【 日 付 】2024年4月12日
【 山 域 】鈴鹿
【メンバー】sato 、tsubo
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】宇賀渓駐車場ー金山尾根ー竜ヶ岳ー治田峠ー多志田山ー藤原岳ー多志田山ー孫太尾根ー孫太尾根登山口
今日は竜ヶ岳から藤原岳に縦走する。前から歩きたいと思っていた道だ。去年孫太尾根を往復したときに登山口のマイハウスにヤギがいたことを書いたら、satoさんが、
「藤原岳の孫太尾根は、様々なお花に出会えると聞いていて、気にはなっているのですが、なかなか足が向かってくれません。登山口のマイハウスのあたりは別天地のような場所なのですね。ヤギもいるのですね。
来春(気が早い)訪れようとこころに決めました。
何の動物が好き?と聞かれたら、ヤギ、と答えるくらいヤギが好きです。ヤギのいる風景が好きです。」とコメントしてくれた。
私は、「ヤギは朝は小屋にいましたが、下山したら空き地につながれて草を食べていました。もし、来春孫太尾根をご一緒できたら、遠足尾根を登って静ヶ岳、銚子岳、孫太尾根という周回しませんか?
今回も考えたのですが、一人だと大鉢山経由なら車1台で周回できそうですが、道がわかりにくいようで止めました。
私も気が早い。(笑)」と返信した。
その時、来年春にsato さんと孫太尾根から竜ヶ岳に縦走しようと思った。
satoさんはシロヤシオの頃に行きたいと思ったようだが、去年シロヤシオが当たり年だったので、今年はあまり期待できないと思った。それに二人の都合とお天気とシロヤシオがぴったりになる日はなかなかないだろうとも思った。今の季節なら孫太尾根はいろいろな花が咲いている。
satoさんはカタクリが見たいと言っていた。カタクリはもう咲いているかな?
satoさんと二人で山に行くときは、大概satoさんが私が知らないマイナーコースを計画してくれる。でも、今回は私が計画をたてることになった。藤原岳と竜ヶ岳のどちらから登ろうか。
花は早朝は閉じていることが多い。行きに孫太尾根を登っても花はまだ開いていないかもしれない。孫太尾根を下山にしよう。静ヶ岳と銚子岳は今回はカット。
それでも10時間以上かかりそうだ。スタートは6時。簡易パーキングふじわらを5時20分出発と決めた。satoさんも車中泊だ。
車1台を孫太尾根の登山口のマイハウスの近くの駐車場に置き、宇賀渓に行く。竜ヶ岳には遠足尾根から登る計画だったが、ロングコースなのでコースタイムの短い金山尾根から登ることにした。
「時間が遅くなったら藤原岳に登らないで孫太尾根を下ることになってもいいかしら。」satoさんは孫太尾根で見つけたい花があるようだ。私は今年2回藤原岳に登っているので、あえてピークには立たなくてもいいと思っていた。多志田山からの登りは急でがれていてあまり好きではないし。satoさんからの申し出にちょっとほっとした気持ちになった。
金山尾根はけっこう急だ。アップダウンはほとんどなく登り一辺倒だ。まあ、無駄がなくていいか。今年初めてのイワカガミが出迎えてくれた。この日見たイワカガミはこの花だけだった。
やがて背が高いアセビが出てくる。白い花に交じってピンクのアセビも咲いている。
9時に竜ヶ岳に着く。下山する人とはすれ違ったが、山頂には誰もいなかった。少しして3人組の若い男性が登ってきたが、人気の山にしては静かな山頂だ。
藤原岳に続く稜線が見える。藤原岳まで近そうで遠そうだ。20分ほど休んで治田峠に向かう。
去年は5月半ばのシロヤシオの季節に静ヶ岳と銚子岳を往復した。新緑の季節だった。
だが今はまだ芽吹きの季節。全然印象が違う。葉をつけていない木々の森は明るかった。静ヶ岳手前の池も去年は若葉を映していたが、今は茶色い地肌と茶色い木、そして青空を映している。去年より静かな雰囲気だった。その池の奥にもう一つ池があった。そちらは道から外れているので余計に静けさが漂っていた。山頂で会った3人組の男性が通り過ぎて行った。
足元に白いショウジョウバカマが咲いていた。まだ茎が短い。ピンクのショウジョウバカマ、顔を出したばかりのショウジョウバカマ。数輪だったが、かわいい出始めのショウジョウバカマに出会えた。
銚子岳の登りは、がれていて急だ。気を付けながら登る。とはいえ、ピークには寄らない。そのまま治田峠に向かう。気持ちのいい道だ。
治田峠に着くと、途中で追い越して行った若い男性が休憩していた。少し先の平たい場所でランチにする。正面に藤原岳が見える。
カタクリの葉っぱが多くなってきた。1枚だけの葉っぱだ。「カタクリは初めは葉っぱは1枚だけなの。7年以上かけて咲くときになったら2枚になるのよ。」では、この1枚だけの葉っぱのカタクリは今年はまだ花が咲かないんだ。
「あっ!」satoさんが見たがっていたカタクリの花が咲いていた。背が低く花びらが大きく反り返っている。上から見ると巾着みたいで面白い。
多志田山に着く。孫太尾根と合流した。13時だ。
「時間があるから藤原岳に行きましょうか。コースタイムは登り30分、下り20分になっているわ。」
私が孫太尾根を登るのはいつもフクジュソウの時で、この先のがれたところにフクジュソウが咲いている。あっちに咲いている、こっちに咲いていると右往左往しながら登るから時間がかかる。でも、今日はフクジュソウはお目当てではないからそれほど時間はかからないだろう。
登り始めて少しすると、目の前に白く輝く花が4輪咲いている。「あっ、お姉さま!」という言葉が思わず口から出た。それはキクザキイチゲだった。咲いているとは思わなかったのでびっくりした。「登ってよかったわね。」数日前に孫太尾根を登ったkさんからいろいろ情報をもらっていたsatoさんもキクザキイチゲは予想外だったようだ。kさんは藤原岳まで行かなかったのかな。
少し行くと、ヒロハノアマナやミノコバイモも咲いていた。キバナノアマナも2輪だけ咲いていた。
背が高くなったフクジュソウがまだ咲いていた。1ヶ月前は、咲き始めのフクジュソウに出会えた。そうか、フクジュソウはひと月もの間次々に咲くんだな。出始めは茎が短く、終わりころは気温が高くなるから背が高くなるのだろう。今日見たショウジョウバカマやカタクリは出始めだから背が低くてかわいい。
藤原岳に着く。単独の男性が二人いるだけだ。一人の方に二人の写真を撮っていただく。
二人が下山すると、山頂は私たちだけの静かな空間になった。
竜ヶ岳からの稜線が見える。これから下る孫太尾根が見える。歩いて来た道、これから歩く道が見えるのはうれしい。
だが、今回の山旅のお目当ては藤原岳山頂ではない。この先の孫太尾根の花がお目当てだ。
孫太尾根を下る。ヒロハノアマナやミノコバイモ、カタクリも増えてきた。ミスミソウ、ヒトリシズカ。
satoさんがkさんから聞いていたお花にも出会えた。
でも、キクザキイチゲは多志田山から藤原岳に登るところで見ただけだった。やっぱり藤原岳に登ってよかった。
マイハウスの駐車場に下りていく。ヤギさんが囲いの中で餌を食べていた。satoさんはヤギさんが思いのほか大きかったのが意外だったようだ。子ヤギを想像していたのかな。
2時間ちょっとの休憩を入れて11時間ほどの山歩き。今年初のロングコースを歩き通せてほっとした。
今年もまだまだ歩きたいロングコースの山歩きがあるが、ちょっと自信がついた。
たくさんの春の花に出会えた山旅だった。よく見るショウジョウバカマやカタクリも、出始めの時は最盛期の時に比べて背が低くてかわいい。朝出会ったイワカガミはその後見なかった。終わりかけの背の高いフクジュソウはそれなりに健気だ。
1株だけあった花、鳥がどこかから種を運んできたのだろうか。これからもっと咲くのだろうか。人から見えない場所で咲いているのだろうか。
春の花探しの山歩き、satoさんとの楽しいおしゃべりも相まって山を存分に楽しめた。
私の心の中にもピンクや黄色の春の色が広がっていく。
ありがとうございました。
tsubo