【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

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展開ビュー トピックのレビュー: 【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

Re: 【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

by 山日和 » 2022年5月25日(水) 22:46

satoさん、どうもです。

ベルグスキー場下の左俣。どのようになっているのだろうと、ちょっとざわざわした気持ちで谷を下り始めましたが、唖然とする光景が続いていきました。ここは、スキー場に適した地形ではないと思います。随分強引なコースを作ったのだなぁ、と思いました。

まあ、ある程度は想像してましたが、実際に目の前に現れるとギョッとしますね。

そして、閉鎖したら放ったらかし。
あの残骸は、これから先もずっとあのままなのでしょうか。
随所で見られた斜面の崩れは、どんどん大きくなるのでしょうね。


誰かが後片付けをするとは考えられないでしょう。業者もそうですが、許可を出した県や市もいい加減なものです。


P5150041_1.JPG

バブル期の象徴ともいわれたスキーブーム。雪の積もる各地の山がスキー場として削られていったのですね。
ブームが去り、閉鎖したスキー場はどれだけあるのだろう。今、どんな状態なのだろう。考えさせられる光景でした。

西濃界隈だけでも揖斐高原、国見岳、長者平、坂内と全滅してしまいましたね。

間違えて入ってしまった支流にも(すみません。きちんと谷の数を数えていませんでした)、
整地したような箇所や炭焼き窯跡がありました。
(この風景も右俣と似ていましたのでしばらく間違いに気づきませんでした)


あっ、ここだ~と喜んでましたね。 :mrgreen:

正しい右俣に入ると、たくさんのお花のお出迎え。気持ちがぱぁっと明るくなりました。
晩秋のしっとりとした風景も趣きがありましたが、新緑の季節も素敵でしたね。
こんなにたくさんのお花に出会えるとは思っていませんでした。


花のおかげで2度目の平流も退屈しませんでした。 :D


P5150062_1.JPG

進むべく左の谷は記憶に残っていました。昨秋、こっちもよさそうと眺めました。
思った通りの穏やかな流れの気持ちのいい谷。でも行き過ぎてはいけない。
すぐに右の谷に入らなければ。注意して右側を見ていましたが谷は現れませんでした。
GPSで確認すると進み過ぎていました。どういうこと?でしたね。


あれあれって感じでしたね。頭の中を???が駆け巡りました。

戻って、昨秋遡った右の谷に入るとすぐに「あった!」という山日和さんの声。
記憶にない谷が左側に。やっぱり右の谷が繋がっていたのですね。

この時はまだ半信半疑。


P5150097_1.JPG

両方に小滝をかけた二俣は、ちょっと不思議な空気が漂う素敵な場所でした。やはり地図からは想像出来なかった風景でした。
右に入ると地形図では斜面ですが、実際は小滝が続く爽やかな谷でしたね。
ところどころ倒木が流れの邪魔をしていましたが。


この谷の方向を見てやっと確信できました。 :lol:

左岸の壁が見えた時、ここだと分かりました。昨秋、この壁の上から谷を見おろしたのだと。

その上の明るい森とブナの大木が記憶を呼び覚ましましたね。

P5150111_1.JPG

右岸の巻きは、掴まる木がなくて緊張しました。小尾根に乗り、ほっとしました。
このまま進むのかなと思ったら、山日和さん、ズルズルの斜面を下り始め、どうしようかな、と迷いました。
でも、私も谷に立ちたい。なんとか踏ん張れそう、と後を追いました。
谷に降り立った時、あぁ、繋がったぁ、とよろこびが込み上がりました。


このまま稜線まで上がってしまってもいいかなと一瞬思ってたんだけど、谷へ下るラインが薄っすらと見えたので、
やっぱり谷へ戻りたくなりました。結構シビアなトラバースでしたね。
ロープを出せばよかったかな。

P5150116_1.JPG

詰めは雪渓。ちっちゃくても薄汚れていても雪の上を歩くのは楽しいですね。
少し遅くなってしまいましたが、お気に入りの場所で、謎が解けたうれしさに包まれながらのお昼ご飯は格別でした。
でも、雪融けの水は冷たかったのですね。冷えてしまったのか、左足首に痛みが走り、しばらく治まりませんでした。


突然、自分の身長が低くなったのには驚きましたが。 :mrgreen:
春夏秋冬、いろんなシーズンに訪れている場所だけど、いいところはいつ、何度行ってもいいものです。


P5150147_1.JPG
P5150160_1.JPG

うつくしいブナ林が続く下谷山から音波山のたおやかな稜線は、いつ訪れても素敵だなぁ、としみじみした思いに包まれます。
この日もしみじみ。でも、この風景は失われてしまうのですね。かなしくなりました。


あの白いピニールひもとピンクのテープに憎しみすら覚えてしまいます。 :evil:

音波山先で出会ったバンビちゃん。逃げもせず山日和さんをじっと見つめていましたね。
あんな目で見つめられたら、撫でてしまいますよね。
山日和さんに撫でられているバンビちゃん、気持ちよさそうな顔をしていて、人間を信じたら危ないよ、と心配になるほど。
猟師さんに捕まらず、生をまっとうしてほしいと思いました。


あれはビックリでしたね。satoさんは、最初「なに?!クマ?」とビビってましたね。 :lol:


P5150173.jpg1_1.jpg

鉄塔からは、朝と同じやるせない気分に。強引に山を削り伸びていく林道。
開発とは何なのだろう。わたしたちは何を目指しているのだろう。よりよい世の中とは。よりよい地球とは。


庄部谷山でももう山頂西のピークまで林道ができてしまったようです。
あの素晴らしいブナ林を刈り倒して。 :oops:

謎解きの旅とっても面白かったです。今、地形図を見ても谷の繋がりはよく分かりません。
軌跡を見て、そうかぁ、と。等高線上に谷が流れているとは想像できませんよね。


まったく、等高線と平行に流れる谷なんて、想像できるわけがないですね。

うつくしい風景、うれしい出会い、発見に酔いながら、
わたしたち人間によって傷つけられた風景、損なわれた風景、
そして、失われつつある風景に胸を痛めながらの山旅でもありました。
いろいろな意味で、印象に残る沢山旅でした。

いいことばかりならいいんだけど、見たくない現実も見なくちゃいけない。
人生と同じですね。

                山日和

Re: 【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

by sato » 2022年5月22日(日) 18:02

山日和さま

こんにちは。あっという間に日曜日。お山の感想、遅くなってしまいすみません。
今シーズン初沢旅は大音波谷。水や風、風景が運んでくる、いろいろな音を感じた一日でした。

ベルグスキー場下の左俣。どのようになっているのだろうと、ちょっとざわざわした気持ちで谷を下り始めましたが、
唖然とする光景が続いていきました。ここは、スキー場に適した地形ではないと思います。
随分強引なコースを作ったのだなぁ、と思いました。
そして、閉鎖したら放ったらかし。
あの残骸は、これから先もずっとあのままなのでしょうか。
随所で見られた斜面の崩れは、どんどん大きくなるのでしょうね。
やるせない気分になりましたが、こういう現状を知ってよかったです。
バブル期の象徴ともいわれたスキーブーム。雪の積もる各地の山がスキー場として削られていったのですね。
ブームが去り、閉鎖したスキー場はどれだけあるのだろう。今、どんな状態なのだろう。考えさせられる光景でした。

スキー場が出来る前のこの谷は、半明のひとびとにとって大切な谷だったのだなと感じます。
間違えて入ってしまった支流にも(すみません。きちんと谷の数を数えていませんでした)、
整地したような箇所や炭焼き窯跡がありました。
(この風景も右俣と似ていましたのでしばらく間違いに気づきませんでした)

正しい右俣に入ると、たくさんのお花のお出迎え。気持ちがぱぁっと明るくなりました。
晩秋のしっとりとした風景も趣きがありましたが、新緑の季節も素敵でしたね。
こんなにたくさんのお花に出会えるとは思っていませんでした。
進むべく左の谷は記憶に残っていました。昨秋、こっちもよさそうと眺めました。
思った通りの穏やかな流れの気持ちのいい谷。でも行き過ぎてはいけない。
すぐに右の谷に入らなければ。注意して右側を見ていましたが谷は現れませんでした。
GPSで確認すると進み過ぎていました。どういうこと?でしたね。

戻って、昨秋遡った右の谷に入るとすぐに「あった!」という山日和さんの声。
記憶にない谷が左側に。やっぱり右の谷が繋がっていたのですね。
これで、あのうつくしい谷の初夏の風景に出会えると高揚感に包まれました。
こちらも気持ちのいい谷。ユキツバキのお花もところどころ残っていて、残雪も出てきてうれしさ倍増でした。
両方に小滝をかけた二俣は、ちょっと不思議な空気が漂う素敵な場所でした。やはり地図からは想像出来なかった風景でした。

右に入ると地形図では斜面ですが、実際は小滝が続く爽やかな谷でしたね。
ところどころ倒木が流れの邪魔をしていましたが。

左岸の壁が見えた時、ここだと分かりました。昨秋、この壁の上から谷を見おろしたのだと。
右岸の巻きは、掴まる木がなくて緊張しました。小尾根に乗り、ほっとしました。
このまま進むのかなと思ったら、山日和さん、ズルズルの斜面を下り始め、どうしようかな、と迷いました。
でも、私も谷に立ちたい。なんとか踏ん張れそう、と後を追いました。
谷に降り立った時、あぁ、繋がったぁ、とよろこびが込み上がりました。

詰めは雪渓。ちっちゃくても薄汚れていても雪の上を歩くのは楽しいですね。
少し遅くなってしまいましたが、お気に入りの場所で、謎が解けたうれしさに包まれながらのお昼ご飯は格別でした。
でも、雪融けの水は冷たかったのですね。冷えてしまったのか、左足首に痛みが走り、しばらく治まりませんでした。

うつくしいブナ林が続く下谷山から音波山のたおやかな稜線は、いつ訪れても素敵だなぁ、としみじみした思いに包まれます。
この日もしみじみ。でも、この風景は失われてしまうのですね。かなしくなりました。

音波山先で出会ったバンビちゃん。逃げもせず山日和さんをじっと見つめていましたね。
あんな目で見つめられたら、撫でてしまいますよね。
山日和さんに撫でられているバンビちゃん、気持ちよさそうな顔をしていて、人間を信じたら危ないよ、と心配になるほど。
猟師さんに捕まらず、生をまっとうしてほしいと思いました。

鉄塔からは、朝と同じやるせない気分に。強引に山を削り伸びていく林道。
開発とは何なのだろう。わたしたちは何を目指しているのだろう。よりよい世の中とは。よりよい地球とは。
どこかから、わたしたちをじっと見つめているバンビちゃんの無垢な眼差しを感じました。

昨年の沢納め、そして今シーズンの沢初めで、好きなお山のいろいろな表情に出会うことが出来ました。
謎解きの旅とっても面白かったです。今、地形図を見ても谷の繋がりはよく分かりません。
軌跡を見て、そうかぁ、と。等高線上に谷が流れているとは想像できませんよね。
うつくしい風景、うれしい出会い、発見に酔いながら、
わたしたち人間によって傷つけられた風景、損なわれた風景、
そして、失われつつある風景に胸を痛めながらの山旅でもありました。
いろいろな意味で、印象に残る沢山旅でした。
ありがとうございます。

sato

Re: 【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

by 山日和 » 2022年5月21日(土) 17:26

biwa爺さん、どうもです。

大音波谷左俣にスキー場から進入するって、なかなか発想できませんねぇ(^^♪
でも地形図を見ると100mほど下るだけで平流になりそうですね。


そうっすかあ? 前回下流から遡行したので、今回は趣向を変えてってだけですが。 :mrgreen:

>二俣に出た。さあここからは慎重にルートを探らねばと右俣をしばらく遡上したところでGPSを確認すると間違いに気が付いた。

3,4本の谷が北側から落ちてきてます。地形を頭に入れておかないと間違えそうです。


谷の入る角度がそっくりだったもんで・・・でも良く考えたら、右俣がこんなに狭い谷のはずなかったなと(^^;)

>前方に異様な構造物が現れた。リフトの始点の鉄柱だ。右側の斜面は大きく削られて、稜線に向かってケーブルの外されたリフトが続いている。

3月に北の尾根を下ってきた地点ですね。雪で埋まっていたので、それほど荒廃感はなかったのですが、いまは完全露出のスッポンポンですね(>_<)


廃墟マニアなら大喜びしそうな風景です。


P5150043_1.JPG

ここからがミッション本番ですね。リフト始点あたりでも結構の水量でしたから、二俣までは流れに棹さしてハイピッチ?

河原を歩けるところが多かったので、結構速く歩けました。
水量はチョロチョロでしたよ。3月の方が雪融け水で多かったでしょう。

添付地図の軌跡でなんとかわかりました。等高線のわずかなユガミは現地に行かないと分かりませんね。でも、それを見つけて進路を開くことこそ、ゲームの醍醐味でしょう。(^^♪

こりゃ初回に間違えたはずだわと思いました。等高線に沿って支谷が流れてるなんて。 :lol:


P5150072_1.JPG

>最悪はこのまま稜線まで上がるつもりで進むと、わずかに傾斜が緩んだラインが見えた。これをトラバースすれば谷に復帰できそうだ。と言ってもホールドも乏しい急斜面であることに変わりはない。
一歩一歩慎重にステップを刻みながら前進する。ようやく谷芯が近付いてきた。なんとか復帰できたようである。

この辺りになると、もう私の手には負えません。(-_-)zzz
co750~850間が厳しそうだなあ。

谷の遡行自体よりも厳しいです。なんせホールドになる木が無いと恐いですね。


P5150116_1.JPG

>不用意に足を置くとドスッという音と共に落ちてしまう。とは言え、50センチほどの落ち込みなので、ビックリする以外の実害はないのだ。

踏み抜きも楽しんでますね。謎解き完了目前の余裕でしょうか(^_-)


雪の厚みが見えてるんで、踏み抜いてもここまでと分かってるが故の余裕です。 :mrgreen:

P5150175.jpg2_1.jpg

>音波山の先で思わぬ出会いに遭遇した。目の前に何かいるなと思ったら、生まれて間もないと思われるバンビと目が合った。

ミッション完遂のボーナスですね♪
今朝生まれたばかりかも? 親はどこに行ったんでしょう。それとも両親に間違えられたのかも(^_-)

これにはビックリでした。こんなラッキーにはなかなか巡り合えません。 :D

ダイラにバンビは現れないでしょうか? 楽しみなオフ会になりそうです。

バンビちゃんみたいな山ガは来ないかな? :lol:

                        山日和

Re: 【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

by biwaco » 2022年5月20日(金) 15:53

こんにちは(^^♪
謎解き沢旅、お疲れさまでした。聞いたことあるような地名、山名に惹かれて、拝読しました。
北国街道沿いの余呉高原スキー場第2駐車場からスタートして、ベルク余呉スキー場跡の北側から大音波谷左俣の源頭へ下りるコースを選択した。
大音波谷左俣にスキー場から進入するって、なかなか発想できませんねぇ(^^♪
でも地形図を見ると100mほど下るだけで平流になりそうですね。
 二俣に出た。さあここからは慎重にルートを探らねばと右俣をしばらく遡上したところでGPSを確認すると間違いに気が付いた。
3,4本の谷が北側から落ちてきてます。地形を頭に入れておかないと間違えそうです。
 前方に異様な構造物が現れた。リフトの始点の鉄柱だ。右側の斜面は大きく削られて、稜線に向かってケーブルの外されたリフトが続いている。
3月に北の尾根を下ってきた地点ですね。雪で埋まっていたので、それほど荒廃感はなかったのですが、いまは完全露出のスッポンポンですね(>_<)
本当の二俣に到着した。右俣も広い谷で、なんでさっきの支流を右俣と思ったのか不思議なほどだ。
ここからがミッション本番ですね。リフト始点あたりでも結構の水量でしたから、二俣までは流れに棹さしてハイピッチ?
 戻って半信半疑で昨年の谷に入る。するとすぐに左に分岐する支谷が現れた。地形図には谷の形はまったくなく、昨年はノーマークだった。と言うより気付いていなかったのかもしれない。
添付地図の軌跡でなんとかわかりました。等高線のわずかなユガミは現地に行かないと分かりませんね。でも、それを見つけて進路を開くことこそ、ゲームの醍醐味でしょう。(^^♪
ズルズルの斜面を這い上がって小尾根に乗ればひと安心だが、見下ろす谷はV字の急斜面が続いて、復帰するのが困難に思える。
最悪はこのまま稜線まで上がるつもりで進むと、わずかに傾斜が緩んだラインが見えた。これをトラバースすれば谷に復帰できそうだ。と言ってもホールドも乏しい急斜面であることに変わりはない。
一歩一歩慎重にステップを刻みながら前進する。ようやく谷芯が近付いてきた。なんとか復帰できたようである。
この辺りになると、もう私の手には負えません。(-_-)zzz
co750~850間が厳しそうだなあ。
不用意に足を置くとドスッという音と共に落ちてしまう。とは言え、50センチほどの落ち込みなので、ビックリする以外の実害はないのだ。
踏み抜きも楽しんでますね。謎解き完了目前の余裕でしょうか(^_-)
 音波山の先で思わぬ出会いに遭遇した。目の前に何かいるなと思ったら、生まれて間もないと思われるバンビと目が合った。
ミッション完遂のボーナスですね♪
今朝生まれたばかりかも? 親はどこに行ったんでしょう。それとも両親に間違えられたのかも(^_-)

ダイラにバンビは現れないでしょうか? 楽しみなオフ会になりそうです。
        ~びわ爺

【湖北】大音波谷の謎を解明した今シーズン初沢旅

by 山日和 » 2022年5月18日(水) 20:36

【日 付】2022年5月15日(日)
【山 域】湖北 下谷山周辺
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】余呉高原スキー場第2P 7:50---8:30大音波谷左俣下降点---10:30二俣---12:15 2段滝---13:10国境稜線14:50
     ---15:50音波16:15---16:50栃ノ木---17:35駐車地

 昨秋に積み残した課題を片付けるため、再び大音波谷を訪れた。正しいルートを歩いていたはずなのに、いつ
の間にか隣の谷に入っていて思わぬトラバースを強いられたのである。
その時は本来の谷に辿り着いて少し下流方向を探ったが、滝の気配でストップ。両岸は急斜面のV字谷で、そこか
ら下の様子はわからなかった。いったいどこで間違えたのか。
今度こそは正攻法で他正しい谷を遡り、下谷山直下の不思議な江越国境稜線に到達したい。
 
 前回と同じアプローチでは芸がない。北国街道沿いの余呉高原スキー場第2駐車場からスタートして、ベルク余
呉スキー場跡の北側から大音波谷左俣の源頭へ下りるコースを選択した。
この谷はスキー場開発の時に無茶苦茶な工事で荒れ果てているらしい。なんせゲレンデの最下部が谷芯なのである。

P5150016_1.JPG

 滝らしいものもない源頭部を下って行くと、程なく広い平流に出た。面白くも何ともないが、行程を稼ぐには持
って来いだ。
 二俣に出た。さあここからは慎重にルートを探らねばと右俣をしばらく遡上したところでGPSを確認すると間違
いに気が付いた。本当の二俣のはるか手前の支流を歩いていたのである。この風景は見覚えがあるなんて話してい
たが、まったくの記憶違い。ほんの半年前のことなのに情けない限りである。

P5150039_1.JPG
 
 分岐に戻って広い谷を進む。コゴミの群落があちこちにあるが、それより目立つのはスキー場の残骸の大ゴミで
ある。ビニールシートやパイプ、土管etc.。産廃の花盛りだ。
 前方に異様な構造物が現れた。リフトの始点の鉄柱だ。右側の斜面は大きく削られて、稜線に向かってケーブル
の外されたリフトが続いている。谷には導水管が設置されていたが、流れが変わったのか水流は別のところを流れ
て、土をえぐった溝から滝が落ちていた。これまた異様な風景である。
スキーブームに乗って隣接する余呉高原スキー場(ヤップ)と同時期にオープンしたが、その後のブーム衰退で2010年
に閉鎖に追い込まれたスキー場である。レストハウスを始めとする施設は放置されたまま。斜面には土砂崩れの痕
が散見される。無責任な開発業者の姿勢には怒りを禁じえない。

P5150064_1.JPG

 閑話休題。本当の二俣に到着した。右俣も広い谷で、なんでさっきの支流を右俣と思ったのか不思議なほどだ。
左俣からずっとニリンソウの群落が続いている。タチツボスミレやツボスミレも多く、昨秋の紅葉に代わって目を
楽しませてくれる。

 しばらく歩いたところで、今度は本当の記憶にあるトチとサワグルミの小台地に着いた。
さあ、これからが本日のメインディッシュである。
 昨年入った谷を見送って、次に右から入るであろう目的の谷を注意深く見ながら進んだ。ところが、GPSで確認
すると、ここだと思った地点を過ぎている。ここまでには分岐する谷はなかった。どういうことだ。
これ以上進むと下谷山と音波山の間の稜線に出てしまう。やっぱり去年の谷が正解で、途中で分岐する支谷を見逃
していたのだろうか。


P5150101_1.JPG

 戻って半信半疑で昨年の谷に入る。するとすぐに左に分岐する支谷が現れた。地形図には谷の形はまったくなく、
昨年はノーマークだった。と言うより気付いていなかったのかもしれない。これしかなかろうとその谷に入るとな
かなかいい雰囲気である。
もう5月も半ば、標高600mほどしかないというのに、谷間には大きな雪のブロックが残っていた。

P5150110_1.JPG

 5mほどの斜瀑を快適に直登すると、両方に小滝をかけた二俣。右を選んで直登すると、小滝が連続し、あたりは
美しい樹林に包まれた。左岸の壁が立ってきて、これは何かあると思わせた。
 果たして、そこには2段10mほどの連瀑が立ちはだかった。下段は直登したものの、上段はちょっと微妙だ。
行って行けないこともなさそうだが、ここは安全第一。チェーンスパイクを装着して右岸からの巻きを選択する。
ズルズルの斜面を這い上がって小尾根に乗ればひと安心だが、見下ろす谷はV字の急斜面が続いて、復帰するのが困
難に思える。
最悪はこのまま稜線まで上がるつもりで進むと、わずかに傾斜が緩んだラインが見えた。これをトラバースすれば
谷に復帰できそうだ。と言ってもホールドも乏しい急斜面であることに変わりはない。
一歩一歩慎重にステップを刻みながら前進する。ようやく谷芯が近付いてきた。なんとか復帰できたようである。
下流方向を見ると、見覚えのある風景がさこにあった。昨年下って来てストップしたブナの木だ。これで繋がった。

P5150148_1.JPG

 懸案の課題が片付いたことに満足して再び遡行を開始。8mほどの滝を快適に直登した後、次の5m滝は前回同様
に右岸から巻き上がる。上流はいよいよ雪が増えて、雪渓歩きの場面が続いた。
雪が薄いところも多く、不用意に足を置くとドスッという音と共に落ちてしまう。とは言え、50センチほどの落ち
込みなので、ビックリする以外の実害はないのだ。
昨年の紅葉の森も良かったが、新緑のブナ林は瑞々しく活気に溢れている。

 目の高さに江越美国境稜線の鞍部が現れた。これで本日のミッションは完了である。
この稜線でありながら谷底のような不思議な場所でランチタイムを取るのは何度目だろうか。
何度訪れても飽きることのないお気に入りの場所だ。

P5150153_1.JPG

 下谷山の山頂は割愛して、栃ノ木峠への国境稜線を辿る。ブナ林が延々と続く素晴らしい稜線なのだが、登山用
とは思えないピンクのテープと白いビニールひもが嫌な予感を与える。ここにも風力発電の計画が迫っているのだ。
やがてこの稜線にもブナの代わりに風車が立ち並ぶのだろうか。


P5150174.jpg1_1.jpg

 音波山の先で思わぬ出会いに遭遇した。目の前に何かいるなと思ったら、生まれて間もないと思われるバンビと
目が合った。逃げる素振りもなく、道の真ん中でじっとしている。頭を撫でても嫌がらず、顎の下を撫でると気持
ち良さそうに首が伸びていくのが微笑ましい。
山の中てシカに会うのは日常茶飯事だが、これだけ文字通り触れ合ったのは初めてだ。
金草岳のヤマネに続いて本当の動物との触れ合いを楽しんだひと時だった。

 その楽しかった時間も林道に出ると現実に引き戻された。風況観測塔には新たな構造物が増えており、荒々しい
林道が以前より広げられているようだった。
地球温暖化防止と再生エネルギー推進の間のジレンマ。
もう引き返すことはできないのだろうか。

                        山日和

青が昨年、赤が今回の軌跡。緑は想定していたライン。まさか等高線沿いに谷が流れているとは・・・
青が昨年、赤が今回の軌跡。緑は想定していたライン。まさか等高線沿いに谷が流れているとは・・・

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