【鈴鹿・沢登り】 秋でも楽しめる綿向山ヒミズ谷
Posted: 2018年10月29日(月) 18:39
せっかく日本に帰ってきたのでたまには山に行こうかと思い立ち、いろいろ候補を考えたが、頭に浮かぶコースはすべて沢登りのみ。鈴鹿でもまだ歩いていない一般登山道は沢山あるのだが、どうも行く気になれない。最終的に残ったのが綿向山のヒミズ谷。沢登りコースとしてはメジャーではないが、それなりに登られている谷だ。以前、沢友のIさんにヒミズ谷に行きたいと言ったら、「ヒミズ谷は単独でもいけますよ」と冷たく却下された。それなら単独で行きましょう。いざ行ってみると意外にいい谷で、直登できる滝が連続し、滝登りを楽しんでいるうちに上まで行ってしまった。最後の詰めも楽だし、こんな谷なら何度でも行ってみたいなあ。
【 日 付 】2018年10月17日(水)
【 山 域 】鈴鹿 綿向山
【メンバー】単独
【 天 候 】曇り時々晴れ
【 ルート 】御幸橋駐車場 8:56 --- 9:12 ヒミズ谷出会小屋 --- 9:19 入渓 --- 11:32 8合目付近登山道 --- 11:50 綿向山 13:04 --- 14:16駐車地
今日はのんびり沢歩きの予定なのでのんびりと自宅を出、登山口の駐車場に着いたのは8時過ぎ。何か忘れているなあと思ったら、お昼の食料を買うのを忘れていた。まあ、久しぶりの山というのはこんなもんだろう。街までそんなに遠くないので、近くのコンビニに食料調達に行く。幸い10分ほど車を走らせるとコンビニが見つかった。日本というのは便利な国である。
準備をして歩き出したのが9時頃。ヒミズ谷出会小屋から登山道に入り、九十九折れの道の2つ目のヘアピンを右に入って沢に降りていく。踏み跡がある。入渓地点は2つ目の大きな堰堤を越えたところだった。
2,3mクラスの滝がいくつも出てくる。いずれも簡単に直登できる。10月中旬でシャワーは遠慮したいので,シャワーにならないこのクラスの滝は好ましい。いくつ目の滝だったか,2mほどの滝で,直登できない滝が出てきた。右岸を巻くか,あるいは滝右のクラックを登るか。結局,クラックを登る方が楽しそうなので,こっちに決める。フリーでもいけそうだが,単独なので念のためクラックにカムをかませて人工支点で登ることにする。カムを力一杯掴んで体を持ち上げた途端,カムが外れて滝壺にぽちゃん。そんなに深い滝壺ではないので,下半身が濡れただけで,痛くも痒くもなかったが,落ちるんだったらカムを使うんじゃなかった。どうもカムの使い方をもうちょっと工夫した方がよさそうだ。
さっきとは違う場所にカムをかませ,再びチャレンジする。今度はうまくいった。上がりきって装備を点検すると,カラビナにかけてあったスカイフックが見当たらない。さっき落ちた時に外れてしまったようだ。一度も使っていない新品なのに。懸垂で滝下まで降りて滝壺を眺めるが,水流でよく見えなくて見つけることができなかった。結局あきらめて登り返す。もし,ヒミズ谷でスカイフックを見つけたら大事に使ってやってくださいな。 その後も数え切れないほどの小滝が連続し,その全てがフリーで登れるので,予想していた以上に面白い。複数だとだれてしまうかもしれないが,単独なので絶対落ちてはいけないという適度な緊張感があって,飽きることがない。 標高何メートルくらいだったろうか,堆積岩の明瞭なチャートがねじれて面白い模様を描いているところがあった。この辺りは約1.9〜1.4億年のジュラ紀に堆積した地層のようで,地質変動でねじれて面白いチャートを形成したものだろう。タモリなどが来るときっと興味を持つのだろうが。 源頭部の最初の1滴(金明水というらしい)を過ぎるとすぐに登山道の8合目に出る。そこからジグザグの登山道を辿るとすぐに綿向山頂上だった。平日にもかかわらず数組の登山者が休憩しており,昼食を食べている間にも次々と登山者が登ってくる。さすがに人気の綿向山である。
まだ時間も早いので,のんびり昼食を食べ,シートの上に寝転がる。日が差すと暖かいが,雲に日が遮られると途端に濡れた体が冷えてくる。騒がしくなったなと思ったら,若い女の子たちが沢山いる10数人のグループだった。聞くと,会社の合宿なのだという。皆,楽しそうで,きっと楽しい会社なのだろうと思った。若いというのはいいものだ。
下山は小さな男の子を背負った若い父親と一緒になった。沢登りもするという。時間的には竜王山まで十分周回できる時間だが,ヒミズ谷を楽しんだだけで十分に満足したので,そのまま登山道を降りる。
綿向山は広葉樹林と植林が入り混じった山だが,植林でも手入れが行き届いているので気持ちがいい。登山道がよく整備されており,地元の人々に愛されている山であることがわかる。
1時間ほどで駐車場に降り,のんびりと温泉に入って帰宅した。年を取ると,こんなのんびり登山が気持ちいいし,似合ってくるものだ。70歳前後で沢登りを卒業しようと思っているが,それまでに登る沢のグレードを徐々に下げていって,自然にフェードアウトしようかと思っているこの頃である。と言いながら,滝を見るとチャレンジしてしまうどうしようもない自分も同居しているのだが。