【湖北】新雪のブナ林を行く 中河内から河内山へ

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山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【湖北】新雪のブナ林を行く 中河内から河内山へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2024年1月27日(土)
【山 域】湖北 高時川源流域
【天 候】曇り一時晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】中河内8:10---9:40三角点空谷--11:10-江越国境稜線---12:00ランチ場13:20---14:20河内山---
     15:25庄野嶺越---16:00中河内

 久し振りの大雪が降った。湖北の長浜あたりは過去最大の積雪らしい。雪が降るのはありがたいが、降り過
ぎるのも困りものだ。
余呉では積雪ゼロだったのが1日で60センチも積もっている。下手な選択をするとクリスマスの妙理山の二の舞
になりかねない。

 木之本まで来てとんでもないことに気が付いた。オーバーズボンを忘れてしまったのである。
この雪でオーバーズボン無しでは厳し過ぎる。コンビニにカッパが売ってないか探したが無かった。
待ち合わせ場所にまだ来ていないsatoさんに連絡すると、別のコンビニで見つけたのこと。購入を依頼してなん
とか事なきを得た。やれやれである。


P1270001_1.JPG

 滋賀県下随一の豪雪地帯である中河内は雪国の様相だった。しかしこれでも積雪は1m余り。
多い時は2mから3m近く積もる中河内としては少ない方だろう。
早速ビニールカッパのズボンを着用すると、あたり前だが下半身がスケスケで珍妙なスタイルだ。
誰にも会うことはないだろうが、登山者に出会わないことを祈ろう。

 国道の雪の壁を越えて網谷の左岸尾根に取り付く。最初からスノーシュー装着である。
ヒザ下ぐらいまで潜ったが、思ったより雪は締まっている。年末の妙理山の時のような底なしに沈む感覚と粘り
気がないので足が出るのだ。
 植林を抜けて自然林に出ると沈みはやや少なくなった。空はどんよりとした冴えない色だが、降らなければ良
しである。中河内へ向かう途中、あまりに暗い空の色に引き返して別の山にしようかと思ったぐらいだ。

P1270034_1.JPG

 ブナ混じりの雑木林の雰囲気は悪くはない。雪面から潅木が頭を出しているのでスッキリ感は少ないが、普段
の積雪なら完全に埋まってしまうのだろう。
 637.6mの三角点空谷の付近はまずまずのブナ林だった。
広い尾根上を送電線が横切る鉄塔では好展望が得られた。曇り空ながらも雲底が高いのでそれなりに視界が利き、
敦賀湾とその奥に西方ヶ岳や野坂の山々の姿が見える。
振り返れば大黒山のどっしりとした姿があった。その奥に控えるのは横山岳か。

パノラマ_1_1.jpg
P1270042_1.JPG

 このまま尾根を進んで江越国境稜線へ出て、Uターンするように南進してもいいのだが、西へ落ちる小尾根を
辿って網谷源流へ下り、そこから50mほど登り返すルートを選択した。同じような林相の尾根歩きよりも変化が
あって面白いだろう。
 すっきりした尾根を難なく網谷に到達したが、谷はV字型で両岸は地形図で見るよりもやや急である。
右の支流へ迂回するように谷底へ下り、谷にかかる木の枝をステップにして対岸へ飛び移った。
対岸の斜面もなかなかの斜度で雪も深い。一歩一歩足場を固めながら進むしかない。
50mの我慢だとわかっているので無心に足を動かすと、平坦な国境稜線に飛び出した。
時間的にショートカットできたのかは疑わしいところだが、尾根歩きに終始するよりはいいアクセントになった
ことは間違いない。

 尾根に乗ったところは厳密には国境稜線ではなく、国境が鋭角に右折する台地の南に顕著な支尾根が派生する
場所だった。進むべき稜線は狭い方の尾根だ。この尾根を辿ると支谷の源流が尾根とほとんど高度差のない、た
おやかな地形が現れた。さっきの分岐点から谷を下っても登り返し無しでここに出られたようだ。潅木のヤブが
完全に埋まっていればパラダイスだろう。


P1270072_1.JPG

 この稜線はところどころに主尾根よりも立派な支尾根が張り出しており、その都度進むべき方向を確認しない
といけない。
 ブナの純林とはいかないが、ブナ混じりの雑木の林が続く尾根は敦賀湾方面の見晴らしが良く、海の意外な近
さを認識させられた。直線距離にして5キロ余りしかないのだからあたり前なのだが、海の無い滋賀県下で最も
海に近い場所なのだろう。

P1270115_1.JPG
P1270162_1.JPG

 敦賀湾の展望を楽しみながらのランチタイムとしたかったのだが、あいにく西からの風がある。
少し日差しも出てきたので、反対側のゆるやかな谷の源頭を眺める場所に腰を降ろした。
潅木の影が雪面に描く模様が美しい。福井県側は放置植林だが、見なければいいところだ。

 食後、河内山に向けて歩を進める。ゆるやかなアップダウンと曲折を繰り返す稜線は、二重山稜や微妙な雪面
の起伏があり、楽しく歩くことができる。雪は予想外によく締まってやり、ラッセルもくるぶしまで沈む程度だ。

 徐々にブナの割合が増えてきた。最後の登りをこなすと広い雪原にブナの疎林が広がる河内山の山頂である。
これまでとはまったく違う見事なブナ林が進行方向に続いている。
ここから655m標高点まで、尾根はブナの純林に包まれていた。頭上は完全に青空が広がっている。
このブナ林の山上台地を見るだけでも訪れる価値があるだろう。
 三角点は網谷という名前だが、河内山と池内山という2種類のプレートが掛けられていた。
福井県側の山麓には湿原で知られる池河内という集落がある。頭の文字が池か河というところだが、どちらが正
しいのだろう。

P1270157_1.JPG

 655mピークから広い斜面を急降下して行くと、ブナ林を続くやや細い尾根に乗った。左手の網谷支流の源流
もなかなかの雰囲気だ。
再び太陽の姿は消え、空は沈んだ色に変わった。601m標高点の先までブナ林は続く。これほどいい稜線だとは
想像していなかった。
 

P1270182_1_1.JPG

 601mの次のピークで国境稜線とはお別れである。足元を見るとこれまでとはレベルの違う広い道形があり、
見覚えのあるコンクリート造りの構造物が見えた。
ここからは庄野嶺越の古道である。この道は雪に押されて木の枝が被っているところもあるが、概ね快適に歩く
ことができる。
 中河内の集落の屋根がすぐそこに見えた。下り立った国道の脇道に経つ家々はほとんどが廃屋だった。
見応えのあるケヤキの巨樹の立つ広峰神社の階段は除雪されておらず、階段の下から山行の無事に感謝の手を
合わせた。

                     山日和
sato
記事: 422
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【湖北】新雪のブナ林を行く 中河内から河内山へ

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんにちは。
先週の水木は待望の雪。降り過ぎた地域の方々のことを思うと手放しでは喜べなかったですが。
我が家のまわりもそれなりに積もり、そういう時に限って夫は留守。
仕事場も社長が不在のため私が一人で留守番をする日だったため、木曜日、二か所の雪かきで腕と腰が痛くなりました。
金曜日の夜中には、左肋骨あたりの鈍痛で目が覚め、痛くて眠れなくなり、土曜日、ご一緒するのは無理だと思い、お断りのメールを。
でも、朝起きたら治まっていたので、やっぱり行くことに。
大急ぎで家を出たら、今度は山日和さんが、カッパのズボンを忘れたと。ハプニング続きでしたね。
ローソンで売っていて、ホッとしました。痛みは、雪かきを頑張りすぎて?古傷が疼いたのかなと思います。

中河内は、木ノ本から来ると、わぁ雪が多いなぁと感じますが、少し前のこの時期の景色を知っていると、
何だか少ないと感じてしまいますね。

中河内の裏山は、数年前まで、よく雪降る日に歩いていました。
この日のコースも、しんしんと雪降る中、またぎになったような気分で歩いた思い出があります。
ワカンで歩いていた頃は、ラッセルが大変だっただったなぁ、と懐かしくなりました。

国境稜線に乗る時、そのまま尾根を辿らず、谷に降りて支尾根に登りましたが、面白かったですね。
対岸の急斜面の雪がふかふかすぎて登りにくかったですが。
時間だけを考えると尾根を辿った方が早くて楽でしたね(笑)。

そう、この稜線は、立派な支尾根が張り出したくねくねとした稜線で、ぼんやり歩いていると、
支尾根に引き込まれていってしまいますね。でも、このくねくねが愉しいです。

豪雪地帯の中河内は、ずいぶんと山奥の集落のような趣がありますが、
国境の山を越えたら敦賀、日本海なのですね。中河内の人びとは、少し前の時代まで、歩いて敦賀に行き来していたのですものね。
不明瞭ですが塩買い道と呼ばれる道も残っています。うそ河内に向かい、五幡へと続いていたそうです。

山から、海が見えると感激します。ここから見えると知っていても、うれしいです。
西方が岳から栄螺が岳のどっしりとしたお姿を眺め、雪が降り積もって晴れ渡った日に縦走したいなぁ、と思いました。
雪の西方が岳のブナ林も素敵でしょうね。
△646.8点標網谷、河内山、池内山周辺は、素晴らしかったですね。
ブナの木の影が描かれた滑らかな雪面もうつくしくて見入っていました。

下りは庄野嶺越道で。深い堀割道なので雪が積もっても道型が分かり、歩きやすかったですね。
降り立った、お宮さんの上の家々は、初めて訪れた時は、人の住んでいる家もありました。
私たちは、雪があるとよろこんで遊びに来ていますが、暮らしている人にとっては大変ですよね。特に年を重ねると。

最後に、お宮さんにお参りすると、今日一日こうして山を楽しむことが出来たことへの有難さをより感じます。
無事に歩くことが出来よかったです。
今日も、楽しく遊ばせてくださりありがとうございました。

sato
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【湖北】新雪のブナ林を行く 中河内から河内山へ

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。

我が家のまわりもそれなりに積もり、そういう時に限って夫は留守。
仕事場も社長が不在のため私が一人で留守番をする日だったため、木曜日、二か所の雪かきで腕と腰が痛くなりました。


雪かきあるある? :lol:

金曜日の夜中には、左肋骨あたりの鈍痛で目が覚め、痛くて眠れなくなり、土曜日、ご一緒するのは無理だと思い、お断りのメールを。
でも、朝起きたら治まっていたので、やっぱり行くことに。


どっちのメールも見てませんでした。 :mrgreen:

大急ぎで家を出たら、今度は山日和さんが、カッパのズボンを忘れたと。ハプニング続きでしたね。
ローソンで売っていて、ホッとしました。痛みは、雪かきを頑張りすぎて?古傷が疼いたのかなと思います。

このSOS発進の時に初めて上の事情を知りました。
しかしビニールカッパのズボンはヤブに向いてないことを認識させられました。 :lol:

P1270035_1_1.JPG

ワカンで歩いていた頃は、ラッセルが大変だっただったなぁ、と懐かしくなりました。

スノーシューとワカンでは全然違いますからね。
何がなんでもワカン派の人も山岳会系には多いですが。

国境稜線に乗る時、そのまま尾根を辿らず、谷に降りて支尾根に登りましたが、面白かったですね。
対岸の急斜面の雪がふかふかすぎて登りにくかったですが。
時間だけを考えると尾根を辿った方が早くて楽でしたね(笑)。


これもいいアクセントになりました。しなくてもいい苦労を買って出るのが山日和流です。 :mrgreen:

P1270061_1.JPG

そう、この稜線は、立派な支尾根が張り出したくねくねとした稜線で、ぼんやり歩いていると、
支尾根に引き込まれていってしまいますね。でも、このくねくねが愉しいです。


たいていの場合支尾根の方が広々として立派なので、ちゃんと観察していないと迷います。

豪雪地帯の中河内は、ずいぶんと山奥の集落のような趣がありますが、
国境の山を越えたら敦賀、日本海なのですね。中河内の人びとは、少し前の時代まで、歩いて敦賀に行き来していたのですものね。
不明瞭ですが塩買い道と呼ばれる道も残っています。うそ河内に向かい、五幡へと続いていたそうです。

このあたりが一番海に近い滋賀県ですね。椿坂峠を越えて余呉や木之本へ出るより安全で早かったのかも。

P1270161_1.JPG

△646.8点標網谷、河内山、池内山周辺は、素晴らしかったですね。
ブナの木の影が描かれた滑らかな雪面もうつくしくて見入っていました。


このあたりのブナ林は予想以上に素晴らしかったですね。霧に包まれたブナ林もいいけど、
木の影を映す雪面の美しさは晴れた日でないと味わえませんね。

下りは庄野嶺越道で。深い堀割道なので雪が積もっても道型が分かり、歩きやすかったですね。
降り立った、お宮さんの上の家々は、初めて訪れた時は、人の住んでいる家もありました。
私たちは、雪があるとよろこんで遊びに来ていますが、暮らしている人にとっては大変ですよね。特に年を重ねると。

無雪期に一度歩いたことあるけど、ホントにいい道でした。
上の方の家の人々はよそへ引っ越したのかな。それとも下の方に移ったのか。

P1270195_1.JPG

最後に、お宮さんにお参りすると、今日一日こうして山を楽しむことが出来たことへの有難さをより感じます。
無事に歩くことが出来よかったです。
今日も、楽しく遊ばせてくださりありがとうございました。


神社やお寺がスタート・ゴールというのはいいですね。
これまで何度かそのパターンがあったけど、なんとなく締まりますね。 :D

                山日和
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