【奥美濃】三田倉谷左俣から鍋倉山

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥美濃】三田倉谷左俣から鍋倉山

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2022年8月27日(土)
【山 域】奥美濃 鍋倉山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】あまご亭奥駐車地8:00---8:15右俣出合--8:50高巻き終了点---12:35鍋倉山避難小屋13:55---14:05鍋倉山
     ---15:20三角点瀬倉---16:20林道---16:45駐車地

 こんな山の中にわざわざアマゴ料理を食べにくる客がいるのだろうか、と思うところにあまご亭は建っていた。
とは言っても、国道から10分ほど入るだけなので、知っている人は来るのだろう。通りすがりの一見客は期待で
きないだろうが。
 三田倉谷は10年ほど前、兔夢ちゃんが「予想外の美渓」と評した谷である。レポを読んで以来ずっと気になっ
ていたのだが、後回しになってしまっていた。

P8270005_1.JPG

 あまご亭の先に駐車して歩き出す。林道はやがて植林の中の杣道となって谷の奥へ続いて行く。道沿いに黒い
導水管が延びており、ところどころ破損した部分から「プシュー」という音を立てていた。
地形図にも描かれているこの道がどこまで続くのか興味があったが、20mほど下を流れる三田倉谷の雰囲気が良
さげだったので水辺に下りた。
 すぐに左俣と中俣の二俣となり、左俣に入る。深い淵を持つ2m滝を左からへつって、
水流横の苔むした大岩をタワシで苔をこそげ落として這い上がる。


P8270023_1.JPG

 二条の斜瀑を越えると目の前に現れたのは勢い良く放物線を描く5mほどの滝。両岸は高くゴルジュとなり、
滝身は取り付く島もない。左岸の高いところに石垣が見えた。先ほどの杣道がここまで続いているようだ。
あちらへ上がれば問題ないだろうが、右岸の斜面が上がりやすそうに見えたのでチェーンスパイクを履いてルン
ゼ状の斜面に取り付いた。しかしこれが大間違いで、ズルズルの斜面とホールドの乏しいシビアなトラバースで
落ち口のはるか上まで追い上げられてしまった。
なんとか懸垂せずに済むラインを見つけて谷に復帰。余計なアトラクションで嫌な汗をたっぷりかかされた。
二俣から距離にして200mも歩いていないのに30分が経過している。こんな調子で最後まで遡行できるのだろうか。


P8270053_1.JPG

 その後は適度に小滝とナメ、時折ゴルジュの花崗岩の明るい谷が続く。
意外にも植林が入っておらず、美しい渓相に顔がほころんだ。先月歩いた大仲津谷や加野内谷に勝るとも劣らな
い谷だろう。
 加野内谷のような目を瞠るような巨大なトチはないが、水辺に佇む実に雰囲気のあるトチの古木に心癒される。
トチよりもこの谷を特徴付けるのはサワグルミの森だろう。
巨木はないが、かたまって立つ樹高の高いサワグルミの森はなかなかのものだ。

P8270069_1.JPG
P8270072_1.JPG

 炭焼き窯跡が多いのは奥美濃の谷では普通だが、この谷の窯は大きく、長方形のものが目を惹いた。
いわゆるゴーロと呼ばれる平流地帯も多く、沢屋には物足りないところだろうが、やはり自然林の谷は美しい。
少し冗長になりかけたところで小さな3連瀑と対面する。傾斜が緩いので気持ち良く直登。
この谷はこういう滝が多く、ほとんどの滝は直登可能だ。

P8270103_1.JPG
P8270141_1.JPG

 その後も斜瀑が続き、片っ端から直登できるので実に楽しい。間隔を置いて現れる炭焼き窯跡がいいアクセン
トになっている。
 谷もいよいよ終盤に入って来た。稜線に向かって緩やかに伸びて行く谷はいつものように岩盤ではなかった。
いつのまにか岩質が変わったようで、花崗岩は姿を消し、石灰岩の山になっていたようである。

 ほとんどヤブもないままに東海自然歩道に飛び出した。まさに高速道路並みの広い道である。
鍋倉山の避難小屋でランチタイムとしよう。
 ここを訪れるは16年振りだ。積雪期で、初めて買ったGPSを2ヶ月ほどで落としてしまった苦い思い出がある。
立派な避難小屋の前のベンチでランチタイム。今日は晴れの予報だったがここまでずっと曇り空だ。おかげで
今日も暑さ知らずの低山である。


P8270190_1.JPG

 下山は西津汲経由という選択肢もあったが、よりイージーな三田倉谷右岸尾根を選んだ。
鍋倉山頂から少し東海自然歩道を進んで北向きの尾根に入った。(地形図の破線路は間違っている)どの程度のヤ
ブかがポイントだったが、幸い障害となるほどのヤブは無く、それなりに歩きやすい尾根が続いた。
ただ林相は植林ではないという程度で可もなく不可もなしと言ったところか。

 910m標高点の手前あたりから少し樹林の雰囲気が良くなってきた。ここから860.5mの三角点瀬倉までがまず
まずと言える区間か。ブナはほとんど期待できないのが物足りないところではある。
 この尾根を末端まで進んでしまうととんでもない遠回りになってしまう。三田倉谷右俣の林道へ伸びる支尾根
への下降点が大きなポイントだ。
尾根の下り口はかなり難しく、一度外してトラバース。目的の尾根に乗ってからも次の分岐を見落として、予定
より一本西の尾根を下ることになった。
相当な急傾斜の尾根で大岩も現れ、ルートを探りながら進むのはちょっとしたバリハイ気分だ。なんとなく鈴鹿
のバリ尾根を歩いているような錯覚を覚える。


P8270233_1.JPG

 最後は植林と杣道が現れてひと安心したものの、林道の法面に阻まれてしまう。
ロープを出して下ろうとしたが、下を覗き込むとどうもハングしているようだ。ハーネスはザックの底にしまい
込んだ。少しトラバース気味に戻って探ると歩いて下りられる場所を見つけてホッとひと息。
さっき下りようとした場所はとんでもないガケで、あのまま下りなくて良かったと胸をなで下ろした。
急がば回れである。

                    山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥美濃】三田倉谷左俣から鍋倉山

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
日中はまだまだ暑いですが、朝晩は幾分しのぎやすくなりましたね。
先週末は少し前の天気予報では雨。お籠りかなと思っていたのですが好転してうれしかったです。
初めてのお山、鍋倉山を、谷を遡り味わうことが出来ました。

登山口は「あまご亭」とお聞きした時、『冬虫夏草』のイワナの夫婦の顔が浮かび上がり、
アマゴのご夫婦が営むお宿!?とドキドキ。アマゴのフルコースを楽しめる料亭だったのですね。
帰りに建物の中を覗くと、テーブル席が並ぶおしゃれな感じのお部屋で、想像したのとは違う雰囲気のお店でした(笑)

標高800mまで杣道?破線が記されている三田倉谷。
地図を眺めながら、山人の息遣いを感じる谷なのだろうなぁ、と思いました。
最初は林道歩き。導水管の裂け目から吹き出る水しぶきの音はすさまじかったですね。
直さなくて大丈夫なのかなと心配になりました。
谷を見下ろすと、しっとり情趣に満ちた流れ。
高揚感に包まれ、はやる気持ちを抑えながら谷に降り立ちました。

大岩、斜瀑・・・ワクワク越える場面も続いていきましたね。
ゴルジュの中の5mの滝が目の前に現れた時は、これは無理だ、と。
杣道まで登らなければならないなぁ、と思っていたら、山日和さん、右岸のルンゼ状の急斜面を登るとおっしゃったので、
一瞬、えっ?となりました。でも、的確なルート取りのおかげで落ち着いて進めました。
ズルズルの斜面のトラバースは緊張しましたが、木の根っこをほじくり出して指先をひっかけてソロソロと。
無事着地してニッコリ。面白かったです。山日和さんの後ろを辿らせていただいたからですが。

この滝の後は、楽しく登れる滝が続きましたね。躍動感ある清冽な流れと、爽やかな緑の森。
明るくうつくしい谷でした。次々と現れる炭焼き窯の跡も印象的でした。
窯跡のとなりにも石積みがあり、時山のお山の炭焼き窯跡と形態が似ていましたね。
この谷は、炭焼きの谷だったのですね。破線は炭焼きの道。
見上げた木々の緑の葉の間を通る風に、かすかに煙の面影を感じました。

詰めは、雰囲気のよい方へ。
標高910m二俣は左に、最後も左へと進み、山頂南の鞍部にポンと出ましたね。
飛び出た登山道もブナの林を縫う気持ちのいい道でした。

お昼ご飯は、山日和さんの思い出の場所で。
鍋倉山は山日和さんにとって、高価なGPSを落としてしまった思い出深いお山だったのですね。
16年も前からGPSをお持ちだったのですね。私はその頃は、携帯電話もパソコンも持っていませんでした(笑)。

下りの尾根は、枯れたササが目立ち、パキパキ音を立てながらの下りでした。
ササ枯れ現象が起こっているのでしょうか。

標高720m辺りから支尾根へは、気を付けていたのに、となりの尾根に導かれてしまいましたね。
この尾根は谷にぶつかってしまうので直ぐに気づいてよかったです。
その次も予定と違う方の尾根に導かれてしまいました。今度はこのまま下ることに。
ちっちゃなこの尾根はめっけもんでした。面白かったです。
懸念していた林道着地は、急がば回れで安全に着地出来てホッとしました。
ロープを使えば大丈夫、と、あの崖を降りなくてよかったですね。
上から見た時は、それほど高さも感じませんでしたが、とんでもない崖でしたね。

いいお山、いい谷に出会えた素敵な山旅でした。
ありがとうございました。
日坂越の道や、廃村谷山からの道も気になります。いつか歩こうと思いました。

sato
アバター
山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】三田倉谷左俣から鍋倉山

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。お疲れさまでした。

先週末は少し前の天気予報では雨。お籠りかなと思っていたのですが好転してうれしかったです。

最近の天気予報は全然あてになりませんね。
1週間前の予報を信じたら計画できません。

登山口は「あまご亭」とお聞きした時、『冬虫夏草』のイワナの夫婦の顔が浮かび上がり、
アマゴのご夫婦が営むお宿!?とドキドキ。アマゴのフルコースを楽しめる料亭だったのですね。

そんな発想をするのはsatoさんだけでしょう :lol:

標高800mまで杣道?破線が記されている三田倉谷。
地図を眺めながら、山人の息遣いを感じる谷なのだろうなぁ、と思いました。


破線路あるあるで、道なんかないだろうと思ってましたよ。 :mrgreen:

最初は林道歩き。導水管の裂け目から吹き出る水しぶきの音はすさまじかったですね。
直さなくて大丈夫なのかなと心配になりました。

多少漏れても大勢に影響ないんでしょう。
音が大きいのは割れ目が小さいからですね。 :lol:

大岩、斜瀑・・・ワクワク越える場面も続いていきましたね。
ゴルジュの中の5mの滝が目の前に現れた時は、これは無理だ、と。


意外に手強い谷なのかもと思いましたね。

P8270026_1.JPG

杣道まで登らなければならないなぁ、と思っていたら、山日和さん、右岸のルンゼ状の急斜面を登るとおっしゃったので、
一瞬、えっ?となりました。でも、的確なルート取りのおかげで落ち着いて進めました。
ズルズルの斜面のトラバースは緊張しましたが、木の根っこをほじくり出して指先をひっかけてソロソロと。
無事着地してニッコリ。面白かったです。山日和さんの後ろを辿らせていただいたからですが。


なかなかのアトラクションでした。 :mrgreen:
チェーンスパイク無しでは恐くてとても歩けない斜面でしたね。


P8270037_1.JPG
P8270148_1.JPG

この滝の後は、楽しく登れる滝が続きましたね。躍動感ある清冽な流れと、爽やかな緑の森。
明るくうつくしい谷でした。次々と現れる炭焼き窯の跡も印象的でした。
窯跡のとなりにも石積みがあり、時山のお山の炭焼き窯跡と形態が似ていましたね。
この谷は、炭焼きの谷だったのですね。破線は炭焼きの道。
見上げた木々の緑の葉の間を通る風に、かすかに煙の面影を感じました。


悪かったのは最初の巻きだけ(対岸から巻いたらそれすらもなかったかも)でした。
その後は実に美しく楽しい渓相が続きましたね。
炭焼き窯跡の佇まいもしっしりとして趣きがありました。


P8270072_1.JPG
P8270153_1.JPG

詰めは、雰囲気のよい方へ。
標高910m二俣は左に、最後も左へと進み、山頂南の鞍部にポンと出ましたね。
飛び出た登山道もブナの林を縫う気持ちのいい道でした。


山頂ダイレクトにするかその場で決めようと思ってましたが、鞍部へ向かう谷の方が雰囲気がよかったですね。
登山道はさすがに東海自然歩道だけあって、立派過ぎるぐらいのみちでした。

お昼ご飯は、山日和さんの思い出の場所で。
鍋倉山は山日和さんにとって、高価なGPSを落としてしまった思い出深いお山だったのですね。
16年も前からGPSをお持ちだったのですね。私はその頃は、携帯電話もパソコンも持っていませんでした(笑)。


ここで落としたわけではないので思い出の場所ではありません。 :mrgreen:


P8270190_1.JPG

下りの尾根は、枯れたササが目立ち、パキパキ音を立てながらの下りでした。
ササ枯れ現象が起こっているのでしょうか。


枯れたササの残骸が散らばっている風景はちょっと異様でしたね。

標高720m辺りから支尾根へは、気を付けていたのに、となりの尾根に導かれてしまいましたね。
この尾根は谷にぶつかってしまうので直ぐに気づいてよかったです。


なぜか私のGPSが違う場所を示してました。反省です。 :oops:

P8270233_1.JPG

その次も予定と違う方の尾根に導かれてしまいました。今度はこのまま下ることに。
ちっちゃなこの尾根はめっけもんでした。面白かったです。


目的の尾根の分岐はさっぱりわかりませんでしたね。
鈴鹿の水晶岳東尾根を思い出しました。 :D

懸念していた林道着地は、急がば回れで安全に着地出来てホッとしました。
ロープを使えば大丈夫、と、あの崖を降りなくてよかったですね。
上から見た時は、それほど高さも感じませんでしたが、とんでもない崖でしたね。

下りてたらロープが足りなかったかも :mrgreen:

                 山日和
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