【大峰山脈】山初めは霧氷の山上ヶ岳
Posted: 2024年1月09日(火) 21:26
【日 付】2024年1月7日(日)
【山 域】大峰山脈 山上ヶ岳周辺
【天 候】曇りのち晴れのち曇り
【コース】清浄大橋7:25---9:30レンゲ峠9:45---10:45山上ヶ岳12:15---12:40鐘掛岩---13:15洞辻茶屋13:35---
14:55清浄大橋
2024年の山初めに選んだのは大峰山脈の山上ヶ岳。これまで20回近く登っているが、ほとんどが積雪期だ。
しかしクリスマス前にドカッと降った雪はかなり融けてしまってようで、どれぐらい雪が残っているのかとい
う懸念があった。
アプローチの国道から洞川への道も完全ドライ状態である。まったく雪を踏むことなく清浄大橋の駐車場
まで来てしまった。駐車場は凍結してツルツルだ。
曇り空の奥に見える西の覗あたりの山稜が白い。これは霧氷が期待できそうである。
いつものように川瀬谷の林道に入る。こちらから山上ヶ岳へ向かう人はほとんどいないが、谷間を歩いた後、
稜線に出てからの高揚感が好きで、いつもこのルートを選んでいる。
どんよりとした鉛色の空に包まれた谷は薄暗く、ただでさえモノトーンの世界の上に陰鬱な空気を漂わせていた。
ようやく雪が出てきたが、せいぜい10センチ程度。しかし階段やトラバース道では油断ができない。
我慢して歩いていたが、ここから厳しくなりそうなところでアイゼンを装着。格段に歩きやすくなった。我慢
は精神衛生上よろしくないのだ。
レンゲ峠への最後の登りにかかった。正面の小谷には氷瀑がかかっている。
そしてまわりの樹林に少しずつ白いものが付き始めた。プチ霧氷だ。見上げる稜線の上には青空が広がっている。
レンゲ峠に着いた。出発時とは一転して申し分のない天気に変わった。霧氷は曇天の下では灰色に沈んで美し
さが際立たない。やはり霧氷には青空がよく似合う。
ここには女人結界門があり、女性は先へ進むことを禁じられている。門の背後には小稲村ヶ岳の岩峰が行く手を
阻むように屹立してたる。
足元に落ちるレンゲ坂谷の奥には弥山、八経ヶ岳がどっしりとした姿を見せていた。
風が強く、休憩するのもままならないが、小稲村の岩壁基部に風の陰を見つけて小休止。燃料補給して、登り
で暑くて脱いでいたミッドレイヤーを再び着る。ストックをピッケルに持ち替えて、山上ヶ岳への道へ踏み出した。
道は岩壁の左側をトラバースして行き、鉄製の階段で岩壁の上に上がるのだが、中途半端な積雪だとかえって
恐い。足元は切り立って、滑落は許されない。
岩壁の上に出てしまえば、後は平和な尾根歩きとなる。小さかった霧氷の花は高度を上げるにつれ木々の枝に
びっしりと張り付いてきた。
いくつかの階段を上がると樹林が切れて、振り返れば稲村ヶ岳から八経ヶ岳の大展望が広がる。何度見ても素晴
らしい眺めだ。
正月の体調不良からまだ完全に回復していないようで体が重い。だが、青空の下の満開の霧氷はモチベーション
を上げるには十分である。
霧氷のトンネルを抜けて、広大な山上台地の一角に立つ。ここはお花畑と呼ばれている場所だが、無雪期に来
たことがないので花が咲いているのかどうかは知らない。
ゆうべの雨は高いところでは雪だったようで、新雪が10センチほど積もっているようだ。
最高点の一等三角点と湧出神社に寄ってから、大峰山寺の本堂の脇にザックを降ろした。
ここは定番のランチ場だ。土台の石積が露出していることから積雪の少なさが窺える。
地蔵岳方面の下り口からはトレースがなく、大普賢岳の雄姿を眺めることができた。
ゆっくりと鍋ランチを楽しんでいる間に、登山者がやってきては下りて行った。
表参道を下山にかかる。この道の持つ雰囲気は、他の山では味わえない。人工物だらけなのだが、いつくかある
茶屋や、あちこちに立つ仏像、道の両側に並ぶ石碑、立派な山門等、修験道の大本山であることを感じさせてくれる。
もちろんこの時期には修験者の姿はないのだが。
宿坊の脇を抜けて西の覗の行場に立つ。断崖絶壁の上から身を乗り出す荒行で有名な場所だ。
ここから望む大天井岳にはまったく雪が見えない。
鐘掛岩にも立ち寄って行こう。ここも北側の岩壁を登る行場で素晴らしい展望を得られるが、風が強いので
すぐに退散する。
長く急な木の階段を慎重に下ると名物の薬、陀羅尼助の販売所がある。もちろん今は無人で薬は売っていない。
もう霧氷の姿は消えていた。今日の霧氷ラインは標高1500mあたりだろうか。
ここからは緩やかな尾根歩きとなる。尾根芯にはピークがあるが、それを避けるように東側を巻いて行く道は
強い西風を遮ってくれるのがありがたい。
茶屋の中でも一番大きな洞辻(どろつじ)茶屋で一服。柱に「きつね、月見うどん出きます」と墨書してあった。
寒いので注文したいところだが誰もいない。
7年前に来た時にはここからさらに奥駈道を五番関まで進んだのだが、もうそんな元気はない。
ここから清浄大橋まで、あまり面白いとは言えない道を淡々と下る。
途中、お助け水の祠に祀られていた菩薩像が何者かに持ち去られていたのには驚いた。
そんな罰当たりは今頃どこかで野垂れ死にしているかもしれない。
下山後は久し振りの洞川温泉で冷え切った体を急速解凍。暑い湯が四肢に沁み渡って行った。
山日和
【山 域】大峰山脈 山上ヶ岳周辺
【天 候】曇りのち晴れのち曇り
【コース】清浄大橋7:25---9:30レンゲ峠9:45---10:45山上ヶ岳12:15---12:40鐘掛岩---13:15洞辻茶屋13:35---
14:55清浄大橋
2024年の山初めに選んだのは大峰山脈の山上ヶ岳。これまで20回近く登っているが、ほとんどが積雪期だ。
しかしクリスマス前にドカッと降った雪はかなり融けてしまってようで、どれぐらい雪が残っているのかとい
う懸念があった。
アプローチの国道から洞川への道も完全ドライ状態である。まったく雪を踏むことなく清浄大橋の駐車場
まで来てしまった。駐車場は凍結してツルツルだ。
曇り空の奥に見える西の覗あたりの山稜が白い。これは霧氷が期待できそうである。
いつものように川瀬谷の林道に入る。こちらから山上ヶ岳へ向かう人はほとんどいないが、谷間を歩いた後、
稜線に出てからの高揚感が好きで、いつもこのルートを選んでいる。
どんよりとした鉛色の空に包まれた谷は薄暗く、ただでさえモノトーンの世界の上に陰鬱な空気を漂わせていた。
ようやく雪が出てきたが、せいぜい10センチ程度。しかし階段やトラバース道では油断ができない。
我慢して歩いていたが、ここから厳しくなりそうなところでアイゼンを装着。格段に歩きやすくなった。我慢
は精神衛生上よろしくないのだ。
レンゲ峠への最後の登りにかかった。正面の小谷には氷瀑がかかっている。
そしてまわりの樹林に少しずつ白いものが付き始めた。プチ霧氷だ。見上げる稜線の上には青空が広がっている。
レンゲ峠に着いた。出発時とは一転して申し分のない天気に変わった。霧氷は曇天の下では灰色に沈んで美し
さが際立たない。やはり霧氷には青空がよく似合う。
ここには女人結界門があり、女性は先へ進むことを禁じられている。門の背後には小稲村ヶ岳の岩峰が行く手を
阻むように屹立してたる。
足元に落ちるレンゲ坂谷の奥には弥山、八経ヶ岳がどっしりとした姿を見せていた。
風が強く、休憩するのもままならないが、小稲村の岩壁基部に風の陰を見つけて小休止。燃料補給して、登り
で暑くて脱いでいたミッドレイヤーを再び着る。ストックをピッケルに持ち替えて、山上ヶ岳への道へ踏み出した。
道は岩壁の左側をトラバースして行き、鉄製の階段で岩壁の上に上がるのだが、中途半端な積雪だとかえって
恐い。足元は切り立って、滑落は許されない。
岩壁の上に出てしまえば、後は平和な尾根歩きとなる。小さかった霧氷の花は高度を上げるにつれ木々の枝に
びっしりと張り付いてきた。
いくつかの階段を上がると樹林が切れて、振り返れば稲村ヶ岳から八経ヶ岳の大展望が広がる。何度見ても素晴
らしい眺めだ。
正月の体調不良からまだ完全に回復していないようで体が重い。だが、青空の下の満開の霧氷はモチベーション
を上げるには十分である。
霧氷のトンネルを抜けて、広大な山上台地の一角に立つ。ここはお花畑と呼ばれている場所だが、無雪期に来
たことがないので花が咲いているのかどうかは知らない。
ゆうべの雨は高いところでは雪だったようで、新雪が10センチほど積もっているようだ。
最高点の一等三角点と湧出神社に寄ってから、大峰山寺の本堂の脇にザックを降ろした。
ここは定番のランチ場だ。土台の石積が露出していることから積雪の少なさが窺える。
地蔵岳方面の下り口からはトレースがなく、大普賢岳の雄姿を眺めることができた。
ゆっくりと鍋ランチを楽しんでいる間に、登山者がやってきては下りて行った。
表参道を下山にかかる。この道の持つ雰囲気は、他の山では味わえない。人工物だらけなのだが、いつくかある
茶屋や、あちこちに立つ仏像、道の両側に並ぶ石碑、立派な山門等、修験道の大本山であることを感じさせてくれる。
もちろんこの時期には修験者の姿はないのだが。
宿坊の脇を抜けて西の覗の行場に立つ。断崖絶壁の上から身を乗り出す荒行で有名な場所だ。
ここから望む大天井岳にはまったく雪が見えない。
鐘掛岩にも立ち寄って行こう。ここも北側の岩壁を登る行場で素晴らしい展望を得られるが、風が強いので
すぐに退散する。
長く急な木の階段を慎重に下ると名物の薬、陀羅尼助の販売所がある。もちろん今は無人で薬は売っていない。
もう霧氷の姿は消えていた。今日の霧氷ラインは標高1500mあたりだろうか。
ここからは緩やかな尾根歩きとなる。尾根芯にはピークがあるが、それを避けるように東側を巻いて行く道は
強い西風を遮ってくれるのがありがたい。
茶屋の中でも一番大きな洞辻(どろつじ)茶屋で一服。柱に「きつね、月見うどん出きます」と墨書してあった。
寒いので注文したいところだが誰もいない。
7年前に来た時にはここからさらに奥駈道を五番関まで進んだのだが、もうそんな元気はない。
ここから清浄大橋まで、あまり面白いとは言えない道を淡々と下る。
途中、お助け水の祠に祀られていた菩薩像が何者かに持ち去られていたのには驚いた。
そんな罰当たりは今頃どこかで野垂れ死にしているかもしれない。
下山後は久し振りの洞川温泉で冷え切った体を急速解凍。暑い湯が四肢に沁み渡って行った。
山日和