【越美山地】~ スキーで絶景の頂上から重雪の谷を滑る ~
【福井】銀杏峰 志目木谷
【日時】2021/1/21
【天 候】快晴
【コース】 P 8:26-仁王の松 10:05-前山 11:15-銀杏峰 12:40/13:20-渡渉 15:03
-車道 15:24-P 15:50
2007年2月24日、緑水さん達とスキー山行の約束をしていた山 銀杏峰
その前夜「銀杏峰雪少なし」との連絡で予定を変更して石徹白へと向かった。
kyuさん兎夢さんそして緑水さんと野伏岳を登り、滑降し、鍋を囲んだ。
以来、この山は近くて遠い思いの募る山
野伏を見上げたあの時
http://shigeki.ryu-unso-kyu.jp/07yamaskynobuse.htm
車道脇の雪壁を乗り越えて林道を辿る。
しばらくでいこいの村キャンプ場、ここから植林の尾根に取り付く。
シール歩行の苦手な急な取り付きは周り込んで尾根芯へ
トレースはしっかりと付いている。
ワカン、つぼ足?スキー、アッセント風最低4人は先行しているようだ。
このルートは夏道登山道「名松新道」と言うらしい。
その松 羽衣の松は気づかずに通り過ぎてしまった。
急な尾根を真っ直ぐ登るトレースをスキーシールでは登り切れず、ジグを切ってあえいでいたら特徴的な
仁王の松に辿り着く、写真を撮りながら呼吸を整える。
見上げる尾根芯に降りてくる単独男性
「早いですね~」
『テン泊してました、銀杏峰と部子山の鞍部辺りです。』
「ええですねぇ~ 素晴らしい。でも寒かったでしょう?」
『冬張り使ってテント内は2~3度外もそれほど寒くはなかったです。』?
しばし歓談、アルミワカンとアッセントを使い分けている、とのこと。
『スキーは気持ちいいでしょう、羨ましい。』
と仰るが
「うまく行けばいい滑りで行動範囲も広がりますが、ここは初めてで不安の方が大きいですわ。」
と水知らずの人に弱気の虫が顔を出してしまった。
尾根芯のトレースとジグを切っているスキーのトレースを乗り分けながらやっとの事で前山P1150の見晴台に着いた。
あと標高差300m 頂上は特にこだわらないが、ドロップポイントまでは登らねばならない。大展望をFBに記し、
一旦下って雪庇の付く稜線へと進む。
左下の谷が志目木谷右俣だろう。
このまま滑り降りたいが、崖のような急斜面でその上には雪庇が張り出しているので間違いなく雪崩の餌食になるだろう。
最後の急登で妙齢の男女ワカン2人組を抜いて広大な雪原に飛び出した。
この時点でアワ缶がちらつきランチモードとなったが、向こう側の景色を見たいとの気持ちを前面に出して頂上まで行く。
誰も居ない、風は穏やか、陽射しはやわらかく暖かい、もちろん 絶景だ。
プシュー 乾杯・・・13年越しで来ましたよ・・・何でそんなに早くにそんな高いとこへ行ってしもたん・・
ワカンの2人組が来てしばし歓談、固い雪面にスキーを滑らせた。
志目木谷左俣を見下ろす稜線で滑降ラインを見定める。
カチッカチッとストックを叩いたら、何とリングが落ちた。
拾おうとしたらスルスルと滑り落ち小尾根の末端に止まってしまった。
「どうせなら 谷へ落ちてくれた方が拾いやすいのにぃ~ あのコブの出っ張りまで取りに来いてか~・・・」
試されてるのかな?? 怖々横滑りで先端までズリ落ち何とか拾い上げた。
急な斜面にスキーとボードのシュプールが曲線を描いて落ちている。
20cm余の重たい新雪がターンに勇気を求めている。
思い切って体を落としていけば気持ちよく弧を描いてくれるが、重雪に片足を取られ、底の堅雪にガリッで
体勢を崩してしまう。
てなことを繰り返しながら慎重に沢沿いを滑る。
間違っても水中に倒れ込みたくはないし、立木にタックルもしたくはない。
堰堤の横の急な土手を幾つも滑り落ちてなだらかな林道に出た。
雪はますます重く腐ってきてストップスノーになったりしたのを凌いで車道に辿り着いた。
板を担いで圧雪の道路端を歩いていると、対抗で来た軽ワゴンが道の真ん中に停車して運転していた男性が
話しかけてきた。
『銀杏峰まで行って滑ってきたか? どうやった?』
「滑り出しの時間が遅かったし、雪が重くてスキーが下手やから難儀したが、福井の雪山はええね!」
『そや 荒島、経ヶ岳、取立・・・・』
地元の方らしくいろいろ説明してくれ、話は盛り上がってきたが、いかんせん道の真ん中、後続車が来て
「じゃ また さいなら」
静かな山行きで数少ない人達と出会い話したが、この人達とまたいつか出逢うのだろうか。
もし出逢ってもこの日この時のことは忘れているだろう。
スキーを担いで圧雪の車道を歩きながら、つい先ほど見た青と白の絶景や14年前のことなど思うに任せていたら
いつの間にか愛車は目の前だった。
では また あの飛行機雲の下で
SHIGEKI