【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

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sato
記事: 420
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by sato »

【日 付】 2022年3月28日
【山 域】 奥越
【天 候】 早朝は雨。のち曇ったり晴れたり
【メンバー】バーチャリさん sato
【コース】 真名川ダム↔持篭谷山↔・1209


見上げた空からは何も落ちてこなかった。
一面ミルクを流したような雲で覆われているが暗さは無く、微かに黄みを帯び輝いて見える。
持篭谷を囲むまだら雪の山は、その淡くとろりとした空に、くっきりとした線を描き、穏やかに佇んでいた。
「お天気はもう大丈夫みたい」
「よかった」
隣に立つバーチャリさんと、にっこり頷き合う。

昨晩、道の駅越前おおの荒島の郷の駐車場に車を停め、明日は、バーチャリさんとわたし、ふたりでの初めての雪山旅、
と張り切って目覚ましを4時20分にセットして、眠りについたのだが、
車の屋根を叩く音で目覚ましの鳴る少し前に目が覚めた。ドアを開けると本降りの雨。
どういうこと?と思ったが、天気予報を信じ、バーチャリさんの車の中で雨宿り。
1時間が経ったころ、ぽつっぽつっという感じになり、ダムまで行ってみましょう、と出発したのだった。

「忘れ物はないかな」
車の中をチェックし、カギをかける。ワカンとピッケルをくくり付けたリュックを背負い、
「それでは、お願いします!」と一歩を踏み出した。

今日は、昨冬下った持篭谷右岸尾根をゆったり味わう旅。雪が融けきったダム管理道路を進んでいく。
道がある、と山日和さんから聞いていた尾根の取り付き地点は、ピンクテープがありすぐに分かった。
よいしょとコンクリの塀をよじ登り山中に入ると、急斜面につづら折りの道が伸びていた。

登りきると、自然林の明るくたおやかな尾根が目の前に広がり、なんともいえない温かな空気に包まれた。
裸んぼの背の高い木々のまわりで、薄汚れた雪をはねのけて生き生きとして立つユキツバキ、ササの葉の緑、
そして、地肌の黒さが目に染みる。
雪山気分で来たけれど、もう3月も終わり。春なのだ。

木々の間を行き交う小鳥たちのさえずりが温かな空気をやさしく震わせる。
「わぁ、いいなぁ」笑みがこぼれる。
空も明るい。時間はたっぷりある。春の空気をからだいっぱい吸い込み、
ヤマハンノキの実が散りばめられている雪面と、ぴょんぴょんとササが飛び出す地面を縫いながら、歩みを進めていく。
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バーチャリさんとお話しをしながら歩きつつ、艶やかな葉を茂らせたユキツバキについ見入ってしまう。
こんなにもユキツバキが多い尾根だったとは。ぷくっとしたつぼみを見て胸がきゅっとなり、
くれない色に彩られたひと月後の風景を想像し、何故だか涙が出そうになった。

気が付くと、尾根はさらに広がりを見せ、健やかなブナの森に入っていた。
「わぁ、素敵」感嘆の声があがる。
足元が少し滑るのでアイゼンを装着して立ち上がると、木立の向こうから太陽が昇ってきた。
「わぁ、すごい」またもや感嘆の声。
満面の笑みを浮かべ、朝の光に向かっていく。
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ブナの森を抜けると空が広がった。
ここからはうつくしき白き峰々を眺めながらの雪稜歩き。雲は多いけど視界はよい。
「わぁ、わぁ、すごい」感嘆の声が続いていく。しあわせ気分に包まれながら持篭谷山へ。
こんもりかわいい山頂に着き、おおきな荒島岳を仰ぎ見て、もうちょっと近づきたいなと、・1209に向かう。
絶景を楽しみながら歩いているうちに荒島岳と縫ヶ原山のジャンクションのピークが目の前に。

「あっ」思わず息を呑む。
「霧氷!」
思いもがけない山の神様からのプレゼント。
ピークに立つと南の尾根の入り口は潅木とササのヤブが通せんぼしていた。霧氷も少し先までしかない。

満たされた気持ちが全身を包み込んだ。
「ここでコーヒーを飲んで戻りましょうか」
「そうしましょう」
開けた場所は風が冷たい。ヤブが作ってくれた風よけの下に並び、
凛とした生命のエネルギーを放つ白と黒の気高いお姿の荒島岳を眺め、お茶会を楽しむ。
壮大な風景の中のちっちゃなわたしたち。いとおしい時間が過ぎていく。
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ちょっとからだが固まってきた。どちらからともなく「さぁ、戻りましょうか」と立ち上がる。

帰りは行きよりにぎやかだった。
それほど時間は経っていないのに雪は柔らかになり、ズボッと踏み抜いてしまう。
そして、おおげさに声をあげて笑ってしまう。快適ではない踏み抜きも、ふたりだと楽しめる。

白き峰々に目を奪われ通り過ぎてしまった風景との出会いも。
白い尾根に立ち、静かに世界を見つめる一本の清楚なブナの木に気づき、ハッと足が止まる。
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持篭谷山を越え、その先のゆるりとした起伏の中に入ると、
「さぁ、ここで休んでいきなさい」とやわらかな空気がわたしたちを包み込んだ。
今度は、越前甲、経ヶ岳、赤兎山を眺めながらのお昼ご飯。

ふと、バーチャリさんの黄色い帽子とポシェットを見ると、水色の布が縫い合わされていた。
「ウクライナの国旗」
バーチャリさんの言葉が胸を突く。
わたしたちが、あぁ楽しい、と過ごしているその時、悲しみ、恐怖の中にいる人たちがいるという現実。
わたしたちには何が出来るのだろう。ちいさな声でも、あげることの大切さをバーチャリさんから学ぶ。
そして、こうしてお山を楽しむことが出来るのは、平穏な日々があってからこそなのだ、としみじみと思う。
やわらかな空気の中、あっちに飛び、こっちに飛び、話が続いていったが、
また同じように、どちらからともなく立ち上がった。

ブナの森に入ると、踏み抜きはより多くなった。
「わぁっ」とふたり同時に声をあげ、ズボリと踏み抜き大笑い。
少し下るとケヤキが目立ってきた。これも行きには見過ごしていた風景。
「ヤマザクラは見かけないねぇ」とバーチャリさん。
「えへん」と隣から咳が聴こえたような気がして横を向いたら、立派なヤマザクラの木。
またまた、ふたりで大笑い。
わたしたちの笑い声が木々を刺激させたのか。
枝先がまだ雪に埋まり弓なりになっていた木々が、何だか楽し気に立ち上がったような気がした。

面白がっていた踏み抜きだったが、だんだんと嫌になり、地面に逃げて歩いていると炭焼き窯跡にぶつかった。
この尾根の道は、下若生子の村人が行き来した道なのだ。ぱぁっと風景が広がっていく。
おおきなミズナラの木に近づくと、袂には、ちいさなちいさな白いお花が咲いていた。
なんて健気でかわいいのだろう。「セリバオウレン!」とバーチャリさんがうれしそうに呟く。
春を告げるお花との出会いによろこんでいたら、
「ホーホケキョ」どこかから春を告げるウグイスの声。

つづら折りの道に入った。足裏に力をこめ、下若生子村に生きた人々に思いを馳せながら下っていく。
曲がり角で掴んだ木の枝先の万歳をしているような冬芽は、あともう少しで開きそうな勢いだった。
戻ったダム周辺の道路脇にはぽつぽつとふきのとうが咲いていた。
山の神様からのお土産!

「いい山旅でしたね」
「ありがとうございます」
まんまる笑顔で、歩いてきたお山を振り返る。

sato
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by バーチャリ »

sato さん こんばんは

見上げた空からは何も落ちてこなかった。
一面ミルクを流したような雲で覆われているが暗さは無く、微かに黄みを帯び輝いて見える。
持篭谷を囲むまだら雪の山は、その淡くとろりとした空に、くっきりとした線を描き、穏やかに佇んでいた。
「お天気はもう大丈夫みたい」
「よかった」
隣に立つバーチャリさんと、にっこり頷き合う。


そうそう 天気は晴れと信じてました。


昨晩、道の駅越前おおの荒島の郷の駐車場に車を停め、明日は、バーチャリさんとわたし、ふたりでの初めての雪山旅、
と張り切って目覚ましを4時20分にセットして、眠りについたのだが、


sato さんは山日和さんといつも厳しい山歩きされて見えるので
ちょと心配でしたよ('_')

車の屋根を叩く音で目覚ましの鳴る少し前に目が覚めた。ドアを開けると本降りの雨。
どういうこと?と思ったが、天気予報を信じ、バーチャリさんの車の中で雨宿り。
1時間が経ったころ、ぽつっぽつっという感じになり、ダムまで行ってみましょう、と出発したのだった。


まさか雨つぶ落ちて来るとは思ってもいませでしたが


「忘れ物はないかな」
車の中をチェックし、カギをかける。ワカンとピッケルをくくり付けたリュックを背負い、
「それでは、お願いします!」と一歩を踏み出した。


sato さんもワカン初めてですよね
木無山もワカンにしましたが使わなかったですが。


今日は、昨冬下った持篭谷右岸尾根をゆったり味わう旅。雪が融けきったダム管理道路を進んでいく。
道がある、と山日和さんから聞いていた尾根の取り付き地点は、ピンクテープがありすぐに分かった。
よいしょとコンクリの塀をよじ登り山中に入ると、急斜面につづら折りの道が伸びていた。


私も昨年の時確認してましたが
今年は雪が無く上がるのに少し苦労しました。

登りきると、自然林の明るくたおやかな尾根が目の前に広がり、なんともいえない温かな空気に包まれた。
裸んぼの背の高い木々のまわりで、薄汚れた雪をはねのけて生き生きとして立つユキツバキ、ササの葉の緑、
そして、地肌の黒さが目に染みる。
雪山気分で来たけれど、もう3月も終わり。春なのだ。


雪山ですが春の装いでしたね。



木々の間を行き交う小鳥たちのさえずりが温かな空気をやさしく震わせる。
「わぁ、いいなぁ」笑みがこぼれる。


鳥さん結構いましたね。


空も明るい。時間はたっぷりある。春の空気をからだいっぱい吸い込み、
ヤマハンノキの実が散りばめられている雪面と、ぴょんぴょんとササが飛び出す地面を縫いながら、歩みを進めていく。


sato さんは樹木に詳しいから勉強になります。


バーチャリさんとお話しをしながら歩きつつ、艶やかな葉を茂らせたユキツバキについ見入ってしまう。
こんなにもユキツバキが多い尾根だったとは。ぷくっとしたつぼみを見て胸がきゅっとなり、
くれない色に彩られたひと月後の風景を想像し、何故だか涙が出そうになった。


ユキツバキが多かったですね。
ユキツバキの光沢の有る葉っぱがとても綺麗でしたね。

気が付くと、尾根はさらに広がりを見せ、健やかなブナの森に入っていた。
「わぁ、素敵」感嘆の声があがる。
足元が少し滑るのでアイゼンを装着して立ち上がると、木立の向こうから太陽が昇ってきた。
「わぁ、すごい」またもや感嘆の声。
満面の笑みを浮かべ、朝の光に向かっていく。



ブナの森の素晴らしを二人で共有できる事がとても嬉しいです。

そうそうアイゼンを帰宅してからしっかりやり直しました。


ブナの森を抜けると空が広がった。
ここからはうつくしき白き峰々を眺めながらの雪稜歩き。雲は多いけど視界はよい。
「わぁ、わぁ、すごい」感嘆の声が続いていく。しあわせ気分に包まれながら持篭谷山へ。


左は植林の為 視界が広がり大野の町も良く見え
「sato さんがパッチワーク見たいだね」と言って見えましたので
感受性の高い人だなと思いました。


こんもりかわいい山頂に着き、おおきな荒島岳を仰ぎ見て、もうちょっと近づきたいなと、・1209に向かう。
絶景を楽しみながら歩いているうちに荒島岳と縫ヶ原山のジャンクションのピークが目の前に。


この山頂からジャンクションピークの雪稜が白く輝きとても
印象に残ってます。


「あっ」思わず息を呑む。
「霧氷!」
思いもがけない山の神様からのプレゼント。
ピークに立つと南の尾根の入り口は潅木とササのヤブが通せんぼしていた。霧氷も少し先までしかない。



ここだけでしたね霧氷が残っていたのは
ヤブが通せんぼしていたのはここまででいいよと
山の神のお告げかも 勝手に思っていますが


満たされた気持ちが全身を包み込んだ。
「ここでコーヒーを飲んで戻りましょうか」
「そうしましょう」
開けた場所は風が冷たい。ヤブが作ってくれた風よけの下に並び、
凛とした生命のエネルギーを放つ白と黒の気高いお姿の荒島岳を眺め、お茶会を楽しむ。
壮大な風景の中のちっちゃなわたしたち。いとおしい時間が過ぎていく。


荒島岳を眺めながらのコーヒとても美味しかったですね。
sato さん来年はこちから荒島岳の登頂を狙っているでしょう(*_*)


帰りは行きよりにぎやかだった。
それほど時間は経っていないのに雪は柔らかになり、ズボッと踏み抜いてしまう。
そして、おおげさに声をあげて笑ってしまう。快適ではない踏み抜きも、ふたりだと楽しめる。


下山は雪がかなりゆるみ踏み抜が多くなりましたね。


持篭谷山を越え、その先のゆるりとした起伏の中に入ると、
「さぁ、ここで休んでいきなさい」とやわらかな空気がわたしたちを包み込んだ。
今度は、越前甲、経ヶ岳、赤兎山を眺めながらのお昼ご飯。


まぶしい程の景色見ながら
ゆったりとした幸せなランチタイムでしたね。
サト子さん湯の沸きの速い事ビックリボンでした。


ふと、バーチャリさんの黄色い帽子とポシェットを見ると、水色の布が縫い合わされていた。
「ウクライナの国旗」
バーチャリさんの言葉が胸を突く
わたしたちが、あぁ楽しい、と過ごしているその時、悲しみ、恐怖の中にいる人たちがいるという現実。
わたしたちには何が出来るのだろう。ちいさな声でも、あげることの大切さをバーチャリさんから学ぶ。
そして、こうしてお山を楽しむことが出来るのは、平穏な日々があってからこそなのだ、としみじみと思う。



この時代になぜ戦争と思いますが
早く戦争を終わってほしいですよね。


ブナの森に入ると、踏み抜きはより多くなった。
「わぁっ」とふたり同時に声をあげ、ズボリと踏み抜き大笑い。



そうそう二人同時に踏み抜いたりして大笑いしましたね。

少し下るとケヤキが目立ってきた。これも行きには見過ごしていた風景。


登りは欅は気づきませんでした。

「ヤマザクラは見かけないねぇ」とバーチャリさん。
「えへん」と隣から咳が聴こえたような気がして横を向いたら、立派なヤマザクラの木。
またまた、ふたりで大笑い。


ほんとに目の前に有り大笑いでしたね。


面白がっていた踏み抜きだったが、だんだんと嫌になり、地面に逃げて歩いていると炭焼き窯跡にぶつかった。
この尾根の道は、下若生子の村人が行き来した道なのだ。ぱぁっと風景が広がっていく。


この急斜面を昔の人は炭を運び大変だったでしょうね。

おおきなミズナラの木に近づくと、袂には、ちいさなちいさな白いお花が咲いていた。
なんて健気でかわいいのだろう。「セリバオウレン!」とバーチャリさんがうれしそうに呟く。
春を告げる(*_*)

根開きに可愛いセリバオウレンでしたね。


「いい山旅でしたね」
「ありがとうございます」
まんまる笑顔で、歩いてきたお山を振り返る。


遅い足にお付き合い頂きありがとうございました。
又楽しい山旅有難うございました。
ゆる山に行かれる時はよろしくお願いします。

    バーチャリ
sato
記事: 420
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by sato »

バーチャリさま

こんばんは。
バーチャリさんと、ゆっくりお話しをしながら歩きたいなぁ、と思いつつ月日は流れ、
ヤマザクラの話から急展開して実現した奥越雪山旅。
うれしさを分かち合い、たくさん笑った素敵な山旅でした。ありがとうございます。

いきなり雨で、どうしようと思いましたが、
バーチャリさんのお車の中でおしゃべりをしながらの雨宿りも楽しかったです。
止まなくてもいいかな、という感じにもなりましたが、止んでくれてよかったですね。
雪が締まっているこの時期、スノーシューとワカンのどちらを持っていくか迷ってしまいますよね。
この日は、軽いワカンにして正解でしたね。

車道から尾根への取り付き地点は、昨冬訪れた時は雪の斜面になっていて、ズルリと着地した記憶が残っています。
雪が無くなるとコンクリの塀を越えなくてはならないのですね。バーチャリさんの身長には、ちょっと高かったですね。

ダムから雪解けの進んだまだら雪の山肌を見て、もうまっしろな世界は味わえないのだな、
とさみしい気持ちが湧いてきたりもしたのですが、山中に入ると、春のよろこびに包まれました。
山を歩いていて目に留まった木やお花。
素敵な木、かわいい花だけでもいいのですが、名前を知っていたら、
より、その木や花が、わたしが出会った木や花としてこころに刻まれる感じがして、名前を知りたくなります。
物覚えが悪く、何だっけ?の繰り返しなのですが。。鳥の声はもっと難しいです。

楽しみにしていたブナの森。わたしも、バーチャリさんとよろこびを共有出来てうれしかったです。
アイゼンをつけていた時、木立の向こうから太陽がお顔を出し、光り輝いていくブナの森に酔いしれていましたね。
ブナの森を抜けると展望が広がるのは、伐採地だからなのですね。山肌は林道だらけ。
灌木やササが生い茂るヤブ尾根は、雪で覆われると素晴らしい雪稜になるのですね。
眼下に広がる大野盆地は穏やかな光を放っていましたね。
少し前、まっしろだった田んぼには、青々とした草が。春の勢いを感じました。

ジャンクションピークの霧氷は山の神様からのプレゼント、通せんぼしていたヤブは、
ここまででいいよというお告げ・・・わたしも思いました。
山頂が目的ではなく、ゆたかな山の時間を味わう旅。
ヤブの下に座り、荒島岳を眺めながら飲んだインスタントコーヒー、とてもおいしかったです。
荒島岳は、こころに訴えてくるお山です。
思い描いているルートもいくつかあるのですが、タイミングに恵まれなかったり、思いもよらぬ失態をしでかしたりして・・・。
来シーズンはご縁に恵まれるでしょうか?

太陽の光はそれほどきつくなかったのに、帰りは結構、雪が緩んでいましたね。
ランチタイムもいろいろお話しをしましたね。
ウクライナ情勢を思うと胸が苦しくなります。こんな理不尽なことがあっていいのか、憤りと恐怖に包まれます。
ほんとうに一秒でも早く戦争が終わってほしいです。

森の中では、行きに見過ごしていた風景、あらたな風景にいくつも出会いましたね。
往復してよかった、としみじみ思いました。
炭焼き窯跡に出会うと、山中を縫っていた道が浮かび上がります。
昔は女の人も30キロぐらい炭を担いでいたそうですね。つづら折りの道が、重荷を背負った人のご苦労を物語っていました。

春のお花の出会いには、胸がときめきますね。
ふきのとうを摘んでいるバーチャリさんのお姿を眺めながら笑みがこぼれました。
黄色い帽子と黄色い雨合羽を身に着け、萌木色のリュックを背負い、ブナの森を軽やかに下っていたバーチャリさん、
ふきのとうの精のようでした。

次回は、お花見の山旅ですね。楽しみにしています!

sato
アバター
山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、こんばんは。

【メンバー】バーチャリさん sato
【コース】 真名川ダム↔持篭谷山↔・1209


前日、下山してきた駐車地でバーチャリさんとバッタリ遭遇しました。
目ざとく私の車を発見したようです。 :mrgreen:

「お天気はもう大丈夫みたい」
「よかった」
隣に立つバーチャリさんと、にっこり頷き合う。


よかったですね。前日が昼前から最高の天気だっただけに。

車の屋根を叩く音で目覚ましの鳴る少し前に目が覚めた。ドアを開けると本降りの雨。
どういうこと?と思ったが、天気予報を信じ、バーチャリさんの車の中で雨宿り。
1時間が経ったころ、ぽつっぽつっという感じになり、ダムまで行ってみましょう、と出発したのだった。

と思ったらガックリの天気でしたか。 :oops:

道がある、と山日和さんから聞いていた尾根の取り付き地点は、ピンクテープがありすぐに分かった。
よいしょとコンクリの塀をよじ登り山中に入ると、急斜面につづら折りの道が伸びていた。


ここは雪が消えても道があるのでアプローチが楽です。

登りきると、自然林の明るくたおやかな尾根が目の前に広がり、なんともいえない温かな空気に包まれた。

この尾根に乗ってしまえば楽勝ムードになります。雪さえあればですが。

気が付くと、尾根はさらに広がりを見せ、健やかなブナの森に入っていた。
「わぁ、素敵」感嘆の声があがる。
足元が少し滑るのでアイゼンを装着して立ち上がると、木立の向こうから太陽が昇ってきた。
「わぁ、すごい」またもや感嘆の声。
満面の笑みを浮かべ、朝の光に向かっていく。


最初は雑木林っぽいけど、やがてブナの森に変わりますね。尾根の南側の巨木はバーチャリさんに紹介しました?

ブナの森を抜けると空が広がった。
ここからはうつくしき白き峰々を眺めながらの雪稜歩き。雲は多いけど視界はよい。
「わぁ、わぁ、すごい」感嘆の声が続いていく。しあわせ気分に包まれながら持篭谷山へ。


ここからは大野の盆地が一望ですね。いい眺めです。そして荒島の眺めも。
天気が回復してきてよかったですね。

「あっ」思わず息を呑む。
「霧氷!」
思いもがけない山の神様からのプレゼント。
ピークに立つと南の尾根の入り口は潅木とササのヤブが通せんぼしていた。霧氷も少し先までしかない。

あの気温で霧氷に出会えましたか。
しかし南への縫ヶ原への尾根にヤブが出ていたとは。

満たされた気持ちが全身を包み込んだ。
「ここでコーヒーを飲んで戻りましょうか」
「そうしましょう」
開けた場所は風が冷たい。ヤブが作ってくれた風よけの下に並び、
凛とした生命のエネルギーを放つ白と黒の気高いお姿の荒島岳を眺め、お茶会を楽しむ。


贅沢ないい時間ですね。 :D

帰りは行きよりにぎやかだった。
それほど時間は経っていないのに雪は柔らかになり、ズボッと踏み抜いてしまう。
そして、おおげさに声をあげて笑ってしまう。快適ではない踏み抜きも、ふたりだと楽しめる。


そんなに緩んでましたか。やっぱりまだスノーシューがあった方がいいかな。

持篭谷山を越え、その先のゆるりとした起伏の中に入ると、
「さぁ、ここで休んでいきなさい」とやわらかな空気がわたしたちを包み込んだ。
今度は、越前甲、経ヶ岳、赤兎山を眺めながらのお昼ご飯。

広い尾根のブナ林の中ですね。極上のランチ場でしたね。

ふと、バーチャリさんの黄色い帽子とポシェットを見ると、水色の布が縫い合わされていた。
「ウクライナの国旗」
バーチャリさんの言葉が胸を突く。
わたしたちが、あぁ楽しい、と過ごしているその時、悲しみ、恐怖の中にいる人たちがいるという現実。
わたしたちには何が出来るのだろう。ちいさな声でも、あげることの大切さをバーチャリさんから学ぶ。


平和というのがあたりまえのことではないというウクライナの現実。
我々が当然のこととして享受している平和に感謝しなければなりませんね。

「ヤマザクラは見かけないねぇ」とバーチャリさん。
「えへん」と隣から咳が聴こえたような気がして横を向いたら、立派なヤマザクラの木。
またまた、ふたりで大笑い。


ヤマザクラも見つけてもらえなくて怒ってたのかもね。オレを無視しやがってと。 :mrgreen:

面白がっていた踏み抜きだったが、だんだんと嫌になり、地面に逃げて歩いていると炭焼き窯跡にぶつかった。

これは尾根の北側の方?

おおきなミズナラの木に近づくと、袂には、ちいさなちいさな白いお花が咲いていた。
なんて健気でかわいいのだろう。「セリバオウレン!」とバーチャリさんがうれしそうに呟く。

オウレンが咲いてましたか。雪が消えた代わりのプレゼントですね。

戻ったダム周辺の道路脇にはぽつぽつとふきのとうが咲いていた。
山の神様からのお土産!

最後にお土産付きでよかったですね。 :D

               山日和
アバター
わりばし
記事: 1763
登録日時: 2011年2月20日(日) 16:55
お住まい: 三重県津市

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by わりばし »

おはようございます、satoさん。

車の屋根を叩く音で目覚ましの鳴る少し前に目が覚めた。ドアを開けると本降りの雨。
どういうこと?と思ったが、天気予報を信じ、バーチャリさんの車の中で雨宿り。
1時間が経ったころ、ぽつっぽつっという感じになり、ダムまで行ってみましょう、と出発したのだった。

あらまあ雨とは・・
早めにあがって良かったですねえ。


登りきると、自然林の明るくたおやかな尾根が目の前に広がり、なんともいえない温かな空気に包まれた。
裸んぼの背の高い木々のまわりで、薄汚れた雪をはねのけて生き生きとして立つユキツバキ、ササの葉の緑、
そして、地肌の黒さが目に染みる。
雪山気分で来たけれど、もう3月も終わり。春なのだ。

三国山のあたりでは、歩いた拍子に雪から木の枝が何度か跳ね上がりビックリしました。

バーチャリさんとお話しをしながら歩きつつ、艶やかな葉を茂らせたユキツバキについ見入ってしまう。
こんなにもユキツバキが多い尾根だったとは。ぷくっとしたつぼみを見て胸がきゅっとなり、
くれない色に彩られたひと月後の風景を想像し、何故だか涙が出そうになった。

バーチャリさん元気ですよね。
根本的に男性より女性の方が強いんだろうな。
:mrgreen:

開けた場所は風が冷たい。ヤブが作ってくれた風よけの下に並び、
凛とした生命のエネルギーを放つ白と黒の気高いお姿の荒島岳を眺め、お茶会を楽しむ。
壮大な風景の中のちっちゃなわたしたち。いとおしい時間が過ぎていく。

ここからの荒島岳は見ごたえがあります。
何度見てもいい光景です。

ふと、バーチャリさんの黄色い帽子とポシェットを見ると、水色の布が縫い合わされていた。
「ウクライナの国旗」
バーチャリさんの言葉が胸を突く。
わたしたちが、あぁ楽しい、と過ごしているその時、悲しみ、恐怖の中にいる人たちがいるという現実。
わたしたちには何が出来るのだろう。ちいさな声でも、あげることの大切さをバーチャリさんから学ぶ。
そして、こうしてお山を楽しむことが出来るのは、平穏な日々があってからこそなのだ、としみじみと思う。
やわらかな空気の中、あっちに飛び、こっちに飛び、話が続いていったが、
また同じように、どちらからともなく立ち上がった。

情報の大切さをこれほど感じることはありません。
「見て見ぬふりをする。」「旅の恥は書き捨て」「水に流す」
私たちも日常を見直す転機にしたいものです。
「見ざる言わざる聞かざる」にならないようにしたいです。


つづら折りの道に入った。足裏に力をこめ、下若生子村に生きた人々に思いを馳せながら下っていく。
曲がり角で掴んだ木の枝先の万歳をしているような冬芽は、あともう少しで開きそうな勢いだった。
戻ったダム周辺の道路脇にはぽつぽつとふきのとうが咲いていた。
山の神様からのお土産!

雪国では廃村の痕跡や人々が生きた証が身近に感じられます。
山から降りてきてこんなのに出会うとホットします。


「いい山旅でしたね」
「ありがとうございます」
まんまる笑顔で、歩いてきたお山を振り返る。

いい感じの二人の女子旅でした。
ほわっとした感じが伝ってきました。
お疲れさまでした。

                わりばし

sato
記事: 420
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんにちは。
この春は、奥越の山そして飛騨の山へと雪山旅が続いていますね。
そう、夜バーチャリさんとお会いした時、「山日和さんと会いましたよ」とうれしそうに報告されました。
私はメールでお聞きしていましたが、バーチャリさんはご存知ではなかったのですね。
引きつけ合う力が生じたのですね(笑)。

日曜日の午後は最高の天気でしたね。夜もお星さまが瞬いていましたので、明日も青空ねと期待していました。
車の屋根を叩く音で目が覚め、雨と分かった瞬間、えぇっ?と思いましたが、
バーチャリさんの居心地のよい車(大きな車で、あちこちのお山に向かわれるバーチャリさん、かっこいいです)
の中での雨宿りが楽しくて、ガックリの気分ではなかったです。

持篭谷右岸尾根への取り付き地点、道中のアドバイスありがとうございました。
昨冬、尾根から斜面へスイスイと下っていき、車道にポン(ズルッ)と着地して、
山日和さんはこのコースを熟知しているのだなぁ、と思いました。道があるのをご存知だったのですね。

尾根に乗ってしまえば楽勝ムードですか(笑)。楽勝とは感じませんでしたが、ワクワクでした。
ブナ林に入るまでは、ぽつぽつと地肌が現れていましたが、
雪ですっぽりと覆われた季節とは趣の異なるゆたかな風景に出会えました。
わたしが駆け降りて見上げたブナを紹介するのは忘れていましたが、
芽吹きの日を夢見る枝先が赤く染まったおおきなブナの木々が佇むうつくしい森の情景を、ふたりでうっとり味わいました。

この尾根はブナの森も素晴らしいですが、展望も素晴らしいですね。
うねうねと伸びる林道が痛々しく感じてしまいますが。
ジャンクションピークで霧氷に出会った時は、夢を見ているようでした。
明け方の雨のおかげですね。
縫ヶ原山への尾根入口は、まさに通せんぼするようにヤブが出ていたのです。
そして、そのヤブは、わたしたちがゆっくりと荒島岳と見つめ合えるように風よけとなってくれました。
お山の女神さまのやさしさに包まれながら、贅沢なコーヒーの時間を過ごしました。

それほど時間は経っていないのに、行きと帰りでは雪質が変わっていました。
陽当たりのいいササのヤブや倒木が多い斜面で踏み抜きが多くなったような。

ランチ場所は、ブナの森に入る手前の、北側は大展望、南側はブナが立ち並ぶ素敵な場所でした。

「平和というのがあたりまえのことではないというウクライナの現実」
楽しい思い出に浸りながらお返事を書いている間にも、人々が亡くなっているという現実。
戦争が終わっても、元の暮らしには戻れない。亡くなった人は帰ってこない。
生き延びた人のこころの深い傷は消えることは無い。
やりきれない気持ちですが、目を背けてはいけないと思っています。

帰りの森歩きは、行き以上に楽しい時間でした。
ふたりで同時に踏み抜いたり、すぐ横のヤマザクラに大笑いしたり・・・。
創作ではありませんよ。
炭焼き窯跡は、尾根芯のすぐ南側にありました。
ミズナラの巨木の根元に咲くセリバオウレン、おおきな木に負けないくらい強い力を感じました。
セリバオウレンは、目を近づけて見るとほんとうに妖精のようですね。

春のお山の帰りの楽しみのふきのとう摘み。
ダムでさよならしてからも、バーチャリさんは道中ふきのとう摘みを楽しまれていました。
いい山旅でした。

コメントありがとうございました!

sato
sato
記事: 420
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥越】春の息吹に包まれて バーチャリさんとまんまる笑顔の奥越雪山旅 持篭谷右岸尾根 

投稿記事 by sato »

わりばしさま

こんばんは。
ここ数日の暑いくらいの陽気で、我が家の近くから眺める野坂山地の山やまは、
わずかに雪を残すばかりになりました。
わりばしさんが歩いた拍子に跳ね上がった木々は、元気に空を見上げているのでしょうね。
里山はお花の季節。わりばしさんの頭の中は、もう沢山旅が描かれているのでしょうか。

コメントありがとうございました。
「ほわっとした感じが伝わる」「いい感じの二人の女子旅」のご感想、うれしかったです。
はい、とってもいい旅でした。
バーチャリさんとわたしは、世代も生活環境も異なりますが、山への眼差しに通ずるものを感じました。
そう、女子旅(笑)。人はいくつになっても子供のこころを持ち続けているのですね。
自分の中にある永遠の子供を感じながらの山旅でもありました。

バーチャリさんの体軸のぶれない足取りはすごいなぁと思います。
下りの歩き方には見入ってしまいます。
歩ける方は、歩き方がうつくしいですね。ぱたぱたせず静かに歩かれる。
Kさんや山日和さんの歩き方を拝見していても感じます。

縫ヶ原山方面に行きましょう、と決まった時、
ジャンクションピークから荒島岳を一緒に眺めたいな、と先ず思いました。
一度見たら忘れられないこころ震える光景ですね。

毎日、ウクライナの報道を聞きながら、
正しい情報を知り、自分の頭で考えることの大切さをきりきりと感じます。
わたしは「見て見ぬふりをする」「旅の恥はかき捨て」「水に流す」をどれだけ繰り返し生きてきたのだろう。
見て見ぬふりしたほうが、水に流したほうが、いいこともある。でも、そうしてはならないことがある。
逃げずに考える人間になりたいです。

「雪国では廃村の痕跡や人々が生きた証が身近に感じられる」
わたしも感じます。それだけ生活環境が厳しかったからなのですね。
その地に初めて入ってきた人びとはどこから来たのだろう。
どんな思いで暮らし始めたのだろう。そこから村は、村に暮らした人びとはどんな歴史を築いていったのだろう。
最後に暮らした人びとはどんな思いで村を去ったのだろう。
ままならぬ自然と向き合い今日を生きてきた人々の痕跡に出会うと、いろいろな思いが湧いてきます。
通りすがりの人間の勝手な感傷なのでしょうが。

人が去った後も、山は営みを続ける。
冬の間降り積もった雪は春には融け、現れた地面からはいろんな植物が顔を出す。
春の恵み、ふきのとうを摘んでいると、とおいむかし、ちょっと前の時代、
その地でふきのとうを摘んでいた人びとの姿が浮かんできたりします。

明日は、BBコンビさんと、花山旅に出かけます。
おふたりのまんまる笑顔にお会いできるのが楽しみです。

sato
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