【南越前】藤倉山〜山中隧道☆霧氷のブナの回廊へ

山行記、山の思い出、限定
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
返信する
yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

【南越前】藤倉山〜山中隧道☆霧氷のブナの回廊へ

投稿記事 by yamaneko0922 »

【 日 付 】2022年1月30日(日曜日)
【 山 域 】南越前
【メンバー】山猫、家内、Nさん、Hさん
【 天 候 】曇りのち晴れ
【 ルート 】今庄駅8:11〜8:24観音堂〜8:37愛宕山 (燧ヶ城址)〜10:23藤倉山〜12:18ca690mピーク13:13〜15:15三角点山中〜16:24山中隧道北詰

話は三年前の夏に遡る。週末は雨模様が続き、山行は諦めてNさんをお誘いして、家内と共に敦賀から延々と旧北陸線の軌跡を辿って歩いてきたのだった。折しもトンネル群に差し掛かると本降りの雨となる。トンネル群の最後は山中峠の下を潜る山中トンネルだが、その中は数メートル先も見えないような濃い霧が立ち込め、まるで幽界の中を歩いているような雰囲気だった。

山中トンネルを出たところにスウィッチバック線のための行き止まりトンネルがあるのだが、ここで雨宿りをしながら酒盛りをする・・・というのがこのトンネル・ハイキングの目的であった。雨宿りをするうちに雨も上がり、トンネルからは南今庄まで長い道のりを歩くと、終始、正面に林相の良さそうななだらかな尾根を見ながら歩くことになる。

昨年は雪の季節に車一台をトンネルの出口にデポして、Nさんと共に木ノ芽峠から山中峠まで歩いた時にも山行の終始、この藤倉山から山中峠へと続く尾根を眺めながら歩くことになるが、遠目には稜線にはブナの疎林が続いているように思われた。この冬こそはこの尾根を歩きたいと心に決めていたコースだ。

この日、当初の予報では北陸方面は曇りの予報である。展望よりも美しい樹林の林相が楽しそうなところ・・・と考えると、いよいよこの尾根を訪れる格好の機会に思われた。山行先を家内に告げると、家内もこの尾根のことは憶えていたらしく、二つ返事で快諾する。

この日は今庄の駅に集合であり、私と家内は新幹線と北陸本線で現地に向かうことにする。早朝に目覚めて山行の準備に取り掛かる。なぜかいつもある筈の場所に愛用の登山用の靴下が見当たらない。家内に場所を聞こうにも家内がなかなか起きてこない。代わりの靴下を履くことにするが、今度はガス・ストーヴのカートリッジがない。探し回っているうちにいつの間にか約束の時間に到着するための列車に間に合わない時間になっていた・・・ここで目覚ましの音で目が醒めた。朝から現実感のある悪い夢だった。

夢と同様に家内はすぐに起きてこないのだが、階下に降りると靴下とガス・ストーヴはいつもの場所に見つけることが出来て、一安心する。用意を整えるが、家内がなかなか洗面台の前から出てこない。十分にあると思われた時間もいつの間にかギリギリの時間になっていたようだ。駅まで急ぎ足で向かうが地下鉄の改札にたどり着いたところで発車を知らせる音を聞く羽目になる。仕方がないので家に戻り、車で現地に向かうことにする。グーグル・マップで到着時間を検索すると到着時間が8時15分とでる。この程度であればなんとか時間を短縮することが出来るかもしれない。

湖西道路を北上すると前日とは異なり比良の山々にはしっかりと低い雲がかかっている。低い雲は琵琶湖を渡って、そのまま鈴鹿の山々を覆っているようだ。野坂の山々も暗い雪雲に覆われているようだ。しかし、東の空は明るく琥珀色に輝き、伊吹山のシルエットを綺麗に際立たせている。敦賀市街を通り過ぎて木の芽峠に向かうと周辺の山々には雲がかかっているものの上空には青空が広がり始める。

今庄の駅の到着したのは丁度、約束の8時であった。少し前まで朝霧が出ていたけれど消えてしまったとNさんが仰る。そのせいかすっきりとした透明感が漂い、暖かささえ感じられるあたりの空気はこの日の好天を予感させてくれる。駅前の駐車場には数名のパーティーが登山の準備をしておられた。福井山岳会の方々らしい。

早速にも準備を整えると、直前に出発したパーティーの後を追って、北國街道の面影を残す今庄宿の古い街並みに入る。パーティーは北國街道を進まれるので、こちらは躊躇なく観音堂の登山口に向かうことにする。

観音堂の手前でスノーシューを装着すると、積雪した石段を登り、風格のある佇まいの観音堂にお参りをする。滋賀の湖北もそうであるが、この地域でも古来の白山信仰と結びついた観音信仰が篤いところなのだろう。観音堂の前にはカタクリ群生地と記された案内標があるが、Nさんによると、カタクリは鹿が食べ尽くしてしまったせいか、すっかり姿が見られなくなってしまったとのこと。

観音堂の左手から登山道は斜面をトラバースしながら登ってゆく。道沿いには早速にもブナの大樹が次々と現れる。福井山岳会のパーティーは稲荷神社から尾根筋を上がるルートを辿られたのかと思ったが、後から尾根を登ってくる人達の気配がない。後からリーダーと思しき方のブログをNさんに教えて頂くが、どうも登山口の場所を間違えられたらしく、後から同じルートを登って来られたらしい。

稲荷神社からのルートと合流するとまもなく尾根は平坦になり、石垣が現れる。先に進むと広々とした平地が現れる。燧ヶ城の本丸跡のようだ。眼下には今庄の街並が一望のもとだ。北陸本線を長い貨物列車がレールと車輪が擦れ合うことによる甲高いフランジ音を立てながら福井方面に向かって進んでゆく。
城址より.JPG

福井方面から北國街道を南下すると、この今庄から先で栃ノ木峠、木ノ芽峠、そして山中峠を経る三つのルートに分かれることになるが、必ずこの今庄を通過することになる。したがって今庄を上から見下ろすこのポイントは必然的に重要な戦略拠点になるのだろう。

城址から先に尾根を登ると、急にあたり一面が白くなる。降ったばかりの新雪のせいだ。とはいえわずかに薄雪が積もった程度ではある。私と家内の後を歩くHさんはワカンは全く沈み込まないというが、Nさんは踏み抜きに苦しんでおられるようだ。

自然林が続く尾根には立ち枯れのナラの樹にびっしりと生えているナメコを見つける。既に干からびた老菌となっているものも多いが、まだ辛うじて表面にヌメりを残す株もあるようだ。ランチのために格好な食材を入手することが出来た。

一本目の送電線鉄塔からも眼下に今庄の街並を見下ろすことが出来るが、丁度、雲の下端に差しかかったようだ。今度は反対側の左下の鹿蒜川沿いの南今庄のあたりからフランジ音が聞こて、霧の中から谷を進んでゆく長い貨物列車が朧げに見える。それはまるで雲の中へと列車が飛翔してゆくような幻想的な光景であった。

尾根が雲の中に入ったのだろう。あたりには霧が立ち込めるようになる。尾根の傾斜が緩やかになり、霧氷の樹々が現れたかと思うと、まもなく二本目の送電線鉄塔にたどり着く。送電線鉄塔の周囲に広場の先では霧氷を纏った樹高の高いブナが雪原から立ち上がっている。
鉄塔より.JPG

ブナの樹々は湖北の安蔵山や左千方、上谷山といった山々で見かける樹林と同様、スラリとした繊細な樹影の樹々であり、箒状の梢が織りなす穹窿が大聖堂のような荘厳な空間を想起させる。上記の山毛欅の美林はいずれも非常に奥深いところなのだが、駅から歩き始めて2時間も経たないうちにこのような美林にが広がっているというのが何より大きな驚きだ。
霧氷.JPG
深い霧の奥からめくるめく現れる霧氷の樹々はあたかも幽界に踏み込んだかのような幻想的な光景だ。不意に山毛欅の樹林が途切れ、低木に囲まれた大きな反射板のある地味な広場に出たと思えば、そこが藤倉山の山頂であった。晴れていれば反射板の下からは絶好の展望が広がるのであろうが景色は雲の中だ。急に霧が薄くなり、背後からはすりガラスのような雲を通して、太陽が朧げな光を投射すると樹々の霧氷が幻燈のように浮かび上がるのだった。
藤倉山.JPG

藤倉山の山頂を過ぎると再び霧氷のブナの樹林に入る。雪が締まってきたせいだろうか、足元の雪の沈み込みが少ない。これならNさんも踏み抜く心配は少なくなったことだろう。
ブナ.JPG

先に進むにつれて樹林はますます壮麗さを増すようだ。やがて標高点p634が近づくと、尾根は大きく広がり二重山稜となる。標高点の高さを確認してわずか標高が600mそこそこであることに改めて驚く。ブナの樹林の壮麗さからはもっと標高が高いかのように思えてならない。

二重山稜の織り成す襞の間を進むと小さなコルの先ではなだらかな雪原にブナの大樹がままばらに生える美しい光景が広がっていた。雲の中から淡い光が零れ落ちてはブナの優美なシルエットが雲を背景に浮かび上がる。霧氷を纏って屹立するブナの間を光が通り過ぎてゆくのを小さな谷間から見上げたまま、なかなか動けない。
ブナを見上げて.JPG

北側が開けた雪原に辿り着くと雲が急速にあがってゆくようだ。まもなく福井平野の展望が広がり、尾根の先には高頭山のピークが見える。尾根の右手から上がってくる林道と合流する。上空からは陽射しが林道の周囲の霧氷を白銀に輝かせる。急に林道の先にある次のピークp698も霧氷を纏って白銀に輝いている。
林道.JPG

林道はこのピークをトラバースしながら高頭山の方に向かっていくので、尾根に乗るとフ再びブナの樹林を辿る。ピークが近づくと倒れた金属の細長い塔が唐突に現れる。風況観測計だ。ということはまもなくこの尾根には風力発電機が建設される日が近いということだろう。
風況緩速計.JPG

尾根からはすっかり雲がとれ、南西に展望が開け、彼方には銀色に輝く敦賀湾を望むことが出来たが、この風況観測計の下でランチ休憩をとる気にもなれず尾根を先に進む。P698を過ぎたブナの樹林の広がる平坦なピーク(ca690m)で休憩することにした。

調理をしようとリュックを開けた途端、大きな失敗をしたことに気が付く。今日はいつになくリュックが重く感じられると思いきや、当初、今庄までの列車の中で作業をするつもりでリュックにノートPCを入れたままだったのだ。丁度、缶ビール四本に相当する重さであったが、気分的にはそれよりも遥かに重く感じられる。

気を取り直してまずは入手したナメコをオリーブオイルで炒めてみる。秋に収穫するものには及ばないのだろうが山の上で食べるには上等な前菜だろう。次いで持参したマイタケと共にバターで炒めると最後はライスを投入してリゾット風に調理する。太陽の淡い光が差してくると、周囲の霧氷の樹々がガラス細工のように輝かせるのだが、ランチをとる間にも周囲の霧氷は急速に落下していくようだった。

ランチ休憩の後はまずは尾根の西側の急斜面の下降から始まる。陽射しが出てきたせいだろうか、急に足元の雪が腐りはじめたように思うが、この急斜面の下降には多少、雪が柔らかい方が好都合だったかもしれない。

林道に着地すると次のca640mへの登りかえしがこの日のコースにおける最大の正念場となる。正面から直登するのは斜面が急に思われたので、ひとまず林道を歩いて東に延びる尾根に取りつくことにする。林道からは彼方に上谷山が見える。山肌が白銀に輝いているのは霧氷のせいだろう。

すぐにも尾根に乗ることが出来るだろうと思い、急斜面に取りつくが、尾根に乗るまで急斜面と低木の藪に意外と手こずることになる。尾根の末端近くから取りつけば良かったのではないかと思う。一度、尾根に乗ると歩きやすい尾根筋が続く。かすかに浅い掘割の道があるように思われた。

Ca640mのなだらかな台地状のピークには再びブナの樹林を期待したが、自然林の樹林にはブナは少なく残念ながら期待外れであった。尾根を西に辿ると自然林が続くが右手の北西斜面からは植林が登ってくる。落葉した自然林の尾根から終始、樹間から左手に以前に歩いた木ノ芽峠から山中峠にかけてのなだらかな稜線をながめながら尾根を西に進む。尾根上には明らかに掘割の古道が続いている。

三角点△536.8m(点標;山中)は平坦なピークでありGPSがなければピークを認識できないような場所だった。勿論、三角点の柱石は雪に埋もれており、周囲の樹々につけられたテープが三角点であることを物語っているに過ぎない。三角点を過ぎると尾根の右手から彼方で夕陽を反射する敦賀湾と西方ヶ岳が目に入る。斜面にはびこる低木がなければ抜群の絶景が広がったことだろう。

尾根を進み、最後は山中大谷林道に出るつもりだったが、ca450mから南東に広がる緩斜面に広がる自然林の疎林をみると、このまま自然林の尾根を辿って山中隧道まで下降することを提案させて頂く。しばらくはなだらかな尾根が続いていたが、トンネルの出口に向かって下降する尾根に入ると藪っぽいやせ尾根となる。構わず下降してゆくが、なんと尾根の端は崖となっており、到底、下降できるようなものではない。

右側の県道側もあまりにも急斜面であり、また道路の法面も崖となっている可能性があるので、左手の谷に下降することにする。急斜面ではあるが足元をスノーシューでステップを作りながらトラバース気味に谷に下降する。

何とか無事に谷に着地して一安心と思ったが、最後にもう一つ困難が待っていた。やはり道路の法面が崖状になっており、谷の沢水は水路となって法面の上を流れている。私はカヤの樹の枝をつかんで無理やり道路に着地したが、Nさん、Hさん達は少し水路を歩いた先から無事に道路に着地する。道路から辿ってきた尾根を見上げると尾根の末端には大きな岩が聳えていた。

山中隧道に近づくと以前に歩いた時には数m先も見えない霧が立ち込めていたトンネルには1.2kmほど先の出口から光が見えている。トンネルの左側には酒盛りを楽しんだ行き止まりトンネルが闇を讃えている。帰りはNさんの車に乗せて頂いて今庄の駅まで戻る。歩いた時には実に長く感じられた南今庄の道のりも車では一瞬だった。

今庄の駅では列車の本数が極めて少ないにも関わらず土産店があり、様々な日本酒が売られている。これまで全く知らなかったが今庄には酒蔵が4つもあるらしい。いずれも五百万石米を用いた堀口酒造の「鳴り瓢(なりひさご)」と畠山酒造の「雪きらら」を入手する。木ノ芽峠を越えて敦賀に向かうと野坂岳、その左手には岩籠山と夕暮山が夕焼け空に浮かび上がっていた。

藤倉山の美しいブナの樹林は四季折々、何度でも訪れたくなるようなところではあるが、この美しい樹林を愉しむことが出来る時間は限りがあると思う。あの美しいブナの林を思い返すと、切なさで胸が締め付けられるような思いがするのだった。
山猫 🐾
アバター
山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【南越前】藤倉山〜山中隧道☆霧氷のブナの回廊へ

投稿記事 by 山日和 »

山猫さん、こんばんは。

山中トンネルを出たところにスウィッチバック線のための行き止まりトンネルがあるのだが、ここで雨宿りをしながら酒盛りをする・・・というのがこのトンネル・ハイキングの目的であった。

面白いことを考えますねえ。 :D

遠目には稜線にはブナの疎林が続いているように思われた。この冬こそはこの尾根を歩きたいと心に決めていたコースだ。

こういう尾根が目に入ると気になりますね。現実はどうかわかりませんが。

早朝に目覚めて山行の準備に取り掛かる。なぜかいつもある筈の場所に愛用の登山用の靴下が見当たらない。家内に場所を聞こうにも家内がなかなか起きてこない。

前の晩のうちに準備しないんですか?
私は忘れ物が恐いので、完全にパッキングを済ませておきます。後でザックに入れようと、カバンに入れてから詰め替えるのを忘れたこと多数。

代わりの靴下を履くことにするが、今度はガス・ストーヴのカートリッジがない。探し回っているうちにいつの間にか約束の時間に到着するための列車に間に合わない時間になっていた・・・ここで目覚ましの音で目が醒めた。朝から現実感のある悪い夢だった。

おやまあ、夢でしたか。ドラマみたいですね。 :mrgreen:

駅まで急ぎ足で向かうが地下鉄の改札にたどり着いたところで発車を知らせる音を聞く羽目になる。仕方がないので家に戻り、車で現地に向かうことにする。

最初から車のつもりならゆっくりできましたね。それならそれで、ギリギリまで引っ張ってるか。 :mrgreen:

早速にも準備を整えると、直前に出発したパーティーの後を追って、北國街道の面影を残す今庄宿の古い街並みに入る。パーティーは北國街道を進まれるので、こちらは躊躇なく観音堂の登山口に向かうことにする。

福井山岳会パーティーは反時計回りでしたか。

後からリーダーと思しき方のブログをNさんに教えて頂くが、どうも登山口の場所を間違えられたらしく、後から同じルートを登って来られたらしい。

あらまあ、そうでしたか。

私と家内の後を歩くHさんはワカンは全く沈み込まないというが、Nさんは踏み抜きに苦しんでおられるようだ。

Nさんはそんなに重量級なんですか?

一本目の送電線鉄塔からも眼下に今庄の街並を見下ろすことが出来るが、丁度、雲の下端に差しかかったようだ。今度は反対側の左下の鹿蒜川沿いの南今庄のあたりからフランジ音が聞こて、霧の中から谷を進んでゆく長い貨物列車が朧げに見える。それはまるで雲の中へと列車が飛翔してゆくような幻想的な光景であった。

ここからの風景はなかなかいいですよね。北陸本線を走る列車の姿もNゲージを見るようで楽しいです。

深い霧の奥からめくるめく現れる霧氷の樹々はあたかも幽界に踏み込んだかのような幻想的な光景だ。

霧氷に出会えましたか。うらやましい限りです。最近はとんと霧氷に無縁になりました。

二重山稜の織り成す襞の間を進むと小さなコルの先ではなだらかな雪原にブナの大樹がままばらに生える美しい光景が広がっていた。雲の中から淡い光が零れ落ちてはブナの優美なシルエットが雲を背景に浮かび上がる。霧氷を纏って屹立するブナの間を光が通り過ぎてゆくのを小さな谷間から見上げたまま、なかなか動けない。

ここはまさにパラダイスですね。ゆっくり時間をかけて遊びたいところです。

林道はこのピークをトラバースしながら高頭山の方に向かっていくので、尾根に乗ると再びブナの樹林を辿る。ピークが近づくと倒れた金属の細長い塔が唐突に現れる。風況観測計だ。ということはまもなくこの尾根には風力発電機が建設される日が近いということだろう。

なるほど、これのことでしたか。私はそのまま林道を歩いたので知りませんでした。
風力発電の計画が進行中だということは知ってましたが。

調理をしようとリュックを開けた途端、大きな失敗をしたことに気が付く。今日はいつになくリュックが重く感じられると思いきや、当初、今庄までの列車の中で作業をするつもりでリュックにノートPCを入れたままだったのだ。丁度、缶ビール四本に相当する重さであったが、気分的にはそれよりも遥かに重く感じられる。

開けてビックリ・ガックリですね。でもいいコンロ台ができたじゃないですか。 :lol:

Ca640mのなだらかな台地状のピークには再びブナの樹林を期待したが、自然林の樹林にはブナは少なく残念ながら期待外れであった。尾根を西に辿ると自然林が続くが右手の北西斜面からは植林が登ってくる。

そうそう上手い話は転がってないですよね。期待すると裏切られます。期待しないのが一番。 :mrgreen:

三角点を過ぎると尾根の右手から彼方で夕陽を反射する敦賀湾と西方ヶ岳が目に入る。斜面にはびこる低木がなければ抜群の絶景が広がったことだろう。

低木を埋めるほどの積雪ではないということですね。

構わず下降してゆくが、なんと尾根の端は崖となっており、到底、下降できるようなものではない。

これは想定の範囲内ではなかったですか?

何とか無事に谷に着地して一安心と思ったが、最後にもう一つ困難が待っていた。やはり道路の法面が崖状になっており、谷の沢水は水路となって法面の上を流れている。私はカヤの樹の枝をつかんで無理やり道路に着地したが、Nさん、Hさん達は少し水路を歩いた先から無事に道路に着地する。道路から辿ってきた尾根を見上げると尾根の末端には大きな岩が聳えていた。

バリハイ下山あるあるですね。いろんな想定をしておくのが吉です。

藤倉山の美しいブナの樹林は四季折々、何度でも訪れたくなるようなところではあるが、この美しい樹林を愉しむことが出来る時間は限りがあると思う。あの美しいブナの林を思い返すと、切なさで胸が締め付けられるような思いがするのだった。

実に悲しいことです。ここも、美浜の山も、余呉の山も。
自分のホームグラウンドが切り刻まれて行く思いです。

               山日和

yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

Re: 【南越前】藤倉山〜山中隧道☆霧氷のブナの回廊へ

投稿記事 by yamaneko0922 »

山日和さん 早速にもコメントを頂いたにも関わらずレス返が遅くなり失礼いたしました。

>面白いことを考えますねえ。

雨の日はトンネルの中での酒を飲みなながらの雨宿りも乙なものです :mrgreen:
余談ですが、世の中には人も車も通らないトンネル・・・があるもんですね。
柳ヶ瀬の近く、刀根PAの西にも旧北陸線のトンネルが遺されているのですが、トンネルを抜けた先は行き止まりなので、ここを訪れるのは鉄道ファン、隧道ファンか、河内山に西側から登る登山者がついでに訪れるくらいでしょう :mrgreen:

>こういう尾根が目に入ると気になりますね。現実はどうかわかりませんが。

御意です。
今回も下山後、山中隧道からの帰路はこの藤倉山の尾根を見上げながら今庄に戻ったのでしたが、やはり実に雰囲気の良さそうな疎林がなだらかな尾根に広がっているのが下からも一目瞭然で、山行前のこの尾根に対する憧憬をリフレインしてくれるようでした。

>最初から車のつもりならゆっくりできましたね。それならそれで、ギリギリまで引っ張ってるか。 :mrgreen:

私一人であれば山行前に琵琶湖の湖辺に立ち寄って夜明けの写真を撮りに行きますが・・・
家内は朝が非常に弱いので、間違いなく :mrgreen:

>Nさんはそんなに重量級なんですか?

私より重いのは確かです :mrgreen:

>ここからの風景はなかなかいいですよね。北陸本線を走る列車の姿もNゲージを見るようで楽しいです。

霧の中から眺める貨物列車も綺麗でしたが、晴れた日に捲土重来したいです。

>霧氷に出会えましたか。うらやましい限りです。最近はとんと霧氷に無縁になりました。

三国岳で美しい霧氷の中を歩かれたのは既に「最近」ではなくなってしまったのですか? :o

>ここはまさにパラダイスですね。ゆっくり時間をかけて遊びたいところです。

御意です。
このあたりのなだらかなで、かつ複雑な地形、東側に現れる雪原がブナの樹林を一層、魅力的なものにしていましたね。

>でもいいコンロ台ができたじゃないですか。

誰がPCをコンロ台にするのですか :o

>低木を埋めるほどの積雪ではないということですね。

放置された伐採斜面に伸びた低木のようでした。
鉢伏山のように敦賀湾を東から俯瞰するような展望が広がると実にいいんですけどね

>これは想定の範囲内ではなかったですか?
>バリハイ下山あるあるですね。いろんな想定をしておくのが吉です。


確かにあるあるですね。
これまでも着地地点が最大の核心部・・・ということは度々あったのですが・・・
今回は地図での尾根の末端があまりにもなだらかに道路に収束しているように見えるので、これは驚きました。
でもなだらかなように記されている尾根に突如として嵓が現れることもあるあるですね。

>実に悲しいことです。ここも、美浜の山も、余呉の山も。
自分のホームグラウンドが切り刻まれて行く思いです。


よりによって・・・というところばかりですね。
今年の冬は失われる運命にあるブナの林を訪れることを訪れることを最優先に考えたいと思います。
山猫 🐾
返信する