【奥美濃】大仲津谷から新穂谷山・おいし岩へ
Posted: 2022年7月27日(水) 23:18
【日 付】2022年7月23日(土)
【山 域】奥美濃 新穂山周辺
【天 候】曇り時々晴れ一時雨のち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】春日神社7:30---8:30紅葉滝8:45---11:00最後の二俣---11:45新穂谷山---12:00ランチ場13:05---13:35おいし岩
---15:05春日神社
諸家の集落奥にひっそりと佇む春日神社に車を停めさせていただく。鳥居の向こうに川を挟んで質素な本殿が見える。
本殿への橋の上に立つと、足元の川の流れが実にいい雰囲気で、神域を感じさせるな何か厳かな空気を漂わせていた。
神社の裏手の道路から入渓点を探った。適当なところで大仲津谷へ下降するが、もっさりとした印象で、とても食指
が動くような谷ではない。まあ、里に近いところから入渓する谷はこんなものだろう。
少し我慢して進むと谷が広がってナメが出迎えてくれた。出だしの暗い植林は自然林に変わっている。これはいいか
もしれない。
この一帯は花崗岩で構成されているようで、先々週の元越谷や先週の天狗谷同様白い川床が印象的な明るい谷だ。
この谷はそれに加えて花崗岩の砂礫でできた真砂土(マサ土)が水底に敷き詰められていて、一層の明るさをもたらして
いる。真砂土というのはサラサラで、何気なく足を置くとズブズブと足首まで沈んてしまうようなところもあった。
小滝とナメが時折出てくる程度の実に穏やかな谷で、足取りも軽く進んで行くと突然勢い良く流れ落ちるナメ滝に出
くわした。高さは15mあるか無しかだが、昨日の雨でやや増えたのであろう水量が滝に命を吹き込んでいた。
この谷の花崗岩はヌメりも無くフリクションは抜群である。滝身の横を上がるが上部は立ち気味なので左の草付きの
境界線へ逃げた。
その後も適度な間隔で現れる小滝をこなしながら進むと、先ほどのナメ滝と同じような角度で滝が落ちていた。
これが大仲津谷最大の紅葉滝か。谷幅一杯に広がるスラブ壁を流れ落ちる滝は壮観で美しい。
左の樹林から巻き上がると、下からは見えなかった滝が続いていた。滝をよく見ようと流れに近付くと、なかなかの
迫力だ。左側の草付きを上がるが、ホールドの乏しい部分があって緊張を強いられた。
この谷はとにかくナメが多い。その分傾斜が緩いのでなかなか高度を上げてくれないが、ナメ床をヒタヒタと歩く
のは楽しい。ただ、終わったはずの植林が現れたり、何の変化もない平流が続いたりして冗長なところもあるが、
この谷を良さを減じるほどでもない。
途中でアクシデントが発生した。satoさんが足を滑らせた拍子に岩に顔を打って、唇を切ってしまった。
出血しているのでしばらく圧迫止血すると、少し滲む程度に収まった。絆創膏で応急処置をするが、絆創膏というの
はあまり唇に貼るようにはできていない。それほど深い傷ではないようなので続行する。
Ca880mの最後の二俣に着いた。直進して江美国境稜線の1010mピークに上がるか、左折して新穂谷山北東の鞍部
へ詰めるか、現地の渓相を見て決めようと思っていた。
左俣は入ってすぐにまた二つに分かれており、その右の谷にかかる滝が魅力的に見えた。
直進する谷は平凡そうだが、先に何かあるかもしれないと様子を見に偵察に向かう。V字型の谷を少し進んだところ
でイマイチと判断、二俣に戻って左俣へ入り直した。
その先の二俣に立つと、さっき見えた滝の上に12mほどのナメ滝が現れた。こっちにして正解だったか。
階段状の滝を快適に登ると、谷全体が岩盤のような状態になった。フリクションが効くので苦労もなく次々と現れ
るナメ滝を越えて行く。
いよいよ水が切れると谷の真ん中に巨大な岩が鎮座し、そこでいきなり谷が終わっているように見えた。地形図
では鞍部まで谷の形が続いているのだが。
岩の向こうへ回り込むと消えたように見えた谷の形が鞍部に向かって延びていた。間近に見える稜線はブナの森に
包まれている。谷の源頭でブナ林の中を歩くのは久し振りである。
やはり沢登りのフィナーレはこれでなくてはいけない。
別に踏む必要もないのだが、新穂谷山(三角点名新穂)に挨拶だけしておこう。この山頂より手前のブナ林の方が
ランチ場としては優れている。
先ほど詰め上がった地点まで戻ってランチタイム。遡行を終了してからランチというのも久し振りだ。
今日は昼から晴れて気温が上がるという予報だったが、曇り空で気温もあまり上がっていない。その上風もあるの
で寒いぐらいだ。たまに小雨がぱらつくという予想外の天気。これなら暖かい麺の方がよかった。
satoさんのケガのこともあるので早めにランチを切り上げる。
大仲津谷と新穂谷を分ける尾根は予想以上に良かった。山麓の植林帯からは想像できないブナの森が残されており、
ヤブもなく快適な尾根歩きを楽しむことができる。
徳山界隈の山々といい、これまでノーマークだったところにまだまだ知らないブナ林が残されていることを実感した。
955mの標高点にはこの尾根最大の見ものである「おいし岩」がある。ブナ林の中に突如現れたこの大岩は、横手
に回るとひとつの岩をスッパリと断ち割ったようなふたつの岩で構成されていた。
廊下のようになったふたつの岩の間を歩くと、異空間に迷い込んだような印象を受ける。
兔夢さん率いるOSKのパーティーは、おいし岩の上でランチして「おいしいわ」と言ったとか言わなかったとか。
とにかく一見の価値のある奇岩である。
おいし岩から少し戻ったところから複雑な尾根の分岐に注意しながら進む。
さすがにブナ林は終わり、平凡な雑木の尾根に変わるが悪くはない。ある程度のヤブは想定していたが、2本足で
普通に歩ける尾根が続いており行程が捗る。
終盤には掘り込まれた杣道が現れて、植林の中をソフトランディング。林道に出ると真夏の太陽が照り付けて、
昼の涼しさはどこへやらである。
無事とは言えないまでも大事に至らず下山できたことを感謝して、春日神社に手を合わせて山行を終えた。
山日和
【山 域】奥美濃 新穂山周辺
【天 候】曇り時々晴れ一時雨のち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】春日神社7:30---8:30紅葉滝8:45---11:00最後の二俣---11:45新穂谷山---12:00ランチ場13:05---13:35おいし岩
---15:05春日神社
諸家の集落奥にひっそりと佇む春日神社に車を停めさせていただく。鳥居の向こうに川を挟んで質素な本殿が見える。
本殿への橋の上に立つと、足元の川の流れが実にいい雰囲気で、神域を感じさせるな何か厳かな空気を漂わせていた。
神社の裏手の道路から入渓点を探った。適当なところで大仲津谷へ下降するが、もっさりとした印象で、とても食指
が動くような谷ではない。まあ、里に近いところから入渓する谷はこんなものだろう。
少し我慢して進むと谷が広がってナメが出迎えてくれた。出だしの暗い植林は自然林に変わっている。これはいいか
もしれない。
この一帯は花崗岩で構成されているようで、先々週の元越谷や先週の天狗谷同様白い川床が印象的な明るい谷だ。
この谷はそれに加えて花崗岩の砂礫でできた真砂土(マサ土)が水底に敷き詰められていて、一層の明るさをもたらして
いる。真砂土というのはサラサラで、何気なく足を置くとズブズブと足首まで沈んてしまうようなところもあった。
小滝とナメが時折出てくる程度の実に穏やかな谷で、足取りも軽く進んで行くと突然勢い良く流れ落ちるナメ滝に出
くわした。高さは15mあるか無しかだが、昨日の雨でやや増えたのであろう水量が滝に命を吹き込んでいた。
この谷の花崗岩はヌメりも無くフリクションは抜群である。滝身の横を上がるが上部は立ち気味なので左の草付きの
境界線へ逃げた。
その後も適度な間隔で現れる小滝をこなしながら進むと、先ほどのナメ滝と同じような角度で滝が落ちていた。
これが大仲津谷最大の紅葉滝か。谷幅一杯に広がるスラブ壁を流れ落ちる滝は壮観で美しい。
左の樹林から巻き上がると、下からは見えなかった滝が続いていた。滝をよく見ようと流れに近付くと、なかなかの
迫力だ。左側の草付きを上がるが、ホールドの乏しい部分があって緊張を強いられた。
この谷はとにかくナメが多い。その分傾斜が緩いのでなかなか高度を上げてくれないが、ナメ床をヒタヒタと歩く
のは楽しい。ただ、終わったはずの植林が現れたり、何の変化もない平流が続いたりして冗長なところもあるが、
この谷を良さを減じるほどでもない。
途中でアクシデントが発生した。satoさんが足を滑らせた拍子に岩に顔を打って、唇を切ってしまった。
出血しているのでしばらく圧迫止血すると、少し滲む程度に収まった。絆創膏で応急処置をするが、絆創膏というの
はあまり唇に貼るようにはできていない。それほど深い傷ではないようなので続行する。
Ca880mの最後の二俣に着いた。直進して江美国境稜線の1010mピークに上がるか、左折して新穂谷山北東の鞍部
へ詰めるか、現地の渓相を見て決めようと思っていた。
左俣は入ってすぐにまた二つに分かれており、その右の谷にかかる滝が魅力的に見えた。
直進する谷は平凡そうだが、先に何かあるかもしれないと様子を見に偵察に向かう。V字型の谷を少し進んだところ
でイマイチと判断、二俣に戻って左俣へ入り直した。
その先の二俣に立つと、さっき見えた滝の上に12mほどのナメ滝が現れた。こっちにして正解だったか。
階段状の滝を快適に登ると、谷全体が岩盤のような状態になった。フリクションが効くので苦労もなく次々と現れ
るナメ滝を越えて行く。
いよいよ水が切れると谷の真ん中に巨大な岩が鎮座し、そこでいきなり谷が終わっているように見えた。地形図
では鞍部まで谷の形が続いているのだが。
岩の向こうへ回り込むと消えたように見えた谷の形が鞍部に向かって延びていた。間近に見える稜線はブナの森に
包まれている。谷の源頭でブナ林の中を歩くのは久し振りである。
やはり沢登りのフィナーレはこれでなくてはいけない。
別に踏む必要もないのだが、新穂谷山(三角点名新穂)に挨拶だけしておこう。この山頂より手前のブナ林の方が
ランチ場としては優れている。
先ほど詰め上がった地点まで戻ってランチタイム。遡行を終了してからランチというのも久し振りだ。
今日は昼から晴れて気温が上がるという予報だったが、曇り空で気温もあまり上がっていない。その上風もあるの
で寒いぐらいだ。たまに小雨がぱらつくという予想外の天気。これなら暖かい麺の方がよかった。
satoさんのケガのこともあるので早めにランチを切り上げる。
大仲津谷と新穂谷を分ける尾根は予想以上に良かった。山麓の植林帯からは想像できないブナの森が残されており、
ヤブもなく快適な尾根歩きを楽しむことができる。
徳山界隈の山々といい、これまでノーマークだったところにまだまだ知らないブナ林が残されていることを実感した。
955mの標高点にはこの尾根最大の見ものである「おいし岩」がある。ブナ林の中に突如現れたこの大岩は、横手
に回るとひとつの岩をスッパリと断ち割ったようなふたつの岩で構成されていた。
廊下のようになったふたつの岩の間を歩くと、異空間に迷い込んだような印象を受ける。
兔夢さん率いるOSKのパーティーは、おいし岩の上でランチして「おいしいわ」と言ったとか言わなかったとか。
とにかく一見の価値のある奇岩である。
おいし岩から少し戻ったところから複雑な尾根の分岐に注意しながら進む。
さすがにブナ林は終わり、平凡な雑木の尾根に変わるが悪くはない。ある程度のヤブは想定していたが、2本足で
普通に歩ける尾根が続いており行程が捗る。
終盤には掘り込まれた杣道が現れて、植林の中をソフトランディング。林道に出ると真夏の太陽が照り付けて、
昼の涼しさはどこへやらである。
無事とは言えないまでも大事に至らず下山できたことを感謝して、春日神社に手を合わせて山行を終えた。
山日和