【奥美濃】いいもの見っけ!小津権現山・大蔵谷
Posted: 2022年6月15日(水) 10:29
皆様、ご無沙汰しております。兔夢です。
「兔夢」でログインできなかったので、「tomu」でユーザー登録し直しました
今回は、時間的、精神的に余裕があったので久し振りの投稿となりました。
2022年6月12日(日)晴れ 奥美濃 大蔵谷から小津権現山 R303駐車地6:40-入渓6:55-12m大滝7:50-
500m二俣8:50-16m大滝9:10-山頂11:15~12:00-
高屋山西ピーク12:30-駐車地14:30
小津権現山南西に落ちる大蔵谷(オゾウタニ)に行ってきた。
ここは12年前(もうそんなに経つのか!)そばつると遡行したことがある。その時に西尾根に壁が見えた。地形図で見ると確かに壁がありそうな地形をしている。その地形の下には谷筋が通っていた。その谷筋を辿ってあの壁に近づいてみたい。そう思ってから随分時が流れた。どこに行こうか迷っている時、この記憶が蘇った。この機会に訪れてみよう。
まだ梅雨入りをしていない東海地方。天候はそこそこにいいようだ。大蔵谷にかかる橋の左岸側に駐車して出発。
右岸林道は車止がしてあった。その手前に駐車車輌があった。恐らく林道を少し入ったところにある堰堤で竿を出していた釣り人のものだろう。
この林道、及び堰堤は12年前にここを訪れた後に整備された。整備工事が進んで沢の雰囲気が壊れないか心配だった。しかし、林道整備は前回入渓した手前で終わっていてその先は手付かずだった。終点には鉄製の細い橋が架けられていた。林業作業のためのものだろうか。 更に奥に延びている点線路は道型も怪しい廃道と化している。残されたコンクリートの橋だけがここにかつて林道があった事を教えてくれる。ここから沢中を歩き出す。
周りは捨てられたような植林が続く。その中に時折雰囲気のある岩床が現れ期待に胸が膨らむ。所々に変わった感じの岩が見受けられた。黄土色の表面にスプーンで抉ったような窪みがある。貝の化石かな。
地形図に滝マークが現われる辺りで枝沢に滝が見えた。本流に滝はない。この辺りから谷は狭く暗くなってくる。ゴーロが続くが雰囲気は良くなっていく。
左岸に苔むした石積みが見えたところからゴルジュが始まり沢登りらしくなってきた。ゴルジュ最深部には12mチョックストーン大滝がかかる。記憶では5~6mだったのでその高さに圧倒された。前回は被さる岩の下まで登って水流に入ったが今回は岩の反対側の水流のないところを登った。最後のところでホールドがなく焦った。右手に根っ子が延びてきていてそれを手掛りになんとか登りきることができた。落口から左岸を見るとトラロープが張られていた。釣り人の巻きルートのようだが詳細はわからない。 大滝のすぐ奥が400mの二俣だった。そこには二条の滝がかかり周りの樹林とともにいい雰囲気を醸し出していた。右俣を進むと裏見ができそうな滝が現われる。試しに裏に回ってみるとそこはダダ漏れで全身がびしょ濡れ。更に形の良い5mほどの垂瀑が現われる。これを簡単に右から巻くと500m二俣にでた。
前回は地形図に水線の描かれている右俣を進んだ。しかし、そこは全くの涸れ沢だった。今回は壁を目指して水線の描かれてない左俣に入る。こちらは水流が豊富。滝の位置といい、水線といい、地形図が現状を反映していない。
左右の樹林の雰囲気の良さに見とれながら歩いて10分程で6mの二条滝が現われた。一見登れそうになく怯むが左手のチムニー状が何とか登れた。その先に落差16mはあろうかと思われる豊富な水量の垂瀑が現われる。左右は岩壁が立ち、周囲の雰囲気も含めてすばらしい。こんなのがまだあろうとは!奥美濃は奥が深い、と改めて感じた。それと同時に越えられるのか、という不安も。 左壁に所々樹木が立つバンドが見えた。これが上手く通れれば落口に辿り着けそうだ。恐るおそる取り付いてみる。落ち葉に埋もれた足下に注意しながら登っていく。上部でやや外傾していて慎重になったが広さは十分で上手くつながって落口に降りる事ができた。
落口より上は美しい連瀑帯。その後も雰囲気のいい渓相が続く。こういうところを歩けるのは遡行者冥利に尽きる。この沢を登りきる事ができるのか、と出発前は不安だらけだったがここに至っては来て良かったという満足感で満たされていく。
最後に現われる微妙な三俣を慎重に読み、進んだ先に樹林に埋もれた白い岩壁が見えた。12年前に見たものではないが壁の一端を見た気がしてこれにも満足。どうやら石灰岩の壁のようだ。
上部の沢筋は思った以上に広く、素直に続いていた。沢が左に曲がったところで草むらが全体を覆う。これを避けて左岸尾根にあがった。ここがまた雰囲気が良かった。落ちつける紅葉樹林で何時までもいたい気分にさせてくれた。ここで足下を履き替えた。
尾根はすぐに急登になる。カレンフェルトが並んだ楽しい風景が続き、その中を獣道に導かれるように登っていく。時折背後が開け西濃から伊吹辺りの景色が見られた。稜線辺りの笹薮を心配したが笹は細く疎らだった。それほど苦労もなくあがった稜線では笹が全くないところも。
藤波谷からの登山道に出てわずかで山頂。好天の下、何人かのハイカーが休憩していた。傍らに腰を下ろして休憩していると沢登りと知ったハイカーから「どんな沢でしたか?」と聞かれたが沢登りをしない人に何といったら良いか言葉に詰まった。
山頂からは目前にタンポ、北にお馴染みの花房山などの山並み。しかし、北部は雲がかかって遠くは見られなかった。太平洋側はいい天気で伊勢湾が霞みながらも見えていた。 下山は一旦登山道を降りる。近年整備された登山道はハイキング向きの良いルートになった。高屋山西ピークからは南西に延びる尾根を辿る。下りはじめが痩せ尾根の急下降で慎重になる。しかし、その後は広い尾根上に伸びやかな樹林が広がる。抜群の癒しの森と言えそうだ。吹き抜ける風も柔らかく気持ちがいい。最後に尾根を外してしまったが地形図にない廃林道に救われた。着地は駐車地点にピンポイント。良い沢、良い滝、良い尾根を満喫できたすばらしい1日だった。
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今回は、時間的、精神的に余裕があったので久し振りの投稿となりました。
2022年6月12日(日)晴れ 奥美濃 大蔵谷から小津権現山 R303駐車地6:40-入渓6:55-12m大滝7:50-
500m二俣8:50-16m大滝9:10-山頂11:15~12:00-
高屋山西ピーク12:30-駐車地14:30
小津権現山南西に落ちる大蔵谷(オゾウタニ)に行ってきた。
ここは12年前(もうそんなに経つのか!)そばつると遡行したことがある。その時に西尾根に壁が見えた。地形図で見ると確かに壁がありそうな地形をしている。その地形の下には谷筋が通っていた。その谷筋を辿ってあの壁に近づいてみたい。そう思ってから随分時が流れた。どこに行こうか迷っている時、この記憶が蘇った。この機会に訪れてみよう。
まだ梅雨入りをしていない東海地方。天候はそこそこにいいようだ。大蔵谷にかかる橋の左岸側に駐車して出発。
右岸林道は車止がしてあった。その手前に駐車車輌があった。恐らく林道を少し入ったところにある堰堤で竿を出していた釣り人のものだろう。
この林道、及び堰堤は12年前にここを訪れた後に整備された。整備工事が進んで沢の雰囲気が壊れないか心配だった。しかし、林道整備は前回入渓した手前で終わっていてその先は手付かずだった。終点には鉄製の細い橋が架けられていた。林業作業のためのものだろうか。 更に奥に延びている点線路は道型も怪しい廃道と化している。残されたコンクリートの橋だけがここにかつて林道があった事を教えてくれる。ここから沢中を歩き出す。
周りは捨てられたような植林が続く。その中に時折雰囲気のある岩床が現れ期待に胸が膨らむ。所々に変わった感じの岩が見受けられた。黄土色の表面にスプーンで抉ったような窪みがある。貝の化石かな。
地形図に滝マークが現われる辺りで枝沢に滝が見えた。本流に滝はない。この辺りから谷は狭く暗くなってくる。ゴーロが続くが雰囲気は良くなっていく。
左岸に苔むした石積みが見えたところからゴルジュが始まり沢登りらしくなってきた。ゴルジュ最深部には12mチョックストーン大滝がかかる。記憶では5~6mだったのでその高さに圧倒された。前回は被さる岩の下まで登って水流に入ったが今回は岩の反対側の水流のないところを登った。最後のところでホールドがなく焦った。右手に根っ子が延びてきていてそれを手掛りになんとか登りきることができた。落口から左岸を見るとトラロープが張られていた。釣り人の巻きルートのようだが詳細はわからない。 大滝のすぐ奥が400mの二俣だった。そこには二条の滝がかかり周りの樹林とともにいい雰囲気を醸し出していた。右俣を進むと裏見ができそうな滝が現われる。試しに裏に回ってみるとそこはダダ漏れで全身がびしょ濡れ。更に形の良い5mほどの垂瀑が現われる。これを簡単に右から巻くと500m二俣にでた。
前回は地形図に水線の描かれている右俣を進んだ。しかし、そこは全くの涸れ沢だった。今回は壁を目指して水線の描かれてない左俣に入る。こちらは水流が豊富。滝の位置といい、水線といい、地形図が現状を反映していない。
左右の樹林の雰囲気の良さに見とれながら歩いて10分程で6mの二条滝が現われた。一見登れそうになく怯むが左手のチムニー状が何とか登れた。その先に落差16mはあろうかと思われる豊富な水量の垂瀑が現われる。左右は岩壁が立ち、周囲の雰囲気も含めてすばらしい。こんなのがまだあろうとは!奥美濃は奥が深い、と改めて感じた。それと同時に越えられるのか、という不安も。 左壁に所々樹木が立つバンドが見えた。これが上手く通れれば落口に辿り着けそうだ。恐るおそる取り付いてみる。落ち葉に埋もれた足下に注意しながら登っていく。上部でやや外傾していて慎重になったが広さは十分で上手くつながって落口に降りる事ができた。
落口より上は美しい連瀑帯。その後も雰囲気のいい渓相が続く。こういうところを歩けるのは遡行者冥利に尽きる。この沢を登りきる事ができるのか、と出発前は不安だらけだったがここに至っては来て良かったという満足感で満たされていく。
最後に現われる微妙な三俣を慎重に読み、進んだ先に樹林に埋もれた白い岩壁が見えた。12年前に見たものではないが壁の一端を見た気がしてこれにも満足。どうやら石灰岩の壁のようだ。
上部の沢筋は思った以上に広く、素直に続いていた。沢が左に曲がったところで草むらが全体を覆う。これを避けて左岸尾根にあがった。ここがまた雰囲気が良かった。落ちつける紅葉樹林で何時までもいたい気分にさせてくれた。ここで足下を履き替えた。
尾根はすぐに急登になる。カレンフェルトが並んだ楽しい風景が続き、その中を獣道に導かれるように登っていく。時折背後が開け西濃から伊吹辺りの景色が見られた。稜線辺りの笹薮を心配したが笹は細く疎らだった。それほど苦労もなくあがった稜線では笹が全くないところも。
藤波谷からの登山道に出てわずかで山頂。好天の下、何人かのハイカーが休憩していた。傍らに腰を下ろして休憩していると沢登りと知ったハイカーから「どんな沢でしたか?」と聞かれたが沢登りをしない人に何といったら良いか言葉に詰まった。
山頂からは目前にタンポ、北にお馴染みの花房山などの山並み。しかし、北部は雲がかかって遠くは見られなかった。太平洋側はいい天気で伊勢湾が霞みながらも見えていた。 下山は一旦登山道を降りる。近年整備された登山道はハイキング向きの良いルートになった。高屋山西ピークからは南西に延びる尾根を辿る。下りはじめが痩せ尾根の急下降で慎重になる。しかし、その後は広い尾根上に伸びやかな樹林が広がる。抜群の癒しの森と言えそうだ。吹き抜ける風も柔らかく気持ちがいい。最後に尾根を外してしまったが地形図にない廃林道に救われた。着地は駐車地点にピンポイント。良い沢、良い滝、良い尾根を満喫できたすばらしい1日だった。