【日 時】 10月6日(土)~7日(日)
【地 図】
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html ... 0929271614
【同行者】 単独
【天 候】 曇り~雨~曇り
【ルート】
①P(5:40)~笹山(5:56)~入山(7:36/43)~樺山(9:45/10:00)~小黒山(11:33/54)~幕営地(12:07/29)~本谷山(15:05/25)~幕営地(18:00)
②幕営地(6:59)~小黒山(7:09)~樺山(8:42/9:15)~入山(10:44/11:04)~笹山(12:19)~P(12:34)
試しに本谷山と樺山をカバーするルートを3本引いてみた。最後まで迷った三伏峠を経て塩川小屋へと下るコースも、車の回収に難があった。前回と異なるバリエーションにも心引かれる。しかし、ここは無難に2週前の下見を活かせるライン取りでいこう。
挨拶代わりに笹山を踏んで入山を目指す。ここまではお手の物。これは楽勝ムードかと言えばトンでもない。背中の荷物が重すぎた。テント装備やら5㍑の水が肩に食い込む。笹尾根の向こうの入山や樺山が私に微笑みかける。奥座敷に塩見岳がうすら青く佇んでいる。ファイトが湧いてくる。私はリベンジ山行特有の期待と緊張との奇妙なブレンド感が好きだ。

- 樺山
朝露に足元はびっしょり。白峰三山の応援を受けながら最後の急登をこなして入山へ。お久しぶりって感じで三角点にタッチだ。ひと息ついて東の稜線に踏み出す。まだまだ先は長いぞ。前回、踵(きびす)を返した地点を越えると稜線上が俄然ヤブっぽくなる。それをうまく交わして稜線直下に逃げる。要所要所に赤布を打っておく。
細かなアップダウンが多い。染まり始めの紅葉が息を飲む美しさ。こういうのを見ると、何故自分が山に登るのかの答えを見つけた気になる。樺山の右手に不敵に笑う小黒山が見えている。ちょこざいな。待ってろよ。
岩のギャップを左から越え、右にナギ落ちた崩壊地を通過。尾根上の起伏を丁寧に辿っていく。朽ちゆく区画班界や錆びたNoプレート、苔に被われた石標があったりで、人がこの山域を管理しようと試みた痕跡が目に入る。岩塊の基部を回ったり、ガリーを登ってひたすら前進。
深い森を歩いて高度をあげると樺山の山頂だった。ここは山頂台地の東寄りに例のプレートがある。それにしても時間がかかり過ぎる。本谷山までの行軍を考えると、どこに荷物をデポすると効率的かを真剣に考える必要があった。
樺山から小黒山までのコースは、一旦2160mの鞍部まで下ってから再び登り返す素直な地形だ。しかし、倒木をくぐり、針葉樹の灌木を抜けてルートを探す労力はそれなりだ。小黒山の山頂はシダ原とシラビソの中にあった。白骨化してへし折れた木が突っ立っている。

- 倒木帯
気分的には早く荷物をデポしたかった。けれども、ここはどう見立てても幕営地には不適だ。やむなく下りかける。すると、山頂南東直下2380mの鞍部にソロテントを張れそうな適地を発見した。傍らに色づいたナナカマドの大木がある。おまけに携帯のアンテナも立っているぞ!こいつは今宵の宿には、おあつらえ向きだ。
荷物を整理してアタックに必要なものだけをザックに詰め直す。これで肩に食い込むザックともおさらばだ!と宣言したいのだが、この先ルートに不案内。しっかりベーシックを詰め込むと、それなりの重量に化けた。
さあ、いくぞ!しかし、小黒山の南東ピークから西にそびえる2360mピークまでが難関だった。倒木帯と密生したシラビソの幼樹群の嵐。何度か針路を失いかける。視野のきかない深い森の中では地図とコンパスだけが頼りだ。それでも、2360mピークを越えると地形読みも楽になった。アップダウンを繰り返しながらようやく最終鞍部へ。
ここからターゲットの本谷山までは標高差300m。単純な登りに耐えるだけかと言えばそうでもない。二重山稜が連続する。疲れた身体を考えると、どこを歩けば効率的な歩きが出来るか気を揉む。果たして無事に稜線まで詰めあげる事ができるのだろうか。荷物をもっと絞れば良かった・・・と、いささかの後悔の念も。けれどもルート状況も不確か。安易に荷物も絞れなかった。
何ヶ所かヌタ場を見ながら最後の急登にかかる。シャクナゲを交わして歩くうち、草もみじの草付きに突っ込む。二重山稜を見て本峰に近い尾根筋を選択したが、行く手を阻むハイマツ帯に愕然。ヤツらにローアングルから攻め入るのは「地獄の沙汰」と折り込み済み。やむなく時計廻りに回り込む。ヤブはない。やったぁ!ひと登りですぐに稜線に届いた。

- 草もみじの登り
折しも登山者の姿。何だか、久しぶりに人で出会った気がする。聞けばこれから三伏峠のテン場を目指すらしい。彼がその場を去り、改めて四囲を見渡すと、錦繍の山肌にまとわりつくガスの流れが主峰、塩見岳を覆い隠している。まぁ、これはお得意の(?)想像力で見えない部分を補うしかあるまい。

- 本谷山
本谷山三角点に移動して自宅にメールを入れていると、男女のカップルが塩見小屋を目指して歩いてきた。こちらは、安堵感からまったりしたいところ。だが、先を思えばのんびりもできない。重い腰を上げ、来し方を辿り返して幕営予定地へトンボ返り。帰路だからと言って楽勝と言うわけにはいかない。集中力を欠いて何度もルートアウト。下山は難しいことを実感。迷走しながら、どうにかデポ地点に到着。
さっそくテントの設営に入って食事の準備。少量の白ワインにほろ酔いの夕べ。ほんわかしながら眠りについた。ところがだ、夜半の雨がテントを叩く。出がけの天気予測では気圧の谷が通過するなんて聞いてなかったぞ。
降り止まぬ雨と横なぐりの風。外気温一桁のこの季節に聞く雨風の音。それは絶望的に響いた。しかも、愛用のテントはベンチレータ開きっぱなしの一枚物のシェル構造なので、開口部から際限なく降り注ぐ霧雨がテント内を濡らしまくる。ひたすら耐える時間は気の遠くなるように長い。しかし、夜が明ける頃になってようやく雨は一段落した。
テントをたたんで出発準備だ。往路を忠実に戻り返す。軽くなったはずなのに、ザックが再び肩に食い込む。針葉樹をくぐるとコメツガの葉っぱが首から侵入してちくちくする。赤布を回収しながら歩く。

- サルオガセ
朽ち木に育った淡い色合いのキノコがしっとりつややか。サルオガセについた水滴が真珠と輝く。ガスの間に間に覗く山々が浮島のよう。照っても降っても美しい。雨がもたらしてくれた自然の叙情に思わず息をのむ。
ふ~さん