【奥美濃】トチの巨木と花崗岩の美渓 加野内谷を歩く

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥美濃】トチの巨木と花崗岩の美渓 加野内谷を歩く

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2022年7月30日(土)
【山 域】奥美濃 粕川西谷周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】西谷林道駐車地7:35---9:05二俣---11:50源頭部ランチ場13:20---13:35江美国境稜線---14:10支尾根下降点
     ---14:55二俣---16:00駐車地

 もっと早く訪れたらよかった。加野内谷はそう思わせてくれる美しい谷だった。
先週に続いて奥美濃の花崗岩の谷を歩く。揖斐川の支流、粕川西谷の支流である加野内谷は、まさに癒しの谷だった。
この谷の上流側には沢登り愛好家には有名な竹屋谷がある。
竹屋谷を遡行して北谷を下るというゴールデンコースは4度も歩いているのに、他の支流には入ったことがなかった。
加野内谷の名前を知ったのはもう20年ぐらい前だろうか。岳人にガイド記事が載っていて、良さげな谷だなと思って
切り抜きを置いていたのだが、ずっと後回しになっていたのである。

 西谷沿いの林道を走って行くと、支流の一つひとつに谷の名前を書いた看板があってわかりやすい。
「かのうち谷」と書かれた看板から杣道に入る。この杣道は切れ切れながらもCa690mの二俣まで続いていた。
但し、何度も渡渉を強いられるので、足を濡らさずに歩くことは不可能である。


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 杣道から見下ろす谷にナメが見えたところで下降する。植林の入った谷だが、よく手入れされていて暗さがない
のがいい。それにまったくの杉林というわけでもなく、水辺には自然林が残されているのもプラスポイントだ。
 穏やかな流れを進むと白い花崗岩を滑るように流れるナメと、小さいながらも美しい滝が次々に現れる。
そして何よりこの谷の美しさを引き立てているのはトチの存在だ。

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 目を瞠るようなトチの巨木が水辺を飾る。竹屋谷もトチが目立ったが、加野内谷はまさにトチの森を流れる谷で
ある。炭焼き窯跡も散見され、古くからの生活の場であったこともわかる。
 それともうひとつの特筆すべきところは大きな岩の多さだ。びっくりするような巨岩がゴロゴロしている。
二階建ての家ぐらいあるような岩が流れを分断しているところもあり、ルートを探るのも楽しい。


P7300123_1.JPG
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 沢登りという意味では物足りない谷だろうが、今の自分にはこんな谷の方が心にフィットすると言える。
先週同様、ヌメりはまったく無くフリクション抜群のナメを歩くのは楽しい。岩壁を彩るイワタバコはようやく
眠りから覚めたようだ。
いくつか出くわす二俣の佇まいもそれぞれに美しい。

 上流では谷幅一杯のスラブ状の滝が続いて驚かされた。傾斜が緩く水量も少ないので問題なく直登することが
できる。
 源流の手前で格好のランチ場があったので、早めのランチタイムとした。
稜線まではもう100mの標高差も残っていないので、多少千鳥足でも大丈夫だろう。
今日も谷では暑さ知らず。日差しが恋しいぐらいである。

P7300094_1.JPG
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 源頭部に入ると花崗岩の砂ザレが目立つ。遠目に見るとフリクションのいいスラブ壁みたいだが、実際には足
を置くと崩れてズルズル滑る砂ザレだった。このあたりは地形図の崩壊地記号通りだ。
最後の砂ザレと樹林帯の境をひと登りすれば江美国境稜線である。

 登山道は滋賀県側斜面をトラバースするように付けられている。
Ca1130mピークから先は未踏の尾根だったが、意外にいいブナ林が残されていた。
 1013m標高点の手前から支尾根に入る。この尾根は加野内谷のCa690mの二俣へ延びており、そこからは杣道を
使って楽に下山しようという算段である。
 この尾根は取り立てて素晴らしいわけではないが、ヤブもない歩きやすいルートだった。
途中からは掘り込まれた道型が現れて驚く。かつては山仕事に使われていた道なのだろうか。

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 問題なく二俣まで下って杣道を辿るが、何か所もの崩壊と渡渉地点選びでルート取りに頭を使わされた。
登りでは水流沿いに歩いたところを巻き下ると、新たなトチとの出会いがあったりして面白い。
ランチ場で登山靴に履き替えていたが、最後は委細構わずヤケクソでそのまま渡渉する。さすがに遡行するより
早く、二俣から1時間足らずで駐車地へ戻ってきた。
日陰のない駐車地では着替えても流れる汗が止まらず、今日は暑い日だったことを思い出した。

                    山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥美濃】トチの巨木と花崗岩の美渓 加野内谷を歩く

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんにちは。
今日も暑いですね。トチの巨木と花崗岩の美渓に酔いしれた加野内谷沢山旅。
その感動をお伝えしたいのに、暑さで、もともとゆっくり回転の頭が、ますます動かなくなり、今日に至ってしまいました。
感想遅くなりすみません。言い訳すみません(汗)

西谷の支流の入り口に立つ手作りの看板は味がありましたね。看板を作られた方の地元の山への愛を感じました。
かのうちとは、どういう意味なのでしょうね。上打棚とか〇〇棚という看板もいくつかありました。
棚とは岩?こちらの意味も知りたくなりました。

谷沿いには杣道がとぎれとぎれに残っていましたね。植林なのですが暗さは感じず、足取りも軽く。
谷に降り立つと、うつくしいナメのお出迎えに感激しました。
感激は途切れることなく続きました。
白い花崗岩を滑るように流れるナメと小滝、水辺を飾るトチの巨木、大きな岩の、
自然が織りなす、こころに染み入る風景がどこまでも続いていきました。
そう、まさに、豊潤なトチの森を流れる谷でしたね。
岩を抱え水際に立つトチの巨木の根っこには目を見張りました。

ひとつひとつの二俣の佇まいにもこころ打たれました。それぞれうつくしい音楽のような風景でした。
沢登りの楽しさは、いろいろありますが、私は、源流への旅、風景を旅していくことに醍醐味を覚えます。
外から見ることのできない木々で覆われた谷にはいったいどんな世界が展開しているのだろう。
地図から浮かんだ風景を胸に描き、どきどきわくわくしながら分け入った先での、うつくしい風景との出会いは感激ひとしおです。

岩に咲くイワタバコのお花、きれいでしたね。夏真っ盛りを告げるピンク色のお花。
大好きです。
上流の谷いっぱいに広がるスラブ状の滝は、こんなところにこんな滝が、と、びっくりしました。
ひたひたと登っていく山日和さんの後ろを付いていく自信のなかった私は、草付きに逃げてしまいましたが。

砂ザレの詰めも印象的でした。不思議な光景でした。
越美国境稜線は、清々しいブナ林が広がっていましたね。気になったのがクマの爪痕の多さ。
下りの尾根でもクマの爪痕が刻まれたブナをたくさん見ました。

掘り込まれた道型が現れた時は高揚感に襲われました。
品又峠と国見峠の間には、西谷越、サナギ越、足俣越という近江と美濃を結ぶ峠道が存在したのですが、
ひょっとしたらサナギ越の道ではないかと。

尾根から眺めた谷がまたうつくしかったです。
遡った谷を上から見つめるのも味わい深いですね。
帰りは靴を濡らさないよう杣道で。この杣道も峠道だったのではと思ったり。
立派な炭焼き窯跡、大きなトチが次々と現れ、帰りもしみじみとした思いに包まれっぱなしでした。

苦手な渡渉は、濡れずには無理と思い水の中を渡った時、あちこち探さず最初からどぼどぼ渡ればよかったと苦笑い。
車道に出た時、汗が吹きだしました。からだが濡れていたからでもありますが、山中は思いのほか涼しかったです。

大仲津谷の感想でも書きましたが、近江東草野と美濃坂内春日の暮らしや交流の歴史に興味があります。
粕川西谷は、昨秋笠岩を訪れた時の下りの尾根で立派な道型に出会って以来、是非味わいたいと思っていました。
山日和さんが訪れていらっしゃらなくてほんとうによかったです。
感動に包まれた沢山旅でした。ありがとうございます。

森の文化博物館も訪れたいなぁ、と思い続けているのですが、お山の帰りは難しいですね。

sato
アバター
山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】トチの巨木と花崗岩の美渓 加野内谷を歩く

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。お疲れさまでした。

西谷の支流の入り口に立つ手作りの看板は味がありましたね。看板を作られた方の地元の山への愛を感じました。
かのうちとは、どういう意味なのでしょうね。上打棚とか〇〇棚という看板もいくつかありました。棚とは岩?こちらの意味も知りたくなりました。


大平八滝の案内看板や竹屋谷の滝めぐりの遊歩道も同じ人の手によるものらしいですね。
どれだけの来訪者があるのかわかりませんが。

P7300009_1.JPG

谷に降り立つと、うつくしいナメのお出迎えに感激しました。
感激は途切れることなく続きました。
白い花崗岩を滑るように流れるナメと小滝、水辺を飾るトチの巨木、大きな岩の、
自然が織りなす、こころに染み入る風景がどこまでも続いていきました。
そう、まさに、豊潤なトチの森を流れる谷でしたね。
岩を抱え水際に立つトチの巨木の根っこには目を見張りました。


花崗岩の谷の良さがいきなり出迎えてくれましたね。
それ以上に次々現れるトチの巨木には驚きました。
前週に歩いた大仲津谷より心惹かれるものがありました。


P7300022_1.JPG

ひとつひとつの二俣の佇まいにもこころ打たれました。それぞれうつくしい音楽のような風景でした。
沢登りの楽しさは、いろいろありますが、私は、源流への旅、風景を旅していくことに醍醐味を覚えます。
外から見ることのできない木々で覆われた谷にはいったいどんな世界が展開しているのだろう。
地図から浮かんだ風景を胸に描き、どきどきわくわくしながら分け入った先での、うつくしい風景との出会いは感激ひとしおです。


「うつくしい音楽のような」とはまたsatoさんならではの表現ですね。 :D
沢登りの興趣は源流にあり。核心部の突破よりも大事なものがそこにあるというのが私の個人的な思いです。この点はsatoさんと共通してますね。


P7300092_1.JPG

上流の谷いっぱいに広がるスラブ状の滝は、こんなところにこんな滝が、と、びっくりしました。
ひたひたと登っていく山日和さんの後ろを付いていく自信のなかった私は、草付きに逃げてしまいましたが。


まるで尾西谷のようでした。楽しく登れるところだけど、足首の動きが不自由なsatoさんにはちょっと辛い場面だったかな。

砂ザレの詰めも印象的でした。不思議な光景でした。

花崗岩の谷の詰めらしい源頭でしたね。このクソ暑いのにまさか残雪?と思いました。 :lol:

P7300193_1.JPG

越美国境稜線は、清々しいブナ林が広がっていましたね。気になったのがクマの爪痕の多さ。
下りの尾根でもクマの爪痕が刻まれたブナをたくさん見ました。


「越美」じゃなくて「江美」ですよ。 :mrgreen:
ここにこんなブナ林があるとは意外でした。ずっと笹原が続くと思ってたんで。

P7300199_1.JPG

掘り込まれた道型が現れた時は高揚感に襲われました。
品又峠と国見峠の間には、西谷越、サナギ越、足俣越という近江と美濃を結ぶ峠道が存在したのですが、ひょっとしたらサナギ越の道ではないかと。


「サナギ越」というのは知りませんでしたが、そう思うとロマンを感じますね。

尾根から眺めた谷がまたうつくしかったです。
遡った谷を上から見つめるのも味わい深いですね。
帰りは靴を濡らさないよう杣道で。この杣道も峠道だったのではと思ったり。
立派な炭焼き窯跡、大きなトチが次々と現れ、帰りもしみじみとした思いに包まれっぱなしでした。


水音がだんだん大きくなってきたと思うと、尾根の両側に水流が現れる。高度を下げるにつれ谷の佇まいがハッキリと見えてくるのが高揚感を誘いましたね。
本流沿いの杣道はこの尾根に続いているのではという感じがしました。

P7300244_1.JPG

苦手な渡渉は、濡れずには無理と思い水の中を渡った時、あちこち探さず最初からどぼどぼ渡ればよかったと苦笑い。

どうせ濡れずに歩くのは無理だと早めにヤケクソになればよかったですね。 :mrgreen:

大仲津谷の感想でも書きましたが、近江東草野と美濃坂内春日の暮らしや交流の歴史に興味があります。
粕川西谷は、昨秋笠岩を訪れた時の下りの尾根で立派な道型に出会って以来、是非味わいたいと思っていました。

satoさんは山村と暮らし、山村どうしを結ぶ道の物語が好きですね。

山日和さんが訪れていらっしゃらなくてほんとうによかったです。

そう言われると喜んでいいのか微妙です。 :mrgreen:

             山日和
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