【京都北山】滝谷左俣〜天狗峠〜滝谷左岸尾根☆朽ちてゆくものの傍で受け継がれる生命

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yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

【京都北山】滝谷左俣〜天狗峠〜滝谷左岸尾根☆朽ちてゆくものの傍で受け継がれる生命

投稿記事 by yamaneko0922 »

【 日 付 】2022年5月21日(土曜日)
【 山 域 】京都北山 
【メンバー】山猫、biwa爺さん、家内、Hさん、Uさん
【 天 候 】曇り時々小雨
【 ルート 】岩屋谷出合9:08〜9:52一の滝10:05〜10:10馬尾の滝10:23〜10:26滝谷の出合10:40〜12:27p927(ランチ)13:29〜14:51天狗岳14:54〜16:05滝谷左岸尾根分岐16:23〜17:05久多上の町登山口17:07〜17:23駐車地

京都の久多川の源流域を取り巻く稜線は京都市の中では間違いなく最も奥深いところにある山であり、この一帯は山の奥深さがそのまま山の魅力となっている。京都で最も好きな山域は?と聞かれれば躊躇なくここを一番に挙げるのだが、その理由はまさに山の奥深さだ。そもそも左京区がここまで広がっているということ自体がにわかには信じ難いところだろう。

kitayama-walkさん、satoさん、Kさん達と共に三国岳から丹波と山城の国境稜線をp927まで辿り、滝谷の右岸尾根を周回したのは丁度、昨年の今の季節だったが、その時にbiwa爺さんにお付き合いした頂くことが叶わなかったので、今年は是非にとご同行をお願いさせて頂いた。天狗峠が未踏というHさんとUさんもご一緒だ。ルートは昨年と少し変えて、家内とと共に2年前のこの時期に歩いたコースを再び辿る計画とする。

この日は早朝に雨の音で目が醒める。待ち合わせの坊村の市民センターに到着する頃には雨も上がる。天気が悪いせいだろうか、坊村の市民センターの駐車場は普段よりも明らかに車が少ない。ここからはbiwa爺さんには私達の車に乗って頂き、久多川の上流を目指す。

久多の集落に入ると数年前に建てられたトイレの前ではオレンジ色の蛍光色のベストを着た人達が20人ほど集まっている。猟友会の方達だ。山に入られるのは久多の近隣のあたりだった。

今回の山行の出発地点となる岩屋谷と滝谷の出合は車が2台ほどの道路余地がある。車を停めるとすぐにももう一台車が到来するが、車は私達の横を素通りして滝谷林道の奥へと入っていった。登山準備を整えているうちにすぐにもHさんの靴にヒルが取り付いている。残念なことに岩屋谷も滝谷もヒルの多発地帯だ。

林道を入ると少し先に進んだところで先程の車が停められており、男性3人が出発されるところだった。そのすぐ先で倒木が林道を塞いでいる。ここは昨年の秋は林道の終点まで入ることが出来たらしいが、この滝谷への林道は倒木により通行出来なくなっていることが多い。

林道終点まで至ると先を行く男性達に追いつく。驚いたことに若い人達だった。ここまで来ると当然、滝谷の上流にある二つの滝を目指すものと思っていたが、意外にも天狗峠と三国岳のほぼ中間のピークp936から滝谷に向かって南に延びる尾根から国境尾根に登り、天狗峠を目指すという。

私達のコース取りをお話しすると、2年前に滝谷の右俣から天狗峠を目指したが、谷が急峻だったのですぐに谷を離脱して右岸の尾根から稜線に上がったが、その登攀がかなり大変であったとのお話をお伺いする。私も天狗峠に右俣経由で二度ほど登っているの人のことはいえないが、そのマニアックなコース取りと目の前の若者達から受ける印象は大きく乖離しているように思えてならないのだった。

男性達にご挨拶して私達はいよいよ滝谷に入渓する。広々とした谷に平流が続く。谷の苔むした岩のせいで深い緑の世界が続く。大きな岩が現れるようになると右岸を巻いて進むようになる。やがて谷の正面に扇状の大きな分岐瀑が現れる。一の滝だ。
一の滝.JPG

右岸に滝を高巻く道が続いている。滝の落ち口を過ぎるとすぐにも上流に二段の直瀑が現れる。馬尾の滝とはよく命名したものだと思う。滝の下段はわずかに跳ね上がって落ちるので、少し横から眺めると確かにポニーテールのように見えるのだ。

この滝を訪れるのは4回目であるが、過去に訪れたのはいずれも晴天の時であったことを思い出す。晴天の日は滝壺が木陰になり鬱蒼とした雰囲気になるのだが、曇天のせいか却って鬱蒼とした雰囲気が薄れ、むしろ明るい雰囲気に感じられた。いずれにせよ深い緑色の滝壺に向かって静かに流れ落ちる一筋の滝の神秘的な雰囲気には変わりはない。
馬尾の滝.JPG

馬尾の滝を巻くと再び谷は平流となり、広々とした二俣に出る。この出合には多くのトチノキの大樹が聳え、壮麗な雰囲気だ。林床には数多くの小さな妖精のような花が散乱している。トチノキの小さな花だ。
トチノキ.JPG

左俣に入るとすぐに5mほどの小滝が現れるが、この滝は右岸から高巻く。谷の周囲は植林となり、単調な谷歩きが続く。小さな滑滝を越えて、上流の二俣に至る。前回は左俣を進んだのだが、中間の尾根を進むことにする。しかし、この尾根はp927のすぐ北側のca910mから東に延びる尾根で、上部ではかなりの急斜面になっていることに気がつく。左手の谷は水は少ないものの滝があるようなので、少し尾根を登ったところで斜面をトラバースして谷のなだらかな源頭に入る。

なだらかな源頭で一休みする。右岸にそびえる大きな台杉のシルエットを目指して登り始めると足元には小さな繊細な茶色の可憐な花が咲いていた。
花.JPG
最後は尾根をわずかに登ってp927のすぐ北側に出る。時間も程よい頃なのでp927の西側の平坦地でランチを調理する。この日は鴨肉とマッシュルーム、ズッキーニ、パプリカのアヒージョを調理する。

尾根を北上すると、すぐにも小雨が降り始めた。p921のピークが近づくと華やかな花の少ない稜線にあって、ここだけは更紗満点星(サラサドウダン)が咲くところだ。昨年に比べて花つきが明らかに悪いようだが、比良はともかく、北山のこの界隈では出遭うことの少ないこの花に出会えるのは嬉しいものだ。
サラサドウダン.JPG

天狗峠への分岐には真新しい木製のプレートが掛けられている。尾根の中間部にある三俣のシンボリックな台杉の裏側に回り込むと、真新しい花が添えられていた。林道の終点でお遭いした先程の若い男性達がお供えされたのだろう。台杉の周りは雨の森の匂いに混じって線香の残り香と思われる香気が漂っていた。
三本杉.JPG

天狗峠のピークの手前では展望が大きく開ける箇所がある。光砥山から小野村割岳を経て佐々里峠へと向かう国境稜線を俯瞰することが出来るが、この稜線は果たしてどこに山があるのだろうと思うほどに平坦であり、山座の同定が容易ではない。天狗峠の山頂に昨年kitayama-walkさんが掛けられた山名標は落下して、近くの倒木の根っこに掛けられていたので、応急処置で樹の枝に掛けなおす。

p936の手前からca900mの手前では伐採の跡なのだろうか、尾根上には草原が広がり好展望が広がる。先程までの小雨もいつしか止んだようだ。眼下には午前中に辿った滝谷を望み、その彼方に見えているのは鎌倉山からオグロ坂を挟んで峰床山へと続く稜線だろう。

尾根の北側は鬱蒼とした雰囲気に思えるが、樹林の中に踏み込むとなだらかな源頭に広がるブナの疎林の中は清々しい緑の世界に飛び込むことになる。この稜線の中でも林相の美しさに関してはここは随一の場所だろう。
ブナの森.JPG

苔むした倒木の後を除くと、先ほどの滝谷の源頭で見かけた花が咲いていた。昨年、この同じ場所でsatoさんが放った詩的な言葉が再び脳裏をよぎる。「朽ち果てゆく者の傍らで生命を謳歌する者達、こうして命が受け継がれていくんだ〜!」。実は今年もその命が無事に受け継がれているのかどうかを確かめることが今回の山旅の大きな目的でもあったのだ。そして、この可憐な花の命が永遠に引き継がれていくことを願わずにはいられない。
枯れ木の根元で.JPG

ca900mからは滝谷の左岸尾根を下降する。尾根は最初こそ急下降ではあるが、すぐにも緩やかになる。ca740mからは岩屋谷の出合に向かって北に下降する尾根を西側斜面をトラバースしながら下降する。登山道は良好に整備されており、歩きやすい道が続く。

府立大学の小屋の裏手に着地すると最後は林道歩きである。歩き始めると早速にもUさんの靴によじ登ってきたものがいる。この林道もヒルに要注意だ。谷沿いの緑の景色の中では花盛りのタニウツギが華やかなピンク色が際立つ。

駐車地に戻り、車で久多川に沿って南下すると早速にも本降りの雨が降り始める。biwa爺さんが「予報通りだな」と仰る。夕方から雨の予報だったようだ。多少の小雨には降られたものの本格的な雨になる前に下山出来て何よりだった。

後になって調べると天狗峠で単独行の男性が三本杉の近くで遭難されたのは3年前のこの時期のことだった。三本杉の傍に添えられた花々の残像がいまだに鮮明に残る。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りしたい。
山猫 🐾
biwaco
記事: 1423
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【京都北山】滝谷左俣〜天狗峠〜滝谷左岸尾根☆朽ちてゆくものの傍で受け継がれる生命

投稿記事 by biwaco »

Dr.山猫さん、こんにちは。2週に渡りお世話になりました。
健脚、剛力のみなさんとご一緒できると、連れられてリハビリの効果も倍速になりそうです。(^^♪
この一帯は山の奥深さがそのまま山の魅力となっている。京都で最も好きな山域は?と聞かれれば躊躇なくここを一番に挙げるのだが、その理由はまさに山の奥深さだ。
長い間、京都を拠点に仕事していたのに、北山など周辺の山には数えるくらいしか登っていませんでした。ここ10年ほど前からボチボチ足を向け出しましたが、アルプスや高原の山とは違った魅力を感じ始めています。奥深さ=神秘、不安、恐怖まで感じさせてくれ、ひっそりと咲く草花や樹花、尾根から見渡せる重畳とうねる山並には、心が洗われます。
三国岳から丹波と山城の国境稜線をp927まで辿り、滝谷の右岸尾根を周回したのは丁度、昨年の今の季節だったが、その時にbiwa爺さんにお付き合いした頂くことが叶わなかったので、今年は是非にとご同行をお願いさせて頂いた。
その節は、たしか何かの予定とバッティングしていて残念でした。せっかくの魅力的メンバーでしたのに。ただし、私がいたら、ルート完走はムリだったかも(^_-)
数年前に建てられたトイレの前ではオレンジ色の蛍光色のベストを着た人達が20人ほど集まっている。猟友会の方達だ。
かなりのメンバーでトイレ舎前の駐車場は満車でしたね。猟銃を見て、誤射されないよう、「これから山に入りますのでよろしく!」としっかりアピールしておきました。(^_-)
林道終点まで至ると先を行く男性達に追いつく。驚いたことに若い人達だった。
そのマニアックなコース取りと目の前の若者達から受ける印象は大きく乖離しているように思えてならないのだった。
高校生か大学生の感じでしたね。この日は帰路にも若者に出会いました。ヤングアドベンチャーの存在は嬉しい未来を感じさせてくれます。
やがて谷の正面に扇状の大きな分岐瀑が現れる。一の滝だ。
滝の落ち口を過ぎるとすぐにも上流に二段の直瀑が現れる。馬尾の滝とはよく命名したものだと思う。滝の下段はわずかに跳ね上がって落ちるので、少し横から眺めると確かにポニーテールのように見えるのだ。
滝画像ありがとうございます。着いて行くのに必死で、じっくり滝見物より休憩優先でした。(@_@;)
そういえば周回中の稜線にも「馬尾の滝」への分岐プレートがありましたね。
この出合には多くのトチノキの大樹が聳え、壮麗な雰囲気だ。林床には数多くの小さな妖精のような花が散乱している。トチノキの小さな花だ。
林床の下草やコケの花かと間違えそうでした。
右岸にそびえる大きな台杉のシルエットを目指して登り始めると足元には小さな繊細な茶色の可憐な花が咲いていた。
お目当ての「おサルさん」を発見したのはUさん。大ハシャギの同行者が写真を撮り終えるのを待って、ご自分もしっかりカメラに収めておられました。
時間も程よい頃なのでp927の西側の平坦地でランチを調理する。この日は鴨肉とマッシュルーム、ズッキーニ、パプリカのアヒージョを調理する。
P5213793.jpg
私のお腹具合は、ここまでが限界でした(@_@。
山猫夫妻特製の「アヒージョ」はアワワの味をいっそう引きたてていただきました。
天狗峠への分岐には真新しい木製のプレートが掛けられている。尾根の中間部にある三俣のシンボリックな台杉の裏側に回り込むと、真新しい花が添えられていた。林道の終点でお遭いした先程の若い男性達がお供えされたのだろう。
左に進めば小野村割岳ですね。供花は写真の裏側にありました。彼らの縁故者なのでしょうか?
光砥山から小野村割岳を経て佐々里峠へと向かう国境稜線を俯瞰することが出来るが、この稜線は果たしてどこに山があるのだろうと思うほどに平坦であり、山座の同定が容易ではない。
スポンジマットのうねりみたいで、山座同定はpopotanの出番でしょう。(^_-)
昨年、この同じ場所でsatoさんが放った詩的な言葉が再び脳裏をよぎる。「朽ち果てゆく者の傍らで生命を謳歌する者達、こうして命が受け継がれていくんだ〜!」。実は今年もその命が無事に受け継がれているのかどうかを確かめることが今回の山旅の大きな目的でもあったのだ。
satoさんらしいフレーズの切り取りですね。私なら、「今年も生きながらえて、酔っ払ったおサルさんといっぱいやれるかな?」くらいかな(^_-) 
府立大学の小屋の裏手に着地すると最後は林道歩きである。歩き始めると早速にもUさんの靴によじ登ってきたものがいる。この林道もヒルに要注意だ。
以前は北山北部や芦生にはヒルはいなかったと聞きますが…今は昔、ですね(ーー;)
後になって調べると天狗峠で単独行の男性が三本杉の近くで遭難されたのは3年前のこの時期のことだった。
遭難原因は様々でしょうが、明日は我が身…、と肝に銘じて安全登山に努めます。
         ~びわ爺
yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

Re: 【京都北山】滝谷左俣〜天狗峠〜滝谷左岸尾根☆朽ちてゆくものの傍で受け継がれる生命

投稿記事 by yamaneko0922 »

biwa爺さん コメント有難うございます。
こちらこそオフ会の後は近江八幡の駅まで送って下さり有難うございます。

>リハビリの効果も倍速に・・・

そうなることを願っております。 :D

>猟銃を見て、誤射されないよう、「これから山に入りますのでよろしく!」としっかりアピールしておきました。(^_-)

有難うございます。入られる山が近くでなくて良かったです。

>コケの花かと間違えそうでした。

苔の花ってあるんでしたっけ? :?

>そういえば周回中の稜線にも「馬尾の滝」への分岐プレートがありましたね。

p927の北のピークca920mから滝谷の出合に下降する尾根の下降点ですね。

>山猫夫妻特製の「アヒージョ」はアワワの味をいっそう引きたてていただきました。

ビールに合えば、何よりです。
オフ会においても、ビールに合いそうな料理を用意していたのでしたが、味見して頂く機会がなくて残念でした :mrgreen:

>satoさんらしいフレーズの切り取りですね。

そうなんですよ。今回のrepのタイトル、最初にreferenceを示すべきかとも思ったのですが・・・
どう考えても私が考えつくようなものではないので。

>以前は北山北部や芦生にはヒルはいなかったと聞きますが…今は昔、ですね(ーー;)

冬の積雪が少なくなったせいか、あるいは鹿が増えたせいでしょうか :?

>遭難原因は様々でしょうが、明日は我が身…、と肝に銘じて安全登山に努めます。

御意です。
山猫 🐾
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