【鈴鹿】山初めは木和田尾からホワイトアウトの天狗岩
Posted: 2023年1月10日(火) 23:45
【日 付】2023年1月8日(日)
【山 域】鈴鹿北部 藤原岳周辺
【天 候】晴れのちガス
【コース】藤原簡易パーキング7:35--9:35白瀬峠分岐---10:30頭陀ヶ平---11:15天狗岩---11:20ランチ場12:30
---12:55お藤の鼻筋下降点---13:40聖宝寺道---14:30林道---15:00駐車地
ようやく娘一家と息子一家が帰り、嵐のような正月が終わった。これまでは1月の3日か4日だった山初めは、
今では自分の正月休みが終わってからになってしまった。
天気予報を睨んで思案した結果、毎度おなじみの藤原岳に向かう。2年前の山初めでは抜けるような青空の
下で満開の霧氷を楽しむことができた。今年もその再現を期待したのである。
藤原簡易パーキングには雪のかけらもなく、見える範囲の山肌は黒々としている。気温も高く、これはあま
り期待できないかもと出鼻をくじかれた。
この1週間、ほとんど家で食べているだけだったので体が重い。ただでさえ加齢による体力低下を実感して
いるのに、まともに歩けるのかと心配になってしまう。
上水道の横から獣柵のドアを開けて巡視路に入るのだが、押しても引いても開かない。よく見ると蝶番側を
一生懸命開けようとしていた。危うく登山開始前に終了してしまうところだった。
息が上がらないようにスローペースで歩き出す。登りにかかっても意外に足が動いているのでひと安心。
この巡視路はジクザクを切って緩やかに付けられているので楽だ。
頭上には青空が広がっている。山の上の方は雲に隠れているが、そのうち晴れてくれるだろう。
子向井山のあたりでようやく雪が現われた。と言っても10センチ程度で、背中のスノーシューを降ろすほど
ではない。気温は高いが風が冷たいのでアウターを脱ぐわけにはいかない。
白瀬峠の分岐まで来ると、トレースは大半が峠方面へ向かっているようだった。これから向かう頭陀ヶ平へ
は2人分ぐらいの足跡が続いている。
坂本谷の対岸の山腹を見ると白い森が光っていた。霧氷だ。これは期待できるかもしれない。
積雪が20センチを超えたのでスノーシューを装着した。無くても歩けるが、いつまでも担いでいるよりはマ
シである。それに足を雪面に置いた時の安定感が違い、余計な力を入れなくて済むのだ。
雑木林ばかりだった林相は徐々にブナ混じりの森となる。この県境稜線への登りはお気に入りの場所だ。
雪は徐々に増え、50センチは超えているだろう。風が雪面に描き出した風紋が陽光にキラキラと輝いて美しい。
鉄塔まで上がると下界と養老山地の山々の大展望が広がった。そこから一段上がると県境稜線への最後の登
りとなる。斜面の手前には、雪原の中に霧氷を纏った木々がポツリポツリと立っている。
このあたりまで来るといよいよ霧氷も最高潮か。一昨年よりは付きが悪いようにみえるが、雪面に多量のスノ
ーフレークが落ちているところを見ると、もっと早い時間なら豪華絢爛な霧氷の森だったのかもしれない。
スノーシューを履いてからはトレースを無視して自分だけの足跡を刻む。沈みはくるぶし程度で雪も重くは
ないので快適だ。
県境稜線に到達すると、これから晴れてくるだろうという期待は見事に裏切られ、一面ガスで覆われて視界
はゼロになってしまった。正面に見えるはずの御池テーブルランドの姿もまったく見えない。
風に吹かれて送電線の着氷が落ちてくる。大きいヤツの50センチぐらいあるので油断できない。あんなのをま
ともに食らったらタダではすまないだろう。
支尾根に入らないように方向を定めて藤原岳方面へ進んだ。
ショートカットルートでダイレクトに天狗岩を目指す。ここは一昨年素晴らしい雪原と霧氷の森に包まれたと
ころだが、今日は鈍色の空とグレーの霧氷に覆われたモノトーンの世界だ。
何の期待も無く天狗岩に立ち寄ったが、何も見えず風で落ち着くこともできない場所に長居は無用である。
少し戻って風のあたらない場所で早めのランチタイムとした。
メシを食ってる内に天候も回復してくるだろう。雲の流れは速く、時折青い部分が現われては消える。
食後のコーヒーを味わっていると、あろうことか雪が降り出した。もうこれ以上期待できない。あきらめて
下山にかかる。
天狗岩から藤原山荘方面には多数のトレースが残されていた。大貝戸道を上がって天狗岩に足を延ばした
登山者はほとんどツボ足で歩いている。大貝戸道を歩くのにスノーシューを担ぐ人はほとんどいないのだろう。
藤原山荘の北側ピークの北端からの尾根に乗る。
「お藤の鼻筋」と呼ばれるこの尾根は一昨年初めて歩いたのだが、尾根芯はスキー場のような無木立の雪原が
続く。眼下には藤原の街を一望できる、藤原岳でも屈指の好展望の尾根だろう。この名付け親は今は亡き緑水
さんだったろうか。
下るにつれてガスが晴れ、下界の眺めが開けてきた。と同時に上の方も少し明るくなってきたような気がす
る。そりゃないだろうと、このまま晴れないように上に向かって念を送る。
このまま下り続けてもいいが、今回は趣向を変えて(単に判断を間違えただけという説もあるが)中ほどで右
方向へトラバース気味に下降して行く。かなりの急斜面で、足元から崩れた雪が石器時代のコインのように渦
を巻きながら転げ落ちて行く。まわりは広々とした疎林の大斜面で、雪があればどこでも歩くことができる。
そろそろと思ったところでシカのトレースを辿ってみると、小さい谷を渡って5mほど上で聖宝寺道と合流
した。シカもよくご存じである。
このまま聖宝寺道を下山すれば楽勝だったが、以前2度歩いている597m標高点経由の尾根を下山路に選んだ。
末端が急なのはよくわかっているつもりだったが、手前で杣道風の踏み跡を辿ったために思わぬ苦労をしてし
まった。スパッツをドロドロにしてようやく林道に着地。最後に大汗をかいてしまった。
ショートカットして下の林道へ出ると、予期せぬゲートが現われた。ゲートの両側にも高いフェンスが張ら
れている。一瞬ギョッとしたが、ゲートの中にドアが付けられていた。内と外の両側に掛金があり、外側の錠
をなかなか開けられずに今度は冷や汗をかいてしまう。なんとか脱出できてやれやれである。
駐車場への道すがら山頂方面を見上げると、まだ雲に覆われたままだった。
正月早々の登山あるあるは避けられたようだ。
山日和
【山 域】鈴鹿北部 藤原岳周辺
【天 候】晴れのちガス
【コース】藤原簡易パーキング7:35--9:35白瀬峠分岐---10:30頭陀ヶ平---11:15天狗岩---11:20ランチ場12:30
---12:55お藤の鼻筋下降点---13:40聖宝寺道---14:30林道---15:00駐車地
ようやく娘一家と息子一家が帰り、嵐のような正月が終わった。これまでは1月の3日か4日だった山初めは、
今では自分の正月休みが終わってからになってしまった。
天気予報を睨んで思案した結果、毎度おなじみの藤原岳に向かう。2年前の山初めでは抜けるような青空の
下で満開の霧氷を楽しむことができた。今年もその再現を期待したのである。
藤原簡易パーキングには雪のかけらもなく、見える範囲の山肌は黒々としている。気温も高く、これはあま
り期待できないかもと出鼻をくじかれた。
この1週間、ほとんど家で食べているだけだったので体が重い。ただでさえ加齢による体力低下を実感して
いるのに、まともに歩けるのかと心配になってしまう。
上水道の横から獣柵のドアを開けて巡視路に入るのだが、押しても引いても開かない。よく見ると蝶番側を
一生懸命開けようとしていた。危うく登山開始前に終了してしまうところだった。
息が上がらないようにスローペースで歩き出す。登りにかかっても意外に足が動いているのでひと安心。
この巡視路はジクザクを切って緩やかに付けられているので楽だ。
頭上には青空が広がっている。山の上の方は雲に隠れているが、そのうち晴れてくれるだろう。
子向井山のあたりでようやく雪が現われた。と言っても10センチ程度で、背中のスノーシューを降ろすほど
ではない。気温は高いが風が冷たいのでアウターを脱ぐわけにはいかない。
白瀬峠の分岐まで来ると、トレースは大半が峠方面へ向かっているようだった。これから向かう頭陀ヶ平へ
は2人分ぐらいの足跡が続いている。
坂本谷の対岸の山腹を見ると白い森が光っていた。霧氷だ。これは期待できるかもしれない。
積雪が20センチを超えたのでスノーシューを装着した。無くても歩けるが、いつまでも担いでいるよりはマ
シである。それに足を雪面に置いた時の安定感が違い、余計な力を入れなくて済むのだ。
雑木林ばかりだった林相は徐々にブナ混じりの森となる。この県境稜線への登りはお気に入りの場所だ。
雪は徐々に増え、50センチは超えているだろう。風が雪面に描き出した風紋が陽光にキラキラと輝いて美しい。
鉄塔まで上がると下界と養老山地の山々の大展望が広がった。そこから一段上がると県境稜線への最後の登
りとなる。斜面の手前には、雪原の中に霧氷を纏った木々がポツリポツリと立っている。
このあたりまで来るといよいよ霧氷も最高潮か。一昨年よりは付きが悪いようにみえるが、雪面に多量のスノ
ーフレークが落ちているところを見ると、もっと早い時間なら豪華絢爛な霧氷の森だったのかもしれない。
スノーシューを履いてからはトレースを無視して自分だけの足跡を刻む。沈みはくるぶし程度で雪も重くは
ないので快適だ。
県境稜線に到達すると、これから晴れてくるだろうという期待は見事に裏切られ、一面ガスで覆われて視界
はゼロになってしまった。正面に見えるはずの御池テーブルランドの姿もまったく見えない。
風に吹かれて送電線の着氷が落ちてくる。大きいヤツの50センチぐらいあるので油断できない。あんなのをま
ともに食らったらタダではすまないだろう。
支尾根に入らないように方向を定めて藤原岳方面へ進んだ。
ショートカットルートでダイレクトに天狗岩を目指す。ここは一昨年素晴らしい雪原と霧氷の森に包まれたと
ころだが、今日は鈍色の空とグレーの霧氷に覆われたモノトーンの世界だ。
何の期待も無く天狗岩に立ち寄ったが、何も見えず風で落ち着くこともできない場所に長居は無用である。
少し戻って風のあたらない場所で早めのランチタイムとした。
メシを食ってる内に天候も回復してくるだろう。雲の流れは速く、時折青い部分が現われては消える。
食後のコーヒーを味わっていると、あろうことか雪が降り出した。もうこれ以上期待できない。あきらめて
下山にかかる。
天狗岩から藤原山荘方面には多数のトレースが残されていた。大貝戸道を上がって天狗岩に足を延ばした
登山者はほとんどツボ足で歩いている。大貝戸道を歩くのにスノーシューを担ぐ人はほとんどいないのだろう。
藤原山荘の北側ピークの北端からの尾根に乗る。
「お藤の鼻筋」と呼ばれるこの尾根は一昨年初めて歩いたのだが、尾根芯はスキー場のような無木立の雪原が
続く。眼下には藤原の街を一望できる、藤原岳でも屈指の好展望の尾根だろう。この名付け親は今は亡き緑水
さんだったろうか。
下るにつれてガスが晴れ、下界の眺めが開けてきた。と同時に上の方も少し明るくなってきたような気がす
る。そりゃないだろうと、このまま晴れないように上に向かって念を送る。
このまま下り続けてもいいが、今回は趣向を変えて(単に判断を間違えただけという説もあるが)中ほどで右
方向へトラバース気味に下降して行く。かなりの急斜面で、足元から崩れた雪が石器時代のコインのように渦
を巻きながら転げ落ちて行く。まわりは広々とした疎林の大斜面で、雪があればどこでも歩くことができる。
そろそろと思ったところでシカのトレースを辿ってみると、小さい谷を渡って5mほど上で聖宝寺道と合流
した。シカもよくご存じである。
このまま聖宝寺道を下山すれば楽勝だったが、以前2度歩いている597m標高点経由の尾根を下山路に選んだ。
末端が急なのはよくわかっているつもりだったが、手前で杣道風の踏み跡を辿ったために思わぬ苦労をしてし
まった。スパッツをドロドロにしてようやく林道に着地。最後に大汗をかいてしまった。
ショートカットして下の林道へ出ると、予期せぬゲートが現われた。ゲートの両側にも高いフェンスが張ら
れている。一瞬ギョッとしたが、ゲートの中にドアが付けられていた。内と外の両側に掛金があり、外側の錠
をなかなか開けられずに今度は冷や汗をかいてしまう。なんとか脱出できてやれやれである。
駐車場への道すがら山頂方面を見上げると、まだ雲に覆われたままだった。
正月早々の登山あるあるは避けられたようだ。
山日和