- 布引滝落ち口
【 日 付 】2022年5月6日(金)
【メンバー】単独
【 天 候 】薄曇り
【 ルート】名張駅東口 7:58 ---
--- 8:47 長野バス停 8:59 --- 9:55 屏風岩公苑 --- 10:43 住塚山 11:00 --- 11:34 国見山 12:23 --- 13:00 クマタワ峠 --- 14:45 龍穴神社 --- 室生郵便局前バス停 15:23 ---
--- 15:45 近鉄室生口大野駅
「この日本でももっとも汚らしい県の一つになってしまった風景」とあの司馬遼太郎に酷評された奈良県であるが,宇陀から曽爾あたりにかけてはいまだ古き良き奈良の山村風景が残されている。私はこのあたりの風景が好きでここ2,3年足繁く通っている。
今回は曽爾村から住塚山,国見山を経て室生まで歩くことにした。名張駅東口から三重交通バスに乗り,約1時間をかけて曽爾村の長野バス停で降りると地元のおじさんが屏風岩公苑への道を教えてくれた。いかにも温和な目をした人でこのあたりの人気(じんき)の良さがうかがえる。
- 曽爾の山村風景と曽爾高原
屏風岩公苑に向かって坂道を歩き始める。この時期に多いウツギの花はもう終わっているようで,その代わりというわけでもないだろうがコバノガマズミの白い花が綺麗に咲いている。坂道を上がるにつれて曽爾の山村風景が眼下に見えるようになり,その向こうに曽爾高原のススキの草原が見えている。
- コバノガマズミ
約1時間で屏風岩公苑に到着。屏風岩はカルデラ噴火によって生成された柱状節理からなる絶壁で,その下の屏風岩公苑はヤマザクラの古木が多いことで有名である。今年はヤマザクラの時期に来ようと思っていたのだが,用事が重なってしまい時期を逃してしまった。公苑の駐車場には車が一台あるきりで静かである。サクラは見逃してしまったが,新緑が美しく,雰囲気のいいところだ。
- 屏風岩公苑
- 屏風岩
屏風岩公苑を突っ切り住塚山への登山道に入ると周りは杉の植林になった。標高900mを越え住塚山山頂近くに来るとヤマツツジが真っ赤に咲き,新緑とのコントラストが美しい。山頂で小休止した後,国見山に向かう。標高を150mほど下げ,またほぼ同じ標高を登り返すと国見山だった。風が弱く雰囲気も良かったので頂上で昼食にしようと準備をしていると,私が来た方向から単独の男性が登ってきた。聞くと屏風岩公苑から登ってきたという。私の後をそのまま登ってきたようだ。この人がこの日に出会った唯一の登山者だった。
山頂からは台高北部の山々が一望で,右の方遠くには大峰の大普賢岳の独特な山容が見えている。暑くも寒くもなく,いい天候である。1時間近くのんびりしたのち,北西尾根を降りてゆく。30分ほどでクマタワ峠。ここには東海自然歩道が通っている。左折し,東海自然歩道を室生寺に向かって歩く。道はあまり整備されていないようで,石がゴロゴロして歩きにくい。
室生川支流の宇野川源流部を渡渉し,宇野川左岸を歩いていてふと右側の谷を見ると,「あらら,美しいナメじゃないの」。上から見るとまるで舗装道路のようなナメが続いているのだ。沢屋としてはこのまま通り過ぎる手はない。降りられそうなところを見つけて降りていくと,綺麗なナメ滝の落ち口に出た。その上流部も素敵なナメが続いている。結構大きなナメ滝で,落ち口からは全容がつかめない。自然歩道に戻り下流部を注意しながら見てみるが,下流部にはさっきのような美しいナメは確認できなかった。帰宅してから調べてみると布引滝という名前が付いていて,高さ25mということだ。写真で見ても美しいナメ滝だ。
- ヤマツツジ
- 下段 南松の滝,上段 熊ヶ滝
さらに下流部に歩いていくと,南松の滝200mと書いた看板が。この滝は国土地理院の地形図にも名前が載っている。これは見にいかない手はない。川床に降りていくと,さっきのナメ滝よりは少しごつごつしているがやっぱりナメ滝の下に出た。4段ほどに分かれた斜滝で,登れそうだ。これも帰宅してから調べてみると,下段が南松の滝5m,上段が熊ヶ滝10mと呼ばれているそうな。
- 布引滝上流のナメ
川の向こう岸に林道が見えたので,渡渉し,林道を歩くことにする。すぐ左の川床を注意して見ていくが,ここより下流ではナメは確認できなかった。1時間ほどで龍穴神社に到着。今日の安全山行のお礼を込めて参拝していく。ちなみにこの龍穴神社は有名なパワースポットなのだそうな。感じやすい人はこの神社で色々なパワーを感じるらしい。ちなみに信仰心ゼロの私は何も感じなかった。
室生郵便局前バス停から奈良交通バスに乗って近鉄室生口大野駅に到着。今日の山旅を終えた。今日の一番の収穫は図らずも見つけたナメとナメ滝。帰宅して調べてみると,この辺り一帯はナメ滝とナメの宝庫のようだ。これで今年の沢シーズンの目標は決まったようなものだ。次回のレポはナメ滝の探訪レポになりそう。