【奥美濃】トチの巨木と花崗岩の美渓 加野内谷を歩く
Posted: 2022年8月03日(水) 21:22
【日 付】2022年7月30日(土)
【山 域】奥美濃 粕川西谷周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】西谷林道駐車地7:35---9:05二俣---11:50源頭部ランチ場13:20---13:35江美国境稜線---14:10支尾根下降点
---14:55二俣---16:00駐車地
もっと早く訪れたらよかった。加野内谷はそう思わせてくれる美しい谷だった。
先週に続いて奥美濃の花崗岩の谷を歩く。揖斐川の支流、粕川西谷の支流である加野内谷は、まさに癒しの谷だった。
この谷の上流側には沢登り愛好家には有名な竹屋谷がある。
竹屋谷を遡行して北谷を下るというゴールデンコースは4度も歩いているのに、他の支流には入ったことがなかった。
加野内谷の名前を知ったのはもう20年ぐらい前だろうか。岳人にガイド記事が載っていて、良さげな谷だなと思って
切り抜きを置いていたのだが、ずっと後回しになっていたのである。
西谷沿いの林道を走って行くと、支流の一つひとつに谷の名前を書いた看板があってわかりやすい。
「かのうち谷」と書かれた看板から杣道に入る。この杣道は切れ切れながらもCa690mの二俣まで続いていた。
但し、何度も渡渉を強いられるので、足を濡らさずに歩くことは不可能である。
杣道から見下ろす谷にナメが見えたところで下降する。植林の入った谷だが、よく手入れされていて暗さがない
のがいい。それにまったくの杉林というわけでもなく、水辺には自然林が残されているのもプラスポイントだ。
穏やかな流れを進むと白い花崗岩を滑るように流れるナメと、小さいながらも美しい滝が次々に現れる。
そして何よりこの谷の美しさを引き立てているのはトチの存在だ。
目を瞠るようなトチの巨木が水辺を飾る。竹屋谷もトチが目立ったが、加野内谷はまさにトチの森を流れる谷で
ある。炭焼き窯跡も散見され、古くからの生活の場であったこともわかる。
それともうひとつの特筆すべきところは大きな岩の多さだ。びっくりするような巨岩がゴロゴロしている。
二階建ての家ぐらいあるような岩が流れを分断しているところもあり、ルートを探るのも楽しい。
沢登りという意味では物足りない谷だろうが、今の自分にはこんな谷の方が心にフィットすると言える。
先週同様、ヌメりはまったく無くフリクション抜群のナメを歩くのは楽しい。岩壁を彩るイワタバコはようやく
眠りから覚めたようだ。
いくつか出くわす二俣の佇まいもそれぞれに美しい。
上流では谷幅一杯のスラブ状の滝が続いて驚かされた。傾斜が緩く水量も少ないので問題なく直登することが
できる。
源流の手前で格好のランチ場があったので、早めのランチタイムとした。
稜線まではもう100mの標高差も残っていないので、多少千鳥足でも大丈夫だろう。
今日も谷では暑さ知らず。日差しが恋しいぐらいである。
源頭部に入ると花崗岩の砂ザレが目立つ。遠目に見るとフリクションのいいスラブ壁みたいだが、実際には足
を置くと崩れてズルズル滑る砂ザレだった。このあたりは地形図の崩壊地記号通りだ。
最後の砂ザレと樹林帯の境をひと登りすれば江美国境稜線である。
登山道は滋賀県側斜面をトラバースするように付けられている。
Ca1130mピークから先は未踏の尾根だったが、意外にいいブナ林が残されていた。
1013m標高点の手前から支尾根に入る。この尾根は加野内谷のCa690mの二俣へ延びており、そこからは杣道を
使って楽に下山しようという算段である。
この尾根は取り立てて素晴らしいわけではないが、ヤブもない歩きやすいルートだった。
途中からは掘り込まれた道型が現れて驚く。かつては山仕事に使われていた道なのだろうか。
問題なく二俣まで下って杣道を辿るが、何か所もの崩壊と渡渉地点選びでルート取りに頭を使わされた。
登りでは水流沿いに歩いたところを巻き下ると、新たなトチとの出会いがあったりして面白い。
ランチ場で登山靴に履き替えていたが、最後は委細構わずヤケクソでそのまま渡渉する。さすがに遡行するより
早く、二俣から1時間足らずで駐車地へ戻ってきた。
日陰のない駐車地では着替えても流れる汗が止まらず、今日は暑い日だったことを思い出した。
山日和
【山 域】奥美濃 粕川西谷周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】西谷林道駐車地7:35---9:05二俣---11:50源頭部ランチ場13:20---13:35江美国境稜線---14:10支尾根下降点
---14:55二俣---16:00駐車地
もっと早く訪れたらよかった。加野内谷はそう思わせてくれる美しい谷だった。
先週に続いて奥美濃の花崗岩の谷を歩く。揖斐川の支流、粕川西谷の支流である加野内谷は、まさに癒しの谷だった。
この谷の上流側には沢登り愛好家には有名な竹屋谷がある。
竹屋谷を遡行して北谷を下るというゴールデンコースは4度も歩いているのに、他の支流には入ったことがなかった。
加野内谷の名前を知ったのはもう20年ぐらい前だろうか。岳人にガイド記事が載っていて、良さげな谷だなと思って
切り抜きを置いていたのだが、ずっと後回しになっていたのである。
西谷沿いの林道を走って行くと、支流の一つひとつに谷の名前を書いた看板があってわかりやすい。
「かのうち谷」と書かれた看板から杣道に入る。この杣道は切れ切れながらもCa690mの二俣まで続いていた。
但し、何度も渡渉を強いられるので、足を濡らさずに歩くことは不可能である。
杣道から見下ろす谷にナメが見えたところで下降する。植林の入った谷だが、よく手入れされていて暗さがない
のがいい。それにまったくの杉林というわけでもなく、水辺には自然林が残されているのもプラスポイントだ。
穏やかな流れを進むと白い花崗岩を滑るように流れるナメと、小さいながらも美しい滝が次々に現れる。
そして何よりこの谷の美しさを引き立てているのはトチの存在だ。
目を瞠るようなトチの巨木が水辺を飾る。竹屋谷もトチが目立ったが、加野内谷はまさにトチの森を流れる谷で
ある。炭焼き窯跡も散見され、古くからの生活の場であったこともわかる。
それともうひとつの特筆すべきところは大きな岩の多さだ。びっくりするような巨岩がゴロゴロしている。
二階建ての家ぐらいあるような岩が流れを分断しているところもあり、ルートを探るのも楽しい。
沢登りという意味では物足りない谷だろうが、今の自分にはこんな谷の方が心にフィットすると言える。
先週同様、ヌメりはまったく無くフリクション抜群のナメを歩くのは楽しい。岩壁を彩るイワタバコはようやく
眠りから覚めたようだ。
いくつか出くわす二俣の佇まいもそれぞれに美しい。
上流では谷幅一杯のスラブ状の滝が続いて驚かされた。傾斜が緩く水量も少ないので問題なく直登することが
できる。
源流の手前で格好のランチ場があったので、早めのランチタイムとした。
稜線まではもう100mの標高差も残っていないので、多少千鳥足でも大丈夫だろう。
今日も谷では暑さ知らず。日差しが恋しいぐらいである。
源頭部に入ると花崗岩の砂ザレが目立つ。遠目に見るとフリクションのいいスラブ壁みたいだが、実際には足
を置くと崩れてズルズル滑る砂ザレだった。このあたりは地形図の崩壊地記号通りだ。
最後の砂ザレと樹林帯の境をひと登りすれば江美国境稜線である。
登山道は滋賀県側斜面をトラバースするように付けられている。
Ca1130mピークから先は未踏の尾根だったが、意外にいいブナ林が残されていた。
1013m標高点の手前から支尾根に入る。この尾根は加野内谷のCa690mの二俣へ延びており、そこからは杣道を
使って楽に下山しようという算段である。
この尾根は取り立てて素晴らしいわけではないが、ヤブもない歩きやすいルートだった。
途中からは掘り込まれた道型が現れて驚く。かつては山仕事に使われていた道なのだろうか。
問題なく二俣まで下って杣道を辿るが、何か所もの崩壊と渡渉地点選びでルート取りに頭を使わされた。
登りでは水流沿いに歩いたところを巻き下ると、新たなトチとの出会いがあったりして面白い。
ランチ場で登山靴に履き替えていたが、最後は委細構わずヤケクソでそのまま渡渉する。さすがに遡行するより
早く、二俣から1時間足らずで駐車地へ戻ってきた。
日陰のない駐車地では着替えても流れる汗が止まらず、今日は暑い日だったことを思い出した。
山日和