【越美国境】美濃俣丸 10年振りの再会を祝福してくれた霧氷の稜線を行く
Posted: 2023年3月22日(水) 21:14
【日 付】2023年3月19日(日)
【山 域】越美国境 美濃俣丸周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】二ツ屋橋6:40---9:20 P1025m 9:45---10:10越美国境稜線---12:20美濃俣丸14:00---15:10 P912m---16:25林道
---17:05二ツ屋橋
ふ~さんから「スノーシューが壊れたので買い替えたいんだけど、何がいい?」と質問メールが来た。自分が履い
ているMSRのライトニングエクスプローラーを勧めると、数日後にゲットしたとの連絡があり、どこかへ行きません
かという話になった。
ふ~さんとの山行は10年振りである。行き先に選んだのは、先週には賞味期限切れ寸前だという情報のあった越美国
境の美濃俣丸。ここを訪れるのももう7回目だ。
広野ダムの右岸道路は雪もなく、二ツ屋橋まで入ることができた。左岸道路を少し戻って尾根の取付き点へ。
杣道を辿って急登すればすぐに「街道の尾」と呼ばれる長い尾根に乗る。
雪はカケラもない。そのうち雪が出てくるだろうと進むが、行けども行けども地面が露出している。早春というより
晩秋の山のような感じである。まわりの山を見回しても黒々として、3月半ばのこの山域とは思えない状況だ。
明瞭な道が続いているので助かったが、これでヤブなら早々にギブアップしているだろう。
何度も歩いているこの尾根にこれほどしっかりした道があるとは知らなかった。それを知ることができたのはプラス
だと前向きに捉えよう。一か所、雪ではなく氷で覆われた場所があったのは池だろう。水溜まりのような大きさだが、
この尾根に池があったというのもうれしい
標高900mあたりでようやく雪が繋がった。雑木林だった林相もブナの森へと変わり、気分が上がってきた。
天気は上々、文句の付けようのない青空が頭上に広がっている。
雪はよく締まっておりツボ足で十分だが、担いでいるよりはと1025mピークでスノーシューを履いた。
目指す越美国境稜線の奥には三周ヶ岳が頭を覗かせている。
遠望するブナの森は葉を落として黒っぽいはずだが、何やら薄いグレーの葉を繁らせていた。これは霧氷だ。
昨日の雨と今朝の冷え込みでひょっとしたらという思いはあったものの、ここまでの行程とまわりの山の風景から
儚い期待がしぼんでしまっていた。
標高1100m近くまで来ると、それが霧氷であることがはっきりとわかった。日差しを浴びて溶け始めた霧氷は、
白というより透明な氷となって、透明感のある美しい氷のオブジェを見ているようだ。
越美国境稜線に辿り着き、目の前に鎮座する三周ヶ岳の巨体と霧氷の森に言葉を失って立ち尽くす。
三周ヶ岳を隔てる金ヶ丸谷の穏やかな源頭部に展開するブナ林の美しさは形容するのが困難なほどである。
穏やかな雪尾根が続く越美国境稜線を美濃俣丸へ向かう。昼が近付き、さすがに霧氷はスケールを減じてきたが、
緩やかな起伏と遮るもののない展望を楽しみながら歩く。
振り返り見る三周ヶ岳は角度の変化と共に少しずつ形を変えて行く。今年は雪融けが早く、見渡す景色は真っ白と
いうわけにはいかないが、序盤の無雪状態を思えば十分だろう。
進むにつれ、三周ヶ岳の巨体に隠れていた山並みが姿を現わす。
高丸から烏帽子山の稜線の奥に蕎麦粒山、五蛇池山、花房山、雷倉と、おなじみの山々が顔を出してきた。
6年前のスノー衆でランチテーブルを作った大雪原を過ぎ、美濃俣丸への最後の登りにかかる手前で単独者とすれ
違う。彼はこの後三周に寄って夜叉ヶ池経由で下山したようだ。
立ち木のほとんどない大斜面に取付くと、再び霧氷が復活して、美濃俣丸へのエピローグに彩りを添えてくれる。
大斜面を登り切ってちょっとした雪稜を青空に向かって歩く。前方から4人ほどの登山者が現われた。
今日の美濃俣丸は人気の山のようである。
最初の一人は単独だったが、後ろの3人パーティーの先頭と話をしていると、少し離れていた後続のメンバーがやっ
てきた。どこかで見た顔である。なんとアオバトさんだ。その後ろにbiwa爺さんの姿を見てビックリ。現地集合の
スノー衆状態だ。お互い気付かずに話をしていたが、先頭の人はタイラさんだった。
ふ~さんとbiwa爺さんが会うのも10年振り。再会を祝してしばし歓談の時間を楽しむ。
記念撮影をした後お互いの無事下山を祈って別れた。しかし昼食もまだらしいし、この時間から長いコースを辿
って暗くなる前に下山できるだろうかと心配になる。
そこから山頂までは一投足。
まさに360度のパノラマが広がる山頂からは越前甲と加賀大日、白山、大河内山から笹ヶ峰、若丸山、磯倉、能郷
白山と続く越美国境稜線の山々。そして北アルプスや御嶽、中央アルブスも頭を覗かせている。
本来ならこの時期の山頂は純白のドームなのだが、残念ながらササが露出している部分もある。しかし完璧な青空
の下、霧氷の歓迎まで受けながら大展望の雪尾根を歩いて山頂に立つ。これ以上望むのは贅沢というものだろう。
越美国境稜線の南側の山並みを眺めながら至福のランチタイムを楽しむ。
後ろ髪を引かれながら山頂を辞し、すれ違ったパーティーのトレースを辿る。
山頂直下の岩場っぽい場所は、トレースを外してツボ足で左側の急斜面からトラバースすると、岩場の基部へぴっ
たり下りることができる。
さすがに雪も緩んできて、スノーシューの食い付きも悪くなった。登りの尾根の状況からすればもう少し早く雪
が切れるのではと思っていたが、意外に繋がっていて、下山尾根の3分の2ぐらいは雪の上を歩くことができたのは
うれしい誤算だった。
912mピークの先には見事なブナ林が広がる。そのブナ林につられて広い尾根を直進すると前谷川に出てしまう
ので注意が必要だ。
雪の消えた最後の植林の下りでサングラスを落としてしまった。しばらく探したがヤブっぽい杉林の中では見つ
かるはずもなく捜索を断念。何回か落としては回収してきたサングラスだったが、今度は本当のお別れのようだ。
山日和
【山 域】越美国境 美濃俣丸周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】二ツ屋橋6:40---9:20 P1025m 9:45---10:10越美国境稜線---12:20美濃俣丸14:00---15:10 P912m---16:25林道
---17:05二ツ屋橋
ふ~さんから「スノーシューが壊れたので買い替えたいんだけど、何がいい?」と質問メールが来た。自分が履い
ているMSRのライトニングエクスプローラーを勧めると、数日後にゲットしたとの連絡があり、どこかへ行きません
かという話になった。
ふ~さんとの山行は10年振りである。行き先に選んだのは、先週には賞味期限切れ寸前だという情報のあった越美国
境の美濃俣丸。ここを訪れるのももう7回目だ。
広野ダムの右岸道路は雪もなく、二ツ屋橋まで入ることができた。左岸道路を少し戻って尾根の取付き点へ。
杣道を辿って急登すればすぐに「街道の尾」と呼ばれる長い尾根に乗る。
雪はカケラもない。そのうち雪が出てくるだろうと進むが、行けども行けども地面が露出している。早春というより
晩秋の山のような感じである。まわりの山を見回しても黒々として、3月半ばのこの山域とは思えない状況だ。
明瞭な道が続いているので助かったが、これでヤブなら早々にギブアップしているだろう。
何度も歩いているこの尾根にこれほどしっかりした道があるとは知らなかった。それを知ることができたのはプラス
だと前向きに捉えよう。一か所、雪ではなく氷で覆われた場所があったのは池だろう。水溜まりのような大きさだが、
この尾根に池があったというのもうれしい
標高900mあたりでようやく雪が繋がった。雑木林だった林相もブナの森へと変わり、気分が上がってきた。
天気は上々、文句の付けようのない青空が頭上に広がっている。
雪はよく締まっておりツボ足で十分だが、担いでいるよりはと1025mピークでスノーシューを履いた。
目指す越美国境稜線の奥には三周ヶ岳が頭を覗かせている。
遠望するブナの森は葉を落として黒っぽいはずだが、何やら薄いグレーの葉を繁らせていた。これは霧氷だ。
昨日の雨と今朝の冷え込みでひょっとしたらという思いはあったものの、ここまでの行程とまわりの山の風景から
儚い期待がしぼんでしまっていた。
標高1100m近くまで来ると、それが霧氷であることがはっきりとわかった。日差しを浴びて溶け始めた霧氷は、
白というより透明な氷となって、透明感のある美しい氷のオブジェを見ているようだ。
越美国境稜線に辿り着き、目の前に鎮座する三周ヶ岳の巨体と霧氷の森に言葉を失って立ち尽くす。
三周ヶ岳を隔てる金ヶ丸谷の穏やかな源頭部に展開するブナ林の美しさは形容するのが困難なほどである。
穏やかな雪尾根が続く越美国境稜線を美濃俣丸へ向かう。昼が近付き、さすがに霧氷はスケールを減じてきたが、
緩やかな起伏と遮るもののない展望を楽しみながら歩く。
振り返り見る三周ヶ岳は角度の変化と共に少しずつ形を変えて行く。今年は雪融けが早く、見渡す景色は真っ白と
いうわけにはいかないが、序盤の無雪状態を思えば十分だろう。
進むにつれ、三周ヶ岳の巨体に隠れていた山並みが姿を現わす。
高丸から烏帽子山の稜線の奥に蕎麦粒山、五蛇池山、花房山、雷倉と、おなじみの山々が顔を出してきた。
6年前のスノー衆でランチテーブルを作った大雪原を過ぎ、美濃俣丸への最後の登りにかかる手前で単独者とすれ
違う。彼はこの後三周に寄って夜叉ヶ池経由で下山したようだ。
立ち木のほとんどない大斜面に取付くと、再び霧氷が復活して、美濃俣丸へのエピローグに彩りを添えてくれる。
大斜面を登り切ってちょっとした雪稜を青空に向かって歩く。前方から4人ほどの登山者が現われた。
今日の美濃俣丸は人気の山のようである。
最初の一人は単独だったが、後ろの3人パーティーの先頭と話をしていると、少し離れていた後続のメンバーがやっ
てきた。どこかで見た顔である。なんとアオバトさんだ。その後ろにbiwa爺さんの姿を見てビックリ。現地集合の
スノー衆状態だ。お互い気付かずに話をしていたが、先頭の人はタイラさんだった。
ふ~さんとbiwa爺さんが会うのも10年振り。再会を祝してしばし歓談の時間を楽しむ。
記念撮影をした後お互いの無事下山を祈って別れた。しかし昼食もまだらしいし、この時間から長いコースを辿
って暗くなる前に下山できるだろうかと心配になる。
そこから山頂までは一投足。
まさに360度のパノラマが広がる山頂からは越前甲と加賀大日、白山、大河内山から笹ヶ峰、若丸山、磯倉、能郷
白山と続く越美国境稜線の山々。そして北アルプスや御嶽、中央アルブスも頭を覗かせている。
本来ならこの時期の山頂は純白のドームなのだが、残念ながらササが露出している部分もある。しかし完璧な青空
の下、霧氷の歓迎まで受けながら大展望の雪尾根を歩いて山頂に立つ。これ以上望むのは贅沢というものだろう。
越美国境稜線の南側の山並みを眺めながら至福のランチタイムを楽しむ。
後ろ髪を引かれながら山頂を辞し、すれ違ったパーティーのトレースを辿る。
山頂直下の岩場っぽい場所は、トレースを外してツボ足で左側の急斜面からトラバースすると、岩場の基部へぴっ
たり下りることができる。
さすがに雪も緩んできて、スノーシューの食い付きも悪くなった。登りの尾根の状況からすればもう少し早く雪
が切れるのではと思っていたが、意外に繋がっていて、下山尾根の3分の2ぐらいは雪の上を歩くことができたのは
うれしい誤算だった。
912mピークの先には見事なブナ林が広がる。そのブナ林につられて広い尾根を直進すると前谷川に出てしまう
ので注意が必要だ。
雪の消えた最後の植林の下りでサングラスを落としてしまった。しばらく探したがヤブっぽい杉林の中では見つ
かるはずもなく捜索を断念。何回か落としては回収してきたサングラスだったが、今度は本当のお別れのようだ。
山日和