【加賀】続・加賀の山花紀行 鈴ヶ岳から大日山へ
Posted: 2023年5月04日(木) 11:08
【日 付】2023年5月1日(月)
【山 域】加賀 大日山周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】大杉谷川登山口7:30---8:25出作り小屋8:40---9:45鈴ヶ岳9:55---10:10カタクリ小屋---11:10大日山12:40
---13:40鈴ヶ岳---14:00尾根分岐---15:05谷下降点---16:05登山口
先週に続いて加賀の花の山を訪れた。大杉谷川の登山口を訪れるのは14年ぶりである。
連休の谷間の平日ということもあり、先客は誰もいなかった。
駐車場の横を流れる谷には、目にも涼しげなナメ滝が滑るように水を落としている。もうそろそろ沢の季節だ
なと感じる。
杉林の中の登山道にはいろいろな花が途切れることなく咲いており、見栄えのしない植林歩きでも退屈する
ことはない。しかし花の撮影に時間を取られて、なかなか前に進まないのが難点だ。
谷を渡って少し急な登りを過ぎると見覚えのある平坦地に出る。
14年前の記憶そのままに、サンカヨウの小群落が出迎えてくれた。まだ少し早いのだろうか、蕾も多い。
そしてすぐにヌギ原と呼ばれる場所に建つ出作り小屋に到着。ここは山中の別天地といった趣きのある美しい
小屋だ。横には湿原があり、栽培ながらも一面のミズバショウ畑になっていたのだが、残念ながら大部分が干上
がってしまっていた。それでも数株のミズバショウを見ることができた。
この小屋の前に立てられた立派な案内板には、このあたりのの地図と出作り小屋の由緒が両面に描かれている。
この山を愛する地元の人々の想いが感じられる重厚な案内板である。
滴るようなブナの新緑に包まれた尾根に乗った。まだ浅い緑の森は底抜けに明るく、若いブナ達は雪に閉ざ
された季節を越えて春を謳歌しているようだ。
林床にはイワウチワ(トクワカソウ)が途切れることなく続いている。
たとえ花が無くても、このブナの森を歩くだけでも来た甲斐があるというものだ。
緩やかな尾根に続く濃密なブナ林はやがてその密度を減じて、潅木が主体になると展望が開けてきた。
頭の上の空が大きくなったと思ったら鈴ヶ岳の山頂に到着。ここからは大展望が開け、白山とその北に続く稜線
が一望である。
笈ヶ岳から大笠山、奈良岳へと延びる白山北方稜線。東から西から、今年は何度眺めたことだろう。
山頂でひと息入れた後は大日山へ向かう。先ほどよりは密度が薄いながらも再びのブナ林歩き。
イワウチワに加えてショウジョウバカマが林床を飾り始めた。
しばらく緩い下りが続いて左から新保からの登山道を合するとカタクリ小屋に着く。出作り小屋と同様に整備
されたきれいな小屋だが、その名前とは裏腹に小屋の周辺にはカタクリの姿は見られなかった。
目の前に大きく聳える大日山への登りにかかる。右手には先週登った小大日山から千石原山への尾根が見えて
いる。先週はまさか一週間後にここを歩いているとは予想もしなかった。
足元を飾る白く可憐な花はミツバオウレンだ。結構な群落が続いている。
もちろんイワウチワはデフォルトのように咲いている。
標高1200mを超えるとブナ林も尽き、潅木帯へと植生が変わった。
道の真ん中に小川ができたように水が流れている。雪融け水である。ということは、この先雪が残っているとい
うことか。
予想通り残雪が現われた。あまり締まっておらず、ずるずる滑って歩きにくいのでチェーンスパイクを装着。
年を取るとちょっとしたことでも体力の消耗を抑えようと工夫しなければいけない。
雪がたっぷりあれば雪壁になるであろう急斜面に、道はジグザクを切って付けられている。
ようやくカタクリが現われ、キクザキイチゲやオオバキスミレも目を楽しませてくれた。
ササのトンネルを抜けると加賀大日山の山頂だ。東側にある大展望地でランチタイムとしよう。
真正面に白山を望むこの場所はまさに特等席。申し分のないレストランである。
間近には3月に歩いた加越国境稜線の横平山が見えて感慨深い。
足元から落ちるヤブの斜面は、5年前の同じ時期に新保から登った時に、ダイレクトに山頂を目指して歩いた尾
根である。
食後、徳助新道の方へ少し入ってみると、なんとカタクリの群落が待っていてくれた。
16年前のGWにここを歩いているのだが、その時は見た記憶がない。
そして、越前甲への道に少し入ったところに、なんとザゼンソウがひと株だけ咲いていたのには驚いた。
山頂に居合わせた登山者に教えてあげると、ザゼンソウを初めて見たらしく、たいそう喜んでくれた。
今日はいい天気だが、3時ごろからは雨になりそうな予報である。早めに切り上げて下山開始。
鈴ヶ岳を過ぎて次の小ピークから左へ分岐する尾根に入った。
14年前は丸々往復だったが、まったく同じでは芸がない。この尾根は入口からテープがベタ張りされていて、迷
う心配はない。最初こそ潅木帯の中の薄い踏み跡だったが、やがてブナ林となり普通の道へと変わった。
そして次のピークへの登りから、今度はシャクナゲの登場である。
先週、この10年分ぐらいのシャクナゲを一度に見たのでもういいかという感じだったが、目の前に現われるとや
はりうれしいものだ。
ブナは若い木ばかりだが、すっきりとした佇まいで未来の濃密なブナ林の予備軍として十分な森を形作っている。
そのブナ林の中に点在するシャクナゲの赤とピンクが実にいいアクセントだ。
881m標高点の先でテープに導かれて谷へ下りる。下り口の鞍部には、反対側の大土町への道があることを示す
標識が付けられていた。
これまで雰囲気あふれるブナ林から一気に無味乾燥な植林帯へと変わった。
谷へ下りてしばらく進むと、地図にない林道に出る。林道と言っても人がやっと歩ける程度の廃道である。
ただこんな廃林道歩きでも楽しみはあるもので、ワサビが道の真ん中にところ狭しと生えている。
サンカヨウやキクザキイチゲ、ニリンソウの群落などもあり、実利も兼ねた意外に楽しいエピローグとなったの
だった。
山日和
【山 域】加賀 大日山周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】大杉谷川登山口7:30---8:25出作り小屋8:40---9:45鈴ヶ岳9:55---10:10カタクリ小屋---11:10大日山12:40
---13:40鈴ヶ岳---14:00尾根分岐---15:05谷下降点---16:05登山口
先週に続いて加賀の花の山を訪れた。大杉谷川の登山口を訪れるのは14年ぶりである。
連休の谷間の平日ということもあり、先客は誰もいなかった。
駐車場の横を流れる谷には、目にも涼しげなナメ滝が滑るように水を落としている。もうそろそろ沢の季節だ
なと感じる。
杉林の中の登山道にはいろいろな花が途切れることなく咲いており、見栄えのしない植林歩きでも退屈する
ことはない。しかし花の撮影に時間を取られて、なかなか前に進まないのが難点だ。
谷を渡って少し急な登りを過ぎると見覚えのある平坦地に出る。
14年前の記憶そのままに、サンカヨウの小群落が出迎えてくれた。まだ少し早いのだろうか、蕾も多い。
そしてすぐにヌギ原と呼ばれる場所に建つ出作り小屋に到着。ここは山中の別天地といった趣きのある美しい
小屋だ。横には湿原があり、栽培ながらも一面のミズバショウ畑になっていたのだが、残念ながら大部分が干上
がってしまっていた。それでも数株のミズバショウを見ることができた。
この小屋の前に立てられた立派な案内板には、このあたりのの地図と出作り小屋の由緒が両面に描かれている。
この山を愛する地元の人々の想いが感じられる重厚な案内板である。
滴るようなブナの新緑に包まれた尾根に乗った。まだ浅い緑の森は底抜けに明るく、若いブナ達は雪に閉ざ
された季節を越えて春を謳歌しているようだ。
林床にはイワウチワ(トクワカソウ)が途切れることなく続いている。
たとえ花が無くても、このブナの森を歩くだけでも来た甲斐があるというものだ。
緩やかな尾根に続く濃密なブナ林はやがてその密度を減じて、潅木が主体になると展望が開けてきた。
頭の上の空が大きくなったと思ったら鈴ヶ岳の山頂に到着。ここからは大展望が開け、白山とその北に続く稜線
が一望である。
笈ヶ岳から大笠山、奈良岳へと延びる白山北方稜線。東から西から、今年は何度眺めたことだろう。
山頂でひと息入れた後は大日山へ向かう。先ほどよりは密度が薄いながらも再びのブナ林歩き。
イワウチワに加えてショウジョウバカマが林床を飾り始めた。
しばらく緩い下りが続いて左から新保からの登山道を合するとカタクリ小屋に着く。出作り小屋と同様に整備
されたきれいな小屋だが、その名前とは裏腹に小屋の周辺にはカタクリの姿は見られなかった。
目の前に大きく聳える大日山への登りにかかる。右手には先週登った小大日山から千石原山への尾根が見えて
いる。先週はまさか一週間後にここを歩いているとは予想もしなかった。
足元を飾る白く可憐な花はミツバオウレンだ。結構な群落が続いている。
もちろんイワウチワはデフォルトのように咲いている。
標高1200mを超えるとブナ林も尽き、潅木帯へと植生が変わった。
道の真ん中に小川ができたように水が流れている。雪融け水である。ということは、この先雪が残っているとい
うことか。
予想通り残雪が現われた。あまり締まっておらず、ずるずる滑って歩きにくいのでチェーンスパイクを装着。
年を取るとちょっとしたことでも体力の消耗を抑えようと工夫しなければいけない。
雪がたっぷりあれば雪壁になるであろう急斜面に、道はジグザクを切って付けられている。
ようやくカタクリが現われ、キクザキイチゲやオオバキスミレも目を楽しませてくれた。
ササのトンネルを抜けると加賀大日山の山頂だ。東側にある大展望地でランチタイムとしよう。
真正面に白山を望むこの場所はまさに特等席。申し分のないレストランである。
間近には3月に歩いた加越国境稜線の横平山が見えて感慨深い。
足元から落ちるヤブの斜面は、5年前の同じ時期に新保から登った時に、ダイレクトに山頂を目指して歩いた尾
根である。
食後、徳助新道の方へ少し入ってみると、なんとカタクリの群落が待っていてくれた。
16年前のGWにここを歩いているのだが、その時は見た記憶がない。
そして、越前甲への道に少し入ったところに、なんとザゼンソウがひと株だけ咲いていたのには驚いた。
山頂に居合わせた登山者に教えてあげると、ザゼンソウを初めて見たらしく、たいそう喜んでくれた。
今日はいい天気だが、3時ごろからは雨になりそうな予報である。早めに切り上げて下山開始。
鈴ヶ岳を過ぎて次の小ピークから左へ分岐する尾根に入った。
14年前は丸々往復だったが、まったく同じでは芸がない。この尾根は入口からテープがベタ張りされていて、迷
う心配はない。最初こそ潅木帯の中の薄い踏み跡だったが、やがてブナ林となり普通の道へと変わった。
そして次のピークへの登りから、今度はシャクナゲの登場である。
先週、この10年分ぐらいのシャクナゲを一度に見たのでもういいかという感じだったが、目の前に現われるとや
はりうれしいものだ。
ブナは若い木ばかりだが、すっきりとした佇まいで未来の濃密なブナ林の予備軍として十分な森を形作っている。
そのブナ林の中に点在するシャクナゲの赤とピンクが実にいいアクセントだ。
881m標高点の先でテープに導かれて谷へ下りる。下り口の鞍部には、反対側の大土町への道があることを示す
標識が付けられていた。
これまで雰囲気あふれるブナ林から一気に無味乾燥な植林帯へと変わった。
谷へ下りてしばらく進むと、地図にない林道に出る。林道と言っても人がやっと歩ける程度の廃道である。
ただこんな廃林道歩きでも楽しみはあるもので、ワサビが道の真ん中にところ狭しと生えている。
サンカヨウやキクザキイチゲ、ニリンソウの群落などもあり、実利も兼ねた意外に楽しいエピローグとなったの
だった。
山日和