【比良】シャクナゲを求めて堂満岳から比良岳へ
Posted: 2019年5月06日(月) 22:05
【日 付】2019年5月5日(日)
【山 域】比良山地 堂満岳・比良岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】坊村8:32---9:08牛コバ---9:57奥ノ深谷渡渉点---10:58南比良峠---11:18堂満岳---11:43南比良峠---
12:33烏谷山手前ランチ場13:47---13:55烏谷山---14:26比良岳---15:00白滝谷---16:20牛コバ---16:55坊村
「山笑う」という季語がある。朝の日が照らす山の斜面は、芽吹き始めた緑が目にも鮮やかで、まさに山笑う
という言葉がぴったりだ。もっとも大木こだま師匠に聞かせたら、「山がわろてんの見たことあるんかい~」
「山がわろたらうるそうて寝られへんがな~」とねっとりしたダミ声で返されそうであるが。
先日のあめやんさんの記事を読んで、井上靖ではないが比良のシャクナゲを見に行こうと思い立った。
いつも通り明王谷林道入口に車を止める。絶好の登山日和となった今日は武奈ヶ岳は大賑わいだろうが、ここに
は自分も入れて3台のみである。
三ノ滝の下り口で、2年前に明王谷で帰らぬ人となった斎藤さんに合掌する。彼とは山行を共にしたことはなか
ったが、やぶオフに初参加した時にスノー衆の参加資格を得られたことを喜んでいたのをよく覚えている。
沢や雪山に限らず、山に登っている以上は生死は隣り合わせだ。危険なところだけでなく、何でもないような場
所でも事故は起きるのだ。
牛コバから奥ノ深谷左岸の道に入る。5年前に烏谷山へ上がった時に一度使っているが、それ以外は20~40年前
に奥ノ深谷や口ノ深谷遡行の下山路として歩いただけである。
谷の左岸とは言いながら、かなりの高度をジグザグを切って尾根を上がった後でトラバースに入るのは、奥ノ深谷
の険しさを物語っているのだろう。
トラバース道はほとんど高度を下げることなく谷と出合った。下流に強烈な滝やゴルジュを秘めているとは想像
できない優しい流れを飛び石で渡りひと息入れる。
先週のまったく潤いのない山とは違い、水の流れはこころを解きほぐしてくれる。
ここから上流は造林地の中に立派な台杉が残されていたりして面白い。
八雲が原へ向かう本流と別れて南比良峠への支谷へ入る。この谷の源頭部は大きく開け、道はゆるゆると峠へ
向かって登って行く。実に開放的な源頭は鈴鹿のタケ谷から根ノ平峠へ向かう道を彷彿させる。
南比良峠に出ると琵琶湖が眼下に広がった。湖西の集落と安曇川を結ぶ古の道はこの南比良峠をはじめ、小女郎
峠や荒川峠、葛川越等数多くの峠を越えている。安曇川から登って来て目にする琵琶湖の大観は感慨深いものがあ
っただろう。
堂満岳へ向かう。登山道は稜線通しではなく西山腹をトラバースして、北側から山頂に向かって付けられている
がかなり遠回りである。最短距離で山頂を目指した。傾斜はきついがほとんどヤブもなく15分ほどで山頂到着。
山頂直下はシャクナゲの花盛りだ。さすがに登山者も多い。そそくさと立ち去って、帰りは登山道経由で峠に戻る。
そろそろいい時間になってきた。ランチ適地を探さねばならない。少し風があるので風を避けられてかつ雰囲気
のいいところが見つかるまで前進しよう。
烏谷山の手前にまあまあの場所を見つけて腰を据えた。登山道から少し離れているので静かなものである。
さすがにもう雪はないので、これからはビールの保冷対策は必須だ。
烏谷山からは正面に打見山と蓬莱山を見ながら急降下。下り切ったところが葛川越だ。峠とは言いながらも両側
の道は歩く人もなくほとんど廃道のようだ。
比良岳へ登り返せば本日の登りは終了である。標高1000mを超えるとブナの新緑はまだ早いようで、見通しのい
いブナ林はやや寂しさを感じさせた。
比良岳からは気になっていた西峰との間の谷(クマアナ川と言うらしい)を白滝谷へ下る。
この谷の源頭が実に素晴らしい。西峰とのコルから下るつもりだったが、目の前に現れたゆるやかな疎林の源頭部
に惹かれてふらふらと下りてしまった。谷の微妙な曲がり具合や起伏と自然林の佇まいは桃源郷と呼ぶにふさわし
い。この場所が今日一番の収穫だった。
下山は美しい流れを愛でながら白滝谷沿いの道を歩く。もうそろそろ沢に模様替えしてもいいかもしれないな。
迸る水流を眺めているとそんな気持ちになった。
山日和
【山 域】比良山地 堂満岳・比良岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】坊村8:32---9:08牛コバ---9:57奥ノ深谷渡渉点---10:58南比良峠---11:18堂満岳---11:43南比良峠---
12:33烏谷山手前ランチ場13:47---13:55烏谷山---14:26比良岳---15:00白滝谷---16:20牛コバ---16:55坊村
「山笑う」という季語がある。朝の日が照らす山の斜面は、芽吹き始めた緑が目にも鮮やかで、まさに山笑う
という言葉がぴったりだ。もっとも大木こだま師匠に聞かせたら、「山がわろてんの見たことあるんかい~」
「山がわろたらうるそうて寝られへんがな~」とねっとりしたダミ声で返されそうであるが。
先日のあめやんさんの記事を読んで、井上靖ではないが比良のシャクナゲを見に行こうと思い立った。
いつも通り明王谷林道入口に車を止める。絶好の登山日和となった今日は武奈ヶ岳は大賑わいだろうが、ここに
は自分も入れて3台のみである。
三ノ滝の下り口で、2年前に明王谷で帰らぬ人となった斎藤さんに合掌する。彼とは山行を共にしたことはなか
ったが、やぶオフに初参加した時にスノー衆の参加資格を得られたことを喜んでいたのをよく覚えている。
沢や雪山に限らず、山に登っている以上は生死は隣り合わせだ。危険なところだけでなく、何でもないような場
所でも事故は起きるのだ。
牛コバから奥ノ深谷左岸の道に入る。5年前に烏谷山へ上がった時に一度使っているが、それ以外は20~40年前
に奥ノ深谷や口ノ深谷遡行の下山路として歩いただけである。
谷の左岸とは言いながら、かなりの高度をジグザグを切って尾根を上がった後でトラバースに入るのは、奥ノ深谷
の険しさを物語っているのだろう。
トラバース道はほとんど高度を下げることなく谷と出合った。下流に強烈な滝やゴルジュを秘めているとは想像
できない優しい流れを飛び石で渡りひと息入れる。
先週のまったく潤いのない山とは違い、水の流れはこころを解きほぐしてくれる。
ここから上流は造林地の中に立派な台杉が残されていたりして面白い。
八雲が原へ向かう本流と別れて南比良峠への支谷へ入る。この谷の源頭部は大きく開け、道はゆるゆると峠へ
向かって登って行く。実に開放的な源頭は鈴鹿のタケ谷から根ノ平峠へ向かう道を彷彿させる。
南比良峠に出ると琵琶湖が眼下に広がった。湖西の集落と安曇川を結ぶ古の道はこの南比良峠をはじめ、小女郎
峠や荒川峠、葛川越等数多くの峠を越えている。安曇川から登って来て目にする琵琶湖の大観は感慨深いものがあ
っただろう。
堂満岳へ向かう。登山道は稜線通しではなく西山腹をトラバースして、北側から山頂に向かって付けられている
がかなり遠回りである。最短距離で山頂を目指した。傾斜はきついがほとんどヤブもなく15分ほどで山頂到着。
山頂直下はシャクナゲの花盛りだ。さすがに登山者も多い。そそくさと立ち去って、帰りは登山道経由で峠に戻る。
そろそろいい時間になってきた。ランチ適地を探さねばならない。少し風があるので風を避けられてかつ雰囲気
のいいところが見つかるまで前進しよう。
烏谷山の手前にまあまあの場所を見つけて腰を据えた。登山道から少し離れているので静かなものである。
さすがにもう雪はないので、これからはビールの保冷対策は必須だ。
烏谷山からは正面に打見山と蓬莱山を見ながら急降下。下り切ったところが葛川越だ。峠とは言いながらも両側
の道は歩く人もなくほとんど廃道のようだ。
比良岳へ登り返せば本日の登りは終了である。標高1000mを超えるとブナの新緑はまだ早いようで、見通しのい
いブナ林はやや寂しさを感じさせた。
比良岳からは気になっていた西峰との間の谷(クマアナ川と言うらしい)を白滝谷へ下る。
この谷の源頭が実に素晴らしい。西峰とのコルから下るつもりだったが、目の前に現れたゆるやかな疎林の源頭部
に惹かれてふらふらと下りてしまった。谷の微妙な曲がり具合や起伏と自然林の佇まいは桃源郷と呼ぶにふさわし
い。この場所が今日一番の収穫だった。
下山は美しい流れを愛でながら白滝谷沿いの道を歩く。もうそろそろ沢に模様替えしてもいいかもしれないな。
迸る水流を眺めているとそんな気持ちになった。
山日和