【美濃】大日ヶ岳〜天狗山〜水後山縦走☆スノー衆前夜は猫バスに乗って

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yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

【美濃】大日ヶ岳〜天狗山〜水後山縦走☆スノー衆前夜は猫バスに乗って

投稿記事 by yamaneko0922 »

【 日 付 】2021年3月6日(土曜日)
【 山 域 】美濃
【メンバー】山猫単独
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】大日ヶ岳ひるがの高原登山口10:12〜11:21いっぷく平〜12:30大日ヶ岳12:43〜13:05天狗山13:11〜13:35大日ヶ岳〜14:15鎌ヶ峰〜14:52水後山〜16:05満天の湯


この土曜日は午前中に予定があったのだが、何とか前日の夜までに片付けることが出来たので、朝から出発することが可能となる。折角の機会なので、スノー衆の山行の前に以前から訪れたいと思っていた大日ヶ岳への山行を計画する。この山を訪れるならば天狗山と水後山をつないで縦走したいと思っていた。車二台を使うのでなければ、この縦走は容易ではないのだが、意外な方法を思いつく。

ところでこの大日ヶ岳はかつては三国岳とも呼ばれ、美濃、飛騨、越前の三国が接する山であったらしい。現在の県境は別山の南尾根上の銚子ヶ峰から野伏ヶ岳を経て毘沙門岳に至る稜線上に設定されているが、かつては銚子ヶ峰からこの三国岳を経て毘沙門岳に至る尾根が国境をなしていた。すなわち、ひるがの高原から大日ヶ岳に至る尾根が濃飛国境、大日ヶ岳から天狗山の稜線は越飛国境、大日ヶ岳から満天の湯のある桧峠への尾根が越美国境稜線となる。

美濃白鳥までは長良川鉄道を利用すると京都をどんなに早く出発しても11時53分にしか到着しないが、名古屋から高速バスを利用するとひるがの高原に9時半過ぎに到着することが出来る。問題はこの高速バスの予約が前日の0時で締め切られてしまうので、乗れるかどうかはバスセンターで空席の有無を尋ねるしかない。

朝7時過ぎの新幹線に乗り、名鉄バスセンターに移動すると7時40分発のバスには十分に空席があり、すんなりと乗車することが出来た。バスが名古屋を出発すると濃尾平野はすっかり晴れわたり、御嶽山が雲の上からその勇壮な頂を突き出している。わずかに雪を残す平野の西の大きな山が伊吹山であることにすぐには気がつかなかった。

美濃白鳥を過ぎるとようやく道路の周囲に雪を見かけるようになる。バスの進行方向には大きな大日ヶ岳が見える。ひるがの高原バスのSAからはゴンドラのある高鷲(たかす)スキー場までは無料のシャトルバスがあるが、そのバスが出発するまで50分近く待たなければならない。高鷲のタクシー会社に電話をかけて配車を依頼する。

バスはおよそ10分近く遅れてひるがのSAに到着。スキー場から下はすっかり晴れているが、山頂部には雲がかかっている。午後には雲が晴れることを信じて、登山口に向かう。本来の登山口は除雪されていないようだが、除雪終了地点の道路脇の広地には3台の車が停められていた。ナンバーは京都、尾張小牧、静岡と、遠くから来られている方もおられるようだ。

登山口からは早速にも広々とした自然林の尾根が続く。数名の先行者のトレースがあるが、いずれもつぼ足のようだ。すぐ隣のスキー場から流れてくる音楽を聴きながら緩やかに自然林の尾根を登ってゆく。スキー場が広いせいだろうか、音楽の賑やかさとは裏腹にゲレンデは空いているように見える。あるいは未だのコロナ禍の影響が続いているのだろうか。

やがて、大日ヶ岳から東に伸びる尾根に乗ると、斜面からは左前方に純白の大日ヶ岳のピークが視界に入る。高度が上がるにつれ広々とした疎林となり、ブナの大樹が次々と現れる。尾根がかなり広いのであたかも平原を歩いているかのような錯覚を感じる。
山毛欅の樹.jpg

樹間からは右手に白山が見える筈なのだが、山の上の方は雲の中だ。振り返るといつしか鷲ヶ岳の山頂部も白山から流れてきたものと思われる雲に覆われている。大日ヶ岳の山頂が近づき、展望台と呼ばれる地点に到着すると白山にかかる雲が一気にとれて、その純白の山頂が別山と共に姿を現した。
白山.jpg

山頂まではもう一息だ。山頂の直下で三人のパーティーが休憩されておられる。浜松ナンバーの車のパーティーであった。ツボ足で山頂まで4時間半近くかかったとのこと。山頂近くでもかなり沈んでいるようなので、それは大変だっただろう。
青空を背景に大日ヶ岳の山頂へと登り詰める。
大日ヶ岳.jpg

山頂からは鎌ヶ峰の峻険な山容が視界に飛び込む。それとは好対照に北西の天狗山へと続く尾根はたおやかな稜線が続いている。空には淡墨を流したかのような雲が急速に広がってゆく。稜線が雲の中に入ってゆくのは時間の問題のようだ。
天狗山へ2.jpg

山頂では折しも大阪から来られたという女性二人組が雪だるまを作っているところだった。山頂を後に広々とした稜線を天狗山に向けて辿ると次々と数組のパーティーとすれ違う。振り返ると大日ヶ岳の山頂は早速にも雲の中へと吸い込まれてゆく。

天狗山の山頂へとたどり着いた時にはちょうど二人組の若い男性が休憩されておられるところであった。装備からして明らかにゴンドラではなく、下の登山口から登ってきた雰囲気だ。お伺いすると京都ナンバーの車の主であった。鎌ヶ峰を眺めながら大日ヶ岳の山頂を再び目指し雲の中へと入ってゆく。
鎌ヶ峰.jpg

大日ヶ岳の山頂を再び目指し雲の中へと入ってゆく。途中で真新しいピッケルが落ちている。おそらく先ほどすれ違ったパーティーのどなたかが落とされたのだろう。リュックに2本目のピッケルを括り付けると急に重く感じられる。山頂では霧の中で完成された雪だるまが微笑んでいた。鎌ヶ峰への稜線もすっかり雲の中だ。

鎌ヶ峰との間のコルへの下降とその登り返しがこの縦走路の核心部だろう。尾根の南東側に張り出した雪庇は崩壊が進行中だ。急峻な下降を下ると、雲の中から鎌ヶ峰のピークが姿を現し、急峻な斜面が折からの陽光に煌めいた。
鎌ヶ峰へ.jpg

鎌ヶ峰に雪庇の張り出した急峻な尾根を登ってゆくが、山頂が近づくにつれ再び稜線は雲の中へと入ってゆく。幸いにもスノーシューが程よく斜面の雪にくい込んでくれる。今回はチェーンスパイクしか持参していなかったが、雪の状況によってはアイゼンがなければ相当なスリルを味わうことになったかもしれない。

鎌ヶ峰の山名標が設置されているのは地図上のピークから水後山の方に降ったところであった。白鳥観光協会が設置した山頂標には1669mと刻まれている。山名標がある地点はギリギリ雲の下なのであろう。ようやく水後山の姿を確認することが出来る。
水後山へ.jpg

水後山への吊尾根を辿ると稜線にはブナの樹が現れる。雪庇には雪割れが多く見られるばかりでなく、所々で雪庇が落ちて灌木が露出していた。水後山は本来は展望が良いのであろうが、生憎、周囲の展望はガスの中である。

雪庇の尾根を下降してゆくと突然、西の空の雲が上がり、小白山と野伏ヶ岳が雲の中から姿を現すが、残念なことに尾根の西側の樹木が眺望を遮る。慌てて水後山に向かって尾根を登りかえすが、見晴らしが効く地点まで登った時には山々は再び雲の中に隠れてしまう。

尾根を下降し、西側に伸びる支尾根の分岐が近づいたところでもう一度、西の空が晴れる。もしやと思い、この支尾根に足を踏み入れると、尾根を少し降ったところで石徹白を挟んで正面に小白山と野伏ヶ岳の展望が大きく広がる。この展望を堪能することが出来るのも樹々が葉を落としたこの季節ならではだろう。午後の光を浴びて輝くこれらの山々の姿はなんとも壮麗であり、神々しさすら感じられる。その後、これらの山々が雲の中から再び姿を現すことはなかった。
小白山と野伏ヶ岳.jpg
再び尾根を分岐に向かって登り返すと、尾根上には立派なブナの樹林が広がっていることに気がつく。右手には山頂からは石徹白に向かって下降する気持ちの良さそうな尾根が続いている。石徹白から大日ヶ岳を周回するのも良さそうだ。

東側には鷲ヶ岳を眺めながら西側にブナの樹林が続く尾根を緩やかに下降してゆく。鷲ヶ岳にずっとかかっていた雲もついに取れたようだ。

Winghillsのスキー場のゲレンデトップに到着したのは15時半。このゴンドラの営業が15時半だったのでその時間を見計らって来たのであったが、15時半に下を出発したゴンドラが到着するまではゴンドラは運転しているのだろう。ゲレンデの上部にはまだそれなりの人がいる。

スキー場の係員にゲレンデの中に入らないで下さいと釘を刺されるので、ゲレンデのすぐ左手の樹林の中を歩く。もとより圧雪されたゲレンデよりも樹林の中の雪の方がはるかに気持ちい。ゲレンデには頻繁に「林間滑走禁止」とゲレンデから外れることを注意する看板があるが、そんな看板などお構いなしに広々とした樹林の中には多数のシュプールがある。そのほとんどはスノーボードのものであった。樹林の中には数日前のものと思われるワカンのトレースが続いている。ゲレンデの下にたどり着き、山の上を振り返ると水後山への稜線にも霧がかかっていた。

下山後はのんびりと「満天の湯」の温泉に浸かり、丁度、スキー場が終了した時間と重なってしまったために温泉は大混雑であったが、温泉に浸かっているうちに急速に入浴客が少なくなってゆく。

温泉から上がるとビールを飲みながら石徹白から美濃白鳥への1日に2本のバスを待つ。昼にも一便あるのだが、それは予約があれば運行するオンデマンド・バスだ。スマホを取り出すと先日の金糞岳〜大ダワの周回に山日和さんとSHIGEKIさんのコメントがついていることに気がつく。バスの時間までにと思ってレスが遅れることをお断りを入れたのが、これが完全に余計な行為であった。

満天の湯の入口にバスが通過する予定は18時47分。すっかり日がくれた道を歩いてバス停に向かう。バス停に到着して時刻を確認するとなんと18時49分。しまった!美濃白鳥までタクシーを使うとどれほど高額になるのだろう。

タクシーの電話を調べようとして、スマホを操作しようとした瞬間、暗闇の中から忽然とバスが現れてすっと目の前で停まる。まるでトトロに出てくる猫バスである。実際には石徹白からのバスが二分ほど遅れていたのである。

バスに乗り込むと乗客は私のみである。美濃白鳥までは30分とかからない距離であった。旅館の名前を告げると運転手はわかりましたと云って、そのすぐ前で私を下ろしてくれる。宿は期待通り、昭和の面影を色濃く残す老舗の旅館であった。翌日のスノー衆でのランチのための食材を長良川の対岸のスーパーで求めると、豪勢な夕食にありつく。女将さんが作られた麹の鍋と大根の漬物が何とも美味であった。田中陽希さんが泊まられたことがあるということを女将さんが嬉しそうに話をされる。

案内された部屋は夜風がガタガタと雨戸を鳴らす。山の上は相当に風が強いだろう。翌日の好天を祈りながら、他には宿泊客はいないと思われる静かな旅館で早々に眠りに落ちて行った。

下山後、ヤマレコにピッケルの拾得の掲示を出したところ、早々にも持ち主から連絡を頂いた。重いピッケルを携えての縦走を労うべく山の神がバスを遅らせてくれたのかもしれない。
最後に編集したユーザー yamaneko0922 [ 2021年3月12日(金) 09:12 ], 累計 1 回
山猫 🐾
biwaco
記事: 1422
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【美濃】大日ヶ岳〜天狗山〜水後山縦走☆スノー衆前夜は猫バスに乗って

投稿記事 by biwaco »

yamaneko先生、こんばんは(^^)/
スノー衆前日の足慣らしですね!
大日岳か…、行けそうで行けず、踏めそうで踏めない、私にとって相性の悪い山です。
この大日ヶ岳はかつては三国岳とも呼ばれ、美濃、飛騨、越前の三国が接する山であったらしい。
あらま、そうだったんですか(゜o゜) 三国岳は各地にありますが、読み方はいろいろ。私にはザンコクだけとしか読めませんが~(>_<)
大日ヶ岳に至る尾根が濃飛国境、大日ヶ岳から天狗山の稜線は越飛国境、大日ヶ岳から満天の湯のある桧峠への尾根が越美国境稜線となる。
濃と美は同じですから濃越飛国境JCTってことですね。ノーエッピって、なんだかアイヌ語を連想しますね(^O^)/
登山口からは早速にも広々とした自然林の尾根が続く。数名の先行者のトレースがあるが、いずれもつぼ足のようだ。
結局、ゴンロラは利用しなかったんですね? このスキー場は蛭ヶ野SAから見て大日岳左側のスキー場でしょうか?
大日ヶ岳の山頂が近づき、展望台と呼ばれる地点に到着すると白山にかかる雲が一気にとれて、その純白の山頂が別山と共に姿を現した。
先日の徳平山からよりグッと近づいた感じですね。いっそ、今度は本体にお参りされますか(^_-)
山頂からは鎌ヶ峰の峻険な山容が視界に飛び込む。それとは好対照に北西の天狗山へと続く尾根はたおやかな稜線が続いている。
鎌ヶ峰は昨年の水後山から、3年前には天狗山からの釣り尾根のピークから大日岳を眺めて、引き返しました。(゜o゜)
鎌ヶ峰との間のコルへの下降とその登り返しがこの縦走路の核心部だろう。
逆に水後山から見ると、コルまでの下りは大したことなさそうですが、鎌ヶ峰への稜線登りが、びわ爺の足を凍りつかせてしまいました。その上にまたアップダウンがあるのですね(>_<)

水後山は本来は展望が良いのであろうが、生憎、周囲の展望はガスの中である。
御嶽~乗鞍の山並や石徹白の山々が輝いてました。
水後山からの鎌ヶ峰と乗鞍岳~御岳(20年3月)
水後山からの鎌ヶ峰と乗鞍岳~御岳(20年3月)
右手には山頂からは石徹白に向かって下降する気持ちの良さそうな尾根が続いている。石徹白から大日ヶ岳を周回するのも良さそうだ。
co1430の尾根分岐ですね。爺は水後山から・1501の尾根を下り、蝉ヶ岳の北の長い長い林道で上在所へ下りました。
スキー場の係員にゲレンデの中に入らないで下さいと釘を刺されるので、ゲレンデのすぐ左手の樹林の中を歩く。
ゴンドラは乗せてくれないのかな、やはり?
温泉から上がるとビールを飲みながら石徹白から美濃白鳥への1日に2本のバスを待つ。
こういうシチュエーションは車利用だと殆ど味わえないですね(^^♪
スマホ操作はバス停に行ってからにしましょうね。悪運強いのは私だけじゃなかった…!(゜o゜)
下山後、ヤマレコにピッケルの拾得の掲示を出したところ、早々にも持ち主から連絡を頂いた。
2日がかりで持ち帰ったかいがありましたね(^_-)
上谷山のレンズフードのお返しかも!
次は爺の忘れ物を持ち帰って下さいマセ~(^_-)

        ~びわ爺
yamaneko0922
記事: 539
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
お住まい: 京都市左京区

Re: 【美濃】大日ヶ岳〜天狗山〜水後山縦走☆スノー衆前夜は猫バスに乗って

投稿記事 by yamaneko0922 »

biwa爺さん コメント有難うございます。

>大日岳か…、行けそうで行けず、踏めそうで踏めない、私にとって相性の悪い山です。

ゴンドラを使えば簡単でしょう。 :mrgreen:

>私にはザンコクだけとしか読めませんが~(>_<)

そう読む能力はbiwa爺さんならですね。

>結局、ゴンロラは利用しなかったんですね? このスキー場は蛭ヶ野SAから見て大日岳左側のスキー場でしょうか?

朝のバスに乗れなければゴンドラを使うしかないと思っていましたが、幸いにして朝一番のバスに乗れたので。
左側がダイナランド・スキー場で、山頂近くまでのゴンドラがあるのは右側の高鷲スノーランドのようです。

>先日の徳平山からよりグッと近づいた感じですね。いっそ、今度は本体にお参りされますか(^_-)

そうしたいところです。

>鎌ヶ峰は昨年の水後山から、3年前には天狗山からの釣り尾根のピークから大日岳を眺めて、引き返しました。(゜o゜)

赤樽山〜徳平山から眺めても視線を惹きつけるのはこの鎌ヶ峰なんですよね。

>鎌ヶ峰への稜線登りが、びわ爺の足を凍りつかせてしまいました。その上にまたアップダウンがあるのですね(>_<)

そりゃそうでしょう。ザンコクダケの方が標高が高いんですから :mrgreen:
鎌ヶ峰への鞍部よりca1650mを振り返って
鎌ヶ峰への鞍部よりca1650mを振り返って

>御嶽~乗鞍の山並や石徹白の山々が輝いてました。

いいですね。土曜日は眺望はほとんどなしですから。

>co1430の尾根分岐ですね。爺は水後山から・1501の尾根を下り、蝉ヶ岳の北の長い長い林道で上在所へ下りました。

いつか辿ってみたいと思いますが、BCにも良さそうだと思って眺めておりました。SHIGEKIさん、如何でしょう。
p1501
p1501

>ゴンドラは乗せてくれないのかな、やはり?

いえ、ここは15時半より前であれば乗せてくれますよ。

>スマホ操作はバス停に行ってからにしましょうね。悪運強いのは私だけじゃなかった…!(゜o゜)

御意です。
山猫 🐾
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