ぎるぐらい踏まれている。
取立山の周回コースを歩く登山者は、まず大滝を目指す時計回りコースが多いようだが、今日のこちらにとって
は取立山の山頂は単なる通過点である。
30年ほど前と20年ほど前のいずれもGWに歩いているが、今日は違う目的があるのだ。

私は3月半ばに取立山に登ったことがあります。鉢伏山まで行きたかったのですが、思ったより時間がかかって板谷の頭の少し先で引き返しました。
その日のうちに帰らないといけなかったので。

 登山道脇は花が多く、チゴユリやユキザサ、マイズルソウといった白い花ばかりが盛りを迎えていた。
花の写真を撮りながらゆっくり歩いても1時間余りで山頂に到着。今日は高曇りながらも空気が澄んでいるようで、
白山の姿もくっきりと見える。
ザックを降ろすこともなく、ミズバショウ群生地に背を向けて加越国境稜線を東へと足を踏み出した。

この時期は白い花が多いですね。
福井の山に登って白山が見えないとがっかりします。

 この稜線は地形図には破線が入っているものの、かつては積雪期限定のヤブ尾根で、無雪期に歩くには相当な
覚悟が必要だった。20年前に訪れた時に少し様子を伺ってみたのだが、とても歩けそうにないのですぐにあきら
めたのだ。しかし最近になって、大長山までしっかりした登山道が切り開かれたのである。
もう少しササをかき分けながら歩くような道を想像していたのだが、これがいい方に期待を裏切られた。
足だけで歩くことができる完全な登山道である。刈り開いたばかりの登山道によくある、ササの根元が飛び出した
りということもなく、足元が完全に踏み固められているのは昔の破線の名残だろうか。これはありがたい。
快適にペースを上げてと言いたいところだが、足元のツバメオモトの花にペースダウンを余儀なくされる。

最近このあたりはいろいろと刈り開かれているんでしょうか。
去年登った法恩寺山から経ヶ岳も刈られていました。
経ヶ岳から赤兎山も歩けるかなと思ったけどどうなんでしょうか。
経ヶ岳に登った時もツバメオモトがたくさんでした。それも花がたくさんついている八重みたいなものが多く、何度も足が止まりました。
最後はまたか!って思いましたが。(笑)

 潅木をかき分けて広大な空間に飛び出した。判官堂湿原だ。真正面には白山の姿が大きい。
高曇りだった空はいつの間にかちぎれ雲が浮かぶ青空へと変わっていた。
やっと辿り着けた喜びに胸が震える。もう少し後ならコバイケイソウ、7月ごろにはニッコウキスゲが咲き乱れる
だろうが、何もなくても十分に美しい。
濃密なヤブの中にぽっかりと開けたこの湿原は、まさに山上の別天地。桃源郷だ。
雪解け直後なら豊かな水を湛えた池塘の水面に逆さ白山が映ることだろう。かなり乾燥化が進んだ笠場湿原より
潤いがある。
シカの足跡が点々と残っているところを見れば、動物の水飲み場になっているのだろう。
湿原の端っこにシートを敷いて、極上のランチタイムを楽しんだ。

 この判官堂湿原を訪れる登山者は年に何人いるのだろうか。検索してもこの3年間で3組の記録しかヒットしな
かった。2020年以前の記録は皆無だ。(よく考えたらokuちゃんの記録があった。さすがと言うしかない。)
積雪期には山スキーのコースとして判官堂尾根を滑った記録がそこそこ見られるが、雪の下に密かに眠る湿原を
想像もできないだろう。

昭文社の白山の地図の左下のほうに出ていますね。判官堂とは出ていますが、湿原がある場所なんですね!
湿原、大好きです。関西の山にはあまりないので寂しいです。
花が咲き乱れたら美しいでしょうね。草紅葉とか紅葉もいいでしょうね。

 去り難い場所だが帰らねばならない。後ろ髪を引かれる思いでザックを担ぐ。
実はもう一か所湿原があるはずだが見つけることができなかった。
 帰路は登りに取った谷の一本南側の谷を下る。その右岸の斜面が意外に歩きやすく、谷芯に下りることなく
明谷川の本流へ下り立つことができた。次回があるならこのルートを上がる方が早いかもしれない。
 加越国境稜線に上がるところで、往路では気付かなかったサンカヨウが2株だけ咲いていた。
最後に一番好きな花まで見ることができた幸運をかみしめながら、再び稜線へと辿り着く。


サンカヨウが一番お好きなんですか?雨に濡れるとガラス細工みたいで繊細ですね。
私は大峰の八経ヶ岳で1輪だけ咲いているのを見ました。これもなかなかこのあたりではお目にかかれません。
最後に好きな花、それも一番好きな花に出会えるなんて本当にうれしいですね。ご褒美に思えます。

 板谷の頭で再び登山靴に履き替えた。白山はもう雲の中に隠れている。
取立山経由で下山するのが最短コースだが、それでは面白くない。ひょっとしたら名残りのミズバショウが見ら
れるかもと、こつぶり山から大滝コースを選ぶ。
 この時間になるとさすがに登山者の姿はまったく見えない。短時間で楽しめる山に夕方までいる好き物の登山
者はいないのだろう。
 あまり期待はしていなかったが、やはりという感じで花が終わって巨大化したミズバショウの群落に迎えられ
た。辛うじて花を残していたものが数株。それでも今年初めて見るミズバショウはうれしいものである。


またまたご褒美ですね!
水芭蕉、久しく見ていません。最後に見たのはどこでいつだろう。

 再び曇り空となったこつぶり山から加越国境稜線に別れを告げて大滝へと下る。この2か月ほどの間遊ばせて
くれた大日山とその周辺の山々の姿を正面に見ながら歩く。
 大滝に向かって谷へ下りていくとだんだん薄暗くなってきた。立派な登山道だが、石のごろごろした歩きにく
い道である。
 堂々と水を落とす大滝を姿を愛でてトラバース道を進んで行くうちに雨が降り始めたが、別に嫌だとも思わな
かった。
充実した一日の火照った心を落ち着かせるには、ちょうどいい雨なのかもしれない。


本当に充実したいい1日になったんですね。

私は5月の福井の山が好きで何度も行きました。
残雪、お花、そして白山。
初めての福井の山は9年前の5月17日の荒島岳。
どうして登ろうと思ったのかな。ただ、その日は亡き父の誕生日でした。
父は福井出身です。若いころ、白山には登ったことがあると言っていました。
遠くても福井の山が好きなのは私の中に福井の血が流れているからかなあと思ったりします。
ただ、子供のころ行った福井は広い平野の田んぼの真ん中で、海には行ったけど山に行ったことはなくて、福井に山があるなんて思いもしませんでした。(笑)
素敵な福井の山の投稿、ありがとうございました。

tsubo
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

投稿記事 by 山日和 »

tsuboさん、どうもです。

いつもはスマホを2台持って行って使いわけているんですね。なるほど。
私は山ではGPS専門に使って、できるだけ写真などでも使わないようにしています。


通信用はできるだけバッテリーを消費しないよう(もちろん充電器も持ってますが)に使い分けてます。

私は3月半ばに取立山に登ったことがあります。鉢伏山まで行きたかったのですが、思ったより時間がかかって板谷の頭の少し先で引き返しました。
その日のうちに帰らないといけなかったので。


雪の取立山近辺もいいでしょうねえ。人が多いんでしょうけど。
3月に横平山へ行った時に通りましたが、国道脇の駐車場は朝から賑わってました。


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この時期は白い花が多いですね。
福井の山に登って白山が見えないとがっかりします。


そうなんですね。白い花は清楚でいいですが、いろんな色がある方が楽しいですよね。
この近辺の山は白山を眺めるのが大きな目的のひとつになっています。 :D

最近このあたりはいろいろと刈り開かれているんでしょうか。
去年登った法恩寺山から経ヶ岳も刈られていました。
経ヶ岳から赤兎山も歩けるかなと思ったけどどうなんでしょうか。

昔は刈ってはササに埋もれの連続だったのかもしれません。
最近は登山者が増えたのでしばらくは大丈夫かも。

IMG_20230528_082433_1.jpg

経ヶ岳に登った時もツバメオモトがたくさんでした。それも花がたくさんついている八重みたいなものが多く、何度も足が止まりました。
最後はまたか!って思いましたが。(笑)


またかっと思うほど見てみたいもんです。 :lol:

昭文社の白山の地図の左下のほうに出ていますね。判官堂とは出ていますが、湿原がある場所なんですね!
湿原、大好きです。関西の山にはあまりないので寂しいです。
花が咲き乱れたら美しいでしょうね。草紅葉とか紅葉もいいでしょうね。


地図にさりげなく書いてますね。
その名前の通り、九郎判官義経の伝説がある場所のようです。上信越や東北の湿原と比べるべくもない小規模なものですが、
人の行かない自分だけの秘密の場所みたいでうれしいですね。秋も美しいと思いますよ。

IMG_20230528_130506_1.jpg

サンカヨウが一番お好きなんですか?雨に濡れるとガラス細工みたいで繊細ですね。
私は大峰の八経ヶ岳で1輪だけ咲いているのを見ました。これもなかなかこのあたりではお目にかかれません。
最後に好きな花、それも一番好きな花に出会えるなんて本当にうれしいですね。ご褒美に思えます。


そうなんです。濡れて透き通った姿を「ソーメンの器」と呼んでます。 :mrgreen:

>それでも今年初めて見るミズバショウはうれしいものである。

またまたご褒美ですね!
水芭蕉、久しく見ていません。最後に見たのはどこでいつだろう。


間違いでした。鈴ヶ岳から大日へ行った時に見たのを忘れてましたわ。satoさんに指摘されてしまいました。(^_^;)

IMG_20230528_160000_1.jpg

私は5月の福井の山が好きで何度も行きました。
残雪、お花、そして白山。
初めての福井の山は9年前の5月17日の荒島岳。
どうして登ろうと思ったのかな。ただ、その日は亡き父の誕生日でした。
父は福井出身です。若いころ、白山には登ったことがあると言っていました。
遠くても福井の山が好きなのは私の中に福井の血が流れているからかなあと思ったりします。
ただ、子供のころ行った福井は広い平野の田んぼの真ん中で、海には行ったけど山に行ったことはなくて、福井に山があるなんて思いもしませんでした。(笑)
素敵な福井の山の投稿、ありがとうございました。


そうでしたか。私も福井の山が大好きで、たぶん普通の福井県の登山者よりよく歩いていると思います。
大野に移住したいと思ったくらいでした。 :mrgreen:
この日の最大の目的である判官堂湿原は石川県ですけど。 :D

                      山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんにちは。
昨日は、よく降りましたね。今日は、風が強いですが雲間から青空がのぞいています。
明日のオフ会も大丈夫ですね。

取立山の近くに別天地のような湿原がある、と地図をいただいたのが昨年でした。
鉢伏山の北の・1477から延びる左の尾根の標高1400mあたりの、昭文社の地図に記されている判官堂という地でした。
広く緩やかな、雪が降り積もっている時に訪れたら、感激しそうな地形。判官堂という、別天地とは結びつかない地名も興味深い。
是非、訪れたいと思いました。
道のりは、加賀側から明谷川を遡るか、越前側から取立山に登り国境稜線から明谷川に下るか。
昨年遡ったカサバノ谷のようなヤブだと、どれだけ時間がかかるか分からないということで、稜線から下りましょうということに。
谷も気になりましたが、無積雪期の取立山は初めてで、いろいろなお花にも出会えそう、とワクワクしながら、当日を迎えました。

山日和さんにとっては、取立山は通過点だったのでしょうが、私は新鮮でした。山頂から白山が見えた時は感激しました。
青灰色の空の下に、たおやかに広がる、まだ山肌に少し雪を残した白山は、まさに神の山、と感じました。

大長山までの加越国境稜線は、何年か前までは、ヤブで覆われていたのですね。
このあたりは、かつて、出作りの人々が行き来していた山域。ふるい道はあったのでしょうね。
取立山の名は、加賀から出作りに入る人たちから、山年貢を取立てたことが由来と言われるぐらいですし。

この先どうなるのか分からないので、しっかりとした道が続いていて、ありがたかったですね。
大好きなツバメオモトもギリギリ残っていてうれしかったです。オモトは万年青と書くのですね。
父が、母と生まれたばかりの私を養う中で感じたことを紡いだ「万年青」という短編小説を残していて、
ふっと、思い出し、しんみりとなりました。
緑の中に浮かぶユキグニミツバツツジも、うつくしかったですね。

鞍部から向かった谷に残っていた雪。雪を見ると、こころが躍ります。
ちょこっとでも、雪を踏むとうれしいです。一昨年、笠羽湿原からササヤブの中を美濃禅定道に向かった時も、
ちょこっと残っていた雪によろこんでいました。

明谷川は、思っていたよりもヤブが薄く、スムーズに下れてホッとしました。
1400m台地には、最短ルートで行こうということでしたね。枝谷の上部でとヤブが濃くなり、
私は、山日和さんを見失わないように追うばかりとなり、現在地の確認を怠っていました。
そう、地図に表れていないちいさな谷地形がいくつもあり、GPSがないと、現在地の確認が難しいですね。
でも、GPSがあるから確認を怠ってしまい、今回のように間違えてしまうことも。

憧れの湿原には、ポンと出ましたね。こんなところにこんな世界が、静かに秘めやかに展開しているのですね。
真正面には、白山の大きなお姿。何て絶妙なのでしょう。
神の山を讃えるように湿原の向こうの緑の斜面が、白山の前で低くなっていましたね。
ヤブの中にぽっかりと浮かぶ、奇跡のような世界。空は、いつの間にかちぎれ雲が浮かぶ青空に。ほんとうに、胸が震えました。

正確な場所は分からなかったのですが、山日和さんの鋭い読みで、辿り着くことが出来ました。
笠羽湿原の時も思いましたが、山日和さんの読みには感服です。
山上の池塘は、餓鬼の田と呼ばれますが、私は、お山の女神さまが、この世のしあわせを願い、お作りになられた田んぼのように感じます。

帰りは、もう一か所あるという湿原を探しながら。こちらは出会うことが出来ませんでしたが、
女神さまの田んぼに出会えたよろこびで満ちていましたので、またいつか、ということで。
戻った本流では、山日和さんが一番好きなお花、サンカヨウに出会えてよかったですね。
往復でも、歩く場所が少しずれていたので出会えたのですね。昨年は、カサバノ谷で、まさかのサルメンエビネに出会えました。

ミズバショウは、鈴が岳を訪れた時にほぼ終わっていましたので、緑のおおきな葉っぱになっているだろうな、と思っていました。
見事な葉っぱでしたね。かろうじて残っていた巨大化したお花を、山日和さん、うれしそうに写真に収めていましたね。

大滝への登山道も見晴らしがよく気持ちのいい道でした。大滝は、風情のある滝でした。
もう少しで駐車地というところで雨に降られましたが、神様が、最後まで物語を感じさせてあげよう、
と降らせてくれた雨だったかもしれませんね。

振り返る度に、ヤブをかき分け判官堂湿原に出会えたよろこびが増しています。
ゆたかな山の世界を感じさせていただき、感謝申し上げます。

気になっていた判官堂、『山々のルーツ』に書かれていました。
源義経が、頼朝から追われて奥州落ちの際、鉢伏山の北の・1477に、しばらく隠棲したという言い伝えがあるそうです。
・1477は山伏山と呼ばれ、7,8mの杉で囲まれ、判官堂と呼ぶお堂があったそうです。
雪の季節、鉢伏山から訪れようとこころに決めました。

そう、谷峠から大長山の加越国境稜線は、昭和43年の福井国体を機会に整備されたそうです。
その後、歩かれなくなり荒れてしまった道を再整備されたのですね。

sato
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【加越国境】取立山から天上の桃源郷 判官堂湿原へ

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。昨日もお疲れさまでした。

昨日は、よく降りましたね。今日は、風が強いですが雲間から青空がのぞいています。
明日のオフ会も大丈夫ですね。

前後しましたが、天気の心配のないオフ会で気が楽でした。 :D

道のりは、加賀側から明谷川を遡るか、越前側から取立山に登り国境稜線から明谷川に下るか。
昨年遡ったカサバノ谷のようなヤブだと、どれだけ時間がかかるか分からないということで、稜線から下りましょうということに。


これはかなり悩みましたが、加越国境稜線に道があるのなら上から攻めた方が楽だろうと考えました。
下からは廃林道と谷のヤブが気になったので。

IMG_20230528_080940_1.jpg

山日和さんにとっては、取立山は通過点だったのでしょうが、私は新鮮でした。山頂から白山が見えた時は感激しました。
青灰色の空の下に、たおやかに広がる、まだ山肌に少し雪を残した白山は、まさに神の山、と感じました。


あー、そうなの?雪のない取立山は3回目(積雪期は登ったことない)だったので、先も長いし気が急いてましたね。白山の展望はさすがでした。

大長山までの加越国境稜線は、何年か前までは、ヤブで覆われていたのですね。
このあたりは、かつて、出作りの人々が行き来していた山域。ふるい道はあったのでしょうね。

調べて見ると、昭和の時代の国体で、谷峠から大長山まで道を付けたそうです。地形図の破線はその名残りですね。

大好きなツバメオモトもギリギリ残っていてうれしかったです。オモトは万年青と書くのですね。
父が、母と生まれたばかりの私を養う中で感じたことを紡いだ「万年青」という短編小説を残していて、ふっと、思い出し、しんみりとなりました。


ツバメオモトとは言いながら、オモトとは全然違う草なんですね。

IMG_20230528_134848_1.jpg

鞍部から向かった谷に残っていた雪。雪を見ると、こころが躍ります。
ちょこっとでも、雪を踏むとうれしいです。一昨年、笠羽湿原からササヤブの中を美濃禅定道に向かった時も、ちょこっと残っていた雪によろこんでいました。


鞍部から雪ののギッシリ詰まった谷を駆け下りて行ければ気持ちいいでしょうね。
そうなると湿原も雪の下か。 :mrgreen:

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1400m台地には、最短ルートで行こうということでしたね。枝谷の上部でとヤブが濃くなり、
私は、山日和さんを見失わないように追うばかりとなり、現在地の確認を怠っていました。
そう、地図に表れていないちいさな谷地形がいくつもあり、GPSがないと、現在地の確認が難しいですね。
でも、GPSがあるから確認を怠ってしまい、今回のように間違えてしまうことも。


ま東へ進んでいるつもりがいつの間にか南東を向いていて、30分ぐらいはロスしたかな。
途中でテープを外したけど、忠実に追ってればどういうルート取りだったのか気になります。

憧れの湿原には、ポンと出ましたね。こんなところにこんな世界が、静かに秘めやかに展開しているのですね。

まさに「ポン」と音を立てて出ましたね。 :lol:


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真正面には、白山の大きなお姿。何て絶妙なのでしょう。
神の山を讃えるように湿原の向こうの緑の斜面が、白山の前で低くなっていましたね。
ヤブの中にぽっかりと浮かぶ、奇跡のような世界。空は、いつの間にかちぎれ雲が浮かぶ青空に。ほんとうに、胸が震えました。

素晴らしいシチュエーションでした。「ポン」と出た真正面に白山が。うわーっという感じでしたね。

正確な場所は分からなかったのですが、山日和さんの鋭い読みで、辿り着くことが出来ました。
笠羽湿原の時も思いましたが、山日和さんの読みには感服です。


褒めてもなんにも出ませんよ。 :mrgreen:
笠場湿原は何回も行ってるのに、なかなかまっすぐたどり着けません。

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帰りは、もう一か所あるという湿原を探しながら。こちらは出会うことが出来ませんでしたが、
女神さまの田んぼに出会えたよろこびで満ちていましたので、またいつか、ということで。


あの湿原が大きい方でよかったです。小さい方からは白山が見えないようなので、まあいいかな。
でも昨日のokuちゃんの話では、もう少し上の方に大きな湿原があるみたい。
記録はまったく見当たりませんが。

戻った本流では、山日和さんが一番好きなお花、サンカヨウに出会えてよかったですね。
往復でも、歩く場所が少しずれていたので出会えたのですね。昨年は、カサバノ谷で、まさかのサルメンエビネに出会えました。


これはラッキーでした。もう少し早ければ大滝のあたりでも見られるようです。

ミズバショウは、鈴が岳を訪れた時にほぼ終わっていましたので、緑のおおきな葉っぱになっているだろうな、と思っていました。
見事な葉っぱでしたね。かろうじて残っていた巨大化したお花を、山日和さん、うれしそうに写真に収めていましたね。


鈴ヶ岳の出作り小屋のあたりとはだいぶ標高が違うけど、2週間早ければまあまあ見れたかも。


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もう少しで駐車地というところで雨に降られましたが、神様が、最後まで物語を感じさせてあげよう、と降らせてくれた雨だったかもしれませんね。

その物語は要らんけど。 :mrgreen:

気になっていた判官堂、『山々のルーツ』に書かれていました。
源義経が、頼朝から追われて奥州落ちの際、鉢伏山の北の・1477に、しばらく隠棲したという言い伝えがあるそうです。
・1477は山伏山と呼ばれ、7,8mの杉で囲まれ、判官堂と呼ぶお堂があったそうです。
雪の季節、鉢伏山から訪れようとこころに決めました。


この間ゲットした「石川の山」にも書かれていました。
ネット上では全然出てこないので、やっぱり古い書物は大事ですね。

そう、谷峠から大長山の加越国境稜線は、昭和43年の福井国体を機会に整備されたそうです。
その後、歩かれなくなり荒れてしまった道を再整備されたのですね。


あー、そうそう。
昔は国体のために整備された登山道があちこちにありましたね。
今の国体の山岳競技はクライミングのウェイトが高くなったみたいで、そんなことはもうないでしょうね。

                山日和
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