【奥越】伊勢峠からヒノキの巨樹の森を歩く
Posted: 2022年11月08日(火) 21:13
【日 付】2022年11月5日(土)
【山 域】奥越 屏風山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】伊勢峠7:50---9:15 Ca1050mJP---10:20 №1ヒノキ巨木10:30---10:50 №2ヒノキ巨木---
11:20 Ca1180mピーク13:40---15:40伊勢峠
快晴の予報だったが、伊勢峠はガスに包まれていた。頭上の木々から落ちてくる水滴は雨が降っているのでは
なく、昨日の雨で枝葉に溜った水が風に吹かれてパラパラと落下しているのだろう。
やたら寒いと思ったら気温は2度しかない。標高800m近いとはいえ、もう冬のような寒さである。
峠のお地蔵さまに挨拶をしてから、雨と夜露と寒さに備えて雨具上下を着込んで出発。
まわりのブナ林はシロモジやタカノツメが彩りを加えて、まさに錦繍の装いだ。
予想以上にしっかりとした踏み跡があり、予期していたヤブ漕ぎをすることもない。
すぐに暑くなって100mも登らないうちに雨具を脱ぐことになった。
青空が広がり始め、天気がようやく好天し出したのかと思ったが、谷間を見ると雲海が広がっている。
これまでは雲海の中にいたのである。ちょうど峠の高さが雲海の境目だったようだ。
ちょっとした岩場があり、展望が開けた。振り返ると峠の北側に聳える御伊勢山が大きい。斜面には植林の緑
はまったく見られず、全山錦織りの自然林に包まれていた。初夏に沢から一度、残雪期に二度訪れている御伊勢
山だが、この時期の姿も魅力的だ。
コウヤマキやヒノキの巨木に目を瞠りながら高度を上げて行く。
峠からの最初のCa1050mピークはうっかりすると西への広い尾根に誘い込まれてしまうので注意が必要だ。
今日の行程の中でここにだけテープが巻かれていた。
ミズナラの巨木の立つ鞍部から1132mピークへの登りにかかると、これまでの楽勝ムードに翳りが見えてきた。
さすがにヤブ無しの尾根歩きが続くはずもない。潅木とシャクナゲのヤブが行く手を阻む。
次々とヒノキの巨木が現われるが、目的のヒノキではない。
それぞれを見れば十分に大きく奇怪な形をしたヒノキばかりなのだが、本日の目的は「日本一奇怪」と評される
巨樹である。
意外に展望の利く尾根からは。西に中ノ水を挟んで鍋又山の荒々しい姿が。東にはたおやかな平家岳の姿を望
むことができた。北東方向、九頭竜川北岸の山々の奥に見える白いとんがりは北アルプスだろうか。
シャクナゲのヤブが続き、花の時期に来たらきれいだろうなと話していると、本当に咲いている花ががあって
驚いた。気温が上がった時に間違えて咲いてしまったのだろうか。
11月にシャクナゲを鑑賞できるとは思わなかった。
これでもかというぐらいのヒノキの怪木、奇木を見ながら、目的の巨樹が登場する時を待った。
1132mピークを過ぎて、ついに目の前に現われたのは、5本の太い幹が足を踏ん張るように立つ、根上がりの巨大
なヒノキだった。屈むこともなく中に入って行ける。
中に入って見上げると、奇怪という言葉だけで表現できないような不思議な造形が目に飛び込んできた。
幹回り12.9mという巨樹は、日本最大にして日本一奇怪と言われている。
そして、到達することの困難さも日本有数かもしれない。伊勢峠から2キロ足らずの道のりに2時間半を要している。
もう一本の巨樹を求めてさらに前進した。木々の間から目に飛び込んできた三角錐の山は屏風山だ。
今いる場所と尾根で繋がっているが、それは距離だけではない果てしない道のりである。
何本かの巨大ヒノキを経て、少し下ったところでナンバー2のヒノキを発見した。先ほどの巨樹には及ばないも
のの、こちらも幹回り11mと驚くほどの巨樹である。
この2本のヒノキは「日本一の巨木図鑑」という本に収録されている。
前方のCa1180mピークがずいぶん魅力的に見えた。ヒノキだらけのここまで尾根とは違い、明らかに広葉樹に
包まれたドーム状のピークだ。想像通りの場所ならランチタイムを取るには絶好だろう。
少しキツ目のヤブを漕いで前進すると、突然林相が変わった。ブナが目立ち始めると林床はスッキリして、十分
踏み跡と言える状態となった。
広々としたCa1180mピークは想像通りの場所だった。
屏風山を真正面に見る草地に陣取って、極上のランチタイムを楽しむ。
ここへ来る登山者は一年に何人ぐらいいるのだろう。
恐らくもう二度と来ることはないだろう奥越の深い山の中で、心ゆくまでゆったりと流れる時間を楽しんだ。
往復以外に選択肢のないコースなので、帰路も再びヒノキの巨樹たちを愛でながら歩く。
下りは早く、別に急いだわけでもないのに2時間ほどで峠に戻ってきた。
伊勢峠への最後の下り、午後の斜光線を浴びた森が燃えるように輝いていた。
山日和
【山 域】奥越 屏風山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】伊勢峠7:50---9:15 Ca1050mJP---10:20 №1ヒノキ巨木10:30---10:50 №2ヒノキ巨木---
11:20 Ca1180mピーク13:40---15:40伊勢峠
快晴の予報だったが、伊勢峠はガスに包まれていた。頭上の木々から落ちてくる水滴は雨が降っているのでは
なく、昨日の雨で枝葉に溜った水が風に吹かれてパラパラと落下しているのだろう。
やたら寒いと思ったら気温は2度しかない。標高800m近いとはいえ、もう冬のような寒さである。
峠のお地蔵さまに挨拶をしてから、雨と夜露と寒さに備えて雨具上下を着込んで出発。
まわりのブナ林はシロモジやタカノツメが彩りを加えて、まさに錦繍の装いだ。
予想以上にしっかりとした踏み跡があり、予期していたヤブ漕ぎをすることもない。
すぐに暑くなって100mも登らないうちに雨具を脱ぐことになった。
青空が広がり始め、天気がようやく好天し出したのかと思ったが、谷間を見ると雲海が広がっている。
これまでは雲海の中にいたのである。ちょうど峠の高さが雲海の境目だったようだ。
ちょっとした岩場があり、展望が開けた。振り返ると峠の北側に聳える御伊勢山が大きい。斜面には植林の緑
はまったく見られず、全山錦織りの自然林に包まれていた。初夏に沢から一度、残雪期に二度訪れている御伊勢
山だが、この時期の姿も魅力的だ。
コウヤマキやヒノキの巨木に目を瞠りながら高度を上げて行く。
峠からの最初のCa1050mピークはうっかりすると西への広い尾根に誘い込まれてしまうので注意が必要だ。
今日の行程の中でここにだけテープが巻かれていた。
ミズナラの巨木の立つ鞍部から1132mピークへの登りにかかると、これまでの楽勝ムードに翳りが見えてきた。
さすがにヤブ無しの尾根歩きが続くはずもない。潅木とシャクナゲのヤブが行く手を阻む。
次々とヒノキの巨木が現われるが、目的のヒノキではない。
それぞれを見れば十分に大きく奇怪な形をしたヒノキばかりなのだが、本日の目的は「日本一奇怪」と評される
巨樹である。
意外に展望の利く尾根からは。西に中ノ水を挟んで鍋又山の荒々しい姿が。東にはたおやかな平家岳の姿を望
むことができた。北東方向、九頭竜川北岸の山々の奥に見える白いとんがりは北アルプスだろうか。
シャクナゲのヤブが続き、花の時期に来たらきれいだろうなと話していると、本当に咲いている花ががあって
驚いた。気温が上がった時に間違えて咲いてしまったのだろうか。
11月にシャクナゲを鑑賞できるとは思わなかった。
これでもかというぐらいのヒノキの怪木、奇木を見ながら、目的の巨樹が登場する時を待った。
1132mピークを過ぎて、ついに目の前に現われたのは、5本の太い幹が足を踏ん張るように立つ、根上がりの巨大
なヒノキだった。屈むこともなく中に入って行ける。
中に入って見上げると、奇怪という言葉だけで表現できないような不思議な造形が目に飛び込んできた。
幹回り12.9mという巨樹は、日本最大にして日本一奇怪と言われている。
そして、到達することの困難さも日本有数かもしれない。伊勢峠から2キロ足らずの道のりに2時間半を要している。
もう一本の巨樹を求めてさらに前進した。木々の間から目に飛び込んできた三角錐の山は屏風山だ。
今いる場所と尾根で繋がっているが、それは距離だけではない果てしない道のりである。
何本かの巨大ヒノキを経て、少し下ったところでナンバー2のヒノキを発見した。先ほどの巨樹には及ばないも
のの、こちらも幹回り11mと驚くほどの巨樹である。
この2本のヒノキは「日本一の巨木図鑑」という本に収録されている。
前方のCa1180mピークがずいぶん魅力的に見えた。ヒノキだらけのここまで尾根とは違い、明らかに広葉樹に
包まれたドーム状のピークだ。想像通りの場所ならランチタイムを取るには絶好だろう。
少しキツ目のヤブを漕いで前進すると、突然林相が変わった。ブナが目立ち始めると林床はスッキリして、十分
踏み跡と言える状態となった。
広々としたCa1180mピークは想像通りの場所だった。
屏風山を真正面に見る草地に陣取って、極上のランチタイムを楽しむ。
ここへ来る登山者は一年に何人ぐらいいるのだろう。
恐らくもう二度と来ることはないだろう奥越の深い山の中で、心ゆくまでゆったりと流れる時間を楽しんだ。
往復以外に選択肢のないコースなので、帰路も再びヒノキの巨樹たちを愛でながら歩く。
下りは早く、別に急いだわけでもないのに2時間ほどで峠に戻ってきた。
伊勢峠への最後の下り、午後の斜光線を浴びた森が燃えるように輝いていた。
山日和