【加賀】白木山 白山の大パノラマを楽しむマイナーピーク

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山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【加賀】白木山 白山の大パノラマを楽しむマイナーピーク

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2024年3月16日(土)
【山 域】加越国境稜線 谷峠周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】五十谷林道入口7:10---8:20尾根取付き8:35---9:55小豆山10:10---12:00 P1261 13:00---13:45白木山15:00
     ---14:40 P1261 15:00---小豆山16:35---17:35林道---18:30駐車地

 昨春、谷峠の下から加越国境の横平山を訪れた時、途中のピークで間違って入りかけた尾根がある。その尾根の
先にあるのが1317.4mの白木山である。白木峰とも呼ばれているようだが、三角点名は白木山だ。
スタンフォード大の古い5万図によると、山頂の南側直下に白木越という新保と赤谷を結ぶ古道が描かれている。
奥深い山村同士を繋ぐ険しい山道は、どういう目的で利用されていたのだろうか。

 谷峠から国道を少し下った五十谷林道の入口がうまい具合に除雪されていた。寡雪と言われた今シーズンだが、
終盤になって2回ほどまとまった雪が降り、再び雪山が楽しめるようになった。
国道脇も高い雪の壁ができて、昨年とあまり変わらない景色を見せている。


IMG_4787_1.JPG

 林道の入口からスノーシューを履いて出発。カチカチの雪を予想していたのだが、くるぶしあたりまで沈むの
は想定外だった。
五十谷の谷間に入ると、雪融け水が流れて地肌が出ているところもわずかにあったが、林道は1m以上のの積雪に
覆われていた。地獄の滑り台がないだけマシだが、あるはずの橋がなかったり、林道が崩壊している箇所もあり、
予定外のラッセルと相まって時間を食う。

IMG_4815_1.JPG

 三俣で林道が右の谷へ回り込んだところで尾根に取り付いた。この尾根は最初だけが植林帯の急登だが、少し
の我慢で自然林の気持ちのいい尾根に変わる。
振り返れば白山の姿が大きく見えるが、やや霞がちなのが残念だ。
 
 雑木林から雑木林から雑木林から若いブナ林に変わった爽やかな尾根を歩いて行くと、1080.5mの三角点差上
峠から続く尾根に乗った。左折すれば1166mの小豆山へは一投足である。
昨年に続いての小豆山頂上でひと息入れる。今日は加越国境稜線もノートレースだ。


IMG_4857_1.JPG
IMG_4877_1.JPG

 白木山への1160mジャンクションピークへは2度のアップダウンがある。
北側斜面の美しいブナ林を愛でながらジャンクションピークに立つと、越前甲と加賀大日山の姿が迫る。
木立のない雪のドームとなったピークからは経ヶ岳や大長山の眺めも素晴らしい。白山は言わずもがな。
時間が経つにつれ、霞みが取れてすっきりした姿を見せてくれるようになった。
 去年はトレースが続いていたこともあり、一見主尾根に見える白木山への尾根に誘い込まれてしまった。
今年はその尾根を辿る。予定より時間が押していることもあり、12時半で区切って引き返すことにした。
細かいアップダウンが続く尾根は行きも帰りもあまり時間が変わらないだろうという読みである。

IMG_4865_1.JPG

 ブナ林を抜けて白木山へ続く尾根に入ると、すぐに植生が変わった。西側はブナ林、東側は伐採後だろうか、
無木立の尾根となる。このため東側には終始白山方面の大パノラマが展開する好展望の尾根が続いた。
細かいアップダウンが連続する尾根は、軽いとは言えラッセルが続くと体力を消耗する。
しかし、小ピークに立つたびに見事な展望が開けるのがたまらない。
去年の横平山への尾根もよかったが、この尾根はワンランク上だと言えるだろう。
西側に展開するブナ林も素晴らしく、時折風格のある大木が現れるのも好ましい。

 1261m標高点まで来たところで思案した。山頂まで30分で行けるようには見えないが、ここで短めのランチ
タイムを取って空身で往復すれば楽だろう。天気は快晴微風。荷物を持たなくても不安な要素はない。
それに、今を逃したら二度と白木山の山頂に立つ機会は訪れないかもしれない。
 食後のルーティンのコーヒータイムをカットして、1時間ほど白山を真正面に見ながらのランチタイムを楽し
んだ。普通の人なら全然短くない時間だが、我々にとって超短縮ランチタイムなのだ。

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 空身で白木山に向かってスタート。やはり体が軽い。
相変わらずの見事な展望と美しいブナ林、迫力満点の雪堤を楽しみながらの歩行に心が浮き立つ。
 一旦下って80mほど登り返せば白木山頂は目の前だ。
手前の鞍部にあったという白木越の両側を見ると、とても峠越えの道があるようには思えなかった。

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 白いドームを青空に向かって登ると、広い白木山の山頂に到着である。
当然のことながら、ここより高いところはまわりにないので展望は全開だ。
驚いたのは東側の展望である。白山の眺望はさりながら、その右には別山から三ノ峰、銚子ヶ峰と願教寺山、
日岸山まで見える。そして左側には白山北方稜線の笈ヶ岳から大笠山、奈良岳、奥三方山と並ぶ。
白山から続く山々をこれだけワイドな眺めを得られる山は珍しいのではないだろうか。
霞んでいるが荒島岳の姿も確認できた。
この眺めを見ると、あきらめずにここまで来て良かったと心から思った。

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 普段なら下山は楽だとなるのだが、ここではそうはいかない。往路と同じようなアップダウンを一つひとつ
こなして行かなければ帰れないのである。往復コースは好まないのだが、この山はそうは行かない。
加越国境稜線から大きく張り出した尾根上に存在する白木山は、東西どちらの山麓からもアプローチが困難なのだ。

 足は重いが、午前中とは光の方向が変わって同じ景色も違った趣きがある。
ようやく小豆山まで戻って来た。もう4時だが、暗くなる前にはなんとか下山できるだろう。
登りに使った尾根もトレースのある下りは速く、あっという間に五十谷の林道に着地。
少し薄暗くなりかかった林道を歩いていると、正面に見える白山が茜色に染まっていた。

                 山日和
sato
記事: 422
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【加賀】白木山 白山の大パノラマを楽しむマイナーピーク

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
3月に入ってから、気候の変動が激しいですね。
暖かな週末からまた冬の寒さに戻りました。今日の夕方からは、暴風みぞれです。山は雪ですね。

白山麓十八村の出作り生活文化に興味があり、一年前、谷峠から横平山を訪れ、
加越国境稜線の大日峠から谷峠の間に名前のついた峠がいくつもあることを知り、
ますます、滝波川上流域と手取川上流域に暮らした人々の歴史への関心が深まっていきました。
今回は、小松市と白山市の境の山、白木山へ。是非訪れたいと思っていたお山でしたのでうれしかったです。

白山麓十八村出作り地図を見ると、大道谷は出作りが盛んで、五十谷も何軒かが出作りを行っていました。
その中の一軒、標高820mの地にあった永住出作り民家が、白山麓民族資料館に移築されています。
私たちが尾根に取り付いた所から林道は谷を離れ標高820mあたりの緩やかな山肌に延びていますね。
このあたりで出作りをしていたのでしょうね。こんなに山奥の雪深いところで人々が暮らしていたのですね。
林道歩きで、予想外に潜るなぁ、などと言っていましたが、当時の人々は、どれほど大変だったことか。

昨年歩いた尾根も素敵でしたが、この尾根も白山を望む素敵な尾根でしたね。朝は春霞でぼんやりとしていましたが。
雑木林の雰囲気もよく、ブナ林もうつくしかったです。楽しい痩せ尾根もありましたね。
稜線に出ると、昨年よりも雪が多い感じがしました。そしてまっ白、全く汚れていない。高揚感に包まれました。
ジャンクションピークに着いた頃には、大分霞も取れてきて、青空に浮かぶ白き峰々にうっとり。
ここから眺める越前甲と加賀大日山のお姿は印象的ですね。

10時50分。タイムリミットは12時半。
白木山とジャンクションピークとの標高差は、150m弱しかないけれど、アップダウンが続いていく。
この雪質だと、ちょっと厳しいか。
ひとつめのピーク、ふたつめのピーク・・ピークに立つたび、素晴らしい眺めに感激しつつ、
お昼の時間を重視する山日和さんから「もうここまででいいか」という言葉が出るのではないかと、ちょっとドキドキ。
P1261で「ここでお昼にしよう」とおっしゃった時、ここまでなのだな、と思いましたが、
続けて「荷物を置いて山頂に行こう」とのお言葉に、そうか、その手があったか、と。
絶好の白山展望台でお昼の休憩が出来て、身軽になって山頂に向かえました。

白木山山頂からの眺望は格別でしたね。白山を真正面に、左は北方稜線の峰々、右は別山から日岸山まで一列に。
夢のような光景でした。辿り着くことが出来てほんとうによかったです。
一歩一歩足跡を刻みながらの歩みでしたので感慨ひとしおでした。足跡を見ながら締った雪でなくてよかったと思いました。

白木越は、こんなところに道があったのか、と驚きました。
新保の出作り集落新保出と、赤谷、下田原谷に点在する出作り集落とを結ぶ道だったのですね。
赤谷と下田原谷も出作りが盛んで、出作り地図にはそれぞれ学校マークもありました。

P1261を出発したのは15時でしたが、白き峰々に見守られ、うつくしい風景の中、
焦ることなく、頑張って歩くことが出来ました。
最後の下りでは、何度か大踏み抜きをして手こずりましたが、17時半過ぎに林道に着地。
緩んだ雪の林道崩落地とスノーブリッジが気になり、明るいうちに越えたかったのでホッとしました。
懸念していた箇所も、山日和さんがあらたに足場を作ってくださり、すんなり?越えてひと安心。
見上げるとやわらかな茜色に染まった白山。
最後まで、白山が見守ってくださいましたね。
ヘッドランプを使う直前の時間に駐車地に到着出来てよかったです。

白き峰々を仰ぎ見ながら素晴らしい稜線歩きを満喫した山旅でした。
出作りのことをもっともっと知りたくなりました。
ゆたかな一日でした。ありがとうございます。

sato
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山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【加賀】白木山 白山の大パノラマを楽しむマイナーピーク

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。

白山麓十八村の出作り生活文化に興味があり、一年前、谷峠から横平山を訪れ、
加越国境稜線の大日峠から谷峠の間に名前のついた峠がいくつもあることを知り、
ますます、滝波川上流域と手取川上流域に暮らした人々の歴史への関心が深まっていきました。


木地山峠、小豆峠、中野俣峠、今回の白木越と、山村同士の交流の歴史が偲ばれますね。

白山麓十八村出作り地図を見ると、大道谷は出作りが盛んで、五十谷も何軒かが出作りを行っていました。
その中の一軒、標高820mの地にあった永住出作り民家が、白山麓民族資料館に移築されています。
私たちが尾根に取り付いた所から林道は谷を離れ標高820mあたりの緩やかな山肌に延びていますね。
このあたりで出作りをしていたのでしょうね。こんなに山奥の雪深いところで人々が暮らしていたのですね。

そんな地図があるんですね。知らなかったわ。
五十谷の奥は広々としているので、出作りには適していたんでしょうね。

IMG_4802_1.JPG

昨年歩いた尾根も素敵でしたが、この尾根も白山を望む素敵な尾根でしたね。朝は春霞でぼんやりとしていましたが。
雑木林の雰囲気もよく、ブナ林もうつくしかったです。楽しい痩せ尾根もありましたね。


この尾根は期待してなかったけど、まあまあ当たりでした。 :D

稜線に出ると、昨年よりも雪が多い感じがしました。そしてまっ白、全く汚れていない。高揚感に包まれました。

雪量は同じぐらいかな。ただ新雪で真っ白なのがよかったですね。去年もキレイだったけど。

IMG_4837_1.JPG

ジャンクションピークに着いた頃には、大分霞も取れてきて、青空に浮かぶ白き峰々にうっとり。
ここから眺める越前甲と加賀大日山のお姿は印象的ですね。

この日は遠望は難しいかなと思ったけど、時間が経つにつれて空気が澄んできましたね。
越前甲と加賀大日は迫力満点でした。


IMG_4903_1.JPG

10時50分。タイムリミットは12時半。
白木山とジャンクションピークとの標高差は、150m弱しかないけれど、アップダウンが続いていく。この雪質だと、ちょっと厳しいか。


この時点では半ばあきらめてました。 :lol:

ひとつめのピーク、ふたつめのピーク・・ピークに立つたび、素晴らしい眺めに感激しつつ、
お昼の時間を重視する山日和さんから「もうここまででいいか」という言葉が出るのではないかと、ちょっとドキドキ。
P1261で「ここでお昼にしよう」とおっしゃった時、ここまでなのだな、と思いましたが、
続けて「荷物を置いて山頂に行こう」とのお言葉に、そうか、その手があったか、と。
絶好の白山展望台でお昼の休憩が出来て、身軽になって山頂に向かえました。


DSC_0651_original_1.JPG

ここまででも十分だと思えるような小ピークが続きましたね。ランチ適地だらけで迷ったけど、もう少し、もう少しと。
1214まで来た時、1261まで進んで空身なら届くかもと考えてましたよ。
だから1261に着いた時にはここでやめる気はありませんでした。 :D

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白木山山頂からの眺望は格別でしたね。白山を真正面に、左は北方稜線の峰々、右は別山から日岸山まで一列に。
夢のような光景でした。辿り着くことが出来てほんとうによかったです。
一歩一歩足跡を刻みながらの歩みでしたので感慨ひとしおでした。足跡を見ながら締った雪でなくてよかったと思いました。


ホントに素晴らしい山頂でしたね。それまでも展望はよかったけど、ここからのパノラマは別物でした。
やめなくてよかったとしみじみ思いましたが、締まった雪でなくてよかったとは微塵も思いませんでした。 :mrgreen:

パノラマ1_2_1.jpg

白木越は、こんなところに道があったのか、と驚きました。
新保の出作り集落新保出と、赤谷、下田原谷に点在する出作り集落とを結ぶ道だったのですね。
赤谷と下田原谷も出作りが盛んで、出作り地図にはそれぞれ学校マークもありました。

白木越は一見こんなところにと思うような場所でしたね。
ふもとの出作りには学校まであったんですか。

P1261を出発したのは15時でしたが、白き峰々に見守られ、うつくしい風景の中、
焦ることなく、頑張って歩くことが出来ました。

アップダウンがじわじわと効きましたが、展望が元気づけてくれましたね。

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最後の下りでは、何度か大踏み抜きをして手こずりましたが、17時半過ぎに林道に着地。

一度大ハマりした時には脱出に苦労しましたね。 :lol:

緩んだ雪の林道崩落地とスノーブリッジが気になり、明るいうちに越えたかったのでホッとしました。

国境ジャンクションに着いた時点で時間が読めたので、心配はしませんでしたよ。

見上げるとやわらかな茜色に染まった白山。
最後まで、白山が見守ってくださいましたね。


IMG_5029_1.JPG

横平山の時もそうだったけど、一日中白山に見守られた山旅でしたね。

ヘッドランプを使う直前の時間に駐車地に到着出来てよかったです。

日が長くなったのを実感しますね。半月前ならヘッデン必須でした。

              山日和
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