【越前】秋の恵みを求めて千石谷山から金粕、武周ヶ池へ
Posted: 2022年12月15日(木) 22:47
【日 付】2022年12月3日(土)
【山 域】越前 武周ヶ池周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】牧谷8:50---9:35千石谷山10:10---11:35池---12:20三角点金粕13:25---14:15魚見峠---14:55武周ヶ池15:30
---16:30牧谷
牧谷の集落外れにある武周ヶ池登山口の駐車場に車を止める。先客が3台。当然みなさん武周ヶ池に向かう人ば
かりだろうが、こちらは反対向きに牧谷集落の方へ歩き出した。
人の家の庭先を通らずに済むところから尾根の末端に取り付いた。獣除けの柵があるが、高さが50センチほど
しかないのでヒョイとまたいで越える。シカ除けにはまったく意味がないのでイノシシ除けの柵なのだろう。
尾根には明瞭な道がある。植林なので当然と言えば当然なのだが。
稜線までの標高差は250mほどしかない。空が近付いてくると、赤や黄色に彩られた林が浮かび上がってきた。
標高400m足らずのここではまだ名残の紅葉が楽しめる。
稜線に辿り着いて左折すればほどなく372.1mの千石谷山だ。
ここで大きなミスをしてしまった。気持ちの良さげな広い尾根を進んで行くと。右手に大きな山が見えた。あれ
はどこだろうと思いながら疑うことなく前進したが、山の中へ進んでいるはずが、眼下に見える平野部に近付い
ている。ここでようやく山王山への尾根を歩いていることに気が付いた。
あの大きな山は背後に遠ざかって行くはずの日野山だった。
進むべき尾根とほぼ真反対の方向である。とんだボケをかましてしまった。
千石谷山に戻って仕切り直し。30分ほどロスしてしまった。地図をちゃんと見ていないとこういうことになる。
正しい稜線にも明瞭な道が続いていた。植林だが、よく手入れされた杉林なので暗さはない。
植林が切れると軽いアップダウンの続く雑木林の道となる。たまにヤブっぽいところも出てくるが、ほぼ登山
道レベルである。緩やかな稜線なので楽なのだが、なかなか高度を上げないのと、代わり映えのしない雑木林で
そろそろ飽きが出始めたところで左下に光るものを発見。池だ。これは駆け下りて確かめないわけにはいかない。
二つ並んでいたが、ひとつは水溜まりレベル。もうひとつはそこそこの大きさで、まわりの雰囲気も悪くない。
山上の池というのは何かこころ惹かれるものがあるのだ。
今日の目的のひとつは秋の恵みである。キョロキョロしながら歩いていると、左手に1本、ナメコがびっしりと
付いたミズナラがあった。傘の開いていない幼菌ばかりで、ぬめりでツヤツヤに光っているのがいかにも美味し
そうである。早速ナイフを取り出して、切り手と受け手に別れて山の恵みを頂いた。
標高500mを越えると林相が変わった。ここまではミズナラが多かったのが、ブナが主体の森となる。
尾根上に深い掘り込みの道跡が現われたが、これは何のための道だろうか。
これから向かう三角点の名前は「金粕」。金糞岳と同じように金属採取に絡んでいそうな名前だ。
鉱山でもあって、鉱石を搬出するための道でもあったのだろうかと勝手な想像を巡らせるのも楽しい。
金粕の西斜面は予想外のブナ林だった。植林の目立つ福井の低山では、ブナ林はあまり期待できないと思って
いたのだが、最近はその認識を改めなければならないと感じ始めている。
期待がふくらみ過ぎると裏切られるのは世の常で、金粕の主稜線に飛び出すと植林が待っていた。尾根の東側は
植林、西側はブナ林と見事に色分けされている。
なるべく顔を右に向けるようにしながら、すぐ南にある735.6mの三角点金粕に向かう。
増永廸男氏の「福井の山150」の金粕山の写真を見ると、稜線の西側は植林されたばかりの杉の若木だった。
撮影されたのは35年前である。古い資料をアテにして山へ入ると、まったく違う状況になっていて驚くことが
往々にしてある。あの頃の金粕は好展望の山頂だったのだろう。
日当たりのいい南西斜面に腰を降ろしてランチタイム。まだ全行程の半分ぐらいしか消化していないので、
あまりのんびりとはできない。自分としては短過ぎるぐらいの1時間あまりというランチタイムで切り上げた。
魚見峠への市町界尾根も予想外にブナ主体の林相だった。鈴なりのナメコを付けた木がそこここに見られた
が、時期が遅かったのかヌメりが無くて開き切った傘の先がひび割れたものが多く、食指が動かない。
最初に十分採っておいてよかった。
右手に白く冠雪した山が見えた。特徴的な台形の山頂部は部子山と銀杏峰だ。1000mを超える多くの山がよ
うやく初冠雪を迎えたようだ。冠雪とまでは言えないまでも、金粕の最後の登りでもわずかながら雪が見られた。
間近に見える金草岳から高倉峠への越美国境稜線は霧氷に包まれていたのだろう。木々が葉を落としたこの季節
ならではの展望だ。
ユズリハのヤブも一部交えながら、自然林を尾根が魚見峠まで続いた。
県道の通る峠には立派な小屋が建てられている。忘年会でもやっているのか、小屋の中から賑やかな声が漏れ
聞こえていた。
ここから岩谷山へ登り返して武周ヶ池に向かうのだが、山頂をパスする水平道を発見。そろそろ足も疲れてき
たし、岩谷山は去年も踏んでいるので楽な方を選んだ。
やはり手を使わなくても歩ける登山道は楽である。しかしこの水平道はただ楽なだけではなく、展望を楽しめ
る道でもあった。手前の山が少し邪魔になってはいるが、能郷白山から冠山、金草岳へと続く越美国境稜線を眺
めることができた。
武周ヶ池でコーヒータイムを楽しむ。もう少し時間が早ければ池全体に日が当たって美しい風景に出会えたの
だが、日陰になると池の色が黒く沈んでちょっと陰鬱な表情になってしまう。それでも池の東端と木々の上の方
は日差しに輝いていた。ここでのコーヒータイムのためにランチを早めに切り上げたのだ。
池のすぐ上の野見ヶ岳への道はズルズルにぬかるんでいた。そこそこの登山者が歩いたのだろう。山頂からの
下りがこれだと大変なところだったが、日当たりのいい南面のおかげで路面は完全ドライで助かった。
この道は送電鉄塔の巡視路になっており、非常に歩きやすい道だ。
展望も良く、夕刻の残照を浴びて赤く輝く山々の向こうに、笹ヶ峰から美濃俣丸、三周、三国、上谷と並ぶ国境
稜線のまだ白さを残した山並みが誘うように横たわっていた。
山日和
【山 域】越前 武周ヶ池周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】牧谷8:50---9:35千石谷山10:10---11:35池---12:20三角点金粕13:25---14:15魚見峠---14:55武周ヶ池15:30
---16:30牧谷
牧谷の集落外れにある武周ヶ池登山口の駐車場に車を止める。先客が3台。当然みなさん武周ヶ池に向かう人ば
かりだろうが、こちらは反対向きに牧谷集落の方へ歩き出した。
人の家の庭先を通らずに済むところから尾根の末端に取り付いた。獣除けの柵があるが、高さが50センチほど
しかないのでヒョイとまたいで越える。シカ除けにはまったく意味がないのでイノシシ除けの柵なのだろう。
尾根には明瞭な道がある。植林なので当然と言えば当然なのだが。
稜線までの標高差は250mほどしかない。空が近付いてくると、赤や黄色に彩られた林が浮かび上がってきた。
標高400m足らずのここではまだ名残の紅葉が楽しめる。
稜線に辿り着いて左折すればほどなく372.1mの千石谷山だ。
ここで大きなミスをしてしまった。気持ちの良さげな広い尾根を進んで行くと。右手に大きな山が見えた。あれ
はどこだろうと思いながら疑うことなく前進したが、山の中へ進んでいるはずが、眼下に見える平野部に近付い
ている。ここでようやく山王山への尾根を歩いていることに気が付いた。
あの大きな山は背後に遠ざかって行くはずの日野山だった。
進むべき尾根とほぼ真反対の方向である。とんだボケをかましてしまった。
千石谷山に戻って仕切り直し。30分ほどロスしてしまった。地図をちゃんと見ていないとこういうことになる。
正しい稜線にも明瞭な道が続いていた。植林だが、よく手入れされた杉林なので暗さはない。
植林が切れると軽いアップダウンの続く雑木林の道となる。たまにヤブっぽいところも出てくるが、ほぼ登山
道レベルである。緩やかな稜線なので楽なのだが、なかなか高度を上げないのと、代わり映えのしない雑木林で
そろそろ飽きが出始めたところで左下に光るものを発見。池だ。これは駆け下りて確かめないわけにはいかない。
二つ並んでいたが、ひとつは水溜まりレベル。もうひとつはそこそこの大きさで、まわりの雰囲気も悪くない。
山上の池というのは何かこころ惹かれるものがあるのだ。
今日の目的のひとつは秋の恵みである。キョロキョロしながら歩いていると、左手に1本、ナメコがびっしりと
付いたミズナラがあった。傘の開いていない幼菌ばかりで、ぬめりでツヤツヤに光っているのがいかにも美味し
そうである。早速ナイフを取り出して、切り手と受け手に別れて山の恵みを頂いた。
標高500mを越えると林相が変わった。ここまではミズナラが多かったのが、ブナが主体の森となる。
尾根上に深い掘り込みの道跡が現われたが、これは何のための道だろうか。
これから向かう三角点の名前は「金粕」。金糞岳と同じように金属採取に絡んでいそうな名前だ。
鉱山でもあって、鉱石を搬出するための道でもあったのだろうかと勝手な想像を巡らせるのも楽しい。
金粕の西斜面は予想外のブナ林だった。植林の目立つ福井の低山では、ブナ林はあまり期待できないと思って
いたのだが、最近はその認識を改めなければならないと感じ始めている。
期待がふくらみ過ぎると裏切られるのは世の常で、金粕の主稜線に飛び出すと植林が待っていた。尾根の東側は
植林、西側はブナ林と見事に色分けされている。
なるべく顔を右に向けるようにしながら、すぐ南にある735.6mの三角点金粕に向かう。
増永廸男氏の「福井の山150」の金粕山の写真を見ると、稜線の西側は植林されたばかりの杉の若木だった。
撮影されたのは35年前である。古い資料をアテにして山へ入ると、まったく違う状況になっていて驚くことが
往々にしてある。あの頃の金粕は好展望の山頂だったのだろう。
日当たりのいい南西斜面に腰を降ろしてランチタイム。まだ全行程の半分ぐらいしか消化していないので、
あまりのんびりとはできない。自分としては短過ぎるぐらいの1時間あまりというランチタイムで切り上げた。
魚見峠への市町界尾根も予想外にブナ主体の林相だった。鈴なりのナメコを付けた木がそこここに見られた
が、時期が遅かったのかヌメりが無くて開き切った傘の先がひび割れたものが多く、食指が動かない。
最初に十分採っておいてよかった。
右手に白く冠雪した山が見えた。特徴的な台形の山頂部は部子山と銀杏峰だ。1000mを超える多くの山がよ
うやく初冠雪を迎えたようだ。冠雪とまでは言えないまでも、金粕の最後の登りでもわずかながら雪が見られた。
間近に見える金草岳から高倉峠への越美国境稜線は霧氷に包まれていたのだろう。木々が葉を落としたこの季節
ならではの展望だ。
ユズリハのヤブも一部交えながら、自然林を尾根が魚見峠まで続いた。
県道の通る峠には立派な小屋が建てられている。忘年会でもやっているのか、小屋の中から賑やかな声が漏れ
聞こえていた。
ここから岩谷山へ登り返して武周ヶ池に向かうのだが、山頂をパスする水平道を発見。そろそろ足も疲れてき
たし、岩谷山は去年も踏んでいるので楽な方を選んだ。
やはり手を使わなくても歩ける登山道は楽である。しかしこの水平道はただ楽なだけではなく、展望を楽しめ
る道でもあった。手前の山が少し邪魔になってはいるが、能郷白山から冠山、金草岳へと続く越美国境稜線を眺
めることができた。
武周ヶ池でコーヒータイムを楽しむ。もう少し時間が早ければ池全体に日が当たって美しい風景に出会えたの
だが、日陰になると池の色が黒く沈んでちょっと陰鬱な表情になってしまう。それでも池の東端と木々の上の方
は日差しに輝いていた。ここでのコーヒータイムのためにランチを早めに切り上げたのだ。
池のすぐ上の野見ヶ岳への道はズルズルにぬかるんでいた。そこそこの登山者が歩いたのだろう。山頂からの
下りがこれだと大変なところだったが、日当たりのいい南面のおかげで路面は完全ドライで助かった。
この道は送電鉄塔の巡視路になっており、非常に歩きやすい道だ。
展望も良く、夕刻の残照を浴びて赤く輝く山々の向こうに、笹ヶ峰から美濃俣丸、三周、三国、上谷と並ぶ国境
稜線のまだ白さを残した山並みが誘うように横たわっていた。
山日和