おはようございます、satoさん。
和歌山街道は、紀州の藩主の参勤交代道、伊勢詣、熊野詣、吉野詣の巡礼道、南紀や伊勢の海産物などを大和に運ぶ交易道として栄えた街道で、
波瀬には本陣が置かれ、旅籠屋も4軒あったのですね。和歌山街道は、街道名くらいしか知りませんでしたので、歴史を知りたくなりました。
酒造屋は5軒もあったのですか。
「酒米を運んだ請取峠をたどる」のお写真からも、波瀬は、栄えた宿場町だったことがうかがわれます。
波瀬の街には驚かされました。
田中家だけじゃなく他にも数軒巨大な家が周辺に点在しています。
山林地主が地元に住んでいる街特有のスゴミです。
高見山地を山越えした美杉の街も同じような感じです。
こちらは三浦しをんの「神去なあなあ日常」の舞台になっています。
波瀬の酒造屋は酒米を月出の米問屋から買っていて、そのお米は、和歌山街道沿いの町からではなく、
山を越えてさらに北上した伊賀の国から入手されたものだったのですね。波瀬の標高は、330m前後、白髪峠は、標高860mですよね。
交易道として栄えた街道からではなく、山を越えた伊賀の国に酒米を求めたのは何故なのでしょう。
波瀬や月出は、櫛田川下流の町より、御杖村菅野との結びつきが深かったのでしょうか。人の移動、物の移動、交易に思いを巡らすのは面白いです。
鎌倉末期の南北朝時代から織田信長に滅ぼされるまで伊勢は北畠氏が治めていました。
美杉に拠点を置いた南朝方の中心大名です。
この軍事通路や生活物資を運ぶ道が南北に山越えしています。
迷岳に続く稜線を越えて三瀬谷方面に越える道もあります。
こうした道が整備されていたのと
伊賀が距離的に近かった
伊賀が元々酒づくりがさかんだった
という事もあるのかなと思っています。
白髭峠道は、山中を緩やかに縫っていく、荷を背負った牛が歩く牛道だったのですね。
チーンチーンと鈴を鳴り響かせながら、2俵の米を牛の背に乗せ、牛方も1斗から2斗の米を背負って峠を越え、月出の米問屋に運んだのですね。
チーンチーン・・・九十九折の道をゆっくりと登っていく、両脇に大きな米俵を積んだ牛と、同じく大きな荷を背負った牛方の姿が浮かんできます。白髭峠には大日如来さまが祀られているのですね。
万物の根源であり真理といわれる大日如来さま。重荷を背負い、山越えの厳しい道のりを歩く人びとの、切実な祈りをお聞きになっていたのでしょうね。役割を終えた峠道は、埋もれていく運命に。大日如来さまも土に埋もれてしまっているのですね。
労力として大切な存在だった牛。各地の山中で名が残る塩の道は、牛道として知られていますが、ちいさな峠道も牛道がたくさんあったのでしょうね。粟柄越の道も牛道でした。
牛道って味わいがありますよね。
木馬道よりも使われてきた時代が長いだけに
昔人のいとなみを深く感じられる気がします。
- 牛道
「酒米を運んだ請取峠を辿る」「白髭峠の牛道発見」を拝読し、山越えの道、山中の道について、あらためて、いろいろ考えさせられ、宮本常一の『山に生きる人びと』をまた読み返したくなり、本棚から取り出しました。
そう、お酒の歴史文化も興味深いです。その土地、その土地に、その地のお酒がありますね。風土、暮らしと深く結びつくお酒。旅先で出会った日本酒、アジアやアフリカの国々で出会った醸造酒を思い出しました。
私も宮本常一は好きで読んでますよ。
異端の民俗学者赤松啓介も好きですが・・
satoさんが旅先で出会った酒の話をまた聞かせてください。
田中酒造屋さんは、今もあるのかな、と検索しましたら、林業を営まれているのですね。
田中家は、近江から流れてきて、農業を営む傍ら、植林や酒造業を手掛け、江戸時代には波瀬宿の脇本陣を務められたのですね。
請取峠周辺は田中山で田中家の山です。
白髪峠のキャタピラ道を整備したのは波瀬の他の山林地主です。
奥さんに名前を聞いたんだけど忘れた~
- 田中家
わりばしさんが投稿されていた、台高の木材乾溜工場跡の探索と考察が、本という形になってうれしいです。お山が戦争に利用されていたという歴史を、こうして残しておくことは、大切なことだと思います。私も、乾溜工場の跡を訪れたいです。歩いて、自分の眼で見て、触れて、感じたいです。和歌山街道沿いの町巡りと合わせて、ゆっくり歩きたいです。そう、いいたかBOOKJAZZカフェも訪れたいです。
話が飛んでしまいますが、実家に帰った時、野田の町を散歩して千秋社の建物を見てきました。わりばしさんのおかげで、実家に住んでいる時は嫌いだった野田の町への関心が高まりました。
オジヤンの聞き取りをずっと続けていたので、どうにか残しておきたいなと思っていたので
今回の話はありがたかったです。
いいたかBOOKJAZZカフェはマスターや集まってくる人も個性的でいいですよ。
遠く離れた飯高と野田が乾留でつながるとは不思議な縁ですね。