【鈴鹿】タイジョウから銚子・イブネ経由でバリ下山
Posted: 2018年10月17日(水) 20:15
【日 付】2018年10月14日(日)
【山 域】鈴鹿中部 イブネ周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】鳴野橋8:15---8;57タイジョウ分岐---10:29タイジョウ10:43---11:15佐目子谷11:38---12:38銚子14:20
---14:43イブネ---15:05アゲンギョ---16:18塩津16:30---17:20鳴野橋
タイジョウと聞いてすぐに思い浮かぶのは帯状疱疹だろう。ウチの娘や孫もお世話になった病気である。
このタイジョウは鈴鹿中部にある山の名前だ。もちろん登っても痛くもかゆくもない。
甲津畑集落の奥、鳴野橋の駐車地にはすでに先客が数台あり、なんとか車をもぐり込ませて出発。
今日は先日SHIGEKIさんが辿ったコースのほぼ後追いだ。
フジキリ谷を眼下に望むこの林道をこれまで何回歩いただろう。新緑の時期や紅葉の頃、あるいは雪が積もって
林道からラッセルを強いられたこともあった。ただ夏場は千種街道として知られるこの道はヒル街道でもあるので、
あまり進んで歩きたいとは思わない。
タイジョウは以前は知る人ぞ知るマイナーなバリハイの山だったのだが、今では立派な標識のある準メジャーな
山になった。MLBなら2A~3Aクラスというところか。東近江市が選んだ鈴鹿10座には入っていないが、15座ぐらい
に枠を広げればギリギリでランクインするかもしれない。
林道が右岸へ移る青い橋を渡ると「タイジョウ」の標識があり、それに従って杉林の中へ進む。このあたりの山
はどこでも登れるので道の有る無しは関係ないのだが、今日は登山道がどう付けられているか見てみようという思
いがあった。ところが谷沿いに続く道はタイジョウの西尾根をダイレクトに山頂へ登るようだ。これでは南西尾根
の山頂直下にある池が見られない。方針変更して南西尾根に乗ることにした。これがホントのタイジョウ方針であ
る。
天気予報通りで空はどんよりと曇り、1000mを超えるまわりの山は雲の中。午後からは晴れるという予報に期待し
よう。お目当ての池は水が少ないこともあるが、倒木が目立ってスッキリしない印象なのが残念だった。
タイジョウの山頂からイブネを目指すなら尾根伝いに縦走するのが常道だろう。そんな普通のことをしても面白
くないので、一旦北面の佐目子谷へ下りて銚子に直登する尾根を上がることにした。300m下って360m登り返すと
いう篤志家向けのルートである。
山頂のすぐ先から北東に伸びる尾根を下る。最初は下生えのないブナ林の気持ちのいい尾根で、これは儲けもの
かと思ったが世の中そうそううまい話は転がっていない。すぐにヤセ尾根やシャクナゲのヤブもあるいつも通りの
ルートに変わった。この下りで徐々に青空が覗き始めてモチベーションが上がる。しかし真正面に目の高さに見え
ていた銚子のピークがどんどん見上げるようになっていくのはいかにももったいない。
佐目子谷本流に下り立ったのに支流と勘違いして少し下流方向へ進んでしまった。初めて来たわけではないのに
情けない話である。
下りてきた場所のちょうど対岸が目指す尾根だった。取付きの急斜面をこなして尾根に乗ってしまえば後は足を
交互に上げて行くだけだ。下降した尾根に比べればヤブもなく踏み跡明瞭で歩きやすい。かなり足に来ているので
呼吸を整えながらなんとかワンピッチで登り切った。
イブネ・クラシ・銚子と3つのピークが半円状に並ぶ北端に位置するピークが銚子。イブネとクラシを正面に眺
める展望台である。いつの間にか空は青と白の割合が逆転していた。ブナ林の間から鈴鹿北部の山々がすっきりと
見えている。
ササが枯れて素っ裸になってしまった地面に腰を降ろす。ところどころに色づきかけた木があるが、紅葉にはまだ
まだ早い。寝転んでいたら今日もたっぷり1時間半のランチタイムになってしまった。よくひとりで1時間も2時間
も休んでいられるなと言われるが、景色を眺めながらボケッとしていたらそれぐらいすぐに経ってしまうのだ。
もっとも最近はスマホをいじる時間が長いので、ボケッともしていられないのだが。
2時を過ぎた。もう日が短くなってきたのでそろそろ下りなくては。
目の前のイブネとの間に食い込むクチクマ谷の源頭一帯を熊ノ戸平と呼んでいる。穏やかな小川がさらさらと流れ
る別天地である。ここへ来て熊ノ戸平に寄らないのは画竜点睛を欠くというものだ。
谷へ下りて向こう側の台地に上がるところに門番のように立つ2本のブナがある。これも私のお気に入りだ。
苔に覆われた台地を歩くとまるで水を含んだスポンジの上を行くように(スポンジの上を歩いたことはないが)ジワ
ーッと沈み込む。イブネの山頂に立つと御在所・鎌・雨乞というビッグスターが姿を現した。
日暮れまであと2時間あまり。当初は杉峠経由で千種街道をのんびり歩くつもりだったが、アゲンギョまで来て
気が変わった。北谷の左岸尾根を下ろう。アゲンギョのように広い台地にブナ林が展開する場所は鈴鹿では珍しい。
北谷源頭部の美しい二次林は鈴鹿を代表する風景のひとつだろう。
近道をしたつもりが樹林をウロウロしている間に尾根を外してしまった。まあ、北谷界隈には滝もないし、尾根
はどこでも下りられると思って気楽に構えていたら、なんと自分の進路に急崖が出現した。左の谷には黒光りした
滝がかかり、右側を見れば水のない急峻なルンゼが一直線に伸びている。これはいかん。さすがに前進をあきらめ
て50mほど登り返し、北谷の本流側への小尾根を下った。同じようなことを飽きもせず毎週のようにやっているの
は学習能力の無さ故か、はたまた単にアホなだけか。
ともあれ北谷に下り立つと、そこはどこでも歩ける優しい谷筋である。炭焼窯跡や作業場の敷地跡(石垣だけが残っ
ている)等があちこちにある仕事場としての谷なので、歩くのに不自由するところはない。
やがて千種街道に合流。上流の一反ぼうそう(ミズナラの巨木)は瀕死の状態らしいが、塩津のシデの大木は変わ
らぬ元気な姿で出迎えてくれた。あとは夕暮れとの競争で街道を急ぐだけだ。
山日和
【山 域】鈴鹿中部 イブネ周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】鳴野橋8:15---8;57タイジョウ分岐---10:29タイジョウ10:43---11:15佐目子谷11:38---12:38銚子14:20
---14:43イブネ---15:05アゲンギョ---16:18塩津16:30---17:20鳴野橋
タイジョウと聞いてすぐに思い浮かぶのは帯状疱疹だろう。ウチの娘や孫もお世話になった病気である。
このタイジョウは鈴鹿中部にある山の名前だ。もちろん登っても痛くもかゆくもない。
甲津畑集落の奥、鳴野橋の駐車地にはすでに先客が数台あり、なんとか車をもぐり込ませて出発。
今日は先日SHIGEKIさんが辿ったコースのほぼ後追いだ。
フジキリ谷を眼下に望むこの林道をこれまで何回歩いただろう。新緑の時期や紅葉の頃、あるいは雪が積もって
林道からラッセルを強いられたこともあった。ただ夏場は千種街道として知られるこの道はヒル街道でもあるので、
あまり進んで歩きたいとは思わない。
タイジョウは以前は知る人ぞ知るマイナーなバリハイの山だったのだが、今では立派な標識のある準メジャーな
山になった。MLBなら2A~3Aクラスというところか。東近江市が選んだ鈴鹿10座には入っていないが、15座ぐらい
に枠を広げればギリギリでランクインするかもしれない。
林道が右岸へ移る青い橋を渡ると「タイジョウ」の標識があり、それに従って杉林の中へ進む。このあたりの山
はどこでも登れるので道の有る無しは関係ないのだが、今日は登山道がどう付けられているか見てみようという思
いがあった。ところが谷沿いに続く道はタイジョウの西尾根をダイレクトに山頂へ登るようだ。これでは南西尾根
の山頂直下にある池が見られない。方針変更して南西尾根に乗ることにした。これがホントのタイジョウ方針であ
る。
天気予報通りで空はどんよりと曇り、1000mを超えるまわりの山は雲の中。午後からは晴れるという予報に期待し
よう。お目当ての池は水が少ないこともあるが、倒木が目立ってスッキリしない印象なのが残念だった。
タイジョウの山頂からイブネを目指すなら尾根伝いに縦走するのが常道だろう。そんな普通のことをしても面白
くないので、一旦北面の佐目子谷へ下りて銚子に直登する尾根を上がることにした。300m下って360m登り返すと
いう篤志家向けのルートである。
山頂のすぐ先から北東に伸びる尾根を下る。最初は下生えのないブナ林の気持ちのいい尾根で、これは儲けもの
かと思ったが世の中そうそううまい話は転がっていない。すぐにヤセ尾根やシャクナゲのヤブもあるいつも通りの
ルートに変わった。この下りで徐々に青空が覗き始めてモチベーションが上がる。しかし真正面に目の高さに見え
ていた銚子のピークがどんどん見上げるようになっていくのはいかにももったいない。
佐目子谷本流に下り立ったのに支流と勘違いして少し下流方向へ進んでしまった。初めて来たわけではないのに
情けない話である。
下りてきた場所のちょうど対岸が目指す尾根だった。取付きの急斜面をこなして尾根に乗ってしまえば後は足を
交互に上げて行くだけだ。下降した尾根に比べればヤブもなく踏み跡明瞭で歩きやすい。かなり足に来ているので
呼吸を整えながらなんとかワンピッチで登り切った。
イブネ・クラシ・銚子と3つのピークが半円状に並ぶ北端に位置するピークが銚子。イブネとクラシを正面に眺
める展望台である。いつの間にか空は青と白の割合が逆転していた。ブナ林の間から鈴鹿北部の山々がすっきりと
見えている。
ササが枯れて素っ裸になってしまった地面に腰を降ろす。ところどころに色づきかけた木があるが、紅葉にはまだ
まだ早い。寝転んでいたら今日もたっぷり1時間半のランチタイムになってしまった。よくひとりで1時間も2時間
も休んでいられるなと言われるが、景色を眺めながらボケッとしていたらそれぐらいすぐに経ってしまうのだ。
もっとも最近はスマホをいじる時間が長いので、ボケッともしていられないのだが。
2時を過ぎた。もう日が短くなってきたのでそろそろ下りなくては。
目の前のイブネとの間に食い込むクチクマ谷の源頭一帯を熊ノ戸平と呼んでいる。穏やかな小川がさらさらと流れ
る別天地である。ここへ来て熊ノ戸平に寄らないのは画竜点睛を欠くというものだ。
谷へ下りて向こう側の台地に上がるところに門番のように立つ2本のブナがある。これも私のお気に入りだ。
苔に覆われた台地を歩くとまるで水を含んだスポンジの上を行くように(スポンジの上を歩いたことはないが)ジワ
ーッと沈み込む。イブネの山頂に立つと御在所・鎌・雨乞というビッグスターが姿を現した。
日暮れまであと2時間あまり。当初は杉峠経由で千種街道をのんびり歩くつもりだったが、アゲンギョまで来て
気が変わった。北谷の左岸尾根を下ろう。アゲンギョのように広い台地にブナ林が展開する場所は鈴鹿では珍しい。
北谷源頭部の美しい二次林は鈴鹿を代表する風景のひとつだろう。
近道をしたつもりが樹林をウロウロしている間に尾根を外してしまった。まあ、北谷界隈には滝もないし、尾根
はどこでも下りられると思って気楽に構えていたら、なんと自分の進路に急崖が出現した。左の谷には黒光りした
滝がかかり、右側を見れば水のない急峻なルンゼが一直線に伸びている。これはいかん。さすがに前進をあきらめ
て50mほど登り返し、北谷の本流側への小尾根を下った。同じようなことを飽きもせず毎週のようにやっているの
は学習能力の無さ故か、はたまた単にアホなだけか。
ともあれ北谷に下り立つと、そこはどこでも歩ける優しい谷筋である。炭焼窯跡や作業場の敷地跡(石垣だけが残っ
ている)等があちこちにある仕事場としての谷なので、歩くのに不自由するところはない。
やがて千種街道に合流。上流の一反ぼうそう(ミズナラの巨木)は瀕死の状態らしいが、塩津のシデの大木は変わ
らぬ元気な姿で出迎えてくれた。あとは夕暮れとの競争で街道を急ぐだけだ。
山日和