【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

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yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

投稿記事 by yamaneko0922 »

【 日 付 】2021年10月24日(日曜日)
【 山 域 】安倍奥 
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】駐車地5:55〜7:56蓬峠〜9:07西日影沢分岐〜9:23山伏〜10:23大平沢ノ頭〜10:38新窪乗越10:44〜11:19大谷嶺11:26〜11:56新窪乗越〜12:38扇の要12:39〜12:46大谷嶺登山道入口〜12:53大谷嶺駐車場〜13:45駐車地

安倍奥は安倍川の源流域を取り巻く形で山が連なっているので、様々な周回ルートが考えられるのだが、まずは安倍奥の盟主、山伏を目指す。山伏と書いて「やんぶし」と読むことを宿泊した温泉民宿の女将さんが教えてくれる。知らなければ読めない難読山名だろう。

問題は山伏からのルートだ。私は笹山を周回したいところではあったが家内が距離の長さを懸念するので大谷嶺への周回コースを選択することにする。それぞれの山の登山口が奥深いところにあり、車でアプローチが可能なのはいいが周回コースだと登山口間の移動が長いのは致し方ない。

朝は雲ひとつない晴天が広がっている。5時半に宿を出発した時点ではまだ暗かったが、瞬く間に周辺は明るくなってゆく。大谷崩方面と山伏登山道との分岐の近くの道路余地に車を停めて出発する。

本来の山伏の登山口は西日影沢に沿った林道を奥に入ったところであるが、林道を登山口まで歩くよりもどうせなら蓬尾根と呼ばれるこの尾根の末端から辿ってみたいという思惑が生じ、すぐに右手の植林の斜面に取り付く。急登ではあるが、尾根芯の明瞭な作業道を辿って高度を上げてゆく。やがて背後の東山稜から朝日が昇ったのだろう。林の中が一斉に照明をつけたように明るく輝き始める。

植林の中の急登がひとしきり終わりp1196を越えて尾根がなだらかになったところで前日に宿泊した民宿が用意してくれたお弁当を広げることにした。宿の女将さんには前日の夜でいいから・・・と云ったのだが、女将さんが朝早く起きてこしらえてくれたお弁当は期待以上に豪華でボリュームがある。

p1353への登りになると植林も終わり、自然林のやせ尾根となる。ところどころで馬酔木の藪も現れるが、馬酔木の間には明らかに刈払いされた道が続いている。

P1471が近づくと再び左手に植林が広がるようになる。蓬峠への鞍部では右手の植林の中に明瞭な道が続いていた。鞍部から先は植林が終わり、大きな岩と苔むした大樹の林になる。いかにも南アルプスといった雰囲気で魅力的な林相だが、それまで続いていた踏み跡が途端に不明瞭になる。とはいえ尾根筋は明瞭なので道迷いの心配はないだろう。歩きやすいところを適当に選んで登るしかない。

先の方から熊鈴の音が聞こえてくる。西日影沢から登ってくる登山道との合流地点に達すると単独行の男性が丁度、下から登ってこられたところであった。ここからは良好に整備された登山道が遊歩道のように感じられる。ここから昨日の八絋嶺の富士見台への尾根と同様、山毛欅の大樹が立ち並ぶ自然林の尾根が続くようになる。
山毛欅.JPG

林相はいいのだがしばらくは急登の尾根が続く。山伏からの南に延びる稜線に登ると途端に景色は一変し、立ち枯れの樹が目立つ草原となる。足元を見ると日陰には一面に霜が降りていた。
山伏.JPG

なだらかな尾根を緩やかに登るとたおやかな曲線を描く左手の笹原の草稜の彼方に富士山と荒々しい崩壊斜面を擁する大谷嶺の展望が広がった。
展望.JPG

山頂には既に3組の登山者がおられる。山頂の北側からは冠雪した南アルプス南部の山々の展望が広がり、壮観だ。聖岳は山頂部が白くなっているが、そのすぐ左手の上河内岳以南は冠雪はまだらしい。
南アルプス.JPG

宿でいただいた小さな蜜柑を食べると山頂を後にする。広い尾根には今度はダケカンバの樹林が広がるようになる。次のピークにかけての鞍部が近づくと尾根は二重尾根となる。二重尾根の間には苔の草原が広がっており、カエデの樹々の紅葉と鮮やかコントラストを見せてくれる。
紅葉.JPG

アップダウンの少ないなだらかな尾根が続き、ダケカンバの目立つ低木の樹林を進む。やがて尾根が大きく東向きに方向を転じるとやせ尾根の登りとなり、大平沢の頭のピークにたどり着く。小ピークを一つ乗り越えて、新窪乗越が近づくと、いよいよ大谷嶺の崩壊斜面が目の前に迫る。
大谷嶺.JPG

新窪乗越からはいよいよ大谷崩の崩壊斜面の縁を歩いてゆくので眼下に大谷川の谷間とその先に安倍川流域の壮大な展望が広がる。
安倍奥の展望.JPG

目の前のピークを登れば大谷嶺の山頂かと思っていたが、斜面の先に見えていたのは山頂の手前の偽ピークであった。山頂は樹林をもうひと登りしたところだ。

大谷嶺の山頂から南アルプスの写真を撮ろうとしたところでカメラのバッテリーがなくなる。ここから先はそれほどの展望ポイントはないだろと思っていたのだが、後で思わぬ悔恨の事態に遭遇することになるのだった。

新窪乗越に戻ると三人組のパーティー、1組は若者達の男女のグループでトッポギを茹でていた。どうやらチゲスープを作るらしい。若者達の間から「美味しそう〜」という歓声が聞こえてくる。

大谷崩の崩壊斜面を下る。先行する男性が立ち止まって、斜面に向かってカメラを構えている。何かと思えば何とすぐ近くの斜面にはカモシカがいるではないか。私はかつて丹沢で出遭ったことがあるが家内はカモシカに出遭うのは初めてだ。カモシカは鹿と違って警戒心が少ないせいかなんとも可愛らしい表情でじっととこちらを眺めている。今回は望遠レンズも携えてきていたにもかかわらず、バッテリー切れで写真を撮ることが出来ないのがなんとも無念であった。
カモシカ.jpg

ガレ場の下降が終わると自然林の広がる沢沿いを下って駐車場に到着する。振り返ると稜線にはすっかり雲の中がかかっていた。ここからは延々と車道を下ることになる。車を停めた分岐まで後1kmほどというところで、先ほどの若者達が車で通りがかり、ご親切にも「乗って行きますか?」と提案して下さるが「あとわずかなので」と辞退して、周回を完遂することにした。

下山後は黄金の湯に立ち寄って静岡駅に向かう。安倍川の川沿いが大きく開けて茶畑が広がるようになると深い山あいから平野への風景の変化が劇的だ。秘境と呼ばれる安倍奥の樹林と展望の魅力を堪能した二日間であった。
山猫 🐾
SHIGEKI
記事: 1031
登録日時: 2011年7月25日(月) 18:30

Re: 【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

投稿記事 by SHIGEKI »

yamanekoさん こんばんは。

オフ会の帰りは、ご同行、色んなお話ありがとうございました。


【 山 域 】安倍奥 
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】駐車地5:55〜7:56蓬峠〜9:07西日影沢分岐〜9:23山伏〜10:23大平沢ノ頭〜10:38新窪乗越10:44〜11:19大谷嶺11:26〜11:56新窪乗越〜12:38扇の要12:39〜12:46大谷嶺登山道入口〜12:53大谷嶺駐車場〜13:45駐車地

安倍奥は安倍川の源流域を取り巻く形で山が連なっているので、様々な周回ルートが考えられるのだが、まずは安倍奥の盟主、山伏を目指す。山伏と書いて「やんぶし」と読むことを宿泊した温泉民宿の女将さんが教えてくれる。知らなければ読めない難読山名だろう。

安倍奥のrep2題 昭文社登山地図の裏面 を辿りながら読ませていただきました。

実は、今頃思い出しましたのですが、不肖Sも安倍奥「温泉浸かりながらのんびり周遊3日間」なんて

ことを昨年かんがえてましたのです。いつもの通り、すっかり記憶の彼方でしたが・・・

不肖Sの場合、周遊の足に DOC パナソニックオフタイムを使う予定だったのです。

そんなことで、行ってもいないのに、懐かしく 拝読いたしました。

いつかは(残り時間は極めて少ないですが)参考に 十枚、大光、八紘、山伏、笹山 小分けに周遊

したいと思ってます。

     では また どこか 川のほとりで

      SHIGEKI  
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

投稿記事 by バーチャリ »

yamaneko0922 さん こんばんは

【 日 付 】2021年10月24日(日曜日)
【 山 域 】安倍奥 
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】駐車地5:55〜7:56蓬峠〜9:07西日影沢分岐〜9:23山伏〜10:23大平沢ノ頭〜10:38新窪乗越10:44〜11:19大谷嶺11:26〜11:56新窪乗越〜12:38扇の要12:39〜12:46大谷嶺登山道入口〜12:53大谷嶺駐車場〜13:45駐車地



大谷嶺まだ未踏です 
同じコースを回りたいと思っていますが。


問題は山伏からのルートだ。私は笹山を周回したいところではあったが家内が距離の長さを懸念するので大谷嶺への周回コースを選択することにする。それぞれの山の登山口が奥深いところにあり、車でアプローチが可能なのはいいが周回コースだと登山口間の移動が長いのは致し方ない。

笹山からはそう長くないと思いますが
笹山~山伏は癒しの森で雰囲気がとてもいいと思います 機会が有りましたら是非


P1471が近づくと再び左手に植林が広がるようになる。蓬峠への鞍部では右手の植林の中に明瞭な道が続いていた。鞍部から先は植林が終わり、大きな岩と苔むした大樹の林になる。いかにも南アルプスといった雰囲気で魅力的な林相だが、それまで続いていた踏み跡が途端に不明瞭になる。とはいえ尾根筋は明瞭なので道迷いの心配はないだろう。歩きやすいところを適当に選んで登るしかない。


何十年前に歩いてますが わさび田が有りしっかりした登山道でしたが
今少し荒れているのでしょうか

先の方から熊鈴の音が聞こえてくる。西日影沢から登ってくる登山道との合流地点に達すると単独行の男性が丁度、下から登ってこられたところであった。ここからは良好に整備された登山道が遊歩道のように感じられる。ここから昨日の八絋嶺の富士見台への尾根と同様、山毛欅の大樹が立ち並ぶ自然林の尾根が続くようになる。

いい雰囲気になって来ましたね。


なだらかな尾根を緩やかに登るとたおやかな曲線を描く左手の笹原の草稜の彼方に富士山と荒々しい崩壊斜面を擁する大谷嶺の展望が広がった。


この周辺の山は崩壊斜面が結構ありますね。


山頂には既に3組の登山者がおられる。山頂の北側からは冠雪した南アルプス南部の山々の展望が広がり、壮観だ。聖岳は山頂部が白くなっているが、そのすぐ左手の上河内岳以南は冠雪はまだらしい。


山伏山は展望がいいですよね 
夏はヤナギランが咲くのですよ。

大谷崩の崩壊斜面を下る。先行する男性が立ち止まって、斜面に向かってカメラを構えている。何かと思えば何とすぐ近くの斜面にはカモシカがいるではないか。私はかつて丹沢で出遭ったことがあるが家内はカモシカに出遭うのは初めてだ。カモシカは鹿と違って警戒心が少ないせいかなんとも可愛らしい表情でじっととこちらを眺めている。今回は望遠レンズも携えてきていたにもかかわらず、バッテリー切れで写真を撮ることが出来ないのがなんとも無念であった。


可愛い目をしてますよね。


下山後は黄金の湯に立ち寄って静岡駅に向かう。安倍川の川沿いが大きく開けて茶畑が広がるようになると深い山あいから平野への風景の変化が劇的だ。秘境と呼ばれる安倍奥の樹林と展望の魅力を堪能した二日間であった。

お疲れ様でした。

   バーチャリ
yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

Re: 【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

投稿記事 by yamaneko0922 »

SHIGEKIさん 

レス有難うございます。
それからオフ会の帰り、こちらこそご一緒させて頂き、楽しい山行となりました。
さらに甲津畑から八日市まで車に乗せて頂き深謝です。

>「温泉浸かりながらのんびり周遊3日間」

それはいいですね。考えるだけでも楽しそう・・・

>周遊の足に DOC パナソニックオフタイム

登山口がかなり深いところにあるので、これがあると強力ですね。
しかし、このオフタイムって結構なお値段がするんですね〜 :o

>いつかは・・・

私もバーチャリさんに新たなお勧めの山をご紹介頂いたことですし、改めて山行計画を考えたいと思います。
山猫 🐾
yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

Re: 【安倍奥】山伏〜大谷嶺☆安倍奥も周回が面白い

投稿記事 by yamaneko0922 »

バーチャリさん コメント有難うございます。

>笹山~山伏は癒しの森で雰囲気がとてもいいと思います 機会が有りましたら是非

バーチャリさんのお墨付きとあらば、是非、改めて訪れたいところです。

>今少し荒れているのでしょうか

蓬峠の手前では踏み跡がほとんど消えていましたが、藪や倒木が多いわけでもないので、問題なく歩行出来ると思います。

>この周辺の山は崩壊斜面が結構ありますね。

大谷崩は1707年の宝永4年の大地震によって生じた山体崩壊とのことですが、同じ地震で同様の崩壊が生じたんでしょうね。

>山伏山は展望がいいですよね 
夏はヤナギランが咲くのですよ。


展望だけでなく、立ち枯れの樹と笹原が独特の雰囲気ですね。
夏もいいでしょうね。改めて再訪してみたいです。
山猫 🐾
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