【加越国境】大内谷川から火燈山・火燈古道へ
Posted: 2022年9月26日(月) 21:23
【日 付】2022年9月18日(日)
【山 域】加越国境 火燈山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】大内峠登山口8:30---9:10ナメ床---10:55スラブ滝---12:00ランチ場13:05---14:00加越国境稜線---
14:05火燈山14:50---15:45大内峠---16:00登山口
台風の接近もあり、全国的に天気の悪い3連休。奇跡のように晴れマークが出ていたエアポケットが石川・
福井県境の日本海に近い山域だった。
大内峠登山口の駐車場には既に7台ほどの車が止まっていた。ほぼ全員が富士写ヶ岳から小倉谷山、火燈山
の周回だろう。
こちらは火燈古道の入口を横目に、大内谷川への林道を進む。荒れ気味の林道を、流れへ下りるタイミングを
見計らいながら歩く。ちょっと気になったところで下りてみると、きれいなナメがあった。
当然のことながら植林帯なので、あまり雰囲気があるとは言えないが、やはりナメはいい。
この谷筋は廃村になった大内集落の仕事場だったようで、河岸台地には立派な石垣を組んだ田畑の跡が残さ
れている。
まったく平凡な流れを辿っていると、突然目を疑うような光景が現れた。驚くほど巨大な岩が両岸に峙った
ゴルジュの中を滝が落ちている。通過不能なので左岸を巻くと、その奥にも同じような巨岩のゴルジュが続い
ていた。それを過ぎると何ごともなかったかのように、再び凡流に戻ってしまう。
あのゴルジュはいったいなんだったのか。まるで白昼夢のような唐突な風景だった。
流れが退屈なので再び林道に上がって終点まで進むと、目の前に現れたのは川幅一杯に広がる舗装路のよう
なナメだった。朝日に照らされてキラキラと光るナメの美しさに陶然となる。
惜しむらくはわずか30mほどで終わってしまうことである。
その後は変化に飛んでいるとは言えないまでも、いくつかの小滝やナメが出迎えてくれた。
最近おなじみの花崗岩ではなく、7月に訪れた小倉谷同様の火山岩質の谷は造形が面白い。
一見手も足も出なさそうな10mほどのナメ滝も、近くでよく見れば小さな穴があり、目一杯手足を伸ばして這
い上がった。ツルツルに見える岩が意外にヌメりが無くフリクションが利くのがありがたい。
本日も体調はイマイチなので、谷の中で早めのランチタイムとする。毎回体調が良くないと言ってるが、実
はこれが本調子なのかもしれない。
加越国境稜線までまだ200mの標高差を残している。支谷の出合を確認しながら、火燈山東のコルへ出る谷を
選んで進んだ。この近辺の谷は、下手に支谷へ入るととんでもないスラブ滝に出くわしたりするのである。
まあ、それはそれで面白いと言えるのだが。
この谷も終盤でなかなかの見せ場が待っていた。トータルすると50mぐらいはありそうな岩溝状の連瀑帯で
ある。水量が少なくホールドも豊富なので快適に直登することができた。
沢芯が鬱陶しくなってきたので、左手の小尾根に逃げることにした。最初はヤブもなく、樹林の中をサクッと
上がれるかに見えたが、やがてシャクナゲのヤブやスラブ壁に遭遇。
シャクナゲの密度はなかなかのものだが、うまい具合に踏み跡らしきものがあるところもあり、モンキークラ
イムを交えながらヤブの弱点を突いて高度を稼ぐ。
まわりがブナ林になると、ようやく加越国境稜線に到着である。山頂東のコルよりも余分に登らされてしま
ったが、これはこれで良しである。
今年だけで3回目となった火燈山に到着。去年まで一度も登ったことがなかった山に突如スポットライトが
当たった感があるが、いずれも火燈山頂が目的だったわけではない。
しかし展望は良く、広大な福井平野が眼下に広がる様子は雄大だ。
標高は800mをわずかに超える低山だが、実にいい山である。
日陰は無いが風が強いので涼しく、のんびりと靴を履き替えコーヒータイムを楽しんだ。
山頂の脇に腰の高さぐらいの栗の木が数本生えていた。イガが独立した丸い形ではなく、合体していびつな
形になっていたのが面白い。
下山は数年前に復活した火燈古道を辿る。この道は山中から白山へと向かう古の信仰の道である。
長らく廃道になっていたものを、地元の人々が手を入れて登山道として復活させたのだ。
下り始めはブナ林が続き、その雰囲気の良さに驚いた。その後は雑木林の道となるが、実によく整備されてい
て楽しく歩くことができた。シャクナゲも多く、花の時期には目を楽しませてくれるだろう。
トンネルを通る車のエンジン音が聞こえてきた。山中峠は目の前だ。
この峠は戦国時代に一向一揆と朝倉氏の争いの要所となった、重要な峠であるらしい。登山口のある山中の集
落跡には関所が設けられていたようだ。
堀切となった峠にはシデの大木とお地蔵さまが一体、ひっそりと佇んで、往時を偲ぶよすがもない。
もう、5分も峠道を下れば登山口だ。変化に富んだ沢山旅の余韻に浸るには、いささか短すぎるエピローグだった。
山日和
【山 域】加越国境 火燈山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】大内峠登山口8:30---9:10ナメ床---10:55スラブ滝---12:00ランチ場13:05---14:00加越国境稜線---
14:05火燈山14:50---15:45大内峠---16:00登山口
台風の接近もあり、全国的に天気の悪い3連休。奇跡のように晴れマークが出ていたエアポケットが石川・
福井県境の日本海に近い山域だった。
大内峠登山口の駐車場には既に7台ほどの車が止まっていた。ほぼ全員が富士写ヶ岳から小倉谷山、火燈山
の周回だろう。
こちらは火燈古道の入口を横目に、大内谷川への林道を進む。荒れ気味の林道を、流れへ下りるタイミングを
見計らいながら歩く。ちょっと気になったところで下りてみると、きれいなナメがあった。
当然のことながら植林帯なので、あまり雰囲気があるとは言えないが、やはりナメはいい。
この谷筋は廃村になった大内集落の仕事場だったようで、河岸台地には立派な石垣を組んだ田畑の跡が残さ
れている。
まったく平凡な流れを辿っていると、突然目を疑うような光景が現れた。驚くほど巨大な岩が両岸に峙った
ゴルジュの中を滝が落ちている。通過不能なので左岸を巻くと、その奥にも同じような巨岩のゴルジュが続い
ていた。それを過ぎると何ごともなかったかのように、再び凡流に戻ってしまう。
あのゴルジュはいったいなんだったのか。まるで白昼夢のような唐突な風景だった。
流れが退屈なので再び林道に上がって終点まで進むと、目の前に現れたのは川幅一杯に広がる舗装路のよう
なナメだった。朝日に照らされてキラキラと光るナメの美しさに陶然となる。
惜しむらくはわずか30mほどで終わってしまうことである。
その後は変化に飛んでいるとは言えないまでも、いくつかの小滝やナメが出迎えてくれた。
最近おなじみの花崗岩ではなく、7月に訪れた小倉谷同様の火山岩質の谷は造形が面白い。
一見手も足も出なさそうな10mほどのナメ滝も、近くでよく見れば小さな穴があり、目一杯手足を伸ばして這
い上がった。ツルツルに見える岩が意外にヌメりが無くフリクションが利くのがありがたい。
本日も体調はイマイチなので、谷の中で早めのランチタイムとする。毎回体調が良くないと言ってるが、実
はこれが本調子なのかもしれない。
加越国境稜線までまだ200mの標高差を残している。支谷の出合を確認しながら、火燈山東のコルへ出る谷を
選んで進んだ。この近辺の谷は、下手に支谷へ入るととんでもないスラブ滝に出くわしたりするのである。
まあ、それはそれで面白いと言えるのだが。
この谷も終盤でなかなかの見せ場が待っていた。トータルすると50mぐらいはありそうな岩溝状の連瀑帯で
ある。水量が少なくホールドも豊富なので快適に直登することができた。
沢芯が鬱陶しくなってきたので、左手の小尾根に逃げることにした。最初はヤブもなく、樹林の中をサクッと
上がれるかに見えたが、やがてシャクナゲのヤブやスラブ壁に遭遇。
シャクナゲの密度はなかなかのものだが、うまい具合に踏み跡らしきものがあるところもあり、モンキークラ
イムを交えながらヤブの弱点を突いて高度を稼ぐ。
まわりがブナ林になると、ようやく加越国境稜線に到着である。山頂東のコルよりも余分に登らされてしま
ったが、これはこれで良しである。
今年だけで3回目となった火燈山に到着。去年まで一度も登ったことがなかった山に突如スポットライトが
当たった感があるが、いずれも火燈山頂が目的だったわけではない。
しかし展望は良く、広大な福井平野が眼下に広がる様子は雄大だ。
標高は800mをわずかに超える低山だが、実にいい山である。
日陰は無いが風が強いので涼しく、のんびりと靴を履き替えコーヒータイムを楽しんだ。
山頂の脇に腰の高さぐらいの栗の木が数本生えていた。イガが独立した丸い形ではなく、合体していびつな
形になっていたのが面白い。
下山は数年前に復活した火燈古道を辿る。この道は山中から白山へと向かう古の信仰の道である。
長らく廃道になっていたものを、地元の人々が手を入れて登山道として復活させたのだ。
下り始めはブナ林が続き、その雰囲気の良さに驚いた。その後は雑木林の道となるが、実によく整備されてい
て楽しく歩くことができた。シャクナゲも多く、花の時期には目を楽しませてくれるだろう。
トンネルを通る車のエンジン音が聞こえてきた。山中峠は目の前だ。
この峠は戦国時代に一向一揆と朝倉氏の争いの要所となった、重要な峠であるらしい。登山口のある山中の集
落跡には関所が設けられていたようだ。
堀切となった峠にはシデの大木とお地蔵さまが一体、ひっそりと佇んで、往時を偲ぶよすがもない。
もう、5分も峠道を下れば登山口だ。変化に富んだ沢山旅の余韻に浸るには、いささか短すぎるエピローグだった。
山日和