【湖北】新雪のブナ林を行く 中河内から河内山へ
Posted: 2024年1月31日(水) 23:17
【日 付】2024年1月27日(土)
【山 域】湖北 高時川源流域
【天 候】曇り一時晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】中河内8:10---9:40三角点空谷--11:10-江越国境稜線---12:00ランチ場13:20---14:20河内山---
15:25庄野嶺越---16:00中河内
久し振りの大雪が降った。湖北の長浜あたりは過去最大の積雪らしい。雪が降るのはありがたいが、降り過
ぎるのも困りものだ。
余呉では積雪ゼロだったのが1日で60センチも積もっている。下手な選択をするとクリスマスの妙理山の二の舞
になりかねない。
木之本まで来てとんでもないことに気が付いた。オーバーズボンを忘れてしまったのである。
この雪でオーバーズボン無しでは厳し過ぎる。コンビニにカッパが売ってないか探したが無かった。
待ち合わせ場所にまだ来ていないsatoさんに連絡すると、別のコンビニで見つけたのこと。購入を依頼してなん
とか事なきを得た。やれやれである。
滋賀県下随一の豪雪地帯である中河内は雪国の様相だった。しかしこれでも積雪は1m余り。
多い時は2mから3m近く積もる中河内としては少ない方だろう。
早速ビニールカッパのズボンを着用すると、あたり前だが下半身がスケスケで珍妙なスタイルだ。
誰にも会うことはないだろうが、登山者に出会わないことを祈ろう。
国道の雪の壁を越えて網谷の左岸尾根に取り付く。最初からスノーシュー装着である。
ヒザ下ぐらいまで潜ったが、思ったより雪は締まっている。年末の妙理山の時のような底なしに沈む感覚と粘り
気がないので足が出るのだ。
植林を抜けて自然林に出ると沈みはやや少なくなった。空はどんよりとした冴えない色だが、降らなければ良
しである。中河内へ向かう途中、あまりに暗い空の色に引き返して別の山にしようかと思ったぐらいだ。
ブナ混じりの雑木林の雰囲気は悪くはない。雪面から潅木が頭を出しているのでスッキリ感は少ないが、普段
の積雪なら完全に埋まってしまうのだろう。
637.6mの三角点空谷の付近はまずまずのブナ林だった。
広い尾根上を送電線が横切る鉄塔では好展望が得られた。曇り空ながらも雲底が高いのでそれなりに視界が利き、
敦賀湾とその奥に西方ヶ岳や野坂の山々の姿が見える。
振り返れば大黒山のどっしりとした姿があった。その奥に控えるのは横山岳か。
このまま尾根を進んで江越国境稜線へ出て、Uターンするように南進してもいいのだが、西へ落ちる小尾根を
辿って網谷源流へ下り、そこから50mほど登り返すルートを選択した。同じような林相の尾根歩きよりも変化が
あって面白いだろう。
すっきりした尾根を難なく網谷に到達したが、谷はV字型で両岸は地形図で見るよりもやや急である。
右の支流へ迂回するように谷底へ下り、谷にかかる木の枝をステップにして対岸へ飛び移った。
対岸の斜面もなかなかの斜度で雪も深い。一歩一歩足場を固めながら進むしかない。
50mの我慢だとわかっているので無心に足を動かすと、平坦な国境稜線に飛び出した。
時間的にショートカットできたのかは疑わしいところだが、尾根歩きに終始するよりはいいアクセントになった
ことは間違いない。
尾根に乗ったところは厳密には国境稜線ではなく、国境が鋭角に右折する台地の南に顕著な支尾根が派生する
場所だった。進むべき稜線は狭い方の尾根だ。この尾根を辿ると支谷の源流が尾根とほとんど高度差のない、た
おやかな地形が現れた。さっきの分岐点から谷を下っても登り返し無しでここに出られたようだ。潅木のヤブが
完全に埋まっていればパラダイスだろう。
この稜線はところどころに主尾根よりも立派な支尾根が張り出しており、その都度進むべき方向を確認しない
といけない。
ブナの純林とはいかないが、ブナ混じりの雑木の林が続く尾根は敦賀湾方面の見晴らしが良く、海の意外な近
さを認識させられた。直線距離にして5キロ余りしかないのだからあたり前なのだが、海の無い滋賀県下で最も
海に近い場所なのだろう。
敦賀湾の展望を楽しみながらのランチタイムとしたかったのだが、あいにく西からの風がある。
少し日差しも出てきたので、反対側のゆるやかな谷の源頭を眺める場所に腰を降ろした。
潅木の影が雪面に描く模様が美しい。福井県側は放置植林だが、見なければいいところだ。
食後、河内山に向けて歩を進める。ゆるやかなアップダウンと曲折を繰り返す稜線は、二重山稜や微妙な雪面
の起伏があり、楽しく歩くことができる。雪は予想外によく締まってやり、ラッセルもくるぶしまで沈む程度だ。
徐々にブナの割合が増えてきた。最後の登りをこなすと広い雪原にブナの疎林が広がる河内山の山頂である。
これまでとはまったく違う見事なブナ林が進行方向に続いている。
ここから655m標高点まで、尾根はブナの純林に包まれていた。頭上は完全に青空が広がっている。
このブナ林の山上台地を見るだけでも訪れる価値があるだろう。
三角点は網谷という名前だが、河内山と池内山という2種類のプレートが掛けられていた。
福井県側の山麓には湿原で知られる池河内という集落がある。頭の文字が池か河というところだが、どちらが正
しいのだろう。
655mピークから広い斜面を急降下して行くと、ブナ林を続くやや細い尾根に乗った。左手の網谷支流の源流
もなかなかの雰囲気だ。
再び太陽の姿は消え、空は沈んだ色に変わった。601m標高点の先までブナ林は続く。これほどいい稜線だとは
想像していなかった。
601mの次のピークで国境稜線とはお別れである。足元を見るとこれまでとはレベルの違う広い道形があり、
見覚えのあるコンクリート造りの構造物が見えた。
ここからは庄野嶺越の古道である。この道は雪に押されて木の枝が被っているところもあるが、概ね快適に歩く
ことができる。
中河内の集落の屋根がすぐそこに見えた。下り立った国道の脇道に経つ家々はほとんどが廃屋だった。
見応えのあるケヤキの巨樹の立つ広峰神社の階段は除雪されておらず、階段の下から山行の無事に感謝の手を
合わせた。
山日和
【山 域】湖北 高時川源流域
【天 候】曇り一時晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】中河内8:10---9:40三角点空谷--11:10-江越国境稜線---12:00ランチ場13:20---14:20河内山---
15:25庄野嶺越---16:00中河内
久し振りの大雪が降った。湖北の長浜あたりは過去最大の積雪らしい。雪が降るのはありがたいが、降り過
ぎるのも困りものだ。
余呉では積雪ゼロだったのが1日で60センチも積もっている。下手な選択をするとクリスマスの妙理山の二の舞
になりかねない。
木之本まで来てとんでもないことに気が付いた。オーバーズボンを忘れてしまったのである。
この雪でオーバーズボン無しでは厳し過ぎる。コンビニにカッパが売ってないか探したが無かった。
待ち合わせ場所にまだ来ていないsatoさんに連絡すると、別のコンビニで見つけたのこと。購入を依頼してなん
とか事なきを得た。やれやれである。
滋賀県下随一の豪雪地帯である中河内は雪国の様相だった。しかしこれでも積雪は1m余り。
多い時は2mから3m近く積もる中河内としては少ない方だろう。
早速ビニールカッパのズボンを着用すると、あたり前だが下半身がスケスケで珍妙なスタイルだ。
誰にも会うことはないだろうが、登山者に出会わないことを祈ろう。
国道の雪の壁を越えて網谷の左岸尾根に取り付く。最初からスノーシュー装着である。
ヒザ下ぐらいまで潜ったが、思ったより雪は締まっている。年末の妙理山の時のような底なしに沈む感覚と粘り
気がないので足が出るのだ。
植林を抜けて自然林に出ると沈みはやや少なくなった。空はどんよりとした冴えない色だが、降らなければ良
しである。中河内へ向かう途中、あまりに暗い空の色に引き返して別の山にしようかと思ったぐらいだ。
ブナ混じりの雑木林の雰囲気は悪くはない。雪面から潅木が頭を出しているのでスッキリ感は少ないが、普段
の積雪なら完全に埋まってしまうのだろう。
637.6mの三角点空谷の付近はまずまずのブナ林だった。
広い尾根上を送電線が横切る鉄塔では好展望が得られた。曇り空ながらも雲底が高いのでそれなりに視界が利き、
敦賀湾とその奥に西方ヶ岳や野坂の山々の姿が見える。
振り返れば大黒山のどっしりとした姿があった。その奥に控えるのは横山岳か。
このまま尾根を進んで江越国境稜線へ出て、Uターンするように南進してもいいのだが、西へ落ちる小尾根を
辿って網谷源流へ下り、そこから50mほど登り返すルートを選択した。同じような林相の尾根歩きよりも変化が
あって面白いだろう。
すっきりした尾根を難なく網谷に到達したが、谷はV字型で両岸は地形図で見るよりもやや急である。
右の支流へ迂回するように谷底へ下り、谷にかかる木の枝をステップにして対岸へ飛び移った。
対岸の斜面もなかなかの斜度で雪も深い。一歩一歩足場を固めながら進むしかない。
50mの我慢だとわかっているので無心に足を動かすと、平坦な国境稜線に飛び出した。
時間的にショートカットできたのかは疑わしいところだが、尾根歩きに終始するよりはいいアクセントになった
ことは間違いない。
尾根に乗ったところは厳密には国境稜線ではなく、国境が鋭角に右折する台地の南に顕著な支尾根が派生する
場所だった。進むべき稜線は狭い方の尾根だ。この尾根を辿ると支谷の源流が尾根とほとんど高度差のない、た
おやかな地形が現れた。さっきの分岐点から谷を下っても登り返し無しでここに出られたようだ。潅木のヤブが
完全に埋まっていればパラダイスだろう。
この稜線はところどころに主尾根よりも立派な支尾根が張り出しており、その都度進むべき方向を確認しない
といけない。
ブナの純林とはいかないが、ブナ混じりの雑木の林が続く尾根は敦賀湾方面の見晴らしが良く、海の意外な近
さを認識させられた。直線距離にして5キロ余りしかないのだからあたり前なのだが、海の無い滋賀県下で最も
海に近い場所なのだろう。
敦賀湾の展望を楽しみながらのランチタイムとしたかったのだが、あいにく西からの風がある。
少し日差しも出てきたので、反対側のゆるやかな谷の源頭を眺める場所に腰を降ろした。
潅木の影が雪面に描く模様が美しい。福井県側は放置植林だが、見なければいいところだ。
食後、河内山に向けて歩を進める。ゆるやかなアップダウンと曲折を繰り返す稜線は、二重山稜や微妙な雪面
の起伏があり、楽しく歩くことができる。雪は予想外によく締まってやり、ラッセルもくるぶしまで沈む程度だ。
徐々にブナの割合が増えてきた。最後の登りをこなすと広い雪原にブナの疎林が広がる河内山の山頂である。
これまでとはまったく違う見事なブナ林が進行方向に続いている。
ここから655m標高点まで、尾根はブナの純林に包まれていた。頭上は完全に青空が広がっている。
このブナ林の山上台地を見るだけでも訪れる価値があるだろう。
三角点は網谷という名前だが、河内山と池内山という2種類のプレートが掛けられていた。
福井県側の山麓には湿原で知られる池河内という集落がある。頭の文字が池か河というところだが、どちらが正
しいのだろう。
655mピークから広い斜面を急降下して行くと、ブナ林を続くやや細い尾根に乗った。左手の網谷支流の源流
もなかなかの雰囲気だ。
再び太陽の姿は消え、空は沈んだ色に変わった。601m標高点の先までブナ林は続く。これほどいい稜線だとは
想像していなかった。
601mの次のピークで国境稜線とはお別れである。足元を見るとこれまでとはレベルの違う広い道形があり、
見覚えのあるコンクリート造りの構造物が見えた。
ここからは庄野嶺越の古道である。この道は雪に押されて木の枝が被っているところもあるが、概ね快適に歩く
ことができる。
中河内の集落の屋根がすぐそこに見えた。下り立った国道の脇道に経つ家々はほとんどが廃屋だった。
見応えのあるケヤキの巨樹の立つ広峰神社の階段は除雪されておらず、階段の下から山行の無事に感謝の手を
合わせた。
山日和