【日 付】2022年6月12日(日)
【山 域】越美国境 願教寺山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】上小池6:45---8:00林道終点---11:45越美国境稜線---12:35笠場湿原13:35---14:15下降点---16:45林道---
17:45上小池
人生は理想と現実の乖離の連続。これはまた山も同じである。
自分が思い描いていた風景とはかけ離れた現実が目の前にあり、それが初っ端から始まってどこまで続くのかわからない。
心が折れるのが先か、エネルギーが尽きるのが先か。
そんな山行でもいいところはある。自分で選んだ山とはいえ、少しは喜びも無いとやってられないのである。
福井県側からの笠場湿原は以前から思い描いていたプランだ。残雪期には何度か辿ったことがあるが、当然のことなが
ら雪原は雪の下。その時に歩いたカサバノ谷右俣(これが正しい名称かは定かでない)源頭の美しいブナ林が印象的で、こ
こから笠場湿原に達したいという思いを抱いていた。
上小池の駐車場では数人の登山者が出発の準備をしていたが、ここから歩き出す登山者はほぼ100%三ノ峰方面へ向かう。
六本桧への登山口を見送って林道を奥へと進んだ。
13年前に黒坊稜から三ノ峰へ上がった時にはまだ形のあった林道は崩壊し、人がようやく通れるぐらいの細々とした道に
変わっていた。
カサバノ谷右俣へ入ると小さいながらも谷一杯に幾筋も糸を引いて落ちる美しい滝と出会う。両岸の樹林の雰囲気も良く、
これは当たりかもしれないとほくそ笑んだ。苔むした岩の鮮烈なグリーンが目に染みる。
しかし、そう思ったのもしばらくの間だけだった。一度伐採を受けたであろう谷は林相も貧しく、ヤブっぽさが目立つよう
になってきた。おまけに倒木が谷を埋めるシーンが度々現れて、遡行の興趣を著しく損ねている。
それでも咲き残りのサンカヨウや一輪だけ見つけたキヌガサソウに慰められながら歩を進めた。
流れのそこここに自生する天然のワサビは収穫だった。現役とは思えないワサビ田もあり、一面にワサビが繁っていたが、
さすがにこれを取るのは憚られた。
その後も状況は一向に変わらず、沢登りをしに来たのかヤブ漕ぎをしに来たのかわからない行程が続く。
源頭部のブナ林に期待を託したが、あの美しい姿は積雪期限定であったことを思い知る。
谷間と林床が雪で埋まってこその風景だったのである。
鹿道を見つけて楽ができたのも一瞬の出来事。それほどササのヤブがきつくなかったのがせめてもの救いだった。
ようやく越美国境稜線に到達。出発から既に5時間が経過していた。稜線上は茫漠としたササの海が広がるばかり。
石徹白側の笠羽谷源頭へ逃げて、昨年と同じコースで湿原を目指す。去年と違うのは、前回は湿原から美濃禅定道へ少し
我慢すれば、後は快適な登山道を下山するだけだったのに対して、今日は辿ってきたあの鬱陶しい谷を戻らなければなら
ないということだ。時間が気になって、何度も心が折れそうになった。
なんとか笠場湿原に到着した。無雪期にここを訪れるのはもう5回目である。
半ば泥田になりかけている湿原だが、願教寺山と三ノ峰、銚子ヶ峰に囲まれたここは、私にとってはかけがえのないパラ
ダイスだ。ミズバショウは湿原のまわりのヤブの中にちらほら咲いている程度だが、そんなことはどうでもいいのだ。
1時間きっかりでランチタイムを終えようと心に決めてザックを降ろした。
帰路は稜線到達点を目指して一直線に進んだ。ヤブの薄いところを探しながら、パズルを解くようにルートを選べば、
意外に早く下降点に達することができた。
登りの谷の1本東側の谷へ飛び込む。この谷がなかなか具合が良く、ほとんどヤブ無しで登りの谷との合流点へ到達。
こちらを登路に選べば少しは楽できたかもしれないが結果論である。
後は粛々と登って来た谷を戻るのみだ。しかしいいこともあるもので、谷芯を避けて巻いたところに思わぬサンカヨウ
の群落を発見したり、一輪だけだがサルメンエビネに出会えたりと、単なる往復ではない味わいを感じることができた。
まあまあのペースで崩壊した林道に下り立つ。廃林道を歩いていると、前方の崖から人の声が流れてきた。こんなとこ
ろに訝っていると、かなり高齢の単独の登山者が急斜面をずり落ちるように下りて来た。聞けば、刈込池のあたりで山菜
を取っている内に道に迷ってしまったらしい。典型的な遭難パターンである。
そもそもこの近辺での山菜の採取は禁止されているのだが、この人は今は大野に住んでいるがここの山主のようで、勝原
の花桃を植樹したということだった。
ここで我々に出会って助かったと、収穫したヤマウドとタニフタギ(水フキ)のおすそ分けを頂いた。
思惑が大きく外れて、いわゆるハズレ谷を往復する結果となり、ランチタイムを除く10時間の行動時間の半分ぐらいは
ヤブを漕いでいたような気がするが、結果的には福井県側から笠場湿原に立つことができた。
まあ、バラエティに富んだいい山行きだったと言えるのかもしれない。
山日和
【越美国境】上小池から笠場湿原
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】
【メンバー】
【 天 候 】
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※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
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【 日 付 】
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Re: 【越美国境】上小池から笠場湿原
山日和さま
こんばんは。
少し前の天気予報では雨降りの週末。お山は駄目かなと思っていたら、日曜日は晴れに好転。
憧れの地、山上の楽園に、ふたたび訪れることが出来てとてもうれしかったです。ありがとうございました。
今回は越前側の上小池からカサバノ谷を遡る沢山旅。昨年、美濃側の石徹白から遡った谷は笠羽谷。
楽園は笠場(昨年のレポのタイトルでは笠羽の字を使われていましたね)湿原。同じ音で異なる字。面白いですね。
未知の谷を遡り国境稜線を跨いで山上の楽園に辿り着くという物語を感じる素敵なコースに、わくわくどきどきしました。
山日和さんは、緑の季節の源頭のうつくしいブナ林を思い描かれていたのですね。
上小池の標高が900m余り。カサバノ谷は打波川に注ぐ谷の一番上流の谷。右俣はその支流。
やわらかな地形の中を緩やかに流れ落ちる谷。険しい谷やゴルジュはなさそう。
気になるのはヤブの状態。ヤブが濃くなったら時間がかかるだろうなぁ、と思いました。
勢いよく流れる本流を見送り、カサバノ谷右俣に入ると、透き通った緑の森と清冽な流れに迎えられ笑みがこぼれましたね。
お写真の、そう、谷一杯に幾筋も糸を引いて落ちる美しい滝が目の前に現れた時は、わぁ、と歓声を上げました。
早速、お山の秘密のうつくしい表情に出会えました。
高揚感に包まれながらも、お山の表情は変わるからなぁと。
やっぱりヤブっぽく。そして、うつくしい流れは倒木が邪魔をするように。
もさもさした緑の中に潜りながらの歩みになってしまいました。
沢登りをしに来たのか、ヤブ漕ぎをしに来たのかわからない感じになりましたが、
そのわからない感じが面白かったです。完全なヤブ沢、ヤブ山歩きになってしまいましたが、
たくさんのお花に出会え感激しました。
岸辺には、ちいさな白いお花、ハクサンハタザオ、クルマムグラが咲き乱れていましたね。
ニリンソウの群落も。ワサビもたくさん生えていました。
谷が広くなった辺りで見つけたワサビ田の跡には目を見張りました。こんな山奥でワサビを育てていたのですね。
手入れをする人がいなくなっても育ち続けるワサビを見ながら、この風景に出会えてよかったとしみじみと思いました。
源頭のブナ林。
ヤブの中から見上げたブナの木々一本一本に気高さを感じました。凛とした空気に満ちたブナの森でした。
緑の中に浮かぶ鮮やかな赤紫色のムラサキヤシオは、ハッと息を呑む優美なお姿でした。
ヤブの中に咲くキヌガサソウとの出会いには胸がときめきました。一歩ずれていたら気づきませんでした。
越美国境稜線に乗ると、ササの丈が少し低くなり視界がぱぁっと広がりましたね。
もくもくと白い雲がわく青空、緑輝く別山への山並みを暫しの間、放心状態で眺めていました。
願教寺山が目に飛び込んだ瞬間、胸が震えました。
ここまで来たら笠場湿原まであともう少し、と思いましたが、ここからが長く感じました。
また背丈ほどのヤブになり、掻き分ける力が足りないので、山日和さんとの距離が空き、姿を見失い、声をあげることも何度か。
ヤブで覆われ、よく分からない地形の中を楽園へと近づいていくのは、ドキドキハラハラ、面白さと緊張の入り混じった時間でした。
ヤブの隙間に咲くミズバショウ。一年前に通った場所だとすぐに分かりました。
ふたたび出会えたよろこびに包まれました。
そろそろかな、まだかな、と思った時、「着いた」と山日和さんの声。
顔がくしゃっとなりました。
「半ば泥田になりかけている湿原だが、願教寺山と三ノ峰、銚子ヶ峰に囲まれたここは、私にとってはかけがえのないパラダイスだ。
ミズバショウは湿原のまわりのヤブの中にちらほら咲いている程度だが、そんなことはどうでもいいのだ」
山日和さん、湿原と願教寺山をじっと見つめていましたね。
きっかり1時間の楽園タイムを味わい帰路へ。
行きはよいよい帰りはこわい、ではなく、帰りは行きよりもスムーズに進めましたね。
パズルを解くようなルート取り(行きも感じましたが)に、わたしは、すごいなぁ、と後を追うばかり。
登りの谷との合流点に到達後も歩く箇所を変えながら。同じ谷でも目に映る風景、風景の感じ方も違いましたね。
行きには出会うことのなかった輝きにも出会えました。
サンカヨウの群落、ひと株のサルメンエビネとの出会いは、まさに一期一会の煌めく風景との出会いでした。
廃林道でのおじさんとの出会いもこころに残る思い出となりました。
81歳。母と同い年の方でした。おじさんにとっては災難の日でしたが、おじさんのお話はどれも興味深く、
わたしにとっては楽しい林道歩きになりました。より印象深い山旅となりました。
いただいた山菜の王様山ウドは、天ぷらで味わわれましたか。
冒頭のお言葉「人生は理想と現実の乖離の連続。これはまた山も同じである」
「自分が思い描いていた風景とはかけ離れた現実が目の前にあり、それが初っ端から始まってどこまで続くのかわからない。
心が折れるのが先か、エネルギーが尽きるのが先か」
山日和さんは、現実の風景と時間を冷静に見つめながら歩かれていたのですね。
山日和さんの冷静さがあり、わたしは安心して未知の谷の風景、
ヤブを掻き分け掻き分け憧れの地へ向かうという物語のような沢山旅を味わうことが出来たのだなぁ、
とあらためて感じました。素敵な山旅を満喫させていただき感謝です。
sato
こんばんは。
少し前の天気予報では雨降りの週末。お山は駄目かなと思っていたら、日曜日は晴れに好転。
憧れの地、山上の楽園に、ふたたび訪れることが出来てとてもうれしかったです。ありがとうございました。
今回は越前側の上小池からカサバノ谷を遡る沢山旅。昨年、美濃側の石徹白から遡った谷は笠羽谷。
楽園は笠場(昨年のレポのタイトルでは笠羽の字を使われていましたね)湿原。同じ音で異なる字。面白いですね。
未知の谷を遡り国境稜線を跨いで山上の楽園に辿り着くという物語を感じる素敵なコースに、わくわくどきどきしました。
山日和さんは、緑の季節の源頭のうつくしいブナ林を思い描かれていたのですね。
上小池の標高が900m余り。カサバノ谷は打波川に注ぐ谷の一番上流の谷。右俣はその支流。
やわらかな地形の中を緩やかに流れ落ちる谷。険しい谷やゴルジュはなさそう。
気になるのはヤブの状態。ヤブが濃くなったら時間がかかるだろうなぁ、と思いました。
勢いよく流れる本流を見送り、カサバノ谷右俣に入ると、透き通った緑の森と清冽な流れに迎えられ笑みがこぼれましたね。
お写真の、そう、谷一杯に幾筋も糸を引いて落ちる美しい滝が目の前に現れた時は、わぁ、と歓声を上げました。
早速、お山の秘密のうつくしい表情に出会えました。
高揚感に包まれながらも、お山の表情は変わるからなぁと。
やっぱりヤブっぽく。そして、うつくしい流れは倒木が邪魔をするように。
もさもさした緑の中に潜りながらの歩みになってしまいました。
沢登りをしに来たのか、ヤブ漕ぎをしに来たのかわからない感じになりましたが、
そのわからない感じが面白かったです。完全なヤブ沢、ヤブ山歩きになってしまいましたが、
たくさんのお花に出会え感激しました。
岸辺には、ちいさな白いお花、ハクサンハタザオ、クルマムグラが咲き乱れていましたね。
ニリンソウの群落も。ワサビもたくさん生えていました。
谷が広くなった辺りで見つけたワサビ田の跡には目を見張りました。こんな山奥でワサビを育てていたのですね。
手入れをする人がいなくなっても育ち続けるワサビを見ながら、この風景に出会えてよかったとしみじみと思いました。
源頭のブナ林。
ヤブの中から見上げたブナの木々一本一本に気高さを感じました。凛とした空気に満ちたブナの森でした。
緑の中に浮かぶ鮮やかな赤紫色のムラサキヤシオは、ハッと息を呑む優美なお姿でした。
ヤブの中に咲くキヌガサソウとの出会いには胸がときめきました。一歩ずれていたら気づきませんでした。
越美国境稜線に乗ると、ササの丈が少し低くなり視界がぱぁっと広がりましたね。
もくもくと白い雲がわく青空、緑輝く別山への山並みを暫しの間、放心状態で眺めていました。
願教寺山が目に飛び込んだ瞬間、胸が震えました。
ここまで来たら笠場湿原まであともう少し、と思いましたが、ここからが長く感じました。
また背丈ほどのヤブになり、掻き分ける力が足りないので、山日和さんとの距離が空き、姿を見失い、声をあげることも何度か。
ヤブで覆われ、よく分からない地形の中を楽園へと近づいていくのは、ドキドキハラハラ、面白さと緊張の入り混じった時間でした。
ヤブの隙間に咲くミズバショウ。一年前に通った場所だとすぐに分かりました。
ふたたび出会えたよろこびに包まれました。
そろそろかな、まだかな、と思った時、「着いた」と山日和さんの声。
顔がくしゃっとなりました。
「半ば泥田になりかけている湿原だが、願教寺山と三ノ峰、銚子ヶ峰に囲まれたここは、私にとってはかけがえのないパラダイスだ。
ミズバショウは湿原のまわりのヤブの中にちらほら咲いている程度だが、そんなことはどうでもいいのだ」
山日和さん、湿原と願教寺山をじっと見つめていましたね。
きっかり1時間の楽園タイムを味わい帰路へ。
行きはよいよい帰りはこわい、ではなく、帰りは行きよりもスムーズに進めましたね。
パズルを解くようなルート取り(行きも感じましたが)に、わたしは、すごいなぁ、と後を追うばかり。
登りの谷との合流点に到達後も歩く箇所を変えながら。同じ谷でも目に映る風景、風景の感じ方も違いましたね。
行きには出会うことのなかった輝きにも出会えました。
サンカヨウの群落、ひと株のサルメンエビネとの出会いは、まさに一期一会の煌めく風景との出会いでした。
廃林道でのおじさんとの出会いもこころに残る思い出となりました。
81歳。母と同い年の方でした。おじさんにとっては災難の日でしたが、おじさんのお話はどれも興味深く、
わたしにとっては楽しい林道歩きになりました。より印象深い山旅となりました。
いただいた山菜の王様山ウドは、天ぷらで味わわれましたか。
冒頭のお言葉「人生は理想と現実の乖離の連続。これはまた山も同じである」
「自分が思い描いていた風景とはかけ離れた現実が目の前にあり、それが初っ端から始まってどこまで続くのかわからない。
心が折れるのが先か、エネルギーが尽きるのが先か」
山日和さんは、現実の風景と時間を冷静に見つめながら歩かれていたのですね。
山日和さんの冷静さがあり、わたしは安心して未知の谷の風景、
ヤブを掻き分け掻き分け憧れの地へ向かうという物語のような沢山旅を味わうことが出来たのだなぁ、
とあらためて感じました。素敵な山旅を満喫させていただき感謝です。
sato
Re: 【越美国境】上小池から笠場湿原
satoさん、どうもです。
今回は越前側の上小池からカサバノ谷を遡る沢山旅。昨年、美濃側の石徹白から遡った谷は笠羽谷。
楽園は笠場(昨年のレポのタイトルでは笠羽の字を使われていましたね)湿原。同じ音で異なる字。面白いですね。
いろいろ調べてみたけど、どれが正しいとか間違っているとかはわかりませんでした。
笠場湿原と書いたのは美濃禅定道にある標識の表記に従いました。
そこには「うえ田」という文字もあるんだけど、どこを指すのか定かではありません。
上小池の標高が900m余り。カサバノ谷は打波川に注ぐ谷の一番上流の谷。右俣はその支流。
やわらかな地形の中を緩やかに流れ落ちる谷。険しい谷やゴルジュはなさそう。
気になるのはヤブの状態。ヤブが濃くなったら時間がかかるだろうなぁ、と思いました。
以前からずっと考えていたコースです。何もないだろうとは思ってましたが、まさかあんなにヤブだとは想定外。
勢いよく流れる本流を見送り、カサバノ谷右俣に入ると、透き通った緑の森と清冽な流れに迎えられ笑みがこぼれましたね。
お写真の、そう、谷一杯に幾筋も糸を引いて落ちる美しい滝が目の前に現れた時は、わぁ、と歓声を上げました。
早速、お山の秘密のうつくしい表情に出会えました。
この時までは「やったー」と思ってました。
沢登りをしに来たのか、ヤブ漕ぎをしに来たのかわからない感じになりましたが、
そのわからない感じが面白かったです。完全なヤブ沢、ヤブ山歩きになってしまいましたが、たくさんのお花に出会え感激しました。
あれを面白いと感じるsatoさんの感性もなかなかのものです。
花だけが癒してくれました。
谷が広くなった辺りで見つけたワサビ田の跡には目を見張りました。こんな山奥でワサビを育てていたのですね。
手入れをする人がいなくなっても育ち続けるワサビを見ながら、この風景に出会えてよかったとしみじみと思いました。
幅ヶ平の奥の登山道から離れたところにもワサビ田がありました。
帰りに会ったお爺さんが手入れしていたのかもしれませんね。
源頭のブナ林。
ヤブの中から見上げたブナの木々一本一本に気高さを感じました。凛とした空気に満ちたブナの森でした。
上を見てる分には良かったんですが・・・
越美国境稜線に乗ると、ササの丈が少し低くなり視界がぱぁっと広がりましたね。
もくもくと白い雲がわく青空、緑輝く別山への山並みを暫しの間、放心状態で眺めていました。
願教寺山が目に飛び込んだ瞬間、胸が震えました。
ここで背丈を超す笹ヤブだと心が折れてしまうところですが、まわりが見えるというのはありがたいことですね。
ここまで来たら笠場湿原まであともう少し、と思いましたが、ここからが長く感じました。
直線距離にしたらすぐそこなのにね。
ヤブの隙間に咲くミズバショウ。一年前に通った場所だとすぐに分かりました。
ふたたび出会えたよろこびに包まれました。
去年、最初に出会ったミニ湿原でしたね。
山日和さん、湿原と願教寺山をじっと見つめていましたね。
わが心のハイマートに立った喜びを噛みしめてました。なんちゃって。
きっかり1時間の楽園タイムを味わい帰路へ。
せっかくここまで来たのに1時間しかゆっくりできないのが実に残念でした。
行きはよいよい帰りはこわい、ではなく、帰りは行きよりもスムーズに進めましたね。
パズルを解くようなルート取り(行きも感じましたが)に、わたしは、すごいなぁ、と後を追うばかり。
帰りはできるだけ直線的に、かつヤブの薄いところを選びながら進みました。
行きには出会うことのなかった輝きにも出会えました。
サンカヨウの群落、ひと株のサルメンエビネとの出会いは、まさに一期一会の煌めく風景との出会いでした。
往路の少し横を通っただけで違う出会いがある。往復も悪くないなと思わせてくれましたね。
廃林道でのおじさんとの出会いもこころに残る思い出となりました。
81歳。母と同い年の方でした。おじさんにとっては災難の日でしたが、おじさんのお話はどれも興味深く、わたしにとっては楽しい林道歩きになりました。より印象深い山旅となりました。
いただいた山菜の王様山ウドは、天ぷらで味わわれましたか。
急斜面を声を出しながらずり落ちるように下りて来たのには驚きました。
山ウドは天ぷらと醤油漬けで頂きましたよ。
山日和さんは、現実の風景と時間を冷静に見つめながら歩かれていたのですね。
山日和さんの冷静さがあり、わたしは安心して未知の谷の風景、
ヤブを掻き分け掻き分け憧れの地へ向かうという物語のような沢山旅を味わうことが出来たのだなぁ、
とあらためて感じました。素敵な山旅を満喫させていただき感謝です。
冷静に「どこでやめよかなあ」と考えてましたよ。
山日和
今回は越前側の上小池からカサバノ谷を遡る沢山旅。昨年、美濃側の石徹白から遡った谷は笠羽谷。
楽園は笠場(昨年のレポのタイトルでは笠羽の字を使われていましたね)湿原。同じ音で異なる字。面白いですね。
いろいろ調べてみたけど、どれが正しいとか間違っているとかはわかりませんでした。
笠場湿原と書いたのは美濃禅定道にある標識の表記に従いました。
そこには「うえ田」という文字もあるんだけど、どこを指すのか定かではありません。
上小池の標高が900m余り。カサバノ谷は打波川に注ぐ谷の一番上流の谷。右俣はその支流。
やわらかな地形の中を緩やかに流れ落ちる谷。険しい谷やゴルジュはなさそう。
気になるのはヤブの状態。ヤブが濃くなったら時間がかかるだろうなぁ、と思いました。
以前からずっと考えていたコースです。何もないだろうとは思ってましたが、まさかあんなにヤブだとは想定外。
勢いよく流れる本流を見送り、カサバノ谷右俣に入ると、透き通った緑の森と清冽な流れに迎えられ笑みがこぼれましたね。
お写真の、そう、谷一杯に幾筋も糸を引いて落ちる美しい滝が目の前に現れた時は、わぁ、と歓声を上げました。
早速、お山の秘密のうつくしい表情に出会えました。
この時までは「やったー」と思ってました。
沢登りをしに来たのか、ヤブ漕ぎをしに来たのかわからない感じになりましたが、
そのわからない感じが面白かったです。完全なヤブ沢、ヤブ山歩きになってしまいましたが、たくさんのお花に出会え感激しました。
あれを面白いと感じるsatoさんの感性もなかなかのものです。
花だけが癒してくれました。
谷が広くなった辺りで見つけたワサビ田の跡には目を見張りました。こんな山奥でワサビを育てていたのですね。
手入れをする人がいなくなっても育ち続けるワサビを見ながら、この風景に出会えてよかったとしみじみと思いました。
幅ヶ平の奥の登山道から離れたところにもワサビ田がありました。
帰りに会ったお爺さんが手入れしていたのかもしれませんね。
源頭のブナ林。
ヤブの中から見上げたブナの木々一本一本に気高さを感じました。凛とした空気に満ちたブナの森でした。
上を見てる分には良かったんですが・・・
越美国境稜線に乗ると、ササの丈が少し低くなり視界がぱぁっと広がりましたね。
もくもくと白い雲がわく青空、緑輝く別山への山並みを暫しの間、放心状態で眺めていました。
願教寺山が目に飛び込んだ瞬間、胸が震えました。
ここで背丈を超す笹ヤブだと心が折れてしまうところですが、まわりが見えるというのはありがたいことですね。
ここまで来たら笠場湿原まであともう少し、と思いましたが、ここからが長く感じました。
直線距離にしたらすぐそこなのにね。
ヤブの隙間に咲くミズバショウ。一年前に通った場所だとすぐに分かりました。
ふたたび出会えたよろこびに包まれました。
去年、最初に出会ったミニ湿原でしたね。
山日和さん、湿原と願教寺山をじっと見つめていましたね。
わが心のハイマートに立った喜びを噛みしめてました。なんちゃって。
きっかり1時間の楽園タイムを味わい帰路へ。
せっかくここまで来たのに1時間しかゆっくりできないのが実に残念でした。
行きはよいよい帰りはこわい、ではなく、帰りは行きよりもスムーズに進めましたね。
パズルを解くようなルート取り(行きも感じましたが)に、わたしは、すごいなぁ、と後を追うばかり。
帰りはできるだけ直線的に、かつヤブの薄いところを選びながら進みました。
行きには出会うことのなかった輝きにも出会えました。
サンカヨウの群落、ひと株のサルメンエビネとの出会いは、まさに一期一会の煌めく風景との出会いでした。
往路の少し横を通っただけで違う出会いがある。往復も悪くないなと思わせてくれましたね。
廃林道でのおじさんとの出会いもこころに残る思い出となりました。
81歳。母と同い年の方でした。おじさんにとっては災難の日でしたが、おじさんのお話はどれも興味深く、わたしにとっては楽しい林道歩きになりました。より印象深い山旅となりました。
いただいた山菜の王様山ウドは、天ぷらで味わわれましたか。
急斜面を声を出しながらずり落ちるように下りて来たのには驚きました。
山ウドは天ぷらと醤油漬けで頂きましたよ。
山日和さんは、現実の風景と時間を冷静に見つめながら歩かれていたのですね。
山日和さんの冷静さがあり、わたしは安心して未知の谷の風景、
ヤブを掻き分け掻き分け憧れの地へ向かうという物語のような沢山旅を味わうことが出来たのだなぁ、
とあらためて感じました。素敵な山旅を満喫させていただき感謝です。
冷静に「どこでやめよかなあ」と考えてましたよ。
山日和