【加越国境】ナメ天国の小倉谷から灼熱の小倉谷山へ
Posted: 2022年7月05日(火) 22:49
【日 付】2022年7月2日(土)
【山 域】加越国境 小倉谷山周辺
【天 候】快晴
【メンバー】sato、山日和
【コース】龍ヶ鼻ダム8:05---8:25だべ谷橋---10:40 15m滝上---12:00ランチ場13:20---15:05小倉谷山---15:45火燈山
---17:20 P299m---17:45山口集落---18:15駐車地
連日強烈な暑さが続いている。体温を超えるような気温では、山登りは健康に悪いだろう。
こういう時は沢を歩くに限る。今回選んだのは加越国境の小倉谷山を源頭に持つ小倉谷。谷の出合にかかる橋の
名板を見ると「だべ谷」とも言うらしい。
龍ヶ鼻ダムに駐車して林道を歩き出した。朝から強烈な日差しが照りつけるが、日陰になった部分が多くて助
かる。
だべ谷橋から右岸の廃林道を辿るが、雑草が生い茂った道はもはやどこが林道なのか分からない状態である。
終点らしきところから入渓すると、いきなりナメ滝の歓迎を受けた。このところ雨がまったく降っておらず水量
は乏しい。一見ぬめってそうな岩も意外にフリクションが効いていた。
苔むした岩と表現するにはあまりにも干からびて、しっとりとした美しさからはほど遠い岩がゴロゴロしている。
この谷は非常に岩盤が発達しているのか、平流部分もゴーロという感じがなく、ナメ床と小滝、ナメ滝だけで
構成されているような印象を受ける。平水時ぐらいの水量なら適度に躍動感もあるのだろうが、ナメ滝もチョロ
チョロ流れているだけでは迫力も美しさも半減である。多ければ多いで苦労するかもしれないが。
水の少ないのを差し引いても、小倉谷は美しい谷だ。それほど期待していたわけではないが、想像以上に滝と
ナメが連続し、飽きることがない。
巨大なチョックストーンを持つ滝は、空身で左の穴を潜るようなことが書いてあったが、どう考えても人が通れ
るサイズではない。年月を経て新たな落石で埋まってしまったようである。右岸から巻き上がるがかなり追い上
げられてしまった。ふと流れの方を見るとチョックストーン滝のうえにもかなりの高さの滝が続いていた。
まとめて巻いて流れに復帰。次に現れた15m滝では左岸の巻きルートを取ったが、延々と続く岩壁に阻まれて、
岩壁の基部を下流方向へトラバース。やっと現れた切れ目から上がって落ち口方向へ長いトラバースが続いた。
最後は懸垂で水辺に降り立つ。
記録を見ると右岸巻きが楽なルートだったようだが、これも沢登りの醍醐味。正解はないのだ。
この二つの巻きで結構時間を食ってしまった。
その後も谷幅一杯のスラブ滝や、風呂釜のようなまん丸の深い壷を持つ小滝が次から次へと現れて目を楽しま
せてくれる。考えてみればこんなに沢らしい沢は今シーズン初めてだ。
直登と巻きを交えて実に楽しく遡って行くことができた。
滝がひとしきりすると、今度はどこまでも続くまるで舗装路のようなナメ床の登場である。
山頂まで頑張ったところで今日の天気では落ち着けるランチ場は得られないだろう。涼しい谷の中でランチタイ
ムとしよう。
南向きの谷だし、もう少し日差しに悩まされるかと心配していたが、ほぼ樹林の中の遡行は暑さ知らずだった。
ランチ場も涼しく、快適なランチタイムを過ごすことができたが、食後に300mほど高度を稼がないといけないの
が難点である。
ランチ場以降は谷幅も狭まり、傾斜が目に見えて強くなってきた。水はかろうじて流れている程度となったが、
谷中はまだ小滝が連続している。傾斜の強いナメ滝といった感じでホールドが乏しいものが多く、見た目より苦
労させられた。
ついに水が切れたと同時に熱気がムンムンと漂い始めた。樹林の中ということが救いである。
谷の形がなくなり、潅木のヤブの急斜面を進むが青息吐息。ようやく飛び出した登山道はまさに高速道路だった。
右に取って5分足らずで小倉谷山の山頂に到着したのはいいが、これまで体感したことのないような熱波が襲って
きた。天気は最高で、丈競山方面の展望は抜群にいいのだが、とても立っていられないほどの暑さである。
頭がクラクラしてきたのですぐに退散して火燈山へ向かった。
この稜線は4ヶ月ほど前に歩いたのだが、その時の美しい雪稜はとても想像できないようなもっさりした尾根歩
きだ。あのナイフリッジは幻だったのかと思わせるほどのギャップである。
冬にはとても標高900mばかりの山だとはとても思えないような見事な景観を見せていたのだが、今日はさすが標
高900mばかりの山だと実感できる。
あまりのオーバーヒート状態に、途中のブナ林の木陰でしばらくひっくり返った。
火燈山の山頂からは福井平野が一望できるが、展望がいいというのは日陰がないということと同義である。
下山は山竹田方面への登山道を辿る。火燈古道が復活してこちらの道はあまり歩かれなくなったのだろうか、足
元の踏み跡はしっかりしているものの草ボウボウで、両手を使わずに歩くことは不可能だ。足元の段差が見えな
いのでペースが上がらない。
当初はダムの近くに続く谷を下る予定だったが、時間が押して来たので確実な道歩きに変更する。
登山道が西に向きを変えると草のかき分けから開放されて、足だけで歩けるようになった。
その後もいろいろショートカットルートを模索したが、最後はP299の鉄塔から巡視路らしき道を辿り、山口の
集落に着地した。急がば回れで、結果的には谷を下るより早かっただろう。
地形図に丸岡町吉谷と表記されている場所は、かつて吉谷千坊と呼ばれたところで。小野千坊、豊原千坊と合
わせて越前豊原三千坊と称されるほど、白山信仰の拠点として栄えた土地らしい。豊原千坊跡には様々な遺構が
残されているらしく、時間が許せばゆっくり散策してみたいものだ。
民家が見えたが獣柵に阻まれてしまう。どこかに出入口があるはずと探してみると、やたら小さなドアを発見、
身をかがめて通り抜ける。腰の曲がったお婆さん専用のドアのようだった。
ようやく安全地帯まで戻ってきたが、駐車地のダムまではまだ1.5キロほどの登りが残されている。
まだまだ勢いの衰えない西日に照らされながら車に帰り着いた。
山日和
【山 域】加越国境 小倉谷山周辺
【天 候】快晴
【メンバー】sato、山日和
【コース】龍ヶ鼻ダム8:05---8:25だべ谷橋---10:40 15m滝上---12:00ランチ場13:20---15:05小倉谷山---15:45火燈山
---17:20 P299m---17:45山口集落---18:15駐車地
連日強烈な暑さが続いている。体温を超えるような気温では、山登りは健康に悪いだろう。
こういう時は沢を歩くに限る。今回選んだのは加越国境の小倉谷山を源頭に持つ小倉谷。谷の出合にかかる橋の
名板を見ると「だべ谷」とも言うらしい。
龍ヶ鼻ダムに駐車して林道を歩き出した。朝から強烈な日差しが照りつけるが、日陰になった部分が多くて助
かる。
だべ谷橋から右岸の廃林道を辿るが、雑草が生い茂った道はもはやどこが林道なのか分からない状態である。
終点らしきところから入渓すると、いきなりナメ滝の歓迎を受けた。このところ雨がまったく降っておらず水量
は乏しい。一見ぬめってそうな岩も意外にフリクションが効いていた。
苔むした岩と表現するにはあまりにも干からびて、しっとりとした美しさからはほど遠い岩がゴロゴロしている。
この谷は非常に岩盤が発達しているのか、平流部分もゴーロという感じがなく、ナメ床と小滝、ナメ滝だけで
構成されているような印象を受ける。平水時ぐらいの水量なら適度に躍動感もあるのだろうが、ナメ滝もチョロ
チョロ流れているだけでは迫力も美しさも半減である。多ければ多いで苦労するかもしれないが。
水の少ないのを差し引いても、小倉谷は美しい谷だ。それほど期待していたわけではないが、想像以上に滝と
ナメが連続し、飽きることがない。
巨大なチョックストーンを持つ滝は、空身で左の穴を潜るようなことが書いてあったが、どう考えても人が通れ
るサイズではない。年月を経て新たな落石で埋まってしまったようである。右岸から巻き上がるがかなり追い上
げられてしまった。ふと流れの方を見るとチョックストーン滝のうえにもかなりの高さの滝が続いていた。
まとめて巻いて流れに復帰。次に現れた15m滝では左岸の巻きルートを取ったが、延々と続く岩壁に阻まれて、
岩壁の基部を下流方向へトラバース。やっと現れた切れ目から上がって落ち口方向へ長いトラバースが続いた。
最後は懸垂で水辺に降り立つ。
記録を見ると右岸巻きが楽なルートだったようだが、これも沢登りの醍醐味。正解はないのだ。
この二つの巻きで結構時間を食ってしまった。
その後も谷幅一杯のスラブ滝や、風呂釜のようなまん丸の深い壷を持つ小滝が次から次へと現れて目を楽しま
せてくれる。考えてみればこんなに沢らしい沢は今シーズン初めてだ。
直登と巻きを交えて実に楽しく遡って行くことができた。
滝がひとしきりすると、今度はどこまでも続くまるで舗装路のようなナメ床の登場である。
山頂まで頑張ったところで今日の天気では落ち着けるランチ場は得られないだろう。涼しい谷の中でランチタイ
ムとしよう。
南向きの谷だし、もう少し日差しに悩まされるかと心配していたが、ほぼ樹林の中の遡行は暑さ知らずだった。
ランチ場も涼しく、快適なランチタイムを過ごすことができたが、食後に300mほど高度を稼がないといけないの
が難点である。
ランチ場以降は谷幅も狭まり、傾斜が目に見えて強くなってきた。水はかろうじて流れている程度となったが、
谷中はまだ小滝が連続している。傾斜の強いナメ滝といった感じでホールドが乏しいものが多く、見た目より苦
労させられた。
ついに水が切れたと同時に熱気がムンムンと漂い始めた。樹林の中ということが救いである。
谷の形がなくなり、潅木のヤブの急斜面を進むが青息吐息。ようやく飛び出した登山道はまさに高速道路だった。
右に取って5分足らずで小倉谷山の山頂に到着したのはいいが、これまで体感したことのないような熱波が襲って
きた。天気は最高で、丈競山方面の展望は抜群にいいのだが、とても立っていられないほどの暑さである。
頭がクラクラしてきたのですぐに退散して火燈山へ向かった。
この稜線は4ヶ月ほど前に歩いたのだが、その時の美しい雪稜はとても想像できないようなもっさりした尾根歩
きだ。あのナイフリッジは幻だったのかと思わせるほどのギャップである。
冬にはとても標高900mばかりの山だとはとても思えないような見事な景観を見せていたのだが、今日はさすが標
高900mばかりの山だと実感できる。
あまりのオーバーヒート状態に、途中のブナ林の木陰でしばらくひっくり返った。
火燈山の山頂からは福井平野が一望できるが、展望がいいというのは日陰がないということと同義である。
下山は山竹田方面への登山道を辿る。火燈古道が復活してこちらの道はあまり歩かれなくなったのだろうか、足
元の踏み跡はしっかりしているものの草ボウボウで、両手を使わずに歩くことは不可能だ。足元の段差が見えな
いのでペースが上がらない。
当初はダムの近くに続く谷を下る予定だったが、時間が押して来たので確実な道歩きに変更する。
登山道が西に向きを変えると草のかき分けから開放されて、足だけで歩けるようになった。
その後もいろいろショートカットルートを模索したが、最後はP299の鉄塔から巡視路らしき道を辿り、山口の
集落に着地した。急がば回れで、結果的には谷を下るより早かっただろう。
地形図に丸岡町吉谷と表記されている場所は、かつて吉谷千坊と呼ばれたところで。小野千坊、豊原千坊と合
わせて越前豊原三千坊と称されるほど、白山信仰の拠点として栄えた土地らしい。豊原千坊跡には様々な遺構が
残されているらしく、時間が許せばゆっくり散策してみたいものだ。
民家が見えたが獣柵に阻まれてしまう。どこかに出入口があるはずと探してみると、やたら小さなドアを発見、
身をかがめて通り抜ける。腰の曲がったお婆さん専用のドアのようだった。
ようやく安全地帯まで戻ってきたが、駐車地のダムまではまだ1.5キロほどの登りが残されている。
まだまだ勢いの衰えない西日に照らされながら車に帰り着いた。
山日和