【鈴鹿】紺屋谷で楽しく沢の締めくくり

山行記、山の思い出、限定
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
返信する
兔夢
記事: 625
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

【鈴鹿】紺屋谷で楽しく沢の締めくくり

投稿記事 by 兔夢 »

2012年12月2日(日) 晴れのち曇り 鈴鹿 紺屋谷から宮指路岳 
そばつる 兔夢

8:00 小岐須山の家 → 8:40 屏風岩 → 9:30 大石橋 → 10:35 紺屋谷出合 → 11:45 カワラコバ → 12:45~13:05 宮指路岳三角点 → 13:30~14:45 東海展望 → 15:50 大石橋 → 16:20 小岐須山の家 
 
 そばつるが日曜日に休めるというのでそれではと一緒に出掛けた。
 長らく弟子扱いに甘んじていたそばつるだったがここのところは一緒に沢に行っても安心感がある。今では「相棒」と言って差し支えない。これからもどんどん力をつけてもらって将来は彼に手を引いてもらって楽して沢登りをしようと目論んでいるのだがはてさて。
 そんなそばつるとの沢行だから普通に紺屋谷を遡行するだけではつまらないだろうといろいろとオプションを加えてみた。
 まずは小岐須渓谷山の家から大石橋までのゴルジュ。昨年同時期にたろーさん達が遡行していてなかなか面白うそうだったので真似してみた。
 山の家から下りて入渓。いきなり深い瀞。最初のところは右岸から巻いてなんとかなったもののその先の瀞はちょっときつい。たろーさんのブログでは「際どくへつって」なんて書いてあり「絶対落ちる事はゆるされない」なんて事も書いてある。そりゃそうだ。落ちた時のことを考えるとちょっと手が出ない。ここは潔く諦めて後戻り。屏風岩から再び入渓した。
PC020016.JPG
PC020016.JPG (53.49 KiB) 閲覧された回数 951 回
 屏風岩は左右にほぼ垂直の壁が屹立している。これを見ているだけでも飽きがこない。すぐ先が二俣になっていて右俣には同じような壁が立っている。そちらに進んで不図足下の岩を見ると何やら文字のようなものが刻まれていた。
 「○高二年 ○田○○ヤ」と読み取れるそれは随分古いようでかなり風化が進んでいた。よく見ればあちこちの岩に文字らしきものが幾つも刻まれている。石灰質だから刻みやすかったのだろう。それらを見ていると様々な空想が浮かんでくる。そこにはいろんな物語が隠されているに違いない。
 先に進んでいくと吃驚するような巨岩が頭上4~5mの空間に突き出ていた。突き出した長さは6~7mといったところか。どうしてこんな状態で残りえたのだろう。神秘的な岩だ。
 壁の一帯を抜けると4m程の滝が一つ現れた。左から簡単に巻けるがそばつるがあえてアタック。しょうがないので後を追った。
 堰堤が現れ左から巻こうとしたが無理で戻ってよく観察すると右にルートがあった。堰堤の上はキャンプサイトになっていてその奥に進むと大石橋下の滝に出た。右壁を登れそうだったが取り付くのに濡れそうだったのでやめて車道に出た。
 大石橋の袂には車が一台停まっていて出発の準備をしていた。ヘルメットが見えたので「沢ですか?」と声を掛けると女性が「そうです」とこたえた。単独でヤケギ谷へ行かれるのだそうだ。気をつけて。
 大石橋からは堰堤が幾つかあるので林道を歩いていくのが普通だと思うがここはあえて沢通しで行く事にした。二つ目のオプションといったところか。
 橋の右岸側から入渓してわずかで一つ目の堰堤。左から巻いた先に大きな淵を持つ滝。ここは左岸の山腹から巻いていく。
 沢に下りたところでまた堰堤。左岸のルンゼを登りトラバース。その後も二つの堰堤を巻いたがそこそこ楽しい。最後の堰堤を登山道から巻きあがると落ち着いた沢になる。
 大きくきれいな淵を持った小滝に続き美しい滑。ゴーロが続いた後にコケ滝が現れる。
 コケ滝はそばつると大岩谷を遡行した時、肩を故障していて登らなかった。だから今回ここだけはどうしても登っておきたい。雪辱を果たすつもりで取り付いてみると前回どうして諦めたのかわからいほどあっさりと登ってしまった。
PC020075.JPG
PC020075.JPG (56.94 KiB) 閲覧された回数 951 回
 コケ滝からわずかで紺屋谷の出合。やっとこさ本日のメイン。この前置きの長さはまるで誰かの山行レポートを彷彿とさせる。
 出合からしばらくは落ち着いたゴーロの沢筋が続く。所々に植林がありそういったところは流れから離れて陸地を歩く。
 出合から10分程で8m滝が現れた。事前に見た写真の印象より大きく感じる。左右も思ったより立っていた。ここは定石通り左岸の踏跡を辿って落ち口に出た。
PC020080.JPG
PC020080.JPG (66.94 KiB) 閲覧された回数 951 回
 再びゴーロが続く。左岸に比較的しっかりした炭焼釜跡があったのが印象的だった。
 ゴーロの先は極端に谷が狭くなり左右が立ったゴルジュとなる。その少し奥に深い淵を持ったチョックストーン。こちらは写真で受けた印象より小さく感じるが事前情報通り登れない。
 ゴルジュ手前の左岸ルンゼをトラバース地点を探りながら登っていく。途中、冷や冷やするトラバースを経ながら落ち口上に出て樹木をつたって下りた。
 落ち口のカンテ越しに下を覗くと左右の屹立した細いゴルジュが下降に向かって続いていた。見るからに険悪そうだ。
 落ち口上の広い滑滝を楽しく直登すると登山道が沢に平行して通るようになる。しかしそのまま沢筋を歩いていく。ミニミニゴルジュや滑があって楽しい。
「登山者が見たらなんで水の中を歩いてるんだろうって思われるな」
「人が好い登山者だったら『登山道はこちらですよ』って教えてくれるかもね」
などと話しながら歩いていると4mほどの滝が現れた。これは直登でしょうとそばつるが手前の淵に足を浸してへつって取り付く。濡れるのが嫌な僕はちょっと上からへつって取り付いた。
 滝を越えるとカワラコバ。普通は沢を遡行するにしてもこのまま小岐須峠を目指していくのだろうが今回はピークへの直登を目指してみようとカワラコバから二つ目の沢に入った。本日、三つ目のオプション。
 出合からしばらくはゴーロの細い流れ。順調に登っていると妙に足下が滑る。なんだろうと思っていたら後ろから「岩が凍ってる!」というそばつるの声。なるほど、足下が滑るのはその所為だったか。見れば周りは薄らと雪化粧。流れの中には小さなつららまであった。もう季節は冬だ。
 足下に気をつけながら登った先は行く手を塞ぐように山腹が立ちその中に思いも掛けぬ大きな滑滝が落ちてきていた。これには隣のそばつるも目を見張った。
 水量はわずかで普通なら楽しく登れそうだが何せ凍った岩を見た後だ。二の足を踏んでいるとこういう場面で何時もならやめようと言うそばつるが「登れるよ」とさっさと行ってしまった。後を追うようについていくと滝は凍っておらず快適に登れた。
 滑滝の上には5m程の細い滝。直登は無理で右側を落ち葉を踏みしめながら越えた。その上は小滝の奥に4m程のチョックストーン。更にその奥にも滝があるようだ。いわゆる連瀑帯。地形図を見て何かありそうだとは思っていたのだが。
PC020126.JPG
PC020126.JPG (58.52 KiB) 閲覧された回数 951 回
 チョックストーンは右にバンドがありその上はホールドもそこそこにあるが一部凍っている。それにこれを越えたところで先に進める保証がない。しばらく先の様子を探ってみる。どうやら上は右岸の山腹に逃げられるようだ。
 先に登ったそばつると同じように右のバンドをつたい凍ってないホールドを選びながら登っていく。最後はホールドが乏しいところで両腕で身体をリフトさせながらスタンスを探る。危ういフォームのまま「やばい!やばい!」と言いながらなんとか這い上がった。
 2、3の小滝の向こうに6~7m程の垂瀑がかかっているのが見える。その周りも壁になっているようで越えられそうな雰囲気がない。ここは潔く右岸山腹を登って沢から脱出する事にした。
 樹木は豊富だが意外な急登が続いた。地面から出ている根っこが豊富なので普段なら問題ないところだが薄らと雪化粧した斜面はほぼ凍っており根っこも思うようには掴めない。草付きならぬ氷付き(凍り付き)斜面だ
 斜度が緩くなると崩壊地の上に出た。その横の雪の被った斜面をトラバースして尾根上に出る。沢靴が意外と雪にかんでくれて歩きやすかった。ただフェルトが凍ったら危ないだろう。
 尾根上は穏やかで巾もありのんびりとした雪上散歩といった雰囲気になった。ただ足下が数歩毎に高下駄状態となるのには閉口した。
 しばらくすると目印が現れる。こんな日の目印はありがたい。それを追っいくと馬乗り岩の広場に出た。
PC020135.JPG
PC020135.JPG (34.02 KiB) 閲覧された回数 951 回
 風があり寒い。雲が出て陽射しも陰ってきているのであまり長居したくない。登山者達の声がする宮指路三角点に移動して靴を履き替え東海展望に向かった。
 東海展望の岩陰に身を寄せると風がよけられこころもち温かい。ここで今日の山行を振り返りながら休憩。眼前には野登山、仙ケ岳、そして南部の山並みが広がる。それらが描き出すグラデーションがなんとも心地いい。沢納めにはいい締めくくりとなった。
シュークリーム
記事: 2070
登録日時: 2012年2月26日(日) 17:35
お住まい: 三重県津市

Re: 【鈴鹿】紺屋谷で楽しく沢の締めくくり

投稿記事 by シュークリーム »

兔夢さん、おはようございます。鈴鹿の沢へようこそ。

2012年12月2日(日) 晴れのち曇り 鈴鹿 紺屋谷から宮指路岳 

12月に沢ですか。頑張りますね。
と言いながら、私も前日の12月1日に松ノ木谷に入ろうと思って大石橋まで来ましたけど :D
雨が降っていたのでそのまま温泉に直行しました。


 山の家から下りて入渓。いきなり深い瀞。最初のところは右岸から巻いてなんとかなったもののその先の瀞はちょっときつい。たろーさんのブログでは「際どくへつって」なんて書いてあり「絶対落ちる事はゆるされない」なんて事も書いてある。そりゃそうだ。落ちた時のことを考えるとちょっと手が出ない。ここは潔く諦めて後戻り。屏風岩から再び入渓した。

そりゃ、今の時期全身ずぶぬれはご勘弁願いたいですね。

 大石橋の袂には車が一台停まっていて出発の準備をしていた。ヘルメットが見えたので「沢ですか?」と声を掛けると女性が「そうです」とこたえた。単独でヤケギ谷へ行かれるのだそうだ。気をつけて。 

え~、この時期単独で沢に入る女性がいるんですね。誰だったんだろう。

 出合から10分程で8m滝が現れた。事前に見た写真の印象より大きく感じる。左右も思ったより立っていた。ここは定石通り左岸の踏跡を辿って落ち口に出た。
私が通った時よりは水量が多そうですね。前日の雨のせいかな。

 ゴーロの先は極端に谷が狭くなり左右が立ったゴルジュとなる。その少し奥に深い淵を持ったチョックストーン。こちらは写真で受けた印象より小さく感じるが事前情報通り登れない。

兔夢さんでも登れませんか。

 ゴルジュ手前の左岸ルンゼをトラバース地点を探りながら登っていく。途中、冷や冷やするトラバースを経ながら落ち口上に出て樹木をつたって下りた。

ここのトラバースはぞくっときます。

 出合からしばらくはゴーロの細い流れ。順調に登っていると妙に足下が滑る。なんだろうと思っていたら後ろから「岩が凍ってる!」というそばつるの声。なるほど、足下が滑るのはその所為だったか。見れば周りは薄らと雪化粧。流れの中には小さなつららまであった。もう季節は冬だ。

よく凍った沢を歩きますな~。もっとも歩き始めると冷たさとかあまり感じなくなるけど。

 東海展望の岩陰に身を寄せると風がよけられこころもち温かい。ここで今日の山行を振り返りながら休憩。眼前には野登山、仙ケ岳、そして南部の山並みが広がる。それらが描き出すグラデーションがなんとも心地いい。沢納めにはいい締めくくりとなった。

お疲れさんでした。また来年楽しい沢レポを楽しみにしています。
                         @シュークリーム@
兔夢
記事: 625
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

Re: 【鈴鹿】紺屋谷で楽しく沢の締めくくり

投稿記事 by 兔夢 »

シュークリームさん、こんばんは。

兔夢さん、おはようございます。鈴鹿の沢へようこそ。

小岐須渓谷周辺だけでもう5回目の沢行となりました。
行く度に興味が深まるところですね。

12月に沢ですか。頑張りますね。
と言いながら、私も前日の12月1日に松ノ木谷に入ろうと思って大石橋まで来ましたけど
雨が降っていたのでそのまま温泉に直行しました。


昨年同時期に雨の降る中ヤケギ谷を遡行していい感じだったので今回も行けるだろうと向かいました。
松ノ木谷は下った事はありますが登った事がないので行ってみたいところです。

[attachment=1]PC030013.JPG[/attachment]

そりゃ、今の時期全身ずぶぬれはご勘弁願いたいですね。

今に限らず濡れるのは勘弁してほしい方なのですが(じゃあなんで沢やってるんだって言われそうですが)ここは一度は突破してみたいのでせめて温かい頃に挑戦してみようかと思ってます。

え~、この時期単独で沢に入る女性がいるんですね。誰だったんだろう。

見目麗しき名古屋の女性でしたよ。
登山靴で登ろうとしてたみたいなので心配してましたが下山したとき車がなかったので無事だったのでしょう。

私が通った時よりは水量が多そうですね。前日の雨のせいかな。

そうなんですか。コケ滝は前に訪れたときより水量が少ない感じでしたが。

兔夢さんでも登れませんか。

ここを突破するには登攀道具フル活用でしょう。ちなみに僕はそこまでして突破しません。

ここのトラバースはぞくっときます。

そばつるにも言っていたんですが奥美濃ならこの高巻きは許せるけど鈴鹿ではどうなんだろうって思ってました。
でもまあそうしなきゃあ越えられないからしょうがないですね。

よく凍った沢を歩きますな~。もっとも歩き始めると冷たさとかあまり感じなくなるけど。

凍った沢を歩くのは初体験でした。奥美濃の沢の本に「百山百渓」というのがあるんですがその中では冬に遡行している記録が多くあって、今回それに似た体験ができたのかなあとちょっと嬉しくもありました。

[attachment=0]PC020122.JPG[/attachment]

お疲れさんでした。また来年楽しい沢レポを楽しみにしています。

こちらこそ、積極的な沢行の記録を楽しみにしています。

兔夢


添付ファイル
PC020122.JPG
PC020122.JPG (65.13 KiB) 閲覧された回数 901 回
PC030013.JPG
PC030013.JPG (65.01 KiB) 閲覧された回数 901 回
返信する