【但馬】糸井三山を歩く
Posted: 2021年6月03日(木) 22:06
【日 付】2021年5月29日(土)
【山 域】但馬 東床尾山周辺
【天 候】晴れ
【コース】自然公園管理棟8:05---8:25三ノ滝---9:35 P703m---10:25鉄鈷山10:45---11:45東床尾山手前13:15
---13:25東床尾山---14:20西床尾山14:35---15:25登山口---15:40駐車地
但馬地方にある東床尾山(ひがしとこのおさん)へ行ってきた。40数年前から気にはなっていたが、なかなか足
の向かなかった山だ。兵庫県の山はどうも植林の印象が強く、コースとしても軽過ぎるイメージで行きそびれて
いたのである。
初めての場所は車で走っていても新鮮で楽しい。日本中どこにでもある平凡な地方の風景なのだが、知らない
場所というだけでワクワク感があるのだ。
出石糸井県立自然公園の管理棟前に駐車して歩き出した。もう少し奥から「糸井の大カツラ」という巨樹を見
て、東床尾山と西床尾山を周回するのが一般的なコースだが、それでは短過ぎて一日遊べない。
管理棟の横を流れる谷の上流に「床尾三滝」と呼ばれる滝があり、遊歩道が設置されている。こちらはなぜか
「とこのお」ではなく「「とて」と読ませるのが面白い。やや荒れ気味ながらも一応手は入っているようで、三
つの滝もそれぞれ表情が違って見応えがある。特に三ノ滝は造形が面白く、洞窟の中を流れ落ちるような姿に目
を奪われた。
遊歩道はここまでで、右岸から三ノ滝を巻きにかかるが、なかなか嫌らしい斜面だ。木の根を頼りにかなり上
の方まで追い上げられて落ち口に立った。沢装備でこのまま詰め上がった方が面白かったかもしれないが、今日
は普通の登山装備である。支谷を一本またいだ対岸の急斜面を這い上がって行く。足を滑らせれば谷底まで一直
線なので気が抜けない。
ようやく傾斜が緩んだところでひと息。ここからは緩やかな尾根が続くが、残念ながら完全な植林帯だ。この
辺が敬遠していた所以か。ただ、よく手入れされた植林で、暗さがないのが救いである。適度な間伐と枝打ちで、
林床まで光が届くのだ。
703mピークで朝来市と福知山市の市境尾根に合流。ここから先も植林か、もしくは片側だけ自然林という状況
が続く。面白みのない尾根だが、道と呼べる明瞭な踏み跡が続いていた。
鉄鈷(かなとこ)山に近付くとようやく自然林の割合が増えて来て頬が緩む。この山は東床尾山・西床尾山と合
わせて糸井三山と呼ばれているらしい。
日本人はなんでも三つまとめるのが好きだ。さきほどの床尾三滝もそうだが、日本三景や日本三大祭り、日本三
大仏。最近では三密なんかもその類か。実は糸井三山という名前は前日に知ったばかりである。
ほとんどの人は東床尾山と西床尾山の周回なので、こちらに足を延ばす人は少数派なのかもしれない。
自然林の中、静かで落ち着ける山頂だ。
ここからは一部植林が見られるものの、大半は自然林で気分良く歩くことができた。但し、ブナの姿はほとん
ど無い。たまに驚くほど立派なブナが現れるのだが、ブナ林を形成しているわけではないのが不思議である。
そろそろランチタイムという時間になった。東床尾山頂は目の前だが、人が多いと鬱陶しい。展望はいいらし
いが、その分日陰はなさそうだ。手前の疎林の台地がお誂え向きだったので腰を降ろすことにする。
木々を通してまだらに日の当たる台地は気持ちのいい場所だ。完全な日陰だと寒いくらいの涼しさである。
下界は夏日らしいが、ここはまったくの別世界だ。
食後、10分ほど前進すれば東床尾山の頂上に到着。意外にも登山者の姿は一人だけだった。
予想通りの日陰のない山頂で、晴れた暑い日にのんびりするには些か不都合だろう。 展望は確かに良く、360度
のパノラマが広がるが、土地勘がないので見えている山がさっぱりわからない。真西に氷ノ山が見えるようだが
雲の中である。山そのものの眺めより、眼下の円山川沿いに延びる豊岡周辺の街の広がりの方が印象的だった。
早々に西床尾山へ向かう。ここから見る西床尾山周辺の尾根は真っ黒・・・すなわち植林に覆われて見えた。
山頂は期待できそうもない。 東床尾山からの道はここまでより一段と立派な登山道である。西床尾山が近付いて
来ると、尾根の左側は完全に植林になったが、尾根芯より右側は明るい自然林が残されていた。
東床尾山から見た時は、ちょうど植林サイドだけが見えていたのである。実際歩いてみると雰囲気は悪くない。
但し、西床尾山の山頂だけは期待外れ(別に期待してはいなかったが)のつまらない場所だった。植林のすき間か
ら歩いて来た稜線が見えた。
下山は植林の中を一直線に谷へ向かう。下り着いた谷底もやはり植林には違いないが、苔むした岩とナメの美
しい流れにホッとする。ちょっとしたナメや滝に見入ってしまうのは、そろそろ体が沢モードに切り替わりつつ
あるのだろうか。
一旦車まで戻ってから糸井の大カツラを見物しに行く。国の天然記念物に指定されている巨樹で、遠目に見て
もその大きさがわかった。
しかし甲森谷のトチとカツラのワンダーランドを見慣れている眼には、それほどの驚きがなかったのもまた事実
だった。
山日和
【山 域】但馬 東床尾山周辺
【天 候】晴れ
【コース】自然公園管理棟8:05---8:25三ノ滝---9:35 P703m---10:25鉄鈷山10:45---11:45東床尾山手前13:15
---13:25東床尾山---14:20西床尾山14:35---15:25登山口---15:40駐車地
但馬地方にある東床尾山(ひがしとこのおさん)へ行ってきた。40数年前から気にはなっていたが、なかなか足
の向かなかった山だ。兵庫県の山はどうも植林の印象が強く、コースとしても軽過ぎるイメージで行きそびれて
いたのである。
初めての場所は車で走っていても新鮮で楽しい。日本中どこにでもある平凡な地方の風景なのだが、知らない
場所というだけでワクワク感があるのだ。
出石糸井県立自然公園の管理棟前に駐車して歩き出した。もう少し奥から「糸井の大カツラ」という巨樹を見
て、東床尾山と西床尾山を周回するのが一般的なコースだが、それでは短過ぎて一日遊べない。
管理棟の横を流れる谷の上流に「床尾三滝」と呼ばれる滝があり、遊歩道が設置されている。こちらはなぜか
「とこのお」ではなく「「とて」と読ませるのが面白い。やや荒れ気味ながらも一応手は入っているようで、三
つの滝もそれぞれ表情が違って見応えがある。特に三ノ滝は造形が面白く、洞窟の中を流れ落ちるような姿に目
を奪われた。
遊歩道はここまでで、右岸から三ノ滝を巻きにかかるが、なかなか嫌らしい斜面だ。木の根を頼りにかなり上
の方まで追い上げられて落ち口に立った。沢装備でこのまま詰め上がった方が面白かったかもしれないが、今日
は普通の登山装備である。支谷を一本またいだ対岸の急斜面を這い上がって行く。足を滑らせれば谷底まで一直
線なので気が抜けない。
ようやく傾斜が緩んだところでひと息。ここからは緩やかな尾根が続くが、残念ながら完全な植林帯だ。この
辺が敬遠していた所以か。ただ、よく手入れされた植林で、暗さがないのが救いである。適度な間伐と枝打ちで、
林床まで光が届くのだ。
703mピークで朝来市と福知山市の市境尾根に合流。ここから先も植林か、もしくは片側だけ自然林という状況
が続く。面白みのない尾根だが、道と呼べる明瞭な踏み跡が続いていた。
鉄鈷(かなとこ)山に近付くとようやく自然林の割合が増えて来て頬が緩む。この山は東床尾山・西床尾山と合
わせて糸井三山と呼ばれているらしい。
日本人はなんでも三つまとめるのが好きだ。さきほどの床尾三滝もそうだが、日本三景や日本三大祭り、日本三
大仏。最近では三密なんかもその類か。実は糸井三山という名前は前日に知ったばかりである。
ほとんどの人は東床尾山と西床尾山の周回なので、こちらに足を延ばす人は少数派なのかもしれない。
自然林の中、静かで落ち着ける山頂だ。
ここからは一部植林が見られるものの、大半は自然林で気分良く歩くことができた。但し、ブナの姿はほとん
ど無い。たまに驚くほど立派なブナが現れるのだが、ブナ林を形成しているわけではないのが不思議である。
そろそろランチタイムという時間になった。東床尾山頂は目の前だが、人が多いと鬱陶しい。展望はいいらし
いが、その分日陰はなさそうだ。手前の疎林の台地がお誂え向きだったので腰を降ろすことにする。
木々を通してまだらに日の当たる台地は気持ちのいい場所だ。完全な日陰だと寒いくらいの涼しさである。
下界は夏日らしいが、ここはまったくの別世界だ。
食後、10分ほど前進すれば東床尾山の頂上に到着。意外にも登山者の姿は一人だけだった。
予想通りの日陰のない山頂で、晴れた暑い日にのんびりするには些か不都合だろう。 展望は確かに良く、360度
のパノラマが広がるが、土地勘がないので見えている山がさっぱりわからない。真西に氷ノ山が見えるようだが
雲の中である。山そのものの眺めより、眼下の円山川沿いに延びる豊岡周辺の街の広がりの方が印象的だった。
早々に西床尾山へ向かう。ここから見る西床尾山周辺の尾根は真っ黒・・・すなわち植林に覆われて見えた。
山頂は期待できそうもない。 東床尾山からの道はここまでより一段と立派な登山道である。西床尾山が近付いて
来ると、尾根の左側は完全に植林になったが、尾根芯より右側は明るい自然林が残されていた。
東床尾山から見た時は、ちょうど植林サイドだけが見えていたのである。実際歩いてみると雰囲気は悪くない。
但し、西床尾山の山頂だけは期待外れ(別に期待してはいなかったが)のつまらない場所だった。植林のすき間か
ら歩いて来た稜線が見えた。
下山は植林の中を一直線に谷へ向かう。下り着いた谷底もやはり植林には違いないが、苔むした岩とナメの美
しい流れにホッとする。ちょっとしたナメや滝に見入ってしまうのは、そろそろ体が沢モードに切り替わりつつ
あるのだろうか。
一旦車まで戻ってから糸井の大カツラを見物しに行く。国の天然記念物に指定されている巨樹で、遠目に見て
もその大きさがわかった。
しかし甲森谷のトチとカツラのワンダーランドを見慣れている眼には、それほどの驚きがなかったのもまた事実
だった。
山日和