【 日 付 】2022年5月1日(日曜日)
【 山 域 】京都北山
【メンバー】山猫単独
【 天 候 】曇りのち雨
【 ルート 】坊村市民センター13:22〜14:25鎌倉山14:28〜14:35千年杉〜15:18八丁平(中村乗越分岐)15:56峰床山〜16:12オグロ坂峠〜17:01鎌倉谷林道終点〜17:30坊村市民センター
この日は朝から雨が降り続いていたが、雨雲レーダーを見る限り、午後には雨は上がるだろうと踏んで、坊村に向かう。坊村に到着した頃には丁度、雨も上がる。周囲の山々にかかる雲も急速に上がって行くようだ。
市民センターの駐車場は普段の週末は登山者の車でいっぱいになるところだが、この日はほとんど車はない。徳島ナンバーと岡山ナンバーの二台の車が停められ、三人の男性が山行の準備をされておられるが、どことなく登山者と雰囲気が異なる。「今からですか?」とお伺いすると「生物の調査をしに来ただけですからすぐに戻ります」と仰られる。
登山道に入ると鎌倉山への尾根にはわずかに霧が残っているが、霧も急速に薄くなっていくようだ。
やがて霧の中に陽の光が差し込み始めると、木洩れ陽が霧の中に光の筋を刻み込む。
標高800mを過ぎたあたりから尾根は新緑の鮮やかな自然林の尾根となり、シャクナゲの花々が次々と現れる。丁度、満開だろう。雨露に濡れたシャクナゲの花々が瑞々しく感じられる。尾根を進むと今度は足元に一面のイワカガミの花々も現れる。
鎌倉山の山頂からオグロ坂峠を目指して尾根を南下する。左手には新緑の自然林に縁取られた緩やかな円弧を鎌倉谷の源頭が次々と現れる。源頭を逍遥してみたい誘惑に駆られるが、この日は八丁平まで行こうと思うと時間に余裕がないので先を急ぐことにする。
鞍部の一つには千年杉が屹立しているが、杉の立派さよりブナの新緑の鮮やかさが目を惹く。
オグロ坂峠の手前で尾根を左てに曲がり、八丁平の北東のピークca930mからは東側の谷を下降してみる。
八丁平の東側の周回路に降り立ち、南に向かうと八丁平から流れ出す川の対岸を歩いて来られる二人の男性がいる。市営林の巡視員の方々だった。こんな日に他に八丁平を訪れている人がいるものかと思ったが、巡視員の方々は私と出遭う前に、鯖街道ウルトラマラソンの練習という二人の男性にすれ違われたらしい。その方々はずぶ濡れでヒルにも噛まれていたとのことだった。当然、こういう日だからヒルが跋扈していることだろうと思い、頻繁に足元をチェックしているが、今のところその姿は見かけていない。
八丁平の湿原の草はまだ芽吹いていないので、ベージュの草原に新緑の樹々が点在している。
周回路を半周すると同志社大学の山小屋「新心荘」の跡地からクラガリ谷に入る。峰床山から南に延びる尾根の展望台に上がると期待通り雲のすっかり晴れて南側に皆子山、東に南比良の稜線を眺望することが出来る。
一息で峰床山の山頂に到達するが、西側の鍋谷山よりも北の山々には雲がかかっているようだ。山頂を辞してオグロ坂峠を目指して尾根を東に進むと、すぐに北側の谷と桑谷山を望む展望地がある。谷から吹き上がってくる急に風が冷たく感じられる。風が吹いてくる北西の方角を見ると桑谷山の上には雨雲がかかっているようだ。
オグロ坂峠を通りがかると、ここから見上げるブナの樹はいつ見てもその壮麗さに感心するが、急速に湿り気を帯びてゆく空気のせいかいつになく陰鬱な気配が漂うように思われた。
今日は風は南西だった筈だが風向きが変わったのだろうか。しばらくするとこのあたりも雨が降ることになるだろう。先を急ぐことにする。往路を引き返して鎌倉山を越える方が早いのかもしれないが、カマクラ谷の右岸尾根に入る。この尾根の新緑とシャクナゲを楽しみにしていたのだ。
なだらかな尾根は自然林が続き、確かに新緑が見頃であったが、のんびりと歩いている余裕はない。急に空気が湿っぽくなってゆくのが感じられる。ca930mのからは尾根の崩壊地の上から比良の好展望が広がる筈であるが、比良の山々はすっかり雲に覆われている。
ここからはシャクナゲの痩せ尾根の下降となる。案の定、雨が降り始めたようだ。尾根はすぐに植林に入り、植林の中の急下降となる。林道に出ると傘をさして歩く。雨降りではあったがカマクラ谷の新緑が美しく感じられる。
林道を離れてカマクラ谷の左岸の尾根を坊村を目指して下降するうちに雨は上がってくれる。登山口に戻ると隣の徳島と岡山ナンバーの車の主たちは戻っていないようだった。京都市内に帰ると空はすっかり晴れて、西の山に沈む夕陽が眩しく感じられる。雨には降られたが、短い間にも新緑とシャクナゲを堪能した山行だった。