【奥美濃】三田倉谷左俣から鍋倉山
Posted: 2022年8月29日(月) 21:17
【日 付】2022年8月27日(土)
【山 域】奥美濃 鍋倉山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】あまご亭奥駐車地8:00---8:15右俣出合--8:50高巻き終了点---12:35鍋倉山避難小屋13:55---14:05鍋倉山
---15:20三角点瀬倉---16:20林道---16:45駐車地
こんな山の中にわざわざアマゴ料理を食べにくる客がいるのだろうか、と思うところにあまご亭は建っていた。
とは言っても、国道から10分ほど入るだけなので、知っている人は来るのだろう。通りすがりの一見客は期待で
きないだろうが。
三田倉谷は10年ほど前、兔夢ちゃんが「予想外の美渓」と評した谷である。レポを読んで以来ずっと気になっ
ていたのだが、後回しになってしまっていた。
あまご亭の先に駐車して歩き出す。林道はやがて植林の中の杣道となって谷の奥へ続いて行く。道沿いに黒い
導水管が延びており、ところどころ破損した部分から「プシュー」という音を立てていた。
地形図にも描かれているこの道がどこまで続くのか興味があったが、20mほど下を流れる三田倉谷の雰囲気が良
さげだったので水辺に下りた。
すぐに左俣と中俣の二俣となり、左俣に入る。深い淵を持つ2m滝を左からへつって、
水流横の苔むした大岩をタワシで苔をこそげ落として這い上がる。
二条の斜瀑を越えると目の前に現れたのは勢い良く放物線を描く5mほどの滝。両岸は高くゴルジュとなり、
滝身は取り付く島もない。左岸の高いところに石垣が見えた。先ほどの杣道がここまで続いているようだ。
あちらへ上がれば問題ないだろうが、右岸の斜面が上がりやすそうに見えたのでチェーンスパイクを履いてルン
ゼ状の斜面に取り付いた。しかしこれが大間違いで、ズルズルの斜面とホールドの乏しいシビアなトラバースで
落ち口のはるか上まで追い上げられてしまった。
なんとか懸垂せずに済むラインを見つけて谷に復帰。余計なアトラクションで嫌な汗をたっぷりかかされた。
二俣から距離にして200mも歩いていないのに30分が経過している。こんな調子で最後まで遡行できるのだろうか。
その後は適度に小滝とナメ、時折ゴルジュの花崗岩の明るい谷が続く。
意外にも植林が入っておらず、美しい渓相に顔がほころんだ。先月歩いた大仲津谷や加野内谷に勝るとも劣らな
い谷だろう。
加野内谷のような目を瞠るような巨大なトチはないが、水辺に佇む実に雰囲気のあるトチの古木に心癒される。
トチよりもこの谷を特徴付けるのはサワグルミの森だろう。
巨木はないが、かたまって立つ樹高の高いサワグルミの森はなかなかのものだ。
炭焼き窯跡が多いのは奥美濃の谷では普通だが、この谷の窯は大きく、長方形のものが目を惹いた。
いわゆるゴーロと呼ばれる平流地帯も多く、沢屋には物足りないところだろうが、やはり自然林の谷は美しい。
少し冗長になりかけたところで小さな3連瀑と対面する。傾斜が緩いので気持ち良く直登。
この谷はこういう滝が多く、ほとんどの滝は直登可能だ。
その後も斜瀑が続き、片っ端から直登できるので実に楽しい。間隔を置いて現れる炭焼き窯跡がいいアクセン
トになっている。
谷もいよいよ終盤に入って来た。稜線に向かって緩やかに伸びて行く谷はいつものように岩盤ではなかった。
いつのまにか岩質が変わったようで、花崗岩は姿を消し、石灰岩の山になっていたようである。
ほとんどヤブもないままに東海自然歩道に飛び出した。まさに高速道路並みの広い道である。
鍋倉山の避難小屋でランチタイムとしよう。
ここを訪れるは16年振りだ。積雪期で、初めて買ったGPSを2ヶ月ほどで落としてしまった苦い思い出がある。
立派な避難小屋の前のベンチでランチタイム。今日は晴れの予報だったがここまでずっと曇り空だ。おかげで
今日も暑さ知らずの低山である。
下山は西津汲経由という選択肢もあったが、よりイージーな三田倉谷右岸尾根を選んだ。
鍋倉山頂から少し東海自然歩道を進んで北向きの尾根に入った。(地形図の破線路は間違っている)どの程度のヤ
ブかがポイントだったが、幸い障害となるほどのヤブは無く、それなりに歩きやすい尾根が続いた。
ただ林相は植林ではないという程度で可もなく不可もなしと言ったところか。
910m標高点の手前あたりから少し樹林の雰囲気が良くなってきた。ここから860.5mの三角点瀬倉までがまず
まずと言える区間か。ブナはほとんど期待できないのが物足りないところではある。
この尾根を末端まで進んでしまうととんでもない遠回りになってしまう。三田倉谷右俣の林道へ伸びる支尾根
への下降点が大きなポイントだ。
尾根の下り口はかなり難しく、一度外してトラバース。目的の尾根に乗ってからも次の分岐を見落として、予定
より一本西の尾根を下ることになった。
相当な急傾斜の尾根で大岩も現れ、ルートを探りながら進むのはちょっとしたバリハイ気分だ。なんとなく鈴鹿
のバリ尾根を歩いているような錯覚を覚える。
最後は植林と杣道が現れてひと安心したものの、林道の法面に阻まれてしまう。
ロープを出して下ろうとしたが、下を覗き込むとどうもハングしているようだ。ハーネスはザックの底にしまい
込んだ。少しトラバース気味に戻って探ると歩いて下りられる場所を見つけてホッとひと息。
さっき下りようとした場所はとんでもないガケで、あのまま下りなくて良かったと胸をなで下ろした。
急がば回れである。
山日和
【山 域】奥美濃 鍋倉山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】あまご亭奥駐車地8:00---8:15右俣出合--8:50高巻き終了点---12:35鍋倉山避難小屋13:55---14:05鍋倉山
---15:20三角点瀬倉---16:20林道---16:45駐車地
こんな山の中にわざわざアマゴ料理を食べにくる客がいるのだろうか、と思うところにあまご亭は建っていた。
とは言っても、国道から10分ほど入るだけなので、知っている人は来るのだろう。通りすがりの一見客は期待で
きないだろうが。
三田倉谷は10年ほど前、兔夢ちゃんが「予想外の美渓」と評した谷である。レポを読んで以来ずっと気になっ
ていたのだが、後回しになってしまっていた。
あまご亭の先に駐車して歩き出す。林道はやがて植林の中の杣道となって谷の奥へ続いて行く。道沿いに黒い
導水管が延びており、ところどころ破損した部分から「プシュー」という音を立てていた。
地形図にも描かれているこの道がどこまで続くのか興味があったが、20mほど下を流れる三田倉谷の雰囲気が良
さげだったので水辺に下りた。
すぐに左俣と中俣の二俣となり、左俣に入る。深い淵を持つ2m滝を左からへつって、
水流横の苔むした大岩をタワシで苔をこそげ落として這い上がる。
二条の斜瀑を越えると目の前に現れたのは勢い良く放物線を描く5mほどの滝。両岸は高くゴルジュとなり、
滝身は取り付く島もない。左岸の高いところに石垣が見えた。先ほどの杣道がここまで続いているようだ。
あちらへ上がれば問題ないだろうが、右岸の斜面が上がりやすそうに見えたのでチェーンスパイクを履いてルン
ゼ状の斜面に取り付いた。しかしこれが大間違いで、ズルズルの斜面とホールドの乏しいシビアなトラバースで
落ち口のはるか上まで追い上げられてしまった。
なんとか懸垂せずに済むラインを見つけて谷に復帰。余計なアトラクションで嫌な汗をたっぷりかかされた。
二俣から距離にして200mも歩いていないのに30分が経過している。こんな調子で最後まで遡行できるのだろうか。
その後は適度に小滝とナメ、時折ゴルジュの花崗岩の明るい谷が続く。
意外にも植林が入っておらず、美しい渓相に顔がほころんだ。先月歩いた大仲津谷や加野内谷に勝るとも劣らな
い谷だろう。
加野内谷のような目を瞠るような巨大なトチはないが、水辺に佇む実に雰囲気のあるトチの古木に心癒される。
トチよりもこの谷を特徴付けるのはサワグルミの森だろう。
巨木はないが、かたまって立つ樹高の高いサワグルミの森はなかなかのものだ。
炭焼き窯跡が多いのは奥美濃の谷では普通だが、この谷の窯は大きく、長方形のものが目を惹いた。
いわゆるゴーロと呼ばれる平流地帯も多く、沢屋には物足りないところだろうが、やはり自然林の谷は美しい。
少し冗長になりかけたところで小さな3連瀑と対面する。傾斜が緩いので気持ち良く直登。
この谷はこういう滝が多く、ほとんどの滝は直登可能だ。
その後も斜瀑が続き、片っ端から直登できるので実に楽しい。間隔を置いて現れる炭焼き窯跡がいいアクセン
トになっている。
谷もいよいよ終盤に入って来た。稜線に向かって緩やかに伸びて行く谷はいつものように岩盤ではなかった。
いつのまにか岩質が変わったようで、花崗岩は姿を消し、石灰岩の山になっていたようである。
ほとんどヤブもないままに東海自然歩道に飛び出した。まさに高速道路並みの広い道である。
鍋倉山の避難小屋でランチタイムとしよう。
ここを訪れるは16年振りだ。積雪期で、初めて買ったGPSを2ヶ月ほどで落としてしまった苦い思い出がある。
立派な避難小屋の前のベンチでランチタイム。今日は晴れの予報だったがここまでずっと曇り空だ。おかげで
今日も暑さ知らずの低山である。
下山は西津汲経由という選択肢もあったが、よりイージーな三田倉谷右岸尾根を選んだ。
鍋倉山頂から少し東海自然歩道を進んで北向きの尾根に入った。(地形図の破線路は間違っている)どの程度のヤ
ブかがポイントだったが、幸い障害となるほどのヤブは無く、それなりに歩きやすい尾根が続いた。
ただ林相は植林ではないという程度で可もなく不可もなしと言ったところか。
910m標高点の手前あたりから少し樹林の雰囲気が良くなってきた。ここから860.5mの三角点瀬倉までがまず
まずと言える区間か。ブナはほとんど期待できないのが物足りないところではある。
この尾根を末端まで進んでしまうととんでもない遠回りになってしまう。三田倉谷右俣の林道へ伸びる支尾根
への下降点が大きなポイントだ。
尾根の下り口はかなり難しく、一度外してトラバース。目的の尾根に乗ってからも次の分岐を見落として、予定
より一本西の尾根を下ることになった。
相当な急傾斜の尾根で大岩も現れ、ルートを探りながら進むのはちょっとしたバリハイ気分だ。なんとなく鈴鹿
のバリ尾根を歩いているような錯覚を覚える。
最後は植林と杣道が現れてひと安心したものの、林道の法面に阻まれてしまう。
ロープを出して下ろうとしたが、下を覗き込むとどうもハングしているようだ。ハーネスはザックの底にしまい
込んだ。少しトラバース気味に戻って探ると歩いて下りられる場所を見つけてホッとひと息。
さっき下りようとした場所はとんでもないガケで、あのまま下りなくて良かったと胸をなで下ろした。
急がば回れである。
山日和