【若狭】百里ヶ岳にこんな谷が・・・大滝が連続する遠敷川百里沢

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【若狭】百里ヶ岳にこんな谷が・・・大滝が連続する遠敷川百里沢

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2022年10月16日(日)
【山 域】若狭 百里ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】木地山8:00---9:00 451m尾根取付き9:15---10:20 Ca860mピーク---11:00大谷11:20---
     13:15源流ランチ場14:10---14:45百里ヶ岳15:10---16:25木地山

 ビックリ仰天とはこのことだろう。百里ヶ岳にこんな凄い谷があるとは想像もしなかった。
先月の初め、この谷を目指して遡行を開始したものの、体調不良と時間不足で入口の滝を登っただけで退却して
しまった。今度こそミッションを完遂しなければならない。
 この一ヶ月の内に上根来を3度訪れている。そろそろ飽きてきたので、今回は趣向を変えて滋賀県側からのア
プローチとしよう。

 先週とは打って変わって朝から快晴、モチベーションも上がる。木地山から歩き始めて南谷の林道を進んだ。
10数年前に歩いた時には普通の林道だった記憶があるが、目の前の林道は倒木に遮られたり崩壊したりで、なか
なかまともに歩けずペースが上がらない。
河原にカツラの巨木が一本、ポツンと佇んでいたが、これはまったく記憶になかった。
 林道が終わってからは荒れた河原を進んで行く。この南谷には、以前シチクレ峠へ上がる道があり、普通に
登山コースとして使われていたようだが、今はその面影も感じられない。

PA160013_1_1.JPG

 451mの二俣から中間尾根に乗る。ヤブもなく歩きやすい疎林の尾根である。
登り詰めたところは百里ヶ岳前衛のCa860mピーク。ここから南は植林、北はブナ林と見事に色分けされている。
北側の尾根上と谷側斜面のブナ林が陽光を浴びて美しく輝いている。
この森が黄金色に彩られるのはあと半月ほど後だろうか。
登山道を横切って西へ延びる尾根へ直進。大して面白みのない尾根だったが仕事は早い。

PA160046_1.JPG

 みるみる水音が近付いてきたと思ったら、最後に関門が待っていた。尾根の末端はかなりの急傾斜で岩壁状に
なっている。なんとかロープを出さずに下れるところはないかと探ったが、結局あきらめて懸垂下降を余儀なく
された。最初からさっさとロープを出せばよかったのに、無駄な抵抗で時間をロスしてしまった。
 大谷に下り着いて沢装備に換装する。ここから百里沢までは一投足。記憶にも新しいナメ滝の連瀑帯から始ま
る百里沢出合に到着した。しかし、この出合で前回よりも1時間近く遅い時間となってしまった。


PA160056_1.JPG

 この谷は水平距離で800mぐらいしかない短い谷だが、その間に400mの標高差を稼がねばならない。想像する
だけでもその急峻さが知れるというものである。
ツルツルのナメ連瀑をパスして左岸から巻き上がり、前回の到達点の15m滝の前に立つ。
 ここからどういう展開が待っているのだろう。左岸の小尾根にルートを取る。立ち木と木の根が豊富で足元も
悪くないので巻くのは容易だ。しかしこのまま尾根を進んでしまうと百里ヶ岳山頂手前の県境稜線にゴールイン
だ。落ち口へのトラバースラインがないかと目を凝らす。ひと筋の薄い踏み跡らしきものを見つけてトラバース
開始。足元はしっかりしていておなじみのズルズルのトラバースではないので安心感がある。

PA160064_1.JPG

 ほぼドンピシャで落ち口に飛び出すと、前方の光景に目が点になった。5mほどの斜瀑の先に大滝らしきものが
見えている。その滝の下まで辿り着くと、両岸は高い岩壁に包まれて完璧なV字となった空間から15mほどの一条
の滝が滑るように流れ落ちていた。水の流れた部分だけが茶色い節理のような縞模様になっているのが印象的で、
なにか厳粛な気分にさせられるような場所である。
 幸いなことに、右岸側が比較的緩い草付き斜面になっていたので、それを利用して落ち口へ。
するとさらに驚きの光景が続いていた。流されてきた木と枝ですっきり見えないところがあるが、かなり高い位
置から滝が落ちている。何段かに分かれているようだが、トータルすれば30mはあるだろうか。
これは凄い谷である。取り付くシマもないので再び左岸の斜面を上がってトラバースラインを探った。
このあたりはシャクナゲが多く、行く手を遮ることもあれば、いいホールドを提供してくれることもある。
 薄いラインをなんとか見つけてトラバース開始。落ち口の高さまで上がっているかどうかはわからないが、な
んとかなりそうである。


PA160069_1.JPG

 巻き終えて谷に復帰したものの、またもや目の前に現われたのは20mぐらいありそうな斜瀑布だった。
斜めに描かれた縞模様の節理が美しい。もう一度下りてきたところを登り返して再トラバースに入ると、その滝
の上で谷は90度左折して連続する斜瀑をかけていた。もう下りるのも面倒なのでまとめて巻いてしまう。

PA160074_1.JPG

 ようやく谷に下りてチェーンスパイクを脱いだ。出合から45分経過しているが、進んだ距離は150mほどだ。
ほとんど沢登りをしていない。いったい何時に山頂に辿り着けるのだろうかと心配になるが、ずっとこの調子が
続くはずはないだろう。
 谷が落ち着きを見せたと思った頃に、またもや5m、15mの斜瀑が続き、さらに8m滝が行く手を遮った。
この谷はとにかく高さもさることながら、ツルツルで手も足も出ない斜瀑ばかりで、滝を登るという楽しみとは
ほぼ無縁である。


PA160122_1.JPG
 
 今度こそ渓相が落ち着いてきたようだ。傾斜は急ながらも両岸が低く、底抜けに明るく伸びやかなブナ林が広
がっている。いよいよ百里ヶ岳南西斜面のブナ林に入ったようだ。
 それにしても腹が減ってきた。時計を見るともう1時を回っている。山頂まで我慢しないと後がしんどいのは
百も承知だが、この雰囲気の中で腰を落ち着けたい。せめて山頂までの標高差が150mを切ったところまで頑張
ろうと決めた。
 ずっとナメ滝が続いて腰を降ろす場所も見当たらなかったが、流れが二つに分かれた真ん中にお誂え向きの場
所を発見した。登って来た谷を見下ろしながらあおるビールは、あまり冷えていなかったが格別の味わいだ。


PA160146_1.JPG

 予想通りとは言え、食後の登りは地獄の苦行である。続くナメ滝を歩いているうちは良かったが、谷が終わり
急斜面に入ると青息吐息。周りを飾るブナだけが慰めだ。
10歩進んでは息を付く繰り返しで、ようやく青空が近付いてきた。

 百里ヶ岳山頂の標識にダイレクトで辿り着く。もう3時、誰もいないはずだ。
短い谷だったが、そこに至るまでの行程を振り返れば充実感で一杯だ。
さあ、アプローチシューズに履き替えて通い慣れた東尾根を下ろう。この尾根は仕事が早い。
1時間余り経った頃には木地山の集落に立っているだろう。

                       山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【若狭】百里ヶ岳にこんな谷が・・・大滝が連続する遠敷川百里沢

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
10月初めにご一緒させていただき引き返した百里沢へのふたたびの沢山旅、わくわくしながらレポを味わわせていただきました。
今回は、木地山から出発されたのですね。
シチクレ峠へと至る南谷の荒廃した道は最近は歩く人も少ないと聞いています。
朽木の谷を歩いていると、植林地帯の荒廃ぶりに胸が痛くなります。ここ10年間でも荒廃が進んでいるのを目の当たりにします。
木地山と小入谷を結ぶ峠道の河原にポツンと佇むカツラの巨木は、風景の移り変わりをどのような思いで見つめてきたのでしょうね。

・451からは道ではなく二俣の中間尾根に登られたのですね。なるほど、大谷に下るにはこちらの尾根の方が近いですね。
でも、ピーク直下は150mの急こう配の登りですね。下りの西尾根の最後も急ですね。絶壁でなくてよかったですね。
百里沢から変更して遡った大谷は情趣を感じる谷でした。私が味わわせていただいたのは曇天の日の情景でしたが、
陽光降りそそぐ谷の情景も素敵でしょうね。

百里沢は、地図を見ると短い谷ですが標高差は400m。いきなり滝から始まりましたね。
滝にも目を見張りましたが、まあるい釜が印象的でした。ツルツルのナメ連瀑はスリリングでした。
一度、登れば十分ですね?

緊張しながら登り終え、その上に立ち憚る壁のような滝を、うまく高巻き出来るのかなぁ、滝の上はどんな風景なのかなぁ、
と見上げた時の胸の鼓動が甦ってきました。すんなりと?巻ける滝だったのですね。
滝の上はまた滝だったのですね。4枚目のお写真でしょうか。見事な滝ですね。
両岸は切り立っていますが、高巻きされた草付き斜面はどんな感じなのでしょうか。

その上には、さらに滝ですか。5枚目のお写真。凄い滝ですね。圧倒される光景ですね。どうやって巻くの?と思いました。
シャクナゲさまさまだったのですね。
そして、そのまた上も、滝、滝、滝ですか!やわらかな山容の百里ケ岳は、こんなにも険しい表情を秘めているのですね。
訪れて知ることが出来たお山の秘密の表情ですね。

7枚目の素敵な源流のお写真。険しい谷の最後には、こんなにも底抜けに明るく伸びやかなブナ林が広がっているのですね。
そう、百里ケ岳の南には、うつくしいブナ林が広がっていますね。
山頂への最後の登りは急こう配ですね。地図を見ているだけで息切れしそう。食後はしんどいでしょうね。

辿り着いた山頂からは、あらたな百里ケ岳を感じられたのでは。
行間からも、山日和さんの充実感が感じ取れます。
東尾根は仕事が早い?歩きやすくて、ブナ林、展望地もあり、いい尾根ですね。

百里沢は、ビックリ仰天の大滝が連続する谷だったのですね。
シャクナゲの花が咲く頃、木を掴んで、高巻き、高巻きで、私も味わいに行けるかな?
訪れるなら、やっぱり上根来からかな・・・。
今日、通りから、西の山並みの一番奥で静かな輝きを放つ百里ケ岳に暫しの間見入っていました。

次の日曜日はオフ会ですね。天気予報は晴れ。楽しみです。よろしくお願いいたします。

sato
アバター
山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【若狭】百里ヶ岳にこんな谷が・・・大滝が連続する遠敷川百里沢

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。

10月初めにご一緒させていただき引き返した百里沢へのふたたびの沢山旅、わくわくしながらレポを味わわせていただきました。

あの時は体調もイマイチだったこともあって断念してしまいましたが、なんとか再訪できました。

今回は、木地山から出発されたのですね。
シチクレ峠へと至る南谷の荒廃した道は最近は歩く人も少ないと聞いています。


もうほとんど歩かれてないでしょうね。倒木や崩壊が多く、歩いて面白い道ではありません。
無事なところは足尾谷を思わせるキレイな部分もあるんですけどね。

PA160009_1.JPG

・451からは道ではなく二俣の中間尾根に登られたのですね。なるほど、大谷に下るにはこちらの尾根の方が近いですね。

前に歩いた時はもうひとつ先の二俣の中間尾根を登りました。ここまで来ると荒れ河原で道はどこにあるのかという感じです。

百里沢から変更して遡った大谷は情趣を感じる谷でした。私が味わわせていただいたのは曇天の日の情景でしたが、陽光降りそそぐ谷の情景も素敵でしょうね。

残念ながら、まだ陽光は降り注いでいませんでした。 :oops:

百里沢は、地図を見ると短い谷ですが標高差は400m。いきなり滝から始まりましたね。
滝にも目を見張りましたが、まあるい釜が印象的でした。ツルツルのナメ連瀑はスリリングでした。一度、登れば十分ですね?


あそこで滑り台遊びしている余裕はないんで・・・ :mrgreen:


PA160057_1.JPG

緊張しながら登り終え、その上に立ち憚る壁のような滝を、うまく高巻き出来るのかなぁ、滝の上はどんな風景なのかなぁ、と見上げた時の胸の鼓動が甦ってきました。すんなりと?巻ける滝だったのですね。

すぐに立ち木の豊富な尾根に取り付けたので楽でした。この尾根をそのまま上がれば百里ヶ岳山頂のすぐ南に出ます。

滝の上はまた滝だったのですね。4枚目のお写真でしょうか。見事な滝ですね。
両岸は切り立っていますが、高巻きされた草付き斜面はどんな感じなのでしょうか。
その上には、さらに滝ですか。5枚目のお写真。凄い滝ですね。圧倒される光景ですね。どうやって巻くの?と思いました。
シャクナゲさまさまだったのですね。
そして、そのまた上も、滝、滝、滝ですか!やわらかな山容の百里ケ岳は、こんなにも険しい表情を秘めているのですね。
訪れて知ることが出来たお山の秘密の表情ですね。


草付きの斜面
草付きの斜面
さらに滝が・・・・
さらに滝が・・・・

まあ、とにかく驚きの渓相でした。あれほど大滝が連続しているとは。 :o
この区間は沢登りというより滝見物のルートでした。

7枚目の素敵な源流のお写真。険しい谷の最後には、こんなにも底抜けに明るく伸びやかなブナ林が広がっているのですね。
そう、百里ケ岳の南には、うつくしいブナ林が広がっていますね。


この源流は素晴らしかったです。遠敷川の総仕上げに相応しい源頭部でした。 :D


PA160116_1.JPG

山頂への最後の登りは急こう配ですね。地図を見ているだけで息切れしそう。食後はしんどいでしょうね。

ほぼ死にかけてました。 :mrgreen:

辿り着いた山頂からは、あらたな百里ケ岳を感じられたのでは。
行間からも、山日和さんの充実感が感じ取れます。


谷から百里に登ったのは初めてなので、今までとは違った感慨がありました。
積雪期、無雪期を問わず何度も登っている山頂ですが、ひと味違う充実感がありましたね。

東尾根は仕事が早い?歩きやすくて、ブナ林、展望地もあり、いい尾根ですね。

積雪期も早くて楽なコースですが、下山も時間が読めるので、ギリギリまで山頂でネバれます。 :lol:

百里沢は、ビックリ仰天の大滝が連続する谷だったのですね。
シャクナゲの花が咲く頃、木を掴んで、高巻き、高巻きで、私も味わいに行けるかな?
訪れるなら、やっぱり上根来からかな・・・。


PA160124_1.JPG

いつも花の時期に訪れたいものだと書いてますが、訪れたことがないのがあるあるですね。
わざわざ木地山から山越えというのはM向きです。 :mrgreen:

次の日曜日はオフ会ですね。天気予報は晴れ。楽しみです。よろしくお願いいたします。

天気の心配をしなくて良さそうでよかったです。 :D

                 山日和
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