【鈴鹿】元越谷左俣の右俣から仙ノ谷下降
Posted: 2013年8月19日(月) 23:22
【日 付】2013年8月18日(日)
【山 域】鈴鹿 野洲川元越谷周辺
【天 候】晴れ
【コース】駐車地7:10---7:35入渓点---8:15大滝上---8:50二俣---11:05 P1028m 11:35---
12:50仙ノ谷林道出合---13:30駐車地
毎日こう暑くては、沢以外の山登りはとてもする気が起こらない。仕事のトラブルで気が休ま
らなかった盆休みの最終日、毎度おなじみの元越谷で軽く締め括ろう。早めに帰って孫の相手も
しなければならないのだ。
[attachment=6]P1150824_1.JPG[/attachment][attachment=5]P1150830_1.JPG[/attachment]
大河原橋手前のいつもの広場に駐車して林道へ向かう。この季節はデイキャンパーで賑わうこ
こも、まだ1台の車も止まっていなかった。当然元越谷も一番乗りというわけだ。
いつものところから入渓して、いつものように堰堤を3つ越え、いつものように大きな釜を左岸
からへつり、いつものように大滝の前に立つ。すべて予定調和の世界で、新鮮な発見も驚きもな
いが、これはこれでいいのだろう。
これまたいつものように右から滝に取り付いて、落ち口下へのバンドを水流に寄ると、噂のフ
ィックスロープがあった。何本かのハーケンで固定されたダブルロープはしっかりしているよう
に思える。しかし上端の固定されている部分が見えないので、自分の全体重と命を預ける気には
ならず、いつものルートに戻って滝上に上がった。
[attachment=4]P1150833_1.JPG[/attachment]
あのロープは誰が何のために設置したのだろうか。滝を越えるルートとしては左岸のルンゼか
ら小尾根に乗って、トラロープの下がる左の凹角状を上がるルートが定着している。
誰でも落ち口へ直登できるようにと設置したのであれば大きなお世話だと思う。直登したければ
自分でアンカーを取って、通過後は回収するのが当然だろう。このロープの設置者は他人がこれ
を使って登ることを想定しているに違いない。そうであれば、ロープのメンテナンスをする義務
があるのではないだろうか。
沢入門編の人気の沢に設置されたロープ。見れば誰でもここを登ってみたいと思うだろう。しか
しハーケンに直接通されたロープは、ロープそのものの経年劣化に加えて摩擦による摩耗でいつ
までも安心して頼れる保証はない。2年前にはなかったからまだしばらくは大丈夫だろうが、何年
か経って大きな事故に繋がらないとは限らない。ここで落ちればほぼ確実に死ぬだろう。
そう考えればこのロープは撤去すべきだと思う。これは私の個人的な意見だが。
[attachment=3]P1150864_1.JPG[/attachment]
大滝の上からはいつものようにパラダイスが続く。残念ながら水量が乏しく、鈴鹿の宝石箱も
その輝きをいささか減じているようだ。しかしそれでも花崗岩の白い岩肌を噛んで滑るように流
れる水は美しい。
あっという間に二俣に到着。このパラダイスの最大の欠点は短すぎることである。
これが3倍ぐらい長ければ、さぞ極楽気分を味わえることだろう。
本日のひとつの目的は、未踏の左俣の奥の右俣を探ることだ。源頭部で鎌尾根に寄り添うよう
に並行するゆるやかな谷は、地形図で見ても魅力的だ。
左俣に入るとすぐに堰堤が立ちはだかる。左から巻くと林道の殺伐とした風景が広がる。堰堤の
上が二俣となっているのだが、林道は橋を渡って中俣の方へ延びている。
但し、橋の手前側は1mばかりの段差ができて車が通ることはできない。
左俣はナメの多い谷だが、ご多分に漏れずやや荒れ気味だ。植林臭いのも谷の魅力を減じている。
それでも中盤に現われる多段15m滝は美しく、流芯を直登できるので実に楽しい。
[attachment=2]P1150875_1.JPG[/attachment]
奥の二俣でひと休みして右谷へ入った・・・つもりだった。ゆるゆると流れるはずの谷は5mほ
どの滝をふたつ連ねて妙に傾斜が強い。それでも疑いもせずに嬉々として滝を登ってからおかし
いと気付いた。実は本当の二俣を見落としてすでに奥の右俣へ入っており、その最初の右支流を
登っていたのだ。急斜面をトラバースしながら本当の奥の右俣へ戻った。やれやれである。
こちらは時折ナメが現われる程度であまり変化のない緩い谷だ。
この先の三俣に期待していた。水沢岳へ向かう右支流。1028mの支尾根に上がる左支流。そして
真ん中が予定の奥の右俣本流だ。地形図では三俣付近は等高線の間隔が広がるゆったりとした場
所に読み取れる。
果たして、三俣は実にいいところだった。扇状地のように疎林の台地が広がり、左支流はナメ
床が続いて思わず引き込まれそうになってしまう。ここでとっておきのよく冷えたフルーツ缶を
食す。こういう暑い日には汁気の多い果物がうれしい。冷えていればなおさらだ。
[attachment=1]P1150911_1.JPG[/attachment]
左支流に後ろ髪を引かれながら本流へ入った。こちらもそれなりにナメ床があり、悪くはない。
左俣全体に言えることだが、やはり水量が少ないのが致命的である。ここは梅雨時の降雨直後を
狙って入れば美しい渓相を楽しめるだろう。それでも植林の消えた奥の右俣は明るい印象で精神
衛生上もよろしい。
右から鎌尾根が近付いて、稜線はすぐそこに見える。あくまで傾斜は緩やかで、V字の溝状を行
けばやがて谷の形はササの斜面に吸収された。ここは1028mピークである。
先週登った中ノ谷を挟んで見える鎌ヶ岳はガスの中に見え隠れしている。
ここで沢装備解除して登山道を下るか、予定通り仙ノ谷を源頭から下るか。ビールを飲みなが
ら考えた。あまり食欲がなく、持ち上げた冷やし中華に手が伸びない。やっぱりそうめんにすれ
ばよかった。そうめんならいかなる時でも喉を通るのだ。
[attachment=0]P1150929_1.JPG[/attachment]
鎌尾根を少し北上して大洞の頭と呼ばれるピークに立つ。ここからは鎌尾根の荒々しい姿を眺
めることができる。ここから西に伸びる尾根を辿れば元越谷の林道に下り立つことができるのだ
が、それは選択の中にはない。立ち入らないように張られたトラロープをまたいで西尾根に入る
とすぐに元越谷左俣の左俣の穏やかな源頭部が広がる。ここも実にいい源頭部だ。
そこから支尾根をひとつやり過ごせば左側は仙ノ谷の源流域となる。
強烈な傾斜だが、立ち木を使ってズリズリと谷底に下り立った。
この沢もナメと小滝がポツポツと現われる程度であまり変化はない。ある程度下ると完全に植林
帯となってお世辞にも雰囲気がいいとは言えない沢である。それでも一応水線沿いに歩けば登山
よりは涼しいだろう。暑ければ頭から水を被ればいいのだ。
1時間ほどで林道に到達。あとはひたすら林道を歩くだけだ。
大河原まで戻ってメールを見ると、孫から「何時に帰ってくるの?」というメッセージが入って
いた。今日は新装なったかもしか荘もパスである。
山日和
【山 域】鈴鹿 野洲川元越谷周辺
【天 候】晴れ
【コース】駐車地7:10---7:35入渓点---8:15大滝上---8:50二俣---11:05 P1028m 11:35---
12:50仙ノ谷林道出合---13:30駐車地
毎日こう暑くては、沢以外の山登りはとてもする気が起こらない。仕事のトラブルで気が休ま
らなかった盆休みの最終日、毎度おなじみの元越谷で軽く締め括ろう。早めに帰って孫の相手も
しなければならないのだ。
[attachment=6]P1150824_1.JPG[/attachment][attachment=5]P1150830_1.JPG[/attachment]
大河原橋手前のいつもの広場に駐車して林道へ向かう。この季節はデイキャンパーで賑わうこ
こも、まだ1台の車も止まっていなかった。当然元越谷も一番乗りというわけだ。
いつものところから入渓して、いつものように堰堤を3つ越え、いつものように大きな釜を左岸
からへつり、いつものように大滝の前に立つ。すべて予定調和の世界で、新鮮な発見も驚きもな
いが、これはこれでいいのだろう。
これまたいつものように右から滝に取り付いて、落ち口下へのバンドを水流に寄ると、噂のフ
ィックスロープがあった。何本かのハーケンで固定されたダブルロープはしっかりしているよう
に思える。しかし上端の固定されている部分が見えないので、自分の全体重と命を預ける気には
ならず、いつものルートに戻って滝上に上がった。
[attachment=4]P1150833_1.JPG[/attachment]
あのロープは誰が何のために設置したのだろうか。滝を越えるルートとしては左岸のルンゼか
ら小尾根に乗って、トラロープの下がる左の凹角状を上がるルートが定着している。
誰でも落ち口へ直登できるようにと設置したのであれば大きなお世話だと思う。直登したければ
自分でアンカーを取って、通過後は回収するのが当然だろう。このロープの設置者は他人がこれ
を使って登ることを想定しているに違いない。そうであれば、ロープのメンテナンスをする義務
があるのではないだろうか。
沢入門編の人気の沢に設置されたロープ。見れば誰でもここを登ってみたいと思うだろう。しか
しハーケンに直接通されたロープは、ロープそのものの経年劣化に加えて摩擦による摩耗でいつ
までも安心して頼れる保証はない。2年前にはなかったからまだしばらくは大丈夫だろうが、何年
か経って大きな事故に繋がらないとは限らない。ここで落ちればほぼ確実に死ぬだろう。
そう考えればこのロープは撤去すべきだと思う。これは私の個人的な意見だが。
[attachment=3]P1150864_1.JPG[/attachment]
大滝の上からはいつものようにパラダイスが続く。残念ながら水量が乏しく、鈴鹿の宝石箱も
その輝きをいささか減じているようだ。しかしそれでも花崗岩の白い岩肌を噛んで滑るように流
れる水は美しい。
あっという間に二俣に到着。このパラダイスの最大の欠点は短すぎることである。
これが3倍ぐらい長ければ、さぞ極楽気分を味わえることだろう。
本日のひとつの目的は、未踏の左俣の奥の右俣を探ることだ。源頭部で鎌尾根に寄り添うよう
に並行するゆるやかな谷は、地形図で見ても魅力的だ。
左俣に入るとすぐに堰堤が立ちはだかる。左から巻くと林道の殺伐とした風景が広がる。堰堤の
上が二俣となっているのだが、林道は橋を渡って中俣の方へ延びている。
但し、橋の手前側は1mばかりの段差ができて車が通ることはできない。
左俣はナメの多い谷だが、ご多分に漏れずやや荒れ気味だ。植林臭いのも谷の魅力を減じている。
それでも中盤に現われる多段15m滝は美しく、流芯を直登できるので実に楽しい。
[attachment=2]P1150875_1.JPG[/attachment]
奥の二俣でひと休みして右谷へ入った・・・つもりだった。ゆるゆると流れるはずの谷は5mほ
どの滝をふたつ連ねて妙に傾斜が強い。それでも疑いもせずに嬉々として滝を登ってからおかし
いと気付いた。実は本当の二俣を見落としてすでに奥の右俣へ入っており、その最初の右支流を
登っていたのだ。急斜面をトラバースしながら本当の奥の右俣へ戻った。やれやれである。
こちらは時折ナメが現われる程度であまり変化のない緩い谷だ。
この先の三俣に期待していた。水沢岳へ向かう右支流。1028mの支尾根に上がる左支流。そして
真ん中が予定の奥の右俣本流だ。地形図では三俣付近は等高線の間隔が広がるゆったりとした場
所に読み取れる。
果たして、三俣は実にいいところだった。扇状地のように疎林の台地が広がり、左支流はナメ
床が続いて思わず引き込まれそうになってしまう。ここでとっておきのよく冷えたフルーツ缶を
食す。こういう暑い日には汁気の多い果物がうれしい。冷えていればなおさらだ。
[attachment=1]P1150911_1.JPG[/attachment]
左支流に後ろ髪を引かれながら本流へ入った。こちらもそれなりにナメ床があり、悪くはない。
左俣全体に言えることだが、やはり水量が少ないのが致命的である。ここは梅雨時の降雨直後を
狙って入れば美しい渓相を楽しめるだろう。それでも植林の消えた奥の右俣は明るい印象で精神
衛生上もよろしい。
右から鎌尾根が近付いて、稜線はすぐそこに見える。あくまで傾斜は緩やかで、V字の溝状を行
けばやがて谷の形はササの斜面に吸収された。ここは1028mピークである。
先週登った中ノ谷を挟んで見える鎌ヶ岳はガスの中に見え隠れしている。
ここで沢装備解除して登山道を下るか、予定通り仙ノ谷を源頭から下るか。ビールを飲みなが
ら考えた。あまり食欲がなく、持ち上げた冷やし中華に手が伸びない。やっぱりそうめんにすれ
ばよかった。そうめんならいかなる時でも喉を通るのだ。
[attachment=0]P1150929_1.JPG[/attachment]
鎌尾根を少し北上して大洞の頭と呼ばれるピークに立つ。ここからは鎌尾根の荒々しい姿を眺
めることができる。ここから西に伸びる尾根を辿れば元越谷の林道に下り立つことができるのだ
が、それは選択の中にはない。立ち入らないように張られたトラロープをまたいで西尾根に入る
とすぐに元越谷左俣の左俣の穏やかな源頭部が広がる。ここも実にいい源頭部だ。
そこから支尾根をひとつやり過ごせば左側は仙ノ谷の源流域となる。
強烈な傾斜だが、立ち木を使ってズリズリと谷底に下り立った。
この沢もナメと小滝がポツポツと現われる程度であまり変化はない。ある程度下ると完全に植林
帯となってお世辞にも雰囲気がいいとは言えない沢である。それでも一応水線沿いに歩けば登山
よりは涼しいだろう。暑ければ頭から水を被ればいいのだ。
1時間ほどで林道に到達。あとはひたすら林道を歩くだけだ。
大河原まで戻ってメールを見ると、孫から「何時に帰ってくるの?」というメッセージが入って
いた。今日は新装なったかもしか荘もパスである。
山日和