【山行日】2020年10月31日(土)
【山域】台高・ヌタハラ谷右岸尾根~ヌタハラ山腹道
【天候】快晴
【メンバー】グーさん、ナズナさん、タイラさん、アオバ*ト
【ルート】ヌタハラ橋7:20、ナイフリッジ9:10~10:10、第三劇場12:00~12:40、源流テント場13:05、
桧塚南斜面14:50~15:30、林道17:00、ヌタハラ橋18:00
ヌタウのグラは、千石谷側を巻くのが正解だと思ったけれど、グラの上にも下にも、ヌタハラ谷側へ誘導するかのような黄色のテープ。
なんで?そんなバリルート初級者アオバ*トの疑問を解決すべく、グーさんがとっておきのツアーを組んでくれました。
「ヌタハラ谷右岸尾根」、略して「ヌタウ」。
緑水さんの命名でしたよね。なかなかカッコいい響きです。
等高線を見る限り、わたしとは無縁の世界と思っていました。
それがなんと3回も訪れる羽目になろうとは。いやいや羽目というのは冗談です。
楽しくなければ3回も来ません。そのくらい「ヌタウ」には魅力がぎっしり詰まっています。
「こんなに急だったっけ。」
皆同じことボヤキつつ、尾根芯で通せんぼするグラをかわしながら、急激に高度を上げていきます。
いったん尾根が緩んだところで、大きなモミの木(だと思うのですが)が、尾根の真ん中にデンと門番のように立っていました。
千石谷側はヒノキの植林帯ですが、ヌタハラ谷側は、常緑樹や照葉樹に落葉広葉樹も混じり、清々しい朝陽が差し込みます。
足元に紅く色づいた葉っぱがたくさん。A「これ、なんだろ?」N「さくらじゃなぁい。」
薄黄色の五つ葉も。A「これは、タカノツメじゃなくて・・・」N「コシアブラ。」急登なので、けっこう足元に目線がいきます。
架線の残骸や燃料缶みたいなのも転がっていて、ついつい写真を撮ります。今までこんなもの関心無かったのに。
まるごともげ落ちそうな岩と木の根っこだけでできている部分みたいなところを通過したら、尾根が広がり・933です。
ここらへんから全面自然林となり、とても気持ちの良いところです。
A「みかん食べよう。」G「マダマダ、みかんはナイフリッジで~。」なかなかゆっくり休ませてもらえません。
各自立ち休憩のみ、ナイフリッジまでほぼほぼ一気登り。グーさんたち元気だなぁ。
すてきな舟窪のようなところを過ぎると、再び尾根は立ってきて、尾根の真ん中に大きな角ばった岩が鎮座しています。
その間をすり抜けもう一段ほど登ると千石谷側が突然開けて、頭上にナイフリッジの末端が見えました。
本当に天空に浮いているかのようです。手を置くと剥がれそうな、足を置くと崩れそうな脆い岩を確かめ確かめ、
倒木をまたいで、灌木の繁みをすり抜け、着いた~。すご~い!
雲一つない青空の下、大パノラマが広がりました。辺り一面、黄色と赤と緑の世界。そして朝陽を浴びて不動滝がきらきら光っています。
グーさんが、ヌタウは登りに使うよと言った訳、とってもよくわかりました。
ナイフリッジの倒木ベンチに腰かけて、不動滝を眺めながら、みかんをほおばる幸せ。
グーさんは、ノコギリとロープ出してきてナイフリッジを行ったり来たり。余計な石を崖下に落としたり、
シカさんの鼻の先をノコギリで切り落としたり、(シカの頭のような形をした倒木の根元です)
ナズナさんが叫びます。「グーさん、掴むところまで切り落とさないでくださいよ!」
明日はオフ会、ここでカッコつけて滑り落ちたら笑い話になりません。
ロープ張ってもらい、グーさんとタイラさんのおかげで、ナイフリッジ無事通過。
ナイフリッジ西端の灌木のプチヤブを潜り抜け、ここから尾根は急激に立ってきます。
両手両足、けものになって登ります。そして立ちはだかるグラ。
ヌタハラ谷側の黄色いテープ。
知らずに初めてやってきて、この黄色のテープ見たら、ヌタハラ谷側に登路があるのではと錯覚するのではないでしょうか。
千石谷側グラの下のけもの道は、少し下り気味になっていて、見るからに怖そうです。
でも正解は、この千石谷側のトラバース。黄色いテープは外させてもらいます。
さぁ、行きますよ。距離にして10mくらい。えっ、ここは確保なし?ぎょえ~。ドキドキドキ。左側が崖のトラバース、苦手なんですよね。
なんとか行けた。そしてグラの横をよじ登る。足が上がらん、お助けヒモ~。その後も尾根芯に上がるまで危うい斜面。
ナズナさんは登りやすいところをサッと見つけてスルスルと登って行かれる。すごい。モタモタしながらやっとこさ尾根芯に出て一息。
グラの上のヌタハラ谷側に付けられたテープも外させてもらいます。
しかしながら、多少の岩登りの技術とロープがあれば、ヌタハラ谷側のグラの中を登るのもアリなのかもしれません。
ところで、この「ヌタウ」にいちばん最初に登られたのは、山日和さんなのですね。
過去レポを探し出しました。やっぱり導師さまは、すごいのですね。
さて、本日前半の難所は、無事クリア。あとはシャクナゲ帯をすり抜けるだけです。
ここまで来たら、足が疲れてこようと、はやる気持ちのほうが勝ります。
ヌタウに3回も来てしまった理由、実はこの上にあるのです。
今までの険しい道程からは想像もできないような美しい森が突如として広がります
頭上より降りそそぐ神々しい光の向こうに懐かしい場所がみえました。
「アオバ*トさんのお気に入りの場所」グーさんも、ナズナさんも覚えてくれていました。
昨年、わたしのために千石林道からここへ上がってくるグラだらけの危険な斜面を探索して下さったのでした。
再び大きなミズナラに駆け寄ります。「また来たよ!」幅の広い木馬道をずっと下って行きたくなりますが、もうすぐ劇場の開場時間のようです。
グーさんの後を追って、劇場巡りの始まり始まり。第四劇場、第三劇場と案内してもらって、わりばしさんのカエデの木はどこだろう。
「あれだ!」「わぁ。きれい!」
最盛期は過ぎたようですが、それでもすごくきれいでした。貸し切り第三劇場でランチの後は、第二から第一へと向かいます。
グーさんとナズナさんは、互い違いの方向へ歩いて行ってしまいます。まあどこでも歩けるんですが、堅実なナズナさんの跡を追います。
そうか、グーさんは、カメラマンでした。「幸福の木」なんてのも教えて頂きました。皆さん、ぜひ見つけてくださいね。
いままでどれが第一でどれが第二でどれが第三で、第四はいつのまにできたのか、わかりませんでしたが、やっと解明。
ナズナさんが1.5劇場なんてのもあるのよと教えてくださいました。
すばらしい眺めを4つ分、いや4.5個分インデックスを付けてポケットにしまい源流に下ります。
(その前にまたまたところでなんですが、「桧塚劇場」の命名は山日和さんなんですよね。
わたしが初めてテント背負ってヒキウス平にやって来た時、2009年くらいだったと思うのですが、すでに「桧塚劇場」って呼称、耳にしてました。
でも劇場が4つもあるって知りませんでした。劇場って、最初から4つ区別して呼ばれていたのでしょうか。グーさんに聞き忘れました。)
源流のテント場を通って、
ここから先は未知との遭遇。うさぎの穴から不思議の国へ降りて行くようです。
次の目的地は桧塚の南斜面。ここのお茶会場は時間指定で予約してあるそうなのです。早く着くと待たなくてはならず、遅刻も厳禁。
ここに着くまでコワイとこもありましたが、「お茶会」「お茶会」と呪文を唱えて乗り切りました。
上から順番に、「アザミ滝」「ネコ滝」「コウセ滝」でしたっけ。順番はもう忘れました。
どれかの沢の横に作業小屋跡か何かの、なかなか気持ち良さげな広場ありました。
美しい谷間の風景をもっともっと眺めたかったですが、スリリングなトラバースの連続で、ナズナさんに付いて行くのが精いっぱい。
二股までやってきて、右俣の見上げると青い空まで続いているような突き抜ける感じがすばらしかったです。
右俣の左岸の斜面をグーさんが登り始めます。柔らかな西陽がうつくしい二次林の斜面を照らします。
目的のお茶会場に到着です。もう、これはなんと言ったらいいか、森というより黄金色の光の世界です。
そんな黄金色の光のシェルターの中で、極上の時間が流れます。
名残り惜しみつつ店じまいして帰路につきます。「道をおぼえてほしいから、正規のルートを行くよ。」
すてきな落ち葉の山腹道が続きます。炭焼窯が落ち葉に埋もれています。見下ろす沢の風景もすてきです。植林帯に入って、大沢崩れで最後の休憩。
すばらしいこと沢山ありすぎて、頭の中グチャグチャのままレポ書いてます。間違ったまま解釈して書いてるとこあるかもしれません。
でも、きっといつかおさらい会しますからね。
林道に降り立つと、きっかり5時。林道を少し歩いたら山の端には、まんまるお月様。
これ以上はないっていうくらいのお天気とすばらしい錦繍に彩られた一日。なんか、グーさん、魔法使いみたいでしたね!
アオバ*ト