【日付】2021年1月31日(日)
【山域】西美濃/湧谷山
【ルート】夜叉龍神社ー発電所-・518-西尾根ーco1020ピーク(リターン)
【天候】曇りのち晴れ
【メンバー】単独
スノーシューのベルト切れで、雪山は当分諦めていたのに、交換ベルトが届いた。しかも雪が融けかけていた山には新たな降雪があったよし。ならば行くしかない。
Kさんのトガスレポを読んで、隣りの湧谷山1079.6mからホハレ峠経由の周回ルートが気になっている。発電所対岸の湧谷山への尾根はどんな感じだろう?ネットを検索しても出てこない。標高差約700mは、コンディションさえ良ければ私でも3~4時間あれば大丈夫だろう。そこからホハレ峠へは距離は長いが尾根伝いなので周回は可能、と読む。もちろん、状況に応じたエスケープルートも考慮に入れておく。
早めに出発できたので、八草トンネルを抜けて「道の駅さかうち」でトイレ休憩。引き返して神社前の駐車場へ。朝早いのにしっかり除雪してくれている。日曜日というのに他の車は1台も無い。
ゆっくり仕度していると3台ほどの集団がやってきた。大垣の若者メンバーで行き先は大ダワ。できれば土蔵まで周回したいそうだ。
(やはりそっちがメジャーなんだろうな…。目標変更しようかな?)
聞けば心が動く。しかも、これだけいればラッセルも楽だろうし。
- 平坦地から発電所を見下ろす
安易な相乗り思考はふっ切って、当初計画を貫く。スタートは7時半。川上浅又川と合流した坂内川の左岸林道は除雪されていない。合流点の発電所まで除雪された右岸の道を歩き、雪がテンコ盛りの連絡橋を渡る前にスノーシューを履く。積雪は30~40cm。
・518への登り口はどこかいな? 浅又川の橋を渡り返し、探しながら左岸の道を少しバック。地形図で合流点に張り出すような平坦部は2段の平地。田畑か果樹園か? その上は杉の植林でどこからでも山頂へ出られそうだ。
標高差100m余とはいえ、いきなりのこの急登は堪える。空はどんよりとした曇り空、湿り雪を持ちあげるシューが重すぎる。この調子なら湧谷山まで行くのがせいぜいだろう…。モチベーションはドンビキだ。
- ・518のケヤキのような木
・518到着はロスタイムも入れて1時間近くかかっている。
少し下って西尾根の登りに。左側は植林だが右手斜面はブナが主体の自然林で、樹間から下の国道沿いの風景が垣間見える。
見せ場やアトラクションがあるわけではない。危険な緊張場面があるわけでもない。
ただ、上に行くにつれ青空も顔を見せはじめた。太く高くなる見事なブナ林や、金糞岳の威容に励まされながら急登のラッセル。もう雑念を捨て、「どこまで」とか「何時までに」とかは考えない。開き直りと捨て身のアタックで目の前の壁のような敵をやっつけるだけなのだ。
- ラッセル跡を振り返る
高度があがると左側の風景も変わってきた。そんなに遠くない先に二つ並んだ白い山頂が覗く。どこの山かな? 地図を頭の中に呼び出す。そうか!誰でもすぐ分かるだろう。この近辺、北方に聳える白い頂といえば高丸と烏帽子山。椀戸谷右岸の尾根が稜線の真ん中に突き上げている。いつぞやのスノー衆を思い出しながら目で稜線を追う。
- 高丸~烏帽子山の稜線を眺めながら
北東には別の白い頭が見え出した。蕎麦粒山だ。さすが奥美濃の盟主と言われるだけの存在感。やがてその右にも白いトンガリが顔を出す。小蕎麦粒山だろう。すると、手前のヤブっぽいピークが湧谷山なんだろう。他のホワイトピークと比べると貧弱?だが標高が200mも違えばやむをえないか。
いくつかのニセピークを経て、登りついたのは南からの尾根と合流したco1020mピーク。いきなり東側の眺望が開け、山並が一望される。湧谷山の左肩から頭だけのぞくのは天狗山だろう。その背景に花房山~小津権現山が並ぶ。
- 花房~権現の稜線も
残念ながらさらに右側の金糞岳などは樹木のせいで視野に入らない。逆に涌谷山の右には蕎麦粒・小蕎麦粒の連峰が陽射しに光る。さらに樹木の切れ目からは大ダワ~土蔵方面も望める。
湧谷山へは少し下ってからの登りとなるが、いったん腰を降ろすと前に進む気力が萎えてしまう。標高差にすれば数10m、コルからでも100mほどしかないと思うと、もったいないとも思うのだが…。
あと10数分で13時になる。潮時やな。これだけのパノラマを観させもらっただけで、ここまで来た甲斐があったってもんだ。登り始めの重い気分を忘れさせてくれる眺望である。
- co1020ピークから
北西の風を避けて雪庇の下に座り込みランチに。撤退を決めると心が休まる。最近はカップ麺とアワワのカンタンセット。体力疲れのせいかカップ麺が胃に重たいが、アワワが流し込んでくれる。なんだか味気ない山食ともいえるが、軽量・簡単・温かさの諸条件を考えると、私的にはこんなところに落ち着くのだろう。
下りは自分のトレースを辿るだけ~♪
と思ったらちょっと違った。緩斜面はまだいいのだが、新雪が下の凍結面に乗った急斜面はシューが表層の雪ごと滑落してしまう。背中のザックで止まるから危険はないが、起き上がるのが一苦労。登るは地獄、下るは極楽~♪ と思っていたが、ちょっとヒヤヒヤの下山ロードとなった。
小さく見えだした下の村からチャイムが聞こえてきた。15時だ。あと1時間もかからないだろう。
駐車場にはスキーの単独男性。ホハレ峠から滑り降りてきたという。話しているうちに、朝出会った大垣のグループが帰ってきた。土蔵まで行けたが「雪が重くて疲れました」
さすがに日曜日の山は賑やかだ。
今夜からお天気はまた下り坂らしいが、次の山のことは帰ってお湯に浸かりながら考えよう。
~びわ爺