- 最初のナメ滝
ブログ「小幸の滝めぐり」を覗いていると美しいナメ滝が目に入った。前回行った曽爾村の済淨坊渓谷のすぐ近くのようだ。至近距離で美しいナメ滝二つがあるとするとスルーするわけにもいかない。この二つの滝だけでは時間が余ってしまいそうなので,以前から気になっていた赤目四十八滝のある滝川の右俣も探索してこよう。
【 日 付 】2022年6月8日(水)
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】林道川下り線駐車地 7:41 --- 8:13 布引滝 8:35 --- 9:03 曽爾大滝 --- 9:57 遡行終了 --- 10:41 林道川下り線駐車地 --- 出会(駐車地)11:00 --- 11:37 滝川右俣出合 --- 12:17 遡行終了 --- 13:30 駐車地
曽爾村今井から県道784号線を上がっていくと目の前に奇峰兜岳が覆いかぶさるように見えてくる。県道は兜岳を巻くように湾曲し,右手に兜岳への登山口を過ぎるとすぐに林道川下り線の分岐である。車を林道分岐のふくらみに駐車し,林道を歩き始める。この林道は香落渓の落合から登ってきている青蓮寺川の支谷沿いに作られており,林道分岐はこの谷の源頭部にあたる。
すぐ隣に谷のせせらぎを見ながら林道を緩やかに下っていくと前方に巨大な岩盤がみえてきた。それもそのはず,ここは兜岳の真裏の斜面に当たるのだ。おそらく兜岳は巨大な一つの岩盤でできており,その上に薄皮をかぶるように土が薄く乗っている構造になっているのだろう。何か出てきそうだと思って下を覗くと河原が舗装道路のような綺麗なナメになっている。
- 布引滝を横から見る
ナメを下るとすぐに3mほどのナメ滝が現れ,そのナメ滝のすぐ下流を林道の橋が横切っている。橋のすぐ下もナメになっており,その下流に大きな滝があるようだ。林道のヘアピンカーブを下っていくと,下り終えたあたりが滝の下だった。布引滝30mである。ナメ滝で,流れ落ちる水が美しい流紋を描いている。美しい滝である。惜しむらくは滝下の釜の部分に落石が充満して,釜が消え失せていることでろう。
- 布引滝
滝下でしばらく滝を愛でてから,とりあえず登ってみることにする。左右両方とも登れそうであるが,右側を選択して登り始めるとすぐに踏み跡が出てきた。この踏み跡を辿って難なく落ち口に出た。その上流はさっき見た通りの舗装道路のようなナメ。さっきの林道の橋のところまで遡行して,再び林道を下る。
布引滝の下流にはナメはなく,残念ながら通常のゴーロの谷だった。固い岩盤によって構成されるナメはその上に落石などが積み重なると消える。雨が降り,その水流によって落石が除去されると再生するが,この谷のように小さい谷だと落石はそのまま残り,ナメは消えてしまうことになる。ナメの維持はナメ滝よりも更に難しいことになるのだろう。
林道を更に下り,曽爾大滝を目指す。右から合流してくる谷の上流にあるはずなのだ。谷の出会いを目印にして歩いていくが,いつか通りすぎてしまったようだ。地図で確認すると合流してくる谷の谷地形がはっきりしていない。林道を少し戻り,沈下橋を渡って左俣支谷に入る。地形図では谷沿いに破線道が伸びているはずだが,道ははっきりしない。間伐木を乗り越えながら進んでいくと向こうにナメ滝が見えた。曽爾大滝の下段だった。これも美しいナメ滝である。上段は傾斜を増したナメ滝。下段10m,上段20mで合計30mという。
- 曽爾大滝上段
- 曽爾大滝下段
上段の下で滝を愛でたのち,落ち口の向こうが明るくなっていて雰囲気が良さそうなので,右側から巻き登ってみる。上にはさらに10mほどのナメ滝があった。
- 琵琶滝
その上流にナメがあるかと期待したが,残念ながら植林の中の平凡なゴーロの谷だった。しばらく遡行した後,諦めて戻ることにした。谷の横には地形図に示されていた破線道と思われる杣道があった。地形図ではこの破線道は鎧岳と兜岳の鞍部を通っているが,ほとんど消えかかっているので戻ることにした。杣道を辿ると,道は谷を大きく迂回していたが,もとの沈下橋に続いていた。林道を駐車地に戻る。
県道784号線を北に走り,出会の赤目四十八滝入り口で駐車。四十八滝のある滝川沿いに下降していく。このあたりナメが多くいい雰囲気だ。四十八滝の最上流部の滝である岩窟滝までくると平日なのに観光客がちらほら歩いている。さすがに赤目四十八滝である。琵琶滝を過ぎ,荷担滝の手前で右俣の支流に入る。地図上ではこの支流も長く水線が引かれていて,両側が急斜面になっているので,大滝こそないかもしれないが何かがありそうな気がしてずっと気になっていたのだ。
- 曽爾大滝上流の10m滝
入ってみるとナメ床がところどころ出てきていい雰囲気である。気持ちよく歩いていくが,確かに滝は全く出てこない。そのうち谷はだんだんゴーロになり,両側が植林になる。入り口から1キロほど歩いたところで遡行を終了することにする。もうこれ以上歩いてもなにも出てこないだろう。
- 滝川右俣支流
そのまま谷を下降し,駐車地に戻る。帰りは榊原温泉の湯本榊原館でゆっくりして帰宅した。室生の谷探訪はまだまだ続く。毎日が日曜日なんである。