【台高】モノレールで高速下山? 人見谷から伯母ヶ峰
Posted: 2018年9月17日(月) 21:34
【日 付】2018年9月16日(日)
【山 域】台高山脈中部 伯母ヶ峰周辺
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】入之波大橋8:05---8:28人見谷出合---8:39入渓点---11:36三俣滝上--13:07村境稜線---13:31伯母ヶ峰14:50
---16:55モノレール駅---17:29駐車地
人見谷は吉野川支流の本沢川のそのまた支流。末端を大迫ダムのバックウォーターに吸い込まれる谷である。
入之波(しおのは)大橋を渡ったところに駐車して林道を歩き始めた。この場所にピンポイントで下山する予定だ。
最近の雨続きでたっぷりと水を湛えたダム湖を眺めながら歩く。天気も数日前までの予報よりは好転して雨の心
配はなさそうである。
人見谷左岸には新しい林道が付けられていた。林道を辿ると眼下の谷に立派な滝が現われた。15mぐらいはあ
るだろうか。早めに谷に下りても良かったのだが、時間が読みづらいので道のあるうちは道を辿ることにする。
人見谷をネット検索するといくつかのレポがヒットするが、歩いて下山したものはひとつもない。みんな伯母ヶ
峰近くの大台ヶ原ドライブウェイに車をデポしている。山頂まで上がればその日の登山は終わりというわけだ。
単独ではそういうわけにはいかないし、そもそも登って下りるのが登山というものだ。片道切符では面白くない。
下山予定の尾根は植林だらけだろうから杣道は期待できるが、林道沿いの斜面はガケ続きでネットを張ったとこ
ろも多く、たまに階段やハシゴのあるガケの切れ目が見られるだけだ。尾根を辿って漫然と下っていたら窮地に
追い込まれる可能性が高い。
林道が杣道に変わって崩れた橋が谷を渡るところで入渓。穏やかな渓相で流れだけを見れば美しいが、いかん
せん両岸は植林である。分かり切ったこととはいえ、少々残念ではある。
エメラルドグリーンの大きな淵を持つナメ滝を、腰まで浸かって左から越えると谷は活発になってきた。
岩盤がよく発達して、谷幅いっぱいにナメ滝を形作っているところが多い。気が付けばいつの間にか植林が消え
て、トチとサワグルミ主体の自然林に変わっていた。実に私好みの谷である。
8m滝を右岸から巻くと、美しい3条の15m滝と対面する。左岸手前の小尾根から回りこめば楽そうだが、ちょ
っと遠回りだ。右岸側のルンゼを上がって、下から落ち口へのバンドがあるように見えた地点まで来たが、途中
で切れていた。よくある話だ。さらに追い上げられて最後は落ち口ラインへトラバース。どんびしゃで落ち口に
到達した。ここからしばらくは癒しの渓相となる。トチの大木も多く、流れには落ちたトチの実があちこちに浮
かんでいる。
連瀑の向こうにただならぬ気配を感じた。木の間越しではっきりしないが、その滝の上にいくつもの滝がが並
んでいるようだ。歩を進めると、四俣状になった本流・支流から滝が落ちていた。本流はワイドな壁の左側にす
だれ状の20m滝と、右側に形の整った10m滝を懸けている。実にすばらしい空間だ。両滝の真ん中を窺ってみた
が、かなり立っていてホールドも乏しそうなので断念。右の滝の脇のルンゼを上がるとうまい具合に落ち口へ続
く細い踏み跡があり、難なく滝の上に立つことができた。
一見別の谷から落ちているように見えた二つの滝は、落ち口の奥でひとつになっていた。先日の佐津川左俣と逆
のパターンだ。
滝の上は一転してサワグルミの森がゆったりと広がる穏やかな谷となった。沢床は色鮮やかな苔に覆われた岩
がごろごろしている。
Ca870mの二俣を左に取り、10m滝を左から上がると傾斜が強まり源頭の様相となる。やがて水は涸れ、流れ
のない連瀑帯を登って行く。倒木が目立って景観を損ねているのが残念だ。
いい時間になってきたのでこの辺でランチをと思ったが、まだ250mの標高差を残している。思い直して山頂に向
かうことにした。これ以上谷筋を詰めるのも意味がなさそうなので、左手の尾根へ逃げることにしよう。
源頭までの遡行にこだわるなら先ほどの二俣を右に取る方がいいかもしれない。そちらなら山頂の西側鞍部まで
詰め上げることができるだろう。
この尾根がなかなか良く、ブナに交じってヒメシャラの艶めかしい木肌が目を惹く。登り着いた稜線は川上村
と上北山村の境界である。ひと登りで1262m標高点のある伯母ヶ峰山頂・・・のはずだった。
しかしここには1枚の標識もない。東にある1266.7m三角点(点名人見)のピークが本当の伯母ヶ峰の山頂というこ
とになっているようだ。
展望のあまりない稜線の両側の林相は対照的だ。右の上北山村側は暗い植林、左の川上村側は美しいブナ林に
色分けされている。細かいアップダウンがあって結構疲れる。稜線直下の急登に加えて意外にしんどい尾根歩き
は、ビールと満腹後の体ならかなり堪えたことだろう。我慢して正解だった。
ただ、伯母ヶ峰の山頂はいささか期待外れだった。展望がいいかブナ林か、どちらかがあればランチ場として
及第点と言えるのだが、展望のない杉林では食欲もいまひとつである。
ランチ場のロケーション最優先派としては忸怩たる思いだ。
下山の尾根は複雑に分岐しているので注意が必要である。山頂から少し下ると下生えのないすっきりした林に
明瞭な踏み跡が続いていた。テープもある。これは楽勝かもしれない。
1062m標高点の先で北東に進むイメージだったが、テープは左の尾根に続いていた。こちらからでも途中で右
に分岐する尾根に乗れば橋の袂に下りられる。そう思っていたらなんと林業用のモノレールの線路が現われた。
これを辿れば確実である。その甘いささやきに釣られてレール沿いに進む。最初は尾根上を快適に進んでいたが、
突如尾根を外れて急斜面を一直線に下り始めた。しかも橋とは真反対の西向きだ。ここまで来たらついて行くし
かない。足元が滑りやすいので、秘技モノレール懸垂走法でぐんぐん下って行く。安全確実だが腕が疲れる。
たっぷり汗をかいて下り着いたモノレールの駅は、人見谷出合のすぐそばだった。こんなことなら出合のあたり
に駐車すればよかった。
今日は早めに下りて、まだ入ったことのない入之波温泉山鳩湯で汗を流すつもりだったがもう5時(受付は4時
まで)を過ぎている。入りたいと思いながらいつもタイムアウトで断念していたのだが、きょうもまたお預けだ。
山日和
【山 域】台高山脈中部 伯母ヶ峰周辺
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】入之波大橋8:05---8:28人見谷出合---8:39入渓点---11:36三俣滝上--13:07村境稜線---13:31伯母ヶ峰14:50
---16:55モノレール駅---17:29駐車地
人見谷は吉野川支流の本沢川のそのまた支流。末端を大迫ダムのバックウォーターに吸い込まれる谷である。
入之波(しおのは)大橋を渡ったところに駐車して林道を歩き始めた。この場所にピンポイントで下山する予定だ。
最近の雨続きでたっぷりと水を湛えたダム湖を眺めながら歩く。天気も数日前までの予報よりは好転して雨の心
配はなさそうである。
人見谷左岸には新しい林道が付けられていた。林道を辿ると眼下の谷に立派な滝が現われた。15mぐらいはあ
るだろうか。早めに谷に下りても良かったのだが、時間が読みづらいので道のあるうちは道を辿ることにする。
人見谷をネット検索するといくつかのレポがヒットするが、歩いて下山したものはひとつもない。みんな伯母ヶ
峰近くの大台ヶ原ドライブウェイに車をデポしている。山頂まで上がればその日の登山は終わりというわけだ。
単独ではそういうわけにはいかないし、そもそも登って下りるのが登山というものだ。片道切符では面白くない。
下山予定の尾根は植林だらけだろうから杣道は期待できるが、林道沿いの斜面はガケ続きでネットを張ったとこ
ろも多く、たまに階段やハシゴのあるガケの切れ目が見られるだけだ。尾根を辿って漫然と下っていたら窮地に
追い込まれる可能性が高い。
林道が杣道に変わって崩れた橋が谷を渡るところで入渓。穏やかな渓相で流れだけを見れば美しいが、いかん
せん両岸は植林である。分かり切ったこととはいえ、少々残念ではある。
エメラルドグリーンの大きな淵を持つナメ滝を、腰まで浸かって左から越えると谷は活発になってきた。
岩盤がよく発達して、谷幅いっぱいにナメ滝を形作っているところが多い。気が付けばいつの間にか植林が消え
て、トチとサワグルミ主体の自然林に変わっていた。実に私好みの谷である。
8m滝を右岸から巻くと、美しい3条の15m滝と対面する。左岸手前の小尾根から回りこめば楽そうだが、ちょ
っと遠回りだ。右岸側のルンゼを上がって、下から落ち口へのバンドがあるように見えた地点まで来たが、途中
で切れていた。よくある話だ。さらに追い上げられて最後は落ち口ラインへトラバース。どんびしゃで落ち口に
到達した。ここからしばらくは癒しの渓相となる。トチの大木も多く、流れには落ちたトチの実があちこちに浮
かんでいる。
連瀑の向こうにただならぬ気配を感じた。木の間越しではっきりしないが、その滝の上にいくつもの滝がが並
んでいるようだ。歩を進めると、四俣状になった本流・支流から滝が落ちていた。本流はワイドな壁の左側にす
だれ状の20m滝と、右側に形の整った10m滝を懸けている。実にすばらしい空間だ。両滝の真ん中を窺ってみた
が、かなり立っていてホールドも乏しそうなので断念。右の滝の脇のルンゼを上がるとうまい具合に落ち口へ続
く細い踏み跡があり、難なく滝の上に立つことができた。
一見別の谷から落ちているように見えた二つの滝は、落ち口の奥でひとつになっていた。先日の佐津川左俣と逆
のパターンだ。
滝の上は一転してサワグルミの森がゆったりと広がる穏やかな谷となった。沢床は色鮮やかな苔に覆われた岩
がごろごろしている。
Ca870mの二俣を左に取り、10m滝を左から上がると傾斜が強まり源頭の様相となる。やがて水は涸れ、流れ
のない連瀑帯を登って行く。倒木が目立って景観を損ねているのが残念だ。
いい時間になってきたのでこの辺でランチをと思ったが、まだ250mの標高差を残している。思い直して山頂に向
かうことにした。これ以上谷筋を詰めるのも意味がなさそうなので、左手の尾根へ逃げることにしよう。
源頭までの遡行にこだわるなら先ほどの二俣を右に取る方がいいかもしれない。そちらなら山頂の西側鞍部まで
詰め上げることができるだろう。
この尾根がなかなか良く、ブナに交じってヒメシャラの艶めかしい木肌が目を惹く。登り着いた稜線は川上村
と上北山村の境界である。ひと登りで1262m標高点のある伯母ヶ峰山頂・・・のはずだった。
しかしここには1枚の標識もない。東にある1266.7m三角点(点名人見)のピークが本当の伯母ヶ峰の山頂というこ
とになっているようだ。
展望のあまりない稜線の両側の林相は対照的だ。右の上北山村側は暗い植林、左の川上村側は美しいブナ林に
色分けされている。細かいアップダウンがあって結構疲れる。稜線直下の急登に加えて意外にしんどい尾根歩き
は、ビールと満腹後の体ならかなり堪えたことだろう。我慢して正解だった。
ただ、伯母ヶ峰の山頂はいささか期待外れだった。展望がいいかブナ林か、どちらかがあればランチ場として
及第点と言えるのだが、展望のない杉林では食欲もいまひとつである。
ランチ場のロケーション最優先派としては忸怩たる思いだ。
下山の尾根は複雑に分岐しているので注意が必要である。山頂から少し下ると下生えのないすっきりした林に
明瞭な踏み跡が続いていた。テープもある。これは楽勝かもしれない。
1062m標高点の先で北東に進むイメージだったが、テープは左の尾根に続いていた。こちらからでも途中で右
に分岐する尾根に乗れば橋の袂に下りられる。そう思っていたらなんと林業用のモノレールの線路が現われた。
これを辿れば確実である。その甘いささやきに釣られてレール沿いに進む。最初は尾根上を快適に進んでいたが、
突如尾根を外れて急斜面を一直線に下り始めた。しかも橋とは真反対の西向きだ。ここまで来たらついて行くし
かない。足元が滑りやすいので、秘技モノレール懸垂走法でぐんぐん下って行く。安全確実だが腕が疲れる。
たっぷり汗をかいて下り着いたモノレールの駅は、人見谷出合のすぐそばだった。こんなことなら出合のあたり
に駐車すればよかった。
今日は早めに下りて、まだ入ったことのない入之波温泉山鳩湯で汗を流すつもりだったがもう5時(受付は4時
まで)を過ぎている。入りたいと思いながらいつもタイムアウトで断念していたのだが、きょうもまたお預けだ。
山日和