【室生山地】室生の谷探訪(2)室生龍口の滝とナメ(宇陀川支流阿清水川)

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シュークリーム
記事: 2065
登録日時: 2012年2月26日(日) 17:35
お住まい: 三重県津市

【室生山地】室生の谷探訪(2)室生龍口の滝とナメ(宇陀川支流阿清水川)

投稿記事 by シュークリーム »

瀧口不動滝
瀧口不動滝
【 日 付 】2022年5月25日(水)
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】駐車地 8:36 --- 9:00 龍口不動滝 --- 9:24 龍口大滝 --- 9:47 農業用ため池 10:02 --- 10:30 龍口大滝下 --- 10:48 龍口大滝(倶呂滝)落ち口 --- 11:22 遡行終了 --- 11:54 引き返す --- 12:19 農業用ため池 --- 12:30 夫婦川林道出合 --- 13:02 駐車地

室生龍口は三重県名張市との県境に近い山間の静かな集落である。名張市側の隣村である竜口と区別するために龍口という字を使っているらしい。山間の傾斜地に建てられた家にはそれぞれ立派な石垣があり。家々が大きく立派なのは昔このあたりが天領であった名残なのだろうか。集落内の細い枝道を入り,夫婦川林道開通記念碑の前に車を止める。
室生瀧口集落
室生瀧口集落
集落外れの林道を南に進み,獣害防止柵を越えると作業道となる。しばらく登っていくと作業道は分岐するので,谷の方へ降りていく左の道をとる。しばらくで水平道に合流するので,川下側へ進み,踏み跡を谷に下ると竜口不動滝15mであった。このあたりの谷に多いナメ滝である。水の中に足をつけると火照っていた身体が冷やされ気持ちがいい。

滝の下段左側が階段状になっているので登れそうである。下段を登りきると,その上はナメになっているが,傾斜が緩むのでフリクションを使って上まで登ることができた。滝上はゴルジュとなり,ゴーロとナメが混じった谷になっている。15分ほど遡行すると簡単に登ることができる感じのいいナメ斜滝が現れ,その上に,同じ方向から流れ落ちる二つの大滝が現れた。
龍口大滝前のナメ斜滝
龍口大滝前のナメ斜滝
この二つの滝を合わせて龍口大滝と呼ぶらしい。左側の滝が支流から流れ落ちる陀羅滝25m,右側の滝が本流を流れ落ちる倶呂滝15mだそうな。いわゆる「双門の滝」である。同様な「双門の滝」は奥の平谷の上流にあるが,水量が少ないせいか龍口大滝は奥の平谷の滝に比べると見劣りがする。水量が多い時に来るともっと迫力のある滝になるのだろう。二つの滝を同時に写真に撮ろうとするが,ちょうど林内に差し込んだ陽の光が逆光になっていい写真が撮れない。
陀羅滝25m
陀羅滝25m
諦めてまず支流側の陀羅滝を登ってみることにする。下段は登ることができるが,上段はナメになっておりホールドがないので,左の木立に逃げ,巻き登る。最後の抜けの部分がやや渋かったが,木を掴んで抜ける。滝上もナメが続いている。どこまで続いているのか探ろうと歩いていくと,約300mほど上流に今は使われていない農業用ため池があり,谷そのものがこのため池を最後に消えていた。池の横には地図に載っていない林道があり,「イドネ林道開通記念碑」と書いた碑がある。

谷の脇に杣道があるので,その杣道を辿って戻ることにする。陀羅滝の落ち口手前で杣道は谷を横切り,本流の方に向かっていた。陀羅滝を巻き下ることができないためだろう。植林の中をトラバースして降り立ったのは本流にかかる倶呂滝の落ち口だった。倶呂滝の上流にはナメが続いている。

倶呂滝の全貌をまだ見ていないので,対岸に渡り,作業道を下る。降りられる所で谷に降りていくと龍口大滝の下流側だった。再び上流に向かい,倶呂滝の下に立つ。倶呂滝はゴルジュの中にあり,巻きも直登も難しそうだ。確実な支点が取れれば直登も可能に思えるが,木が生えていないので,カムで支点をとるしかない。まあ,単独でリスクの高い登攀をしなければならない理由は何もない。右側から巻くことにする。
倶呂滝15m
倶呂滝15m
嵓の弱点を突きながらなるべく小さく巻くことにする。中段まで巻き登り,滝を横から見て直登しなくてよかったと思った。上段はもっと斜度を増し,ホールドもないのだ。登っていたら立ち往生するところだった。といっても巻きも結構渋い。細いバンドに沿って立木を掴みながら進むが,片側は垂直の崖で,一つ間違うとおだぶつである。前方2mほどは何も掴むものがない場所に出る。ここはあきらめて5mほど戻り,岩の間を直登することにする。立木に長スリングをかけ最低限の命の確保だけして,木を掴んで体を持ち上げる。なんとか安全圏にたどり着いた。もう,今日の分のアトラクションは十分堪能した気分。
倶呂滝落ち口
倶呂滝落ち口
落ち口の上はさっき見たナメだった。癒しのナメ歩き。やっぱナメはいい。どこまでナメが続くのかと歩いていくが,いつまでたってもナメがなくなる気配がない。ナメナメ天国である。レポに「天上に続くナメ」というタイトルをつけようかと思ったら約1キロほど歩いた所でようやくナメが終わった。両側が自然林だったらさぞかし癒しの渓になっただろうに。残念ながら両側が杉の植林なんである。水はもうチョロチョロといった程度しか流れていない。
倶呂滝上流のナメ
倶呂滝上流のナメ
まだまだ続くナメ
まだまだ続くナメ
谷のすぐ脇の林道に上がり,なおも進んでいく。地図の破線道を辿って夫婦川林道に出ようと思っているのだ。ところが,標高600mあたりに来ると放置された間伐材で道が消えている。地図にない道があり,地図にある道がない。国土地理院の地形図あるあるである。こんな場合は慌てず騒がず,元来た道を戻るのが一番である。で,戻り始める。

途中,地図にない林道分岐が現れた。おそらくさっきの農業用ため池の脇を通っていた林道だろう。進んでみると案の定ため池の脇に出た。この林道はどこへ通じているのかとさらに進んでみるとしばらくで夫婦川林道に合流した。夫婦川林道は舗装された立派な林道だ。この林道を歩き,龍口の集落に戻った。

室生龍口の谷は三つの大滝と長いナメを擁し,遡行して面白い谷だった。これが自然林の谷だったらさぞかし美しい谷だったろうにと思うのだが,両側が杉の植林であり,所々谷を塞ぐ流木が谷の美観を大きく削いでいるのが残念である。
                         @シュークリーム@
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山日和
記事: 3584
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【室生山地】室生の谷探訪(2)室生龍口の滝とナメ(宇陀川支流阿清水川)

投稿記事 by 山日和 »

シュークリさん、こんばんは。
このあたりはまったく馴染みのない山域、どういう位置関係にあるのやらさっぱりです。 :mrgreen:

しばらくで水平道に合流するので,川下側へ進み,踏み跡を谷に下ると竜口不動滝15mであった。このあたりの谷に多いナメ滝である。水の中に足をつけると火照っていた身体が冷やされ気持ちがいい。
滝の下段左側が階段状になっているので登れそうである。下段を登りきると,その上はナメになっているが,傾斜が緩むのでフリクションを使って上まで登ることができた。滝上はゴルジュとなり,ゴーロとナメが混じった谷になっている。15分ほど遡行すると簡単に登ることができる感じのいいナメ斜滝が現れ,その上に,同じ方向から流れ落ちる二つの大滝が現れた。


なかなかいい感じじゃないですか~ :D

この二つの滝を合わせて龍口大滝と呼ぶらしい。左側の滝が支流から流れ落ちる陀羅滝25m,右側の滝が本流を流れ落ちる倶呂滝15mだそうな。いわゆる「双門の滝」である。同様な「双門の滝」は奥の平谷の上流にあるが,水量が少ないせいか龍口大滝は奥の平谷の滝に比べると見劣りがする。

結構な大滝があるんですね。双門の滝というのはあちこちにありますね。私が印象に残っているのは笛吹川釜ノ沢の滝です。
粕川西谷の北谷にある双門の滝は大好きなところ。もっともこっちは勝手にそう呼んでいるだけですが。

諦めてまず支流側の陀羅滝を登ってみることにする。下段は登ることができるが,上段はナメになっておりホールドがないので,左の木立に逃げ,巻き登る。最後の抜けの部分がやや渋かったが,木を掴んで抜ける。滝上もナメが続いている。どこまで続いているのか探ろうと歩いていくと,約300mほど上流に今は使われていない農業用ため池があり,谷そのものがこのため池を最後に消えていた。池の横には地図に載っていない林道があり,「イドネ林道開通記念碑」と書いた碑がある。

なんとも変わった沢登りですねえ。谷の源頭部はため池ですか。

倶呂滝の全貌をまだ見ていないので,対岸に渡り,作業道を下る。降りられる所で谷に降りていくと龍口大滝の下流側だった。再び上流に向かい,倶呂滝の下に立つ。倶呂滝はゴルジュの中にあり,巻きも直登も難しそうだ。確実な支点が取れれば直登も可能に思えるが,木が生えていないので,カムで支点をとるしかない。まあ,単独でリスクの高い登攀をしなければならない理由は何もない。右側から巻くことにする。

無理は禁物ですね。私は登らないという気がすっかり失せてしまいました。

嵓の弱点を突きながらなるべく小さく巻くことにする。中段まで巻き登り,滝を横から見て直登しなくてよかったと思った。上段はもっと斜度を増し,ホールドもないのだ。登っていたら立ち往生するところだった。といっても巻きも結構渋い。細いバンドに沿って立木を掴みながら進むが,片側は垂直の崖で,一つ間違うとおだぶつである。前方2mほどは何も掴むものがない場所に出る。ここはあきらめて5mほど戻り,岩の間を直登することにする。立木に長スリングをかけ最低限の命の確保だけして,木を掴んで体を持ち上げる。なんとか安全圏にたどり着いた。もう,今日の分のアトラクションは十分堪能した気分。

あるあるですね。下から見たら行けそうだけど、横から見るととんでもないという場面。行き詰ってクライムダウンできなければアウトですよね。

落ち口の上はさっき見たナメだった。癒しのナメ歩き。やっぱナメはいい。どこまでナメが続くのかと歩いていくが,いつまでたってもナメがなくなる気配がない。ナメナメ天国である。レポに「天上に続くナメ」というタイトルをつけようかと思ったら約1キロほど歩いた所でようやくナメが終わった。両側が自然林だったらさぞかし癒しの渓になっただろうに。残念ながら両側が杉の植林なんである。水はもうチョロチョロといった程度しか流れていない。

こりゃ素晴らしい。しかし林相が・・・・南紀の谷のナメに通じるものがあるんでしょうか。

地図にない道があり,地図にある道がない。国土地理院の地形図あるあるである。こんな場合は慌てず騒がず,元来た道を戻るのが一番である。で,戻り始める。

これはフツーのことでしょう。 :lol:

室生龍口の谷は三つの大滝と長いナメを擁し,遡行して面白い谷だった。これが自然林の谷だったらさぞかし美しい谷だったろうにと思うのだが,両側が杉の植林であり,所々谷を塞ぐ流木が谷の美観を大きく削いでいるのが残念である。

私の場合、林相>渓相になっています。自然林、それもブナ林がなによりです。 :D

                      山日和


シュークリーム
記事: 2065
登録日時: 2012年2月26日(日) 17:35
お住まい: 三重県津市

Re: 【室生山地】室生の谷探訪(2)室生龍口の滝とナメ(宇陀川支流阿清水川)

投稿記事 by シュークリーム »

山日和さん,おはようございます。先日のオフ会では企画,運営お疲れ様でした。
スノー衆の企画運営と併せ,長年のご努力に敬服しています。


シュークリさん、こんばんは。
このあたりはまったく馴染みのない山域、どういう位置関係にあるのやらさっぱりです。 :mrgreen:

ほんとにね。私も2,3年前まではハイキングの場所と考えていましたが,赤目四十八滝を歩いていて,この辺りの谷には赤目以外にも滝があるだろうと思ったのがきっかけでした。実際歩いてみるとナメ滝とナメの宝庫であることがわかりました。南紀に比べると谷自体の規模が小さく,植林であるために沢登りとしての価値は低いですが,初めて見る滝や谷の様相は歩いていて楽しいです。

結構な大滝があるんですね。双門の滝というのはあちこちにありますね。私が印象に残っているのは笛吹川釜ノ沢の滝です。
粕川西谷の北谷にある双門の滝は大好きなところ。もっともこっちは勝手にそう呼んでいるだけですが。


はい,滝屋さんのブログをみるとこのあたりたくさんの滝があります。その前後にはナメもあります。龍口大滝はもっと水量の多い時に行ったら迫力があるでしょうね。

なんとも変わった沢登りですねえ。谷の源頭部はため池ですか。

まあ,この辺りの谷はこんなもんでしょう。
ため池の上流部は枯れ谷になっていました。雨の時だけ水が流れてため池の水を補給している感じなんでしょうね。


無理は禁物ですね。私は登らないという気がすっかり失せてしまいました。

私も単独では危ない橋はわたらないことにしています。昔は何も考えずに登って喜んでいたもんですけど。

こりゃ素晴らしい。しかし林相が・・・・南紀の谷のナメに通じるものがあるんでしょうか。

はい,この辺りは固い岩盤の上に土壌が薄皮のようにかぶさっている感じだと思います。熊野の赤倉谷なんかも同じように感じで,山全体が一つの岩盤から成り立っているようですね。ナメがナメとして維持される環境というのは比較的希少で,例えば谷の中に石や岩が落ちてくればたちまちナメがごろ谷に変貌します。この辺りのナメを見ていていろいろ考えるところがありました。


私の場合、林相>渓相になっています。自然林、それもブナ林がなによりです。 :D

確かに,林相は渓の雰囲気を形成する上でとても大事ですね。台高の木屋谷川も周囲は植林ですが,谷の周囲には広葉樹が残されていますので,素敵な渓になっています。室生の渓はその点,残念に思いますね。

                     
                         @シュークリーム@
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