【加越国境】横平山 大展望の縦走路を行く
Posted: 2023年3月14日(火) 21:24
【日 付】2023年3月11日(土)
【山 域】加越国境 横平山
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】谷トンネル北口下8:00---9:20 P1011m---10:45 P1166m---12:10横平山14:05---14:55白木峰JP
---16:30 P1011m---16:55下降点---17:40谷トンネル
季節が一気に進み、各地で積雪量の減少が目立つ中、名うての豪雪地帯である谷峠越えの国道157号はまだ
厚い雪の壁に包まれていた。
谷トンネル北口の先から尾根に取付く。少し登ると右から林道が上がって来た。この林道を使えば楽に入れ
たようだ。
雲ひとつない青空なのはうれしいが、早朝から気温がぐんぐん上がり、半袖で歩きたいような陽気である。
谷沿いに付けられた林道を進んで、登りやすそうな対岸の尾根に乗ることにする。わずかな登りで尾根に上
がると、広々とした平和な疎林が加越国境稜線に向かって続いていた。
先週のものだろうか、古いワカンの跡がこんもりと浮き上がって残っていた。
登り詰めたところが1011mの標高点。標高差わずか300mほどの登りで国境稜線に立てるのはありがたい。
ここからは早くも白山の大展望が広がるが、今日は春霞がかかっているのかクッキリとした姿ではないのが
少し残念だ。
稜線上には真新しいトレースがあった。どうやらトンネル入口に駐車していた車の主のようだ。
トンネルから稜線に上がるのはこちらの方が一般的らしい。
気温が高いせいもあり、雪は少し緩み気味なものの、スノーシューを履いていればほとんど沈むこともない。
「霞ケ尾」という標識の付けられた1073mピークから大きく下って行くと、鞍部には同じ作者の「猿鼻峠」と
いう標識があった。左の福井県側には美しいブナ林が広がっている。
遠目には凄い急登に見えた1166mピークへの140mほどの登り返しは、実際に歩いてみるとさほど急でもなく、
ブナ林の中を快適に進む。
この1166mピークは小豆山というらしい。近くには小豆峠という峠もあるようだ。
ここでも大展望が開ける。と言うよりは、この加越国境稜線そのものが展望全開の尾根だったのが意外だった。
樹林の中の縦走路というイメージを勝手に抱いていたのだが、尾根の片側がブナ林で反対側は伐採地という感
じだろうか、どの場所からも雄大な眺望を得ることができる。
白山、別山、三ノ峰と並ぶ山並みは、さらに大長山、経ヶ岳へと続く。白山の左手前のやや低い山は鳴谷山や
ショウガ山あたりだろうか。
やたらアップダウンが多いのもこの稜線の特徴だ。小さなアップダウンばかりだが、繰り返していると少し
ずつ足に効いてくる。
進行方向の奥に迫力ある山塊が近付いてきた。越前甲と加賀大日山だ。この角度で並んでいるのを見るのは
初めてなので、実に新鮮な風景である。
トレースを追って漫然と歩いていると、いつの間にか大日が左手に見えるようになっていた。先行者の目的
地も同じだろうと勝手に思い込んでいたのだが、どうやら小松・白山市境稜線にある1317mの白木峰(白木山)を
目指したようだ。ジャンクションピークに立ったのに気付かず、そちらの尾根に入り込んでいたのだ。
すぐに気付いたので傷は浅かった。引き返して正規の加越国境稜線に入り直す。
本日の目的地である横平山1093.5mは、このジャンクションピークより80mばかり低い。
一旦急降下するのだが、この西斜面が素晴らしい。広い尾根はブナの疎林と微妙な地形のうねり、二重山稜が
続く滋味あふれる場所である。
右の石川県側の斜面に立つブナは、これまでのものとは違って風格のある古武士のようなブナが多い。
越前甲の姿が近付いてきた。いくつかのアップダウンの末に立った横平山の山頂は、まったく山頂らしさの
ない広々とした雪原の中にあった。遠くから見るとあれが山頂だと指摘できないようなピークである。
しかしこの山頂はこれまで踏んできた雪の山頂の中でも確実に上位に位置付けられる、落ち着きとこころ躍る
展望が同居した素晴らしい場所だった。単にだだっ広い雪原ではなく、起伏のある地形に積もった雪の作り出す
微妙な曲線が美しい。
スノースコップでランチ場を設営して極上のランチタイムを楽しむ。
谷トンネルへ向かう途中にある取立山の登山口駐車場は、早朝にもかかわらず大賑わいだった。しかし谷峠を
挟んで反対側のこの山は貸切り状態である。これほどいい山でありながら、知られていないというだけで静寂の
ひと時を味わえるのはマイナー山派の醍醐味だろう。
気が付けばもう2時だ。帰路も同じだけの距離を歩かなければならない。当然ながらアップダウンも同じである。
朝よりはすこし空気が澄んだのか、白山がややハッキリ見えるような気がする。相変わらずの大展望に励まされ
ながら往路を戻る。
1166mピークからは北東の尾根に入って周回するつもりだったが、その尾根の方を見て気が変わった。
いかにも黒々とした植林主体の尾根である。下山に考えていた複雑な地形の斜面もすべて植林のようだ。
これなら無理に周回ルートを取る意味もない。
しかし先行パーティーはすでに戻ってきて、そちらの尾根に入ったようでトレースが残されていた。さらには
真新しいワカンの跡もあった。
1011mピークまで往路を辿る。これまで振り返り見ていた白山を正面に見ながらの道のりは楽しい。
普段は嫌っている往復でも見える景色が変わると悪くはない。少なくとも植林の尾根を歩くよりは100倍いいだ
ろう。
1011mピークから彼らのトレースを辿ってさらに国境稜線を進む。
するとこれまでの快適な雪尾根から一転して、ヤセ尾根に針葉樹が邪魔をする難所にぶつかった。トレースは北
側斜面をトラバースしているようだ。かなりの急傾斜なのでスノーシューを脱いでツボ足でステップを刻む。
次の小ピークから北東への尾根に入る。下り始めは壁のような急斜面だが、雪が腐っているので恐さはない。
白山を正面に見ながら転げ落ちるように下るとちょっとした雪稜になり、なかなか楽しい尾根だ。
やがて植林帯に入ると国道も近い。しかしここでトレースを外して適当に歩いたのがアダとなり、しなくても
いい渡渉をする羽目になってしまったのはご愛敬というヤツだろう。
トンネル入口に着地したのは5時半過ぎ。先行者の車はまだ残ったままだった。
山日和
【山 域】加越国境 横平山
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】谷トンネル北口下8:00---9:20 P1011m---10:45 P1166m---12:10横平山14:05---14:55白木峰JP
---16:30 P1011m---16:55下降点---17:40谷トンネル
季節が一気に進み、各地で積雪量の減少が目立つ中、名うての豪雪地帯である谷峠越えの国道157号はまだ
厚い雪の壁に包まれていた。
谷トンネル北口の先から尾根に取付く。少し登ると右から林道が上がって来た。この林道を使えば楽に入れ
たようだ。
雲ひとつない青空なのはうれしいが、早朝から気温がぐんぐん上がり、半袖で歩きたいような陽気である。
谷沿いに付けられた林道を進んで、登りやすそうな対岸の尾根に乗ることにする。わずかな登りで尾根に上
がると、広々とした平和な疎林が加越国境稜線に向かって続いていた。
先週のものだろうか、古いワカンの跡がこんもりと浮き上がって残っていた。
登り詰めたところが1011mの標高点。標高差わずか300mほどの登りで国境稜線に立てるのはありがたい。
ここからは早くも白山の大展望が広がるが、今日は春霞がかかっているのかクッキリとした姿ではないのが
少し残念だ。
稜線上には真新しいトレースがあった。どうやらトンネル入口に駐車していた車の主のようだ。
トンネルから稜線に上がるのはこちらの方が一般的らしい。
気温が高いせいもあり、雪は少し緩み気味なものの、スノーシューを履いていればほとんど沈むこともない。
「霞ケ尾」という標識の付けられた1073mピークから大きく下って行くと、鞍部には同じ作者の「猿鼻峠」と
いう標識があった。左の福井県側には美しいブナ林が広がっている。
遠目には凄い急登に見えた1166mピークへの140mほどの登り返しは、実際に歩いてみるとさほど急でもなく、
ブナ林の中を快適に進む。
この1166mピークは小豆山というらしい。近くには小豆峠という峠もあるようだ。
ここでも大展望が開ける。と言うよりは、この加越国境稜線そのものが展望全開の尾根だったのが意外だった。
樹林の中の縦走路というイメージを勝手に抱いていたのだが、尾根の片側がブナ林で反対側は伐採地という感
じだろうか、どの場所からも雄大な眺望を得ることができる。
白山、別山、三ノ峰と並ぶ山並みは、さらに大長山、経ヶ岳へと続く。白山の左手前のやや低い山は鳴谷山や
ショウガ山あたりだろうか。
やたらアップダウンが多いのもこの稜線の特徴だ。小さなアップダウンばかりだが、繰り返していると少し
ずつ足に効いてくる。
進行方向の奥に迫力ある山塊が近付いてきた。越前甲と加賀大日山だ。この角度で並んでいるのを見るのは
初めてなので、実に新鮮な風景である。
トレースを追って漫然と歩いていると、いつの間にか大日が左手に見えるようになっていた。先行者の目的
地も同じだろうと勝手に思い込んでいたのだが、どうやら小松・白山市境稜線にある1317mの白木峰(白木山)を
目指したようだ。ジャンクションピークに立ったのに気付かず、そちらの尾根に入り込んでいたのだ。
すぐに気付いたので傷は浅かった。引き返して正規の加越国境稜線に入り直す。
本日の目的地である横平山1093.5mは、このジャンクションピークより80mばかり低い。
一旦急降下するのだが、この西斜面が素晴らしい。広い尾根はブナの疎林と微妙な地形のうねり、二重山稜が
続く滋味あふれる場所である。
右の石川県側の斜面に立つブナは、これまでのものとは違って風格のある古武士のようなブナが多い。
越前甲の姿が近付いてきた。いくつかのアップダウンの末に立った横平山の山頂は、まったく山頂らしさの
ない広々とした雪原の中にあった。遠くから見るとあれが山頂だと指摘できないようなピークである。
しかしこの山頂はこれまで踏んできた雪の山頂の中でも確実に上位に位置付けられる、落ち着きとこころ躍る
展望が同居した素晴らしい場所だった。単にだだっ広い雪原ではなく、起伏のある地形に積もった雪の作り出す
微妙な曲線が美しい。
スノースコップでランチ場を設営して極上のランチタイムを楽しむ。
谷トンネルへ向かう途中にある取立山の登山口駐車場は、早朝にもかかわらず大賑わいだった。しかし谷峠を
挟んで反対側のこの山は貸切り状態である。これほどいい山でありながら、知られていないというだけで静寂の
ひと時を味わえるのはマイナー山派の醍醐味だろう。
気が付けばもう2時だ。帰路も同じだけの距離を歩かなければならない。当然ながらアップダウンも同じである。
朝よりはすこし空気が澄んだのか、白山がややハッキリ見えるような気がする。相変わらずの大展望に励まされ
ながら往路を戻る。
1166mピークからは北東の尾根に入って周回するつもりだったが、その尾根の方を見て気が変わった。
いかにも黒々とした植林主体の尾根である。下山に考えていた複雑な地形の斜面もすべて植林のようだ。
これなら無理に周回ルートを取る意味もない。
しかし先行パーティーはすでに戻ってきて、そちらの尾根に入ったようでトレースが残されていた。さらには
真新しいワカンの跡もあった。
1011mピークまで往路を辿る。これまで振り返り見ていた白山を正面に見ながらの道のりは楽しい。
普段は嫌っている往復でも見える景色が変わると悪くはない。少なくとも植林の尾根を歩くよりは100倍いいだ
ろう。
1011mピークから彼らのトレースを辿ってさらに国境稜線を進む。
するとこれまでの快適な雪尾根から一転して、ヤセ尾根に針葉樹が邪魔をする難所にぶつかった。トレースは北
側斜面をトラバースしているようだ。かなりの急傾斜なのでスノーシューを脱いでツボ足でステップを刻む。
次の小ピークから北東への尾根に入る。下り始めは壁のような急斜面だが、雪が腐っているので恐さはない。
白山を正面に見ながら転げ落ちるように下るとちょっとした雪稜になり、なかなか楽しい尾根だ。
やがて植林帯に入ると国道も近い。しかしここでトレースを外して適当に歩いたのがアダとなり、しなくても
いい渡渉をする羽目になってしまったのはご愛敬というヤツだろう。
トンネル入口に着地したのは5時半過ぎ。先行者の車はまだ残ったままだった。
山日和