【奥美濃】錦秋の根尾を歩く 高屋山から大白木山へ

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥美濃】錦秋の根尾を歩く 高屋山から大白木山へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2021年11月6日(土)
【山 域】奥美濃 大白木山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】越波7:50---10:10高屋山10:25---11:15 P1138m---12:20大白木山14:00---15:10折越峠---16:20越波

 根尾の高屋山から大白木山(おじらぎやま)の縦走は永年の懸案だった。昨春、根尾長島まで行ったところで
国道157号の通行止めが解除されておらず、北の方の天気がイマイチなのを理由にして舟伏山へ転進したの
だった。これはこれで満開のイワザクラを堪能できたので良かったのだが。
 酷道と称される国道157号の険路を抜けて黒津まで来ると、なんと越波(おっぱ)への道が通行止めだった。
大河原から猫峠経由の大迂回を強いられて予定が狂ってしまう。

 越波の集落は大昔に集団離村したものの、現在も春から秋の間だけ人が入っている山間の集落である。
廃屋とともに比較的新しそうな建物もあり、人の気配を感じられる場所だ。小学校をリニューアルした集会所
もきれいで、準備をしていると隣の家からおばちゃんが出て来て何やら家事をしているようだった。
ここに住民登録をしている人が2人だけいるらしい。
「廃村」にしたくないという思いが感じられて、うれしい気分になった。

IMG_0153_1.JPG

 集落の外れにある八幡神社の裏手から、地形図の破線路を辿って尾根の取付きを探る。
傾斜の緩そうなところを見計らって斜面を上がると、意外にも踏み跡があった。ヤブもほとんど無いに等しい
状態で行程が捗る。シロモジの黄葉が最高潮を迎えていた。

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 この尾根には2本の奇怪なブナの大木がある。あらぬ方向を枝を伸ばしたゴツゴツとした木肌のブナはアガ
リコだろうか。
前方でサルの集団が騒がしい鳴き声を立てていた。昔サルにいじめられたという不思議な思い出のあるsatoさん
はビビッていたが、そのうち解散したようで姿が見えなくなった。ヒルやマムシも友達のsatoさんの唯一の天敵
がサルらしい。

IMG_0193_1.JPG
IMG_0209_1.JPG

 思いのほか快適な尾根に快哉を叫びながら歩く。ところどころに真っ赤やオレンジ、まだ緑のままの三段染め
になったカエデが朝日を受けて輝いている。この尾根は極楽尾根に認定するとしよう。
一般的な高屋山への登山道は歩いたことがないが、記録を読むとこちらの方が優れているように思われる。
木立の間から見える屏風山のきれいな三角錐が登高欲をかき立てる。
 初級程度のヤブが一部あるものの、大半は明瞭な踏み跡に導かれる尾根は、胸を衝くような急登もなく、予想
外の短時間で山頂が近付いてきた。
Ca1000mあたりで登山道と合流。登山道方向にはテープがベタ貼りされている。
山頂直下はこれまでと雰囲気が変わり、石灰岩の山らしいカレンフェルトが散乱していた。

IMG_0236_1.JPG

 カレンフェルトの間を縫って高屋山山頂に到着。展望はないが、樹林の中の少し開けた山頂の佇まいは自分好
みだ。
ここから大白木山までの尾根には道はなく、ヤブの状況がカギを握っている。向こうに見える大白木山はさほど
遠く感じなかった。こういう時は調子のいい証拠である。
これまでよりは薄いものの、そこはかとない獣道か踏み跡が続いて快調に進む。

 ところが次のピークまで来てみると、予想外の風景に目を奪われた。そのピークから北へ伸びる尾根に点々と
テープが付けられており、登山ルートにでもなっているのかと思ったが、次の瞬間に前方の尾根の左側斜面を見
て唖然とさせられた。尾根芯から北は文字通りの皆伐状態で、数人の人が今も作業中だった。
尾根芯の南側は素晴らしいブナ林だが、その境界線に延々と鹿除けネットが張られている。ネットの際は歩きや
すい道のようになっているが、まさかこの稜線でネット沿いに歩くとは思わなかった。
南側のブナ林を見れば、この尾根が実に見事なブナ林で覆われていたことがわかる。真新しいブナの大木の切り
株が痛々しい。ネットの内側にはスギの苗が植えてあった。これだけ放置され荒れ果てた植林が多い中、ブナを
切って新たに植林する意味があるのだろうか。

IMG_0261_1.JPG

 ネットは次の1138mピークまで、実に800mに渡って続いていた。皆伐のおかげで北側の展望は素晴らしく、
屏風山から平家岳、少し雪を被った白山の眺望が得られるが、心から楽しむには抵抗がある。
行程は捗ったが、少し暗澹とした気持ちで1138mを過ぎると、またヤブ山が戻ってきた。
 ここから1170mピークを経て大白木山までは高低差がほとんど無いようなゆるゆるとした尾根が続いている。
このあたりからササがはびこり出して、背丈を超えるところもあった。
踏み跡はあるか無しかという感じで、快適な稜線漫歩というわけにはいかない。適当なところでひと息入れよう
と思っていたが、ザックを降ろせる場所もなかった。
ササに加えて潅木が邪魔をするところもあるが、総じて初級プラスアルファ程度のヤブ漕ぎである。


1636213577075_1_1.jpg

 目の前に2枚の白い大きな板が迫ってきた。大白木山頂の反射板だ。違和感たっぷりの人工物だが、そのおかげ
で展望はすこぶる良い。2基の反射板の間の芝生に腰を降ろしてランチタイムとする。
ここまで想定通りのタイムで来られたので余裕たっぷりだ。
防寒着をいっぱい持って来たのだが、無風状態で降り注ぐ日差しは暑いぐらいである。
白山を眺めながらのビールは格別だ。

 下山は反射板の巡視路を利用した登山道を辿る。ここまでと違って道は明瞭、格段に歩きやすい。
この尾根も色付いたシロモジが多く、体が黄色に染まってしまいそうだ。
 林道歩きをカットするため、途中から道をそれて542m標高点へダイレクトに下るプランだったが、「急がば
回れ」に方針変更。おとなしく折越峠の登山口へと下る。
大白木山の登山道は、一部を除けば自然林のいい道だった。

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 峠からは長い車道歩きが待っている。最初のうちは紅葉のワインディングロードや名所の大トチなど見どころ
もあるが、谷底へ下ってからはやや退屈だ。
そこへ前方からやってきた車の中からドライバーが手を振っている。誰かと思えば兔夢ちゃんだった。
OSKの山行でスギクラへ行ってきたらしい。こんなところでと言うより、こんなところだからこそ会うのかもし
れないと思い直して、しばし話し込む。
 越波からの帰路、折越峠のお地蔵さんにご挨拶して行く。目を細めて柔和な顔で微笑む表情が優しく、かつて
この峠を歩いて越えた越波の人々に思いを馳せた。

            山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥美濃】錦秋の根尾を歩く 高屋山から大白木山へ

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
土曜日は、暖かな気候の予報。今シーズン最後の沢山旅かな、と思っていましたら、
根尾の山の縦走に出かけよう、と。何故この週にしたのか分かりました。
昨秋に続き、今年も錦繍の根尾のお山を味わい尽くすことが出来ました。

高屋山から大白木山縦走は、長年思い描いていたコースだったのですね。
私は、お山も楽しみでしたが、越波に行けるのだ、とワクワクしました。
越波へは、「酷道」国道157号線を北上し、大河原から猫峠を越えて。
時間がかかりましたが、この峠道は通りたかった道でした。
越前と美濃の人々が行き来した道、
1662年に始まった鯖江の誠照寺の巡廻教化活動、美濃檀家廻りの道を、
車道からですが感じたかったのです。

越波は1965年、根尾の村々を襲った集中豪雨により離村が一気に進んだのですね。
でも、村人のこころはふるさとにあるのだな、と感じました。
作物の植えられた畑、小学校をきれいに手直しした集会所・・・。
立派なお寺もあり、屋根がうつくしく張り替えられていました。
おばさんのお姿も見られました。
さみしさの中に、あたたかさを感じる風景でした。

植林の中の杣道を進み、尾根に取りつくと、ふわっと黄色い色に包まれ歓声を上げました。
シロモジでした。シロモジの黄葉は、今、この瞬間の秋を謳歌しているように明るく、
見ているわたしもこころが躍ります。
コブだらけのブナは貫禄がありましたね。

いろんな生き物が暮らすお山が好き、といっていますが、サルは苦手です(汗)。
小学校に上がった頃、家族で訪れた志賀高原地獄谷温泉でサルに威嚇されて以来、サルが苦手に。
サルは賢く、私が怖がっているのが分かるのです。
インドやネパールの各地で、どれだけサルにいじわるされたり、からかわれたりしたことか。
日本のお山でも、威嚇されたことは何度も。
聖岳を下り、易老渡に向かっている時には、石を蹴落とされました。
サルアクシデントは一冊の本になるくらい経験しています。サルの話は、もう止めます(笑)。

高屋山へは、この尾根を辿ってよかったですね。
シロモジに続き、朝日を受けて輝く、三段染めになったカエデのうつくしさに酔いしれていました。
谷の向こうにそびえ立つ、屏風山の凛としたお姿に、こころが震えました。
何度か訪れようと試みたものの、向かうことのなかった憧れのお山です。
ブナの木々が静かに佇む高屋山の山頂は、ほっと落ち着く、気持ちのいい山頂でしたね。

さぁ、ブナの森の稜線歩きの始まり始まり、とワクワクしながら進んでいくと、唖然とする光景が。
片側丸裸の斜面。
今の時代に、ブナの林を皆伐して、杉を植えるとはどういう意味なのでしょうね。
歩きながら、何故こんなことを、どこまで続くのだろう、とやるせなく不安な気持ちでした。
伐採地は、800mも続いていたのですね。

・1139から先はブナの林。ここは切られませんようにと願うばかりでした。
失ったものは、元には戻らない・・・。

大白木山の山頂の大きな反射板は威圧感を感じましたが、
ふたつの反射板の間に腰を下ろすと反射板が目に入らず、愛する白山、奥美濃の山やまを望みながら、
贅沢なお昼の時間を過ごせました。11月とは思えないうららかな陽気でしたね。

下りの登山道は、巡視路を利用した道なのですね。
からだが黄色、みかん色に染まってしまいそうな、見事なシロモジ林が続きましたね。
みかん色の中で、みかんを食べようと思ったら、車の中に置いてきてしまった、とため息。

標高990m尾根の分岐で左に進む予定でしたが、シロモジのヤブ。尾根の最後は法面かもしれない。
急がば回れ、とそのまま登山道で。
車道歩きが長くなりましたが、車でひゅっと通り過ぎてしまうともったいない、
素晴らしい紅葉の風景をじっくり味わえてよかったです。

向こうから赤い車が走ってきた、と脇に避けたら兔夢さんの車でした。
奥美濃のお山は、大垣山岳協会の方々のホームグラウンドのお山ですね。

折越峠のお地蔵さま、いいお顔でしたね。
「かつてこの峠を歩いて越えた越波の人々に思いを馳せながら」
夕闇に捕まる前に樽見へ、と車を走らせました。
根尾の風景を深く感じた一日でした。ありがとうございます。

sato
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】錦秋の根尾を歩く 高屋山から大白木山へ

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。お疲れさまでした。

昨秋に続き、今年も錦繍の根尾のお山を味わい尽くすことが出来ました。

絶好のタイミングでしたね。 :D

高屋山から大白木山縦走は、長年思い描いていたコースだったのですね。

そうそう、かなり前から考えてたけど実行に移せない山でした。樹林への期待があまりなかったのも原因のひとつかも。

越波へは、「酷道」国道157号線を北上し、大河原から猫峠を越えて。
時間がかかりましたが、この峠道は通りたかった道でした。

黒津からの道が通行止めになってたおかげですね。


IMG_0151_1.JPG

越波は1965年、根尾の村々を襲った集中豪雨により離村が一気に進んだのですね。
でも、村人のこころはふるさとにあるのだな、と感じました。
作物の植えられた畑、小学校をきれいに手直しした集会所・・・。
立派なお寺もあり、屋根がうつくしく張り替えられていました。
おばさんのお姿も見られました。
さみしさの中に、あたたかさを感じる風景でした。


ずいぶん山の中なのに開けた明るい集落でしたね。門入や、広野ダム上流の大河内に通じるものがあるかも。

植林の中の杣道を進み、尾根に取りつくと、ふわっと黄色い色に包まれ歓声を上げました。
シロモジでした。シロモジの黄葉は、今、この瞬間の秋を謳歌しているように明るく、
見ているわたしもこころが躍ります。


satoさんはシロモジフェチですね~。歩いてても後ろから「シロモジ」という言葉を何度聞いたことか。 :mrgreen:


IMG_0168_1.JPG

いろんな生き物が暮らすお山が好き、といっていますが、サルは苦手です(汗)。
サルアクシデントは一冊の本になるくらい経験しています。サルの話は、もう止めます(笑)。

サル年の割にサルに嫌われてるんですね。 :lol:

高屋山へは、この尾根を辿ってよかったですね。
シロモジに続き、朝日を受けて輝く、三段染めになったカエデのうつくしさに酔いしれていました。
谷の向こうにそびえ立つ、屏風山の凛としたお姿に、こころが震えました。


通常ルートにせず大正解でした。


IMG_0196_1.JPG

何度か訪れようと試みたものの、向かうことのなかった憧れのお山です。
ブナの木々が静かに佇む高屋山の山頂は、ほっと落ち着く、気持ちのいい山頂でしたね。


高屋山たけだとちょっと物足りないので、沢と組み合わせてというのを考えてました。

さぁ、ブナの森の稜線歩きの始まり始まり、とワクワクしながら進んでいくと、唖然とする光景が。
片側丸裸の斜面。
今の時代に、ブナの林を皆伐して、杉を植えるとはどういう意味なのでしょうね。
歩きながら、何故こんなことを、どこまで続くのだろう、とやるせなく不安な気持ちでした。
伐採地は、800mも続いていたのですね。


まったく開いた口が塞がらない光景でした。なんで・・・・という思いが募りましたね。 :oops:
ネットが足に引っ掛かってつまずきそうになるし。


IMG_0267_1.JPG

大白木山の山頂の大きな反射板は威圧感を感じましたが、
ふたつの反射板の間に腰を下ろすと反射板が目に入らず、愛する白山、奥美濃の山やまを望みながら、
贅沢なお昼の時間を過ごせました。11月とは思えないうららかな陽気でしたね。


懐に入ってしまえばあまり気になりませんでしたね。
持って来た防寒着を動員することもなく、ポカポカ陽気でビールも美味しかった。

下りの登山道は、巡視路を利用した道なのですね。
からだが黄色、みかん色に染まってしまいそうな、見事なシロモジ林が続きましたね。
みかん色の中で、みかんを食べようと思ったら、車の中に置いてきてしまった、とため息。


またまたのシロモジ林。 :mrgreen:
みかんは残念!!

1636213577049_1.jpg

標高990m尾根の分岐で左に進む予定でしたが、シロモジのヤブ。尾根の最後は法面かもしれない。
急がば回れ、とそのまま登山道で。


ちょうど谷の出合だから逃げられるだろうとは思ってたけど、時間の制約で断念しました。

車道歩きが長くなりましたが、車でひゅっと通り過ぎてしまうともったいない、
素晴らしい紅葉の風景をじっくり味わえてよかったです。


まあ、あれはあれでよかったかもね。大トチとカツラも見れたし。

向こうから赤い車が走ってきた、と脇に避けたら兔夢さんの車でした。
奥美濃のお山は、大垣山岳協会の方々のホームグラウンドのお山ですね。


あれはビックリでした。向こうの方がビックリか。 :mrgreen:


1636213576953_1.jpg

折越峠のお地蔵さま、いいお顔でしたね。
「かつてこの峠を歩いて越えた越波の人々に思いを馳せながら」
夕闇に捕まる前に樽見へ、と車を走らせました。
根尾の風景を深く感じた一日でした。ありがとうございます。


味わい深いお地蔵さまでしたね。舗装路だけど、なんとなく雰囲気のある峠でした。
下大須で止まってた車はやはりレイとヤドカリさんでした。 :D

             山日和
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