【日付】2020年4月3日(金)
【山域】奥美濃
【天候】晴れ
【メンバー】単独
【ルート】坂内川上=ホハレ峠分岐~旧ホハレ峠~co1000Jct~co1050ピーク(折返し)~co990から北西枝尾根で林道
アベさんが布製マスクをくれるそうだ。一家に2枚。うち、3人家族なんで取り合いになるかも?
で、マスクの必要ない、「3密」の対極にある山に行ってきた。周りは全面開放、誰もいない、接するものはヤブの草木だけ…なので、コロナウイルスの侵入する余地なし。いまどきのベスト健康法なのかもしれない。
もう3年以上前からの宿題。ホハレ峠から蕎麦粒山△1296.6m。林道に雪のない今なら可能かな?と足を向けてみた。
坂内川上からの立派な舗装林道がダートになってすぐ、旧ホハレ峠への分岐に駐車スペースがある。
7時40分、入り口から枯れススキや雑木の枝が煩い廃林道。なぜか道の真ん中に荷造り用のビニールヒモが張ってある。
クネクネと進んで地形図の旧ホハレ峠・814mから尾根に取り付く。この尾根、3年前もヤブヤブで覚悟していたのだが、ササや雑木が適度に刈ってあり歩きやすい。と思っていたらまたヤブに突っ込み、道跡を見失ってしまう。
co900~990の辺りが一番いいところ。ブナに癒されながら、「こんないいルートだったっけ?」と勘違いするエリアでもある。ここは涌谷山からのルートとのJctだが、分岐を確認できなかった。
しかし、登り始めから今日は体調がよくない。どうやら寝不足もあってか、心臓がまともに動いていない。すぐ息切れして力が入らない。手のひらが白っぽくて、血が回っていない気までしてくる。(>_<)
ヤブっぽいがほとんど傾斜のない尾根を騙し騙し進み、尾根が90度左折するco1000mへ。大谷川から蕎麦粒山へのルートとのJct。
前にもここまで来た。手前の濃密ササバリアに閉口したが、今回もやはり手こずってしまった。
10時半。黄色の目印テープが巻いてあるブナの下で一休みしてから、上をめざそう…と思って腰を降ろしたら、根が生えてしまった。蕎麦粒山が目の前だ。さすがにもう雪のカケラも見当たらず、起きがけの無精頭のようなヘアスタイルで突っ立っている。
「あそこまで行けるやろか?」
「まだ昼前やし時間はたっぷりあるで!」
「けど、この体調はなんとかならんかなあ…?」
「今行かんと、次は無いかもなあ?」
単独行特有の自問自答。答えは結局自分で出すのがけれど、不安定に揺れ動くのは心臓の鼓動だけではないみたい。
そして思いついた策、「そうだ、結論はランチで腹を満たしてからや!」
ランチといっても、カップめんにアワワの非常粗食バージョン。しかも、今日はアワワは自粛!予備のオニギリも持ち帰り。
こんなのでパワーアップは望めない。今日はここからおとなしく引き返そう…。が「結論」のはずだった。
ところが落ち着くと勝手な頭の針はプラスに振れる。
「せっかくここまで来たんやから、もうちょっと先まで…」
なんと、往生際の悪いこのアタマでしょう! 心臓が、足が、ギブアップゆうてるのに!
立ち上がって向かったのは北に伸びる尾根。頭の先より背の高いササのトンネルのような踏み分け道を歩いている。
やっとco1050mの頂点までやってきた。ササの隙間から蕎麦粒山がチラッと顔を見せ、またササの海に沈む。左隣の・1075ピークもヤブ山っぽいなあ…。あと標高差で25mしかないというのに、ここで気持ちが切れた。
奥美濃の盟主に別れを告げ、往路を引き返す。これがなかなか大変で、下手するととんでもないヤブに捕まってしまう。往路の痕跡を探りながらヤブとの格闘。
唯一つ、思いがあった。往路で左の斜面を見下しながら考えていた。尾根の北側に延びるホハレ峠からの林道はどうなってるんやろ?
co990Jctから北西に派生した小尾根を辿れば林道に降りたてそう。最後はガケマークが心配だけど、どこか弱点があるだろう。
Jctの台地へ来ると、その尾根は薄いササ原の中をなだらかに下っている。なんの目印も無いけれど、これなら大丈夫だろう。
角のように突出した尾根の最後は避け、左の斜面から問題無く林道に降り立つ。やれやれ、これで一安心。
往路と合流する旧ホハレ峠まで廃林道を歩く。やはりここにもカラーヒモが靡いている。測量か整備の目印なんだろうか?
旧ホハレ峠からは朝の記憶を呼び起こしながら車が待つ林道分岐までひたすら歩をすすめるだけだ。
【蛇足】ストック紛失!再び
ストックが逃げた!そう、どう考えてもリードを噛みきって逃げたワンコのように思えてならない。
ランチ後、上をめざして歩いていた時、左手の負荷がないのに気づく。数十m引き返しながらストックを探すが、ない。帰り道に注意して探すがなかなか見当たらない。ランチ場近くまで来てようやく踏み跡の真ん中に落ちているストックを発見!
ササや雑木をつかんだり、急斜面で枝につかまったりしているうちに抜け落ちてしまうようだ。それ以後も何度か抜け落ちたことがあったが、すぐ気付いて難を逃れた。
ところが林道への最後の斜面を降りた時、またも左手のストックがないことに気づく。急勾配の傾斜地を下ったので、気付かなかったんだろう。登り返して探してみるが今度は見つからない。さすがに気力も尽きる。
こう何度も繰り返すと、ストックの意思を感じてしまう。逃げたかったんだろう、捕まりたくないんだ。
いや、違うぞ!? 身を呈して飼い主を守った忠犬のように、じつは身代わりになって主人を守ってくれたのかも?
このヤブ山が好きだったのかもしれない。先だっては伊吹山のバリでもストックに逃げられた。今度のは奇しくもその片割れだったから、いっそう因縁めいてくる。
もう探さないでおこう。ゴミになるかもしれないが、伊吹と奥美濃の山地で爺の代わりに静かに眠らせてやろう。合掌
~びわ爺