【湖西】針畑川源流から江若国境稜線へ
Posted: 2019年7月15日(月) 21:09
【日 付】2019年7月13日(土)
【山 域】湖西 針畑川源流域
【天 候】曇りのち雨
【メンバー】sato、山日和
【コース】西谷出合8:30---9:15 20m滝---11:15江若国境稜線---11:35ランチ場13:40---15:25三国岳--
-15:50ブナ原生林登山口
安曇川上流の針畑川と言えば、釣り人にはメジャーな川ではあるが、沢登りの対象としてはネットを検索して
もまったくヒットしない。出版記念会でお世話になった小松さんに教えてもらった滝の写真を見て訪れてみたく
なった。その滝は優美に流れ落ち、一見の価値があるように思えた。しかしまわりはどうも植林くさいし、その
滝以外はどんな谷なのか情報がない。下部は平流でも源流へ詰めれば少しは沢登りらしくなるかもしれない。
とりあえず行ってみなければわからないのだ。
おにゅう峠へ上がる林道と別れて西谷沿いの廃林道に入った。水量は驚くほど少なく、滝がただの岩壁になっ
ているのではないかと心配になるほどだ。
予想通りの植林帯のなかの平流歩きか続く。こんなものだろうと思っていたので落胆することもない。源流に
期待しよう。
すると意外に早く植林が終わり、自然林が谷を覆ういい雰囲気に変わってきた。これは予想外の展開である。
やがて川床が岩盤に変わってナメが走り始めた。小さな滝も現れ、両岸が立ったゴルジュの様相を呈し始めた。
そして丸い風呂桶のような釜を持つ連瀑に阻まれた。釜は小さいが深く、岩壁はよく磨かれてツルツルである。
ここは左から立ち木を利用して巻き上がるが、落ち口へのラインがなく、かなり高く追い上げられてから落ち口
に下降する。
続いて現れるのが針畑川のメインディッシュ、ココンバの滝だ。というのはsatoさんがココンバの滝ですねと
言っていたからだが、ココンバの滝というのは針畑川右俣の大倉谷にある滝だということが帰宅してから判明。
左俣のこの谷に架かる滝は名前がないのが残念だ。20mぐらいはあるだろうか。傾斜が強くないので水は滑るよ
うに優雅に流れ落ちている。
左から簡単に行けそうに見えたが、上部が意外にホールドが少なくぬめっていて、高度感もあるのでちょっと気
持ち悪い。落ち口手前を慎重に右に渡り、最後は左へ渡り返して、立ち木をアンカーにロープを出した。
satoさんも曲がりにくい足首をかばいながらも無難に登り切った。
滝の上流もうれしい誤算が続いた。それなりの滝が次々と現れ、直登と高巻きを取り混ぜて楽しく遡行して行
く。滝の中段まで倒木が一本橋のようにかかったところもあり、バランスを取りながら渡って滝に取り付くとい
うアトラクションを楽しませてくれた。
源流近い二俣では左を取る。おにゅう峠付近に突き上げる右が本流だろうが、こちらは林道の側壁にぶつかっ
て難儀する可能性もあるし、第一谷の最後がそれでは面白くない。左は江若国境稜線のブナ林の区間に詰め上が
るはずだ。
しかしここからが逆の誤算だった。予想に反して源流域は植林が多く、谷筋は荒れが目立つ。自然林の中を気
持ちよく詰め上がる期待は外れ、谷筋も左右の尾根も鬱陶しいことこの上ない。見上げるだけで登る意欲が失せ
てしまいそうだ。手入れされていない植林の林床はシダと潅木のヤブで、薄い杣道の踏み跡を狙ってトレース。
最後はヤブもなくなり江若国境稜線、いわゆる高島トレールに立った。福井県側にはブナ林が広がっているが、
滋賀県側は杉林とはっきり色分けされている。左右両方ともブナ林に包まれるのはもう少し先のようだ。
稜線を少し歩いて自然林のちょっとしたコバでランチタイムとする。雨がポツポツと降り始めた。
こういうこともあろうかと今日はタープを用意してきたのだ。片屋根式にタープを張れば雨もまったく気になら
ず快適そのものである。土砂降りの雨は勘弁してほしいものだが、工夫をすれば雨の山も楽しむことができるの
だ。satoさんがビールやおつまみを担ぎ上げてくれたので、快適過ぎて少々まったりし過ぎてしまった。
今日は下山してからパナスタでサッカー観戦があるので時間の制約があるのだ。
ここから先の国境稜線は、たまに杉林があるものの、概ねブナの森が続いて気持ちよく歩くことができる。
特に標高803m標高点手前の池のあるあたりと三国岳山頂直下の窪地は実にいい雰囲気だ。最近では恒例になって
しまった霧に烟るブナ林は味わい深く、晴れているより美しく感じる。雨が降っていなければもっといいのだが。
行く手の斜面上方から荒い鼻息のようなものが聞こえた。見上げると黒いかたまりがこちらを見ている。
クマだ。10mも離れていない。こちらへ来るにしてもこの斜面を駆け下りて来れば、かわしさえすればそのまま
走り去るだろうと計算して、目を離さずに身構えた。向こうも別に襲う気はない。人間が恐いのだ。
予想通り駆け下りて来たが、2mほど脇を脱兎(脱熊?)のごとく通過して行ったので身をかわす必要もなかった。
クマの姿を見た時はドキッとしたものの、結構冷静に対処できたと思う。元々クマに対する恐怖感をあまり持っ
ていないので慌てることもないのだろう。
クマに遭遇したのはこれで7回目ぐらいだろうか。satoさんは先月も遭遇して2ヶ月連続だそうだ。
ヒルは歯牙にもかけないが、やはりクマは恐いようで安心した。
国境稜線はアップダウンが多く、しかも登りの方が多いんじゃないかといい加減うんざりしながら三国岳に到
着。この山頂は切り開かれているが潤いがなく、あまり好みの山頂ではない。展望がなくてもブナ林に包まれて
いる方がいい。雨はもう本降りの様相だ。
車をデポしたブナ原生林の登山口までは急がなくても20分ほど。
予期せぬことの連続だった一日を振り返りながら歩くにはあまりに短い下山だ。
山日和
【山 域】湖西 針畑川源流域
【天 候】曇りのち雨
【メンバー】sato、山日和
【コース】西谷出合8:30---9:15 20m滝---11:15江若国境稜線---11:35ランチ場13:40---15:25三国岳--
-15:50ブナ原生林登山口
安曇川上流の針畑川と言えば、釣り人にはメジャーな川ではあるが、沢登りの対象としてはネットを検索して
もまったくヒットしない。出版記念会でお世話になった小松さんに教えてもらった滝の写真を見て訪れてみたく
なった。その滝は優美に流れ落ち、一見の価値があるように思えた。しかしまわりはどうも植林くさいし、その
滝以外はどんな谷なのか情報がない。下部は平流でも源流へ詰めれば少しは沢登りらしくなるかもしれない。
とりあえず行ってみなければわからないのだ。
おにゅう峠へ上がる林道と別れて西谷沿いの廃林道に入った。水量は驚くほど少なく、滝がただの岩壁になっ
ているのではないかと心配になるほどだ。
予想通りの植林帯のなかの平流歩きか続く。こんなものだろうと思っていたので落胆することもない。源流に
期待しよう。
すると意外に早く植林が終わり、自然林が谷を覆ういい雰囲気に変わってきた。これは予想外の展開である。
やがて川床が岩盤に変わってナメが走り始めた。小さな滝も現れ、両岸が立ったゴルジュの様相を呈し始めた。
そして丸い風呂桶のような釜を持つ連瀑に阻まれた。釜は小さいが深く、岩壁はよく磨かれてツルツルである。
ここは左から立ち木を利用して巻き上がるが、落ち口へのラインがなく、かなり高く追い上げられてから落ち口
に下降する。
続いて現れるのが針畑川のメインディッシュ、ココンバの滝だ。というのはsatoさんがココンバの滝ですねと
言っていたからだが、ココンバの滝というのは針畑川右俣の大倉谷にある滝だということが帰宅してから判明。
左俣のこの谷に架かる滝は名前がないのが残念だ。20mぐらいはあるだろうか。傾斜が強くないので水は滑るよ
うに優雅に流れ落ちている。
左から簡単に行けそうに見えたが、上部が意外にホールドが少なくぬめっていて、高度感もあるのでちょっと気
持ち悪い。落ち口手前を慎重に右に渡り、最後は左へ渡り返して、立ち木をアンカーにロープを出した。
satoさんも曲がりにくい足首をかばいながらも無難に登り切った。
滝の上流もうれしい誤算が続いた。それなりの滝が次々と現れ、直登と高巻きを取り混ぜて楽しく遡行して行
く。滝の中段まで倒木が一本橋のようにかかったところもあり、バランスを取りながら渡って滝に取り付くとい
うアトラクションを楽しませてくれた。
源流近い二俣では左を取る。おにゅう峠付近に突き上げる右が本流だろうが、こちらは林道の側壁にぶつかっ
て難儀する可能性もあるし、第一谷の最後がそれでは面白くない。左は江若国境稜線のブナ林の区間に詰め上が
るはずだ。
しかしここからが逆の誤算だった。予想に反して源流域は植林が多く、谷筋は荒れが目立つ。自然林の中を気
持ちよく詰め上がる期待は外れ、谷筋も左右の尾根も鬱陶しいことこの上ない。見上げるだけで登る意欲が失せ
てしまいそうだ。手入れされていない植林の林床はシダと潅木のヤブで、薄い杣道の踏み跡を狙ってトレース。
最後はヤブもなくなり江若国境稜線、いわゆる高島トレールに立った。福井県側にはブナ林が広がっているが、
滋賀県側は杉林とはっきり色分けされている。左右両方ともブナ林に包まれるのはもう少し先のようだ。
稜線を少し歩いて自然林のちょっとしたコバでランチタイムとする。雨がポツポツと降り始めた。
こういうこともあろうかと今日はタープを用意してきたのだ。片屋根式にタープを張れば雨もまったく気になら
ず快適そのものである。土砂降りの雨は勘弁してほしいものだが、工夫をすれば雨の山も楽しむことができるの
だ。satoさんがビールやおつまみを担ぎ上げてくれたので、快適過ぎて少々まったりし過ぎてしまった。
今日は下山してからパナスタでサッカー観戦があるので時間の制約があるのだ。
ここから先の国境稜線は、たまに杉林があるものの、概ねブナの森が続いて気持ちよく歩くことができる。
特に標高803m標高点手前の池のあるあたりと三国岳山頂直下の窪地は実にいい雰囲気だ。最近では恒例になって
しまった霧に烟るブナ林は味わい深く、晴れているより美しく感じる。雨が降っていなければもっといいのだが。
行く手の斜面上方から荒い鼻息のようなものが聞こえた。見上げると黒いかたまりがこちらを見ている。
クマだ。10mも離れていない。こちらへ来るにしてもこの斜面を駆け下りて来れば、かわしさえすればそのまま
走り去るだろうと計算して、目を離さずに身構えた。向こうも別に襲う気はない。人間が恐いのだ。
予想通り駆け下りて来たが、2mほど脇を脱兎(脱熊?)のごとく通過して行ったので身をかわす必要もなかった。
クマの姿を見た時はドキッとしたものの、結構冷静に対処できたと思う。元々クマに対する恐怖感をあまり持っ
ていないので慌てることもないのだろう。
クマに遭遇したのはこれで7回目ぐらいだろうか。satoさんは先月も遭遇して2ヶ月連続だそうだ。
ヒルは歯牙にもかけないが、やはりクマは恐いようで安心した。
国境稜線はアップダウンが多く、しかも登りの方が多いんじゃないかといい加減うんざりしながら三国岳に到
着。この山頂は切り開かれているが潤いがなく、あまり好みの山頂ではない。展望がなくてもブナ林に包まれて
いる方がいい。雨はもう本降りの様相だ。
車をデポしたブナ原生林の登山口までは急がなくても20分ほど。
予期せぬことの連続だった一日を振り返りながら歩くにはあまりに短い下山だ。
山日和