山道具考 スノーシューその1
Posted: 2011年5月29日(日) 18:31
私とスノーシューとの出会いは10年前に遡る。
木製ワカンからアルミワカンを経て辿り着いたのが、エキスパート・オブ・ジャパン社製の、その名も「21th century 黒竜」。
21世紀のブラックドラゴンという、何ともカッコいいネーミングと精悍な外観が物欲をくすぐった。
その当時いろんな外国メーカーからスノーシューが出ていたが、ほとんどすべてが雪原歩きか丘陵歩きにしか
使えない代物。急登では使い物にならず、結局山ではワカンが一番という結論に落ち着いていた。
そこへ登場したのが国産ワカンメーカーである当社の製品。アイゼンや、長さを調節できるという訳のわからな
いピッケルも作っていた雪山登山のパイオニア的メーカーだ。
黒と赤に塗り分けられた光るボディは力強く、いかにも仕事をしてくれそうな面構えである。
バイディングシステムも、踵のワイヤーケーブルとフロントのアイゼンバンドを流用したハーネスのコンビネーション。
そして裏を見ればガッチリとしたアイゼンがクラストした雪面もガッチリと捉えてくれそうだ。
その外観に一目惚れしてすぐに登山用品店に注文した。(当時、大阪で取り扱っている店はなかった。)
[attachment=0]秘密兵器_1.JPG[/attachment]
筆おろしは1月の土蔵岳である。それまで3度続けて敗退して、まだ登頂の叶わぬ山だ。
2002年の1月、出郷土倉に車を止めて尾根に取り付いた。ヒールリフターなるものを初めて試してみたが、作り
がチャチですぐに外れて落ちてしまった。
ワカンより沈まないような気もするが、同時に履き比べてみないと結論は出ない。それに、歩き進む内にツボ足
でも潜らなくなってしまったのである。テストには実に不向きな雪質だ。
山頂手前のブナ林の急登。やや沈みだしたので再び装着してみた。ところが、斜面にフラットにスノーシュー
を置くと、そのまま後ろにズルズルと滑り出すではないか。
一般的なスノーシューはパイプフレームに樹脂のデッキという構造だが、この「21th century 黒竜」はスキー板のような
素材(カーボンファイバーだったか)の1枚ものである。ソールはまったくフラット。
と言うことは、スキーのように滑って当然だ。アイゼンだけでは無抵抗状態である。ストックを突いた上半身をそ
のままに、下半身だけが勝手に落ちて行く。これはイカン。
その代わり下りでは、スキーのようにスライドさせながら歩くことができて快適?だ。
その精悍な外見と裏腹な雪上性能にガックリしてしまった。その後何回か履いたものの、ここぞという山では
必ずワカンという生活に戻ってしまった。
やっぱり山ではワカンに限る。その思いがますます強くなっただけの初スノーシュー体験であった。
あのスノーシューに出会うまでは・・・・
山日和
木製ワカンからアルミワカンを経て辿り着いたのが、エキスパート・オブ・ジャパン社製の、その名も「21th century 黒竜」。
21世紀のブラックドラゴンという、何ともカッコいいネーミングと精悍な外観が物欲をくすぐった。
その当時いろんな外国メーカーからスノーシューが出ていたが、ほとんどすべてが雪原歩きか丘陵歩きにしか
使えない代物。急登では使い物にならず、結局山ではワカンが一番という結論に落ち着いていた。
そこへ登場したのが国産ワカンメーカーである当社の製品。アイゼンや、長さを調節できるという訳のわからな
いピッケルも作っていた雪山登山のパイオニア的メーカーだ。
黒と赤に塗り分けられた光るボディは力強く、いかにも仕事をしてくれそうな面構えである。
バイディングシステムも、踵のワイヤーケーブルとフロントのアイゼンバンドを流用したハーネスのコンビネーション。
そして裏を見ればガッチリとしたアイゼンがクラストした雪面もガッチリと捉えてくれそうだ。
その外観に一目惚れしてすぐに登山用品店に注文した。(当時、大阪で取り扱っている店はなかった。)
[attachment=0]秘密兵器_1.JPG[/attachment]
筆おろしは1月の土蔵岳である。それまで3度続けて敗退して、まだ登頂の叶わぬ山だ。
2002年の1月、出郷土倉に車を止めて尾根に取り付いた。ヒールリフターなるものを初めて試してみたが、作り
がチャチですぐに外れて落ちてしまった。
ワカンより沈まないような気もするが、同時に履き比べてみないと結論は出ない。それに、歩き進む内にツボ足
でも潜らなくなってしまったのである。テストには実に不向きな雪質だ。
山頂手前のブナ林の急登。やや沈みだしたので再び装着してみた。ところが、斜面にフラットにスノーシュー
を置くと、そのまま後ろにズルズルと滑り出すではないか。
一般的なスノーシューはパイプフレームに樹脂のデッキという構造だが、この「21th century 黒竜」はスキー板のような
素材(カーボンファイバーだったか)の1枚ものである。ソールはまったくフラット。
と言うことは、スキーのように滑って当然だ。アイゼンだけでは無抵抗状態である。ストックを突いた上半身をそ
のままに、下半身だけが勝手に落ちて行く。これはイカン。
その代わり下りでは、スキーのようにスライドさせながら歩くことができて快適?だ。
その精悍な外見と裏腹な雪上性能にガックリしてしまった。その後何回か履いたものの、ここぞという山では
必ずワカンという生活に戻ってしまった。
やっぱり山ではワカンに限る。その思いがますます強くなっただけの初スノーシュー体験であった。
あのスノーシューに出会うまでは・・・・
山日和