「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」(夏目漱石 「草枕」より)
「愛知川を遡行しながら,こう考えた。流れに逆らって泳げば角が立つ。それじゃプカプカ流されようか。」ってなわけで,愛知川(神崎川)をプカプカ浮かびながら下降するらくちんプランを考えた。行くのは今まさに人生を謳歌しているおじさん3人組。これにピッケル君も加えたかったが,ピッケル君はお盆の家族サービスの真っ最中でパスだと。
【 日 付 】2013年8月10日(土)
【 山 域 】鈴鹿・愛知川流域
【メンバー】おかさん,わりばし,シュークリーム
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】朝明キャンプ場 8:20 --- 9:25 中峠 --- 10:00 大瀞 --- 11:10 ウオータースライダーの滝 --- 12:00 天狗滝 12:30 --- 13:00 白滝谷出会い --- 白滝谷 --- 15:00 県境稜線 --- 16:00 朝明キャンプ場
朝明キャンプ場に朝8時集合。支度をして歩き始める。例年にない猛暑のまっただ中,朝8時ともなればもう日差しがきつい。もう少し早めに集合すれば良かったかな。おじさんは愛知川でプカプカすることだけを考えて,中峠まで歩かなければならないことを頭に入れていなかったのだ。中峠までの急斜面ですでに熱中症の一歩手前。わりばしさんが頭に巻いたタオルを絞るとタオルから汗が滴り落ちる。どうも三重県側の斜面は風が通らなくて困る。
中峠まで上がると風が吹き抜けて気持ちがいい。途中,誰にも会わなかった。そりゃあ,こんな猛暑の中で低山歩きをするなんざ,正気の沙汰じゃないよね。そのまま中峠を下り,ようやく愛知川に着く。今日は泳げないおかさんにはライフジャケットの携行を指示,ついでに私もライフジャケット着用だ。
大瀞の廊下でいきなり1mほどの滝を滑り落ちると,火照った身体が一挙に冷やされて気持ちいい。このあとは明るい河原を歩いて下流に向かう。もう少し泳げるところがあるといいんだけど。どこも砂利で埋まって流れが浅くなっているようだ。それでも明るい愛知川を下降するのは楽しい。
- 大瀞の廊下
ヒロ沢出会いを過ぎるとすぐにウオータースライダーの滝だ。わりばしさんもおかさんもここは初めて。おじさん3人でしばらくウオータースライダーで遊ぶ。沢はおじさんも少年に変えてしまう。もともと童心の部分が多いピッケル君がいるときっと目を輝かせたことだろうね。
- ウオータースライダーの滝
ウオータースライダーで遊んだあとは天狗滝だ。天狗滝までくるとさすがに人影が。一人が滝口に立って,ロープで5,6人のメンバーを引き上げようとしている。残りのメンバーは釜の左岸側で半身を水につかって待機中だ。水音でお互いの声が聞こえないようで,連携ができていない。泳げないおかさんに3種類の選択肢を提示する。上策はそのまま飛び込むこと,中策は滝下までおりて釜を泳ぐこと,下策は巻き道で降りること。おかさんは何の迷いもなく下策を選んだ。
- 天狗滝で奮戦中のパーティー
パーティーが登り終わるのに時間がかかりそうなので,先に飛び込ませてもらう。私が真っ先に飛び込む。わりばしさんは当然飛び込みだと思ったので,何の指示もしなかったけど,大丈夫だったのかな。後ろを見たらついてきていたので,大丈夫だったみたい。
天狗滝を眺める大岩の上で昼食休憩だ。ここには別の3人組とあとでカップルが一組到着した。やっぱりここまでくると人が多いね。食事しながら先のパーティーの奮戦を眺める。なかなか苦労している感じだ。全員ライフジャケット着用なので,溺れる心配はなさそうだけど。最後の一人がどうしても滝裏の棚に上がることができず,巻き道を選択して見物は終了した。まさに高みの見物だね。
- 泳ぐおかさんとわりばしさん
そのあとは流れにプカプカ浮かびながら白滝谷出会いまですぐだ。白滝谷はもうこれで4回目なのでさすがに新鮮みはなくなってきたが,それでも高度感のある滝やナメなどがあって,登山道を歩くよりはずっと楽しい。愛知川本流よりも水温が高いようで,歩いているとだんだん身体が熱くなってくるので,身体を浸けられるようなところがあると全身を浸けて体温を下げながら歩く。
- 滝を登るわりばしさん
- 白滝谷のナメ
おかさんは泳ぎで疲れたようでだんだん遅れ始める。登山道が沢を横切るところで遡行終了だ。そのあとは県境稜線まで緩い坂道をたどってすぐだ。おかさんが遅れているので疲れたのかと思っていると,途中でクロスズメバチに手をさされたという。そういえば,歩いている最中にわりばしさんが「ハチ!」と叫んでいたのを聞いたような聞かなかったような。
林道を歩いて下山中におかさんの手はぷくっと腫れ,焼いた餅みたいにふくれてきた。おかさんは名誉の負傷で温泉に寄らず直帰。わりばしさんと私のみいつものグリーンホテルで汗を流して帰宅する。
家に帰るとやっぱり今日も猛暑だったみたい。我々は猛暑の中熱さを忘れて一日遊ばせてもらいました。やっぱり真夏は愛知川に限るね (^_^)v