【湖西】 日常の風景の中にある山の小さな輝き 779mピーク~明王ノ禿
Posted: 2019年3月04日(月) 13:15
【日付】 2019年2月21日(木)
【山域】 湖西
【メンバー】 sato
【天候】 曇り
【ルート】 マキノ林道入り口8:10~・676m~779mピーク~黒河峠~11:50三国山~明王ノ禿~480m~14:05駐車地
所用の帰り、湖西バイパスを車で走っていると、夕闇迫る前の青灰色の空に浮かぶマキノの山の白い稜線が目に飛び込んだ。
ハンドルを握る手に力が入る。日常の風景の中にある山の一瞬の輝きが、こころを照らす。片隅に置かれていた、忘れていた風景、
出会うかもしれない風景が色彩を帯びる。次の山歩きの日、その風景の中を歩く私の姿が浮かび上がる。
窓の外に目をやると東の空が柔らかな橙色に染まっている。天気も大丈夫。
白谷から芦原岳南の779mピークに延びる尾根、三国山、明王ノ禿・・・これから出会うであろう風景を頭の中に並べる。
今日は夫も仕事でマキノへ行く。夫が出かけた後、家を出る。白谷へと車を走らせる。マキノ林道を少し進んだところにある駐車スペースに車を置く。
植林の仕事道を歩く。直ぐに林道と出合う。尾根は荒れているかもしれない。林道を歩くことにする。
標高470メートル辺りで林道を離れ尾根に乗る。雪よりも土のほうが目立つが歩くうちに雪の尾根へと変わっていく。
勾配が緩やかになり尾根が広がる。つるりとした雪原に足を踏み入れる。そう、ここからの眺めを楽しみにしていたのだ。振り返り眼下を見下ろす。
しんとした冬枯れの田んぼの先に薄ぼんやりと琵琶湖が広がる。空を見上げると鉛色の雲。
雪の季節の終わりを寂しいと思う私のこころが風景を見て寂しいと感じるのか。寂しい風景が私のこころを寂しくさせるのか。
きらきらと光る雪原でうっとりする予定が寂しさで包まれてしまった。でも、この寂しさに心地よさを感じる自分もいる。
さみしいとブナの木々が待っている、スノーシューを履き、歩みを進める。
標高700mぐらいからブナの林が続く。760mの台地は木々に囲まれ眺望は今一つ。
ちらりちらりとGPSを覗き見しながら歩いていると779mピークに着いていた。
あれっ?歩いてきた方向が黒河峠のような気が。一瞬これから進む方向が分からなくなりドキリとする。地図で確認し胸をなでおろす。
分水嶺歩きが始まる。鉄塔を目標にくねくねと尾根を辿っていく。尾根が細くなると土が見えだす。今日は猿ヶ馬場山の山頂も踏む。
登ったり下ったりを繰り返し、急斜面を下ると黒河峠にぽんと出る。
ここからも分水嶺に沿って歩く。雪が少なく立ちあがっている木々の間を黙々と登る。ひと登りすると視界が広がる。
雪原の先からまあるい三国山が私を手招く。分水嶺を辿ると遠回りになる。足は右を向かず直進を選ぶ。
小さな流れを越える。ふいに、ここから始まる水の旅が頭の中に広がる。この小さな流れが谷になり川となり琵琶湖に注ぐ。
湖の水は淀川に流れ太平洋へと旅を続ける。水の旅はまだ続く。蒸発して雲になり雨となり大地に浸み込む。
今私が眺めている水の一滴は遠い昔もここを流れたのかもしれない。小さな山の確かな輝き、小さな山の中の小さな流れが語る壮大な旅物語・・・
数日前、私のこころを照らした輝きが甦る。
ひと登りして山頂に出る。雪のない季節とは全く異なる風景が目の前に広がる。
この冬も雪の季節だけ見せてくれる三国山の表情に出会えてよかったなぁとしみじみと思う。
ご飯を食べ、南へ尾根を下る。すぐに終わる小さな谷の地形を確認する。日本海への水の旅の始まりの地だ。
分水嶺から外れて歩いていることに気が付く。
東に向きを変え雪面を登る。明王ノ禿が近づく。雪の中の小さな流れを左に見ながら斜面を下り登山道へと登る。
明王ノ禿は風が強いので休まず白谷に下り始める。谷が現れる。先ほど見た水はどこまで流れて行ったのだろう。
目の前を通り過ぎていく水の流れをぼんやりと眺める。中途半端な冷たさの風が、タムシバの花で飾られた谷の春の風景を思い出させる。
すぐ横に立つタムシバの花芽が、もうすぐ春だよと囁く。じきに融けてしまう雪の感触を味わいながら下っていく。
なんだか方向がおかしいと立ち止まる。融けかかった雪の中うっすらと続く杣道に導かれ駐車地より下に出る尾根を歩いていた。
初めての道も楽しいかとそのまま進む。びっくりするような風景には出会わなかったが、
昔は山の中の小さな尾根一つひとつが歩かれていたのだなぁと人と山の関わりの深さにしんみりとする。
林道に出ると同時にぽつりと来た。雨の予報だったっけ?急ぎ足で車に向かう。頬にあたる雨粒はどこから来たのだろうと、ふと思う。
【山域】 湖西
【メンバー】 sato
【天候】 曇り
【ルート】 マキノ林道入り口8:10~・676m~779mピーク~黒河峠~11:50三国山~明王ノ禿~480m~14:05駐車地
所用の帰り、湖西バイパスを車で走っていると、夕闇迫る前の青灰色の空に浮かぶマキノの山の白い稜線が目に飛び込んだ。
ハンドルを握る手に力が入る。日常の風景の中にある山の一瞬の輝きが、こころを照らす。片隅に置かれていた、忘れていた風景、
出会うかもしれない風景が色彩を帯びる。次の山歩きの日、その風景の中を歩く私の姿が浮かび上がる。
窓の外に目をやると東の空が柔らかな橙色に染まっている。天気も大丈夫。
白谷から芦原岳南の779mピークに延びる尾根、三国山、明王ノ禿・・・これから出会うであろう風景を頭の中に並べる。
今日は夫も仕事でマキノへ行く。夫が出かけた後、家を出る。白谷へと車を走らせる。マキノ林道を少し進んだところにある駐車スペースに車を置く。
植林の仕事道を歩く。直ぐに林道と出合う。尾根は荒れているかもしれない。林道を歩くことにする。
標高470メートル辺りで林道を離れ尾根に乗る。雪よりも土のほうが目立つが歩くうちに雪の尾根へと変わっていく。
勾配が緩やかになり尾根が広がる。つるりとした雪原に足を踏み入れる。そう、ここからの眺めを楽しみにしていたのだ。振り返り眼下を見下ろす。
しんとした冬枯れの田んぼの先に薄ぼんやりと琵琶湖が広がる。空を見上げると鉛色の雲。
雪の季節の終わりを寂しいと思う私のこころが風景を見て寂しいと感じるのか。寂しい風景が私のこころを寂しくさせるのか。
きらきらと光る雪原でうっとりする予定が寂しさで包まれてしまった。でも、この寂しさに心地よさを感じる自分もいる。
さみしいとブナの木々が待っている、スノーシューを履き、歩みを進める。
標高700mぐらいからブナの林が続く。760mの台地は木々に囲まれ眺望は今一つ。
ちらりちらりとGPSを覗き見しながら歩いていると779mピークに着いていた。
あれっ?歩いてきた方向が黒河峠のような気が。一瞬これから進む方向が分からなくなりドキリとする。地図で確認し胸をなでおろす。
分水嶺歩きが始まる。鉄塔を目標にくねくねと尾根を辿っていく。尾根が細くなると土が見えだす。今日は猿ヶ馬場山の山頂も踏む。
登ったり下ったりを繰り返し、急斜面を下ると黒河峠にぽんと出る。
ここからも分水嶺に沿って歩く。雪が少なく立ちあがっている木々の間を黙々と登る。ひと登りすると視界が広がる。
雪原の先からまあるい三国山が私を手招く。分水嶺を辿ると遠回りになる。足は右を向かず直進を選ぶ。
小さな流れを越える。ふいに、ここから始まる水の旅が頭の中に広がる。この小さな流れが谷になり川となり琵琶湖に注ぐ。
湖の水は淀川に流れ太平洋へと旅を続ける。水の旅はまだ続く。蒸発して雲になり雨となり大地に浸み込む。
今私が眺めている水の一滴は遠い昔もここを流れたのかもしれない。小さな山の確かな輝き、小さな山の中の小さな流れが語る壮大な旅物語・・・
数日前、私のこころを照らした輝きが甦る。
ひと登りして山頂に出る。雪のない季節とは全く異なる風景が目の前に広がる。
この冬も雪の季節だけ見せてくれる三国山の表情に出会えてよかったなぁとしみじみと思う。
ご飯を食べ、南へ尾根を下る。すぐに終わる小さな谷の地形を確認する。日本海への水の旅の始まりの地だ。
分水嶺から外れて歩いていることに気が付く。
東に向きを変え雪面を登る。明王ノ禿が近づく。雪の中の小さな流れを左に見ながら斜面を下り登山道へと登る。
明王ノ禿は風が強いので休まず白谷に下り始める。谷が現れる。先ほど見た水はどこまで流れて行ったのだろう。
目の前を通り過ぎていく水の流れをぼんやりと眺める。中途半端な冷たさの風が、タムシバの花で飾られた谷の春の風景を思い出させる。
すぐ横に立つタムシバの花芽が、もうすぐ春だよと囁く。じきに融けてしまう雪の感触を味わいながら下っていく。
なんだか方向がおかしいと立ち止まる。融けかかった雪の中うっすらと続く杣道に導かれ駐車地より下に出る尾根を歩いていた。
初めての道も楽しいかとそのまま進む。びっくりするような風景には出会わなかったが、
昔は山の中の小さな尾根一つひとつが歩かれていたのだなぁと人と山の関わりの深さにしんみりとする。
林道に出ると同時にぽつりと来た。雨の予報だったっけ?急ぎ足で車に向かう。頬にあたる雨粒はどこから来たのだろうと、ふと思う。